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保育ママ(家庭的保育事業)とは?必要資格や開業条件、働くメリットを解説

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赤ちゃんを抱く保育士のイメージ

保育士として働く中で「保育ママ(家庭的保育事業)について知りたい」という方もいるのではないでしょうか。保育ママは、自宅で少人数の子どもを預かり、家庭的な環境で手厚い保育を提供する制度のことです。自治体により異なる場合もありますが、主に0〜2歳の子どもを対象とし、保育士資格を保有する方、または特定の研修を終了した方などが自治体の認可を受けて開業します。保育ママは、子どもの成長を間近で感じられる点が魅力といえるでしょう。 この記事では、保育ママとして働くために必要な資格や開業条件、働くメリット・デメリットについて解説します。ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人

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「レバウェル保育士」編集部

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保育ママ(家庭的保育事業)とは?

保育ママ(家庭的保育事業)は、保育者の自宅や専用施設など家庭的な環境で、主に0歳から2歳の乳幼児を少人数で預かる保育サービスです。定員が少ないため、子ども一人ひとりの成長や個性に寄り添ったきめ細やかな保育が行えるのが特徴。保護者との信頼関係を築きやすい点も特徴の1つといえるでしょう。

ここでは、保育ママの特徴について詳しく解説します。

対象年齢は0~2歳

保育ママは、主に0〜2歳の乳幼児を対象とした保育サービスで、子どもが3歳になる年度末(3月31日)まで利用可能です。ただし、一部の自治体では「生後57日以上」「生後8ヶ月以降」など、利用開始時期に制限を設けている場合もあります。
この年齢制限は、待機児童の多くを占める0~2歳の保育需要に応えるために制定されています。

保育時間は原則8時間

保育ママの保育時間は、原則として1日8時間と定められています。ただし、延長保育や土曜日の開所、休業日などについては、保護者のニーズや状況に応じて事業者側で柔軟に設定できます。こうした柔軟性が保育ママならではの魅力といえるでしょう。

職員の配置基準と保育定員

保育ママの職員配置基準は、0~2歳児3人につき1人を配置することが原則となっています。また、家庭的保育補助者を配置する場合は、5人の子どもに対して職員2人(家庭的保育事業者1人+家庭的保育補助者1人)を基準としています。
定員は1人から最大5人までとされていますが、一部の自治体では最低定員を3人以上に設定している場合もあります。少人数制のため、子ども1人ひとりに目が届きやすく、きめ細かな保育が行えるのが特徴といえるでしょう。

保育場所の広さや設置基準

保育ママの保育室は、家庭的保育者の自宅や専用に借りたマンションなどで、屋外遊びは、自宅の庭や近隣の公園を活用することが一般的です。
また、保育専用室は、最低でも9.9㎡(6畳)以上の広さが必要で、定員が3人を超える場合には子ども1人につき3.3㎡以上の追加面積を確保することが義務付けられています。
そのほか、トイレや手洗い場、火災報知器、消火器などの安全設備を整備することが必須です。

なお、この基準は厚生労働省が定める「児童福祉施設最低基準新規タブリンク」に基づいており、一般住宅を基準に適合させるにはリフォームが必要な場合もあります。一部の自治体では改修工事などに対して補助する制度を設けているケースもあるため、事前に確認しましょう。

出典

厚生労働省「児童福祉施設最低基準新規タブリンク」(2025年8月8日)

保育ママ(家庭的保育事業)として働くための条件

保育ママとして働くには、いくつかの条件を満たす必要があります。ここでは、それぞれ詳しく解説します。

保育ママとして働くには、自治体に認定される必要があります。必要な条件は自治体によって異なりますが、保育士や幼稚園教諭などの資格を保有したうえで自治体が実施する研修を終了します。資格がない場合でも、自治体が実施する研修を受けて条件を満たせば認定される場合があります。自治体によって異なるため、詳細はホームページなどで確認しましょう。

一例として、以下は江戸川区が募集する保育ママの条件です。

  • 1. 乳児を育てた経験のある方、または保育士・幼稚園教諭・助産師・保健師・看護師の資格がある方

  • 2. 健康な25歳~概ね60歳までの女性

  • 3. 日曜・祝日を除く、毎日午前7時30分から午後6時までの保育が可能な方

  • 4. 保育室として6畳相当の部屋を確保できる方

  • 5. 就学前のお子さんがいない方

これらの条件に加え、健康診断や施設調査を受け、区が実施する研修を修了することが必須です。最終的な認定は、これらの基準をクリアしたうえで、保育者としての適性を総合的に判断して行われます。

出典

江戸川区「あなたも保育ママになってみませんか?新規タブリンク」(2025年8月8日)

保育ママ(家庭的保育事業)の1日の流れ

保育ママは、子どもを受け入れた後、遊びや食事・おやつの提供などを行います。ここでは、1日の流れを紹介します。保育ママによってスケジュールは異なるため、下記は一例です。

時間帯 活動内容
午前8時30分 順次登園

開園準備と登園児の受け入れ

保護者から子どもの様子を聞き取り、検温と健康状態の確認を実施

午前9時30分 朝の会・朝のおやつ

手遊びや歌で挨拶し、朝のおやつを提供

午前10時 屋外・屋内活動

近隣の公園で外遊びや、雨天時には室内で運動遊びを実施

正午 昼食

月齢・年齢に応じた食事(離乳食・普通食など)を提供

午後1時 お昼寝

寝かしつけと午睡チェックを行い、連絡帳の記入や事務作業を並行して進める

午後3時 午後のおやつ・自由遊び

寝起きの検温後におやつを提供

絵本やおもちゃで自由遊びを実施

午後4時30分 帰りの会・順次降園

保護者への引き渡し、その日の子どもの様子や育児相談の対応

終了後 清掃・翌日の準備・事務作業

子どもを全員見送った後に実施

保育以外の業務 運営業務:書類作成、税金申告、保育補助者の雇用管理など

ほかの施設との連携:急用や体調不良時に備え、地域の保育ママや施設との連携を確保

上記のように、保育ママの1日は保育だけでなく、運営に関わるさまざまな業務を含んでいます。

保育ママ(家庭的保育事業)の収入事情

保育ママの収入は、主に保育料と自治体からの補助金で構成されています。こども家庭庁の「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報>新規タブリンク」によると、家庭的保育者(保育ママ)の給与月額(賞与込み)は36万8,259円とされています。
私立保育園に勤務する保育士の給与月額(賞与込み)は34万8,119円であり、保育ママの方が約2万円高いことがわかります。

保育ママには自治体から補助金を受けられるため、私立保育園の保育士よりも、給与が高い傾向にあります。ただし、保育ママの給与は地域や状況などによって異なるため、あくまで参考にしてください。

保育ママ(家庭的保育事業)として働く5つのメリット

保育ママは「保育士の経験を活かして家庭的な環境で子どもたちを保育できる」「自分が理想とする保育ができる」「自宅で勤務可能」など、さまざまなメリットがあります。ここでは、保育ママとして働く5つのメリットについて詳しく解説します。

1.家庭的な環境で丁寧な保育ができる

保育ママは、家庭的な環境で少人数の子どもたちに対して丁寧な保育を行えるのが魅力の1つです。0~2歳の子どもは発達において個人差が大きいため、柔軟な保育が求められます。少人数の保育では、一人ひとりにじっくりと向き合い、その日の体調や気分に合わせた活動や過ごし方を提供するなど、きめ細やかな対応が可能です。そのため、より深い信頼関係を築くことができ、保育の質を高められるでしょう。

2.子どもの成長を一緒に喜び合える

保育ママは少人数のため、保護者との結びつきも強いのが特徴です。そのため、子どもの成長を保護者と一緒に喜び合えるのもメリットの1つでしょう。乳幼児期は成長が早く、毎日のように新たな発見があります。たとえば、「昨日までできなかったことが今日できるようになった」という瞬間は、保護者にとってもうれしい出来事です。こうした成長を保育ママと保護者がともにわかち合うことができるため、やりがいにもつながるでしょう。

3.理想の保育を実現できる

保育ママになると、自分が理想とする保育を実現できるのもメリットの1つといえます。保育方針や日々の活動内容は、基本的に保育ママが自由に決められるため、自分が希望する保育方針を反映させることが可能です。たとえば「子どもたちにのびのびとした生活を提供したい」「伝統的な遊びを提供したい」など、理想とする保育を実現できます。また、現場は自宅中心であるため、環境面においても自分の意向で環境を整備することができます。

4.自治体からの補助金や支援を活用できる

保育ママは、ほとんどの自治体においてさまざまな補助金や支援を受けられるのもメリットです。地域により異なりますが、子ども一人あたり月に7万円~9万円程度の運営補助が支払われる場合もあります。
また、保育ママを始める際に、改修や工事に対して補助金がでる地域もあります。子どもの募集は自治体が行ってくれるため、集客する負担が少ない傾向にあるでしょう。また、自治体によっては保育ママのスキルアップを目的とした研修や保育園との連携ができる場合も。このように、自治体からのサポートは心強い存在といえます。

5.通勤負担が軽減される

通勤による負担が軽減される点も、保育ママとして働くメリットです。エリアにもよりますが、通勤電車は混んでいることが多く、毎日のことなので精神的な負担が大きいケースも。しかし、基本的に保育ママは自宅で保育を行うため、通勤の負担が軽減されるでしょう。通勤がないので、子どもを受け入れる準備などもゆったり行えます。

保育ママ(家庭的保育事業)として働く4つのデメリット

保育ママとして働くことには多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。ここでは、保育ママとして働くうえで考慮すべき4つのデメリットを紹介します。

1.開業準備が大変で負担が大きい

保育ママとして働くためには、自治体の認可を受ける必要があり、そのためにはさまざまな準備が求められます。開業には、自治体の窓口に相談して必要な書類を提出し、自治体が指定する研修を受ける、必要に応じて自宅を改修するなどのステップを踏む必要があります。このプロセスには時間と労力がかかり、準備に約1年ほどの期間を要する場合もあるようです。研修を終了して自宅を改修しても、必ずしも審査に通過することが保証されているわけではなく、そういった点もデメリットといえるでしょう。

2.保育施設を確保する難しさ

保育ママとして働くためには、自宅に保育スペースを確保することが必要で、いくつかの条件があります。自治体によって要件は異なりますが、一般的には6畳程度(3.3㎡以上)以上の部屋を保育室として確保する必要があり、さらに採光、衛生、換気などの基準もクリアしなければなりません。このため、リフォームが必要となる場合もあります。

また、自治体によっては、自宅以外の場所で開業することも許可されていますが、その場合、開業前の賃貸料に対して補助金が支給されないこともあるため、注意が必要です。地域住民に対して事業を説明し、火災などの安全対策を行うなど、さまざまな要件をクリアする必要があります。

3.認可制度による重い責任

保育ママは自治体の認可を受ける制度であるため、開業にあたり大きな責任が伴います。事業を始めた後に「辞めたい」と思っても、預かっている子どもたちがいる限り、途中で事業を放棄することは難しいでしょう。また、常に子どもたちの安全に気を配る必要があり、気が抜けません。

また、保育ママとして働く中で、理想と現実のギャップが生じる場合もあるようです。自分の地域に保育ママがいる場合、開業する前に仕事の内容や実情を聞いてみるのも1つの方法です。

4.体調不良時の人員確保

保育ママでは人数が限られているため、体調不良の場合、代わりの人員を確保するのが難しいケースも。自治体によっては、代替保育の支援を行っている場合もありますが、必ずしもすべての地域で利用できるわけではありません。その場合、自分で代わりの人員を確保しなくてはならない場合も。

また、保育ママは基本的に少人数の保育を行っているため、1人が体調不良になった際の影響が大きく、施設全体の運営に支障をきたす可能性もあるでしょう。少人数で運営されているほかの保育施設と同様に、予防や対策が必要です。

保育ママ(家庭的保育事業)に関する質問

ここでは、保育ママ(家庭的保育事業)に関するよくある質問に回答します。ぜひ参考にしてください。

保育ママと保育士の違いは何ですか?

保育ママと保育士には預かる子どもの人数など違います。保育ママは自宅で主に0〜2歳の子どもを少人数で保育します。家庭従事者(保育ママ)1人に対し、子どもは3人が定員です。一方、保育士は保育施設で集団保育を行い、複数の子どもを一緒に預かります。
また、保育ママは個人事業主として開業します。開業するには自治体への認可や手続き、研修を受ける必要があります。一方、保育士は通常、保育園などの施設に雇用されているのが一般的です。

保育ママとベビーシッターの違いはありますか?

保育ママとベビーシッターは同じようなイメージを持っている方がいるかもしれませんが、いくつかの違いがあります。保育ママは自宅で主に0〜2歳の子どもを預かり、最大3名までの少人数制で保育を行います。一方、ベビーシッターは基本的に子どもが住む家庭に出向き、主に0〜12歳の子どもを対象に世話をする仕事です。
また、保育ママは自治体から認可を受ける必要があります。自治体に申し込み、研修を修了するなどの手続きが必要です。ベビーシッターは自治体から認可を受ける必要はなく、認可外の保育施設に分類されます。

保育ママと居宅訪問型保育の違いとは?

保育ママは主に自宅で主に0〜2歳の子どもを預かり、少人数で個別対応の保育を提供する一方、居宅訪問型保育は障がいや疾病などで主に集団保育が難しい子ども対象としており、保育士が自宅に出向いて保育を行うサービスです。
保育ママは最大で3人(補助者がいる場合は5人まで)が定員です。しかし、居宅訪問型保育では、保育士1人に対し子ども1人が基本であり、保育ママよりもさらに少人数なのが特徴といえるでしょう。

まとめ

保育ママ(家庭的保育事業)は、自宅で主に0~2歳の子どもを保育します。原則として定員は3名(補助者がいる場合は5人)のため、少人数なのが特徴です。また、自分の理想とする保育を実現できるのも大きなポイントといえます。開業には一定の条件を満たし、研修を修了して自治体から認可を受ける必要があります。

保育ママとして開業するにはステップを踏む必要がありますが、子どもの成長を間近で見られるのは魅力です。また、「家庭的な雰囲気で少人数を保育したい」「自分が理想とする保育を実現したい」「自宅で開業したい」という方には向いているでしょう。

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執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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