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児発管になるには?必要な資格や実務経験、求人を探すポイントも解説
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「児発管になるにはどうしたらいいの?」と気になる方もいるでしょう。児発管になるには、実務経験の要件を満たしたうえで研修やOJTを受ける必要があります。 この記事では、児発管になるための要件やステップを解説。保育士から児発管になる方法も紹介します。児発管になるために必要な年数や求人を探すポイント、よくある質問もぜひ参考にしてみてください。
目次
児発管(児童発達支援管理責任者)になるには
児発管(児童発達支援管理責任者)になるには、支援業務の実務経験を積み、研修を修了する必要があります。所定の研修やOJT期間が終了すると、児童発達支施設や放課後等デイサービスなどで児発管として働けます。具体的には、下記のステップで資格を取得します。
実務経験の要件を満たす
基礎研修を受講する
2年以上現場でOJTを受ける
実践研修を受講する
児発管は、子どもの発達の特性や障がいに応じて、個別支援計画の作成や関係機関との連携、保護者の支援などの役割を担う仕事です。高い専門性が問われることから、資格取得後も5年おきに更新研修があり、受講が義務化されています。
児発管になるには「支援業務ルート」と「国家資格ルート」がある
児発管の基礎講習を受講するには、実務経験要件を満たす必要があります。実務経験を満たす方法は、大きく分けると「支援業務ルート」と「国家資格ルート」の2つです。
ここでは、東京都の例をもとに支援業務と国家資格業務の要件をそれぞれ解説します。
支援業務ルートの要件
支援業務ルートでは、「直接支援」または「相談支援」の実務経験が問われます。直接支援の要件は、以下のとおりです。直接支援は、資格の有無によって必要な実務経験年数が異なります。
直接支援 | 要件 |
主な業務内容 | 心身に障がいがある方を対象とした、入浴・排泄・食事の介護や支援、訓練 |
主な該当事業・施設 | 障害児入所施設、助産施設、乳児院、障害児通所支援事業、病院、学校など |
実務経験の期間 | 資格取得者は5年、それ以外は8年
※資格は、社会福祉主事任用資格、社会福祉士、精神保健福祉士、介護職員初任者研修修了者、保育士および児童指導員任用資格者、精神障害者社会復帰指導員任用資格者など |
相談支援の要件は、以下のとおりです。
相談支援 | 要件 |
主な業務内容 | 自立に関する相談を受け、助言、指導した経験 |
主な該当事業・施設 | 地域生活支援事業、障害児相談支援事業、児童相談所、児童家庭支援センター、 障害児入所施設、乳児院、学校教育法第1条に規定する学校など |
実務経験の期間 | 5年以上 |
なお、自治体によって要件が異なる場合もあるため、上記はあくまで一例として詳細をよく確認しましょう。
出典
東京都「サービス管理責任者研修・児童発達支援管理責任者研修研修制度について」(2025年3月14日)
国家資格ルートの要件
東京都「サービス管理責任者研修・児童発達支援管理責任者研修研修制度について p.4」によると、国家資格ルートの要件は「国家資格業務を5年以上かつ、そのうち直接支援または相談支援業務を3年以上経験すること」。要件の対象となる国家資格は、以下のとおりです。
医師
歯科医師
薬剤師
保健師
助産師
看護師
准看護師
理学療法士
作業療法士
社会福祉士
介護福祉士
視能訓練士
義肢装具士
歯科衛生士
言語聴覚士
あん摩マッサージ指圧師
はり師
きゅう師
柔道整復師
管理栄養士
栄養士
精神保健福祉士
なお、主な該当事業・施設は前述した直接支援または相談支援と同じです。国家資格ルートも自治体によって規定が異なる場合があるため、上記はあくまで一例として詳細をよく確認しましょう。
出典
東京都「サービス管理責任者研修・児童発達支援管理責任者研修研修制度について」(2025年3月14日)
児発管になるための6つのステップ
前述した要件を満たすと、児発管になるための基礎研修へ参加できます。ここでは、児発管になるための流れを解説します。
1.基礎研修の申し込みをする
基礎研修は、勤務先を通じて、自治体から委託された社会福祉協議会や研修事業者などに申し込むことが多いです。基礎研修を受講できるのは、実務経験の要件を満たす2年前からです。一般的には勤務先の人員状況を踏まえて、人手に余裕がある時期に受講することになるでしょう。
自治体や委託先のWebサイトでは、多くの場合、研修の日程や開催場所、申し込み方法が公開されています。研修日や受け入れ人数には限りがあるため、前もって確認しておきましょう。
2.基礎研修を受講する
申し込み後の案内に従って、基礎研修を受講します。基礎研修では、以下のような講義や演習が実施されるようです。
科目 | 内容 |
児童発達支援管理責任者の基本姿勢とサービス提供のプロセスに関する講義(7.5時間) | 支援提供の基本的な考え方・支援提供のプロセス・障害児支援利用計画と個別支援計画の関係・支援提供における利用者主体のアセスメント・個別支援計画作成のポイントと作成手順 |
サービス提供プロセスの管理に関する演習(7.5時間) | 個別支援計画の作成・個別支援計画の実施状況の把握(モニタリング)及び記録方法 |
引用:こども家庭庁「サービス管理責任者研修事業の実施について p.16」
基礎研修のカリキュラムは、基本的に5日間です。そのうち3日はオンデマンド配信による講義動画の視聴、残りの2日は指定された日程・会場に受講者が集まり研修が実施されます。
なお、東京都の「サービス管理責任者研修・児童発達支援管理責任者研修 研修制度について p.5」によると、相談支援従事者初任者研修(全日程、2日課程または講義部分)を受講済みの方は、基礎研修5日間のうち1、2日目の相談支援従事者初任者研修(講義部分)が免除可能です。
出典
厚生労働省「サービス管理責任者等研修制度について」(2025年3月13日)
東京都「サービス管理責任者研修・児童発達支援管理責任者研修 研修制度について」(2025年3月18日)
3.児童発達支援の事業所や施設でOJTを行う
基礎研修を受けた後は、児童発達支援の事業所や施設で2年以上、児発管としての実務経験を積みます。現場で個別支援計画を作成したり、支援業務の経験を積み、基礎研修で学んだことを実践します。このように、現場で働きながら技術や知識を身につけることを「OJT」と呼びます。OJTは、一般的に勤務先で実施されるようです。
なお、勤務先でOJTが受けられない場合は、基礎研修の修了者や児発管候補を募集している求人を探す必要があるでしょう。
4.実践研修を受講する
OJT期間が終わると、実践研修を受講できます。基礎研修と同じく、勤務先を通じて自治体から委託された社会福祉協議会や研修事業者などに申し込みます。実践研修で学ぶ科目や内容は、以下のとおりです。
科目 | 内容 |
障害福祉の動向に関する講義(1時間) | 児童福祉施策の最新の動向 |
サービス提供に関する講義および演習(6.5時間) | モニタリングの方法・個別支援会議の運営方法 |
人材育成の手法に関する講義および演習(3.5時間) | 支援提供職員への助言・指導について・実地教育としての事例検討会の進め方 |
多職種及び地域連携に関する講義及び演習(3.5時間) | サービス担当者会議等における児童発達支援管理責任者の役割(多職種連携や地域連携の実践的事例からサービス担当者会議のポイントの整理)・(自立支援)協議会を活用した地域課題の解決に向けた取組・サービス担当者会議と(自立支援)協議会の活用についてのまとめ |
引用:こども家庭庁「サービス管理責任者研修事業の実施について p.17」
自治体によっては、一部の講義にe-ラーニングを取り入れています。たとえば、神奈川県の場合、演習日までに講義を各自e-ラーニングで受講し、演習パートを集合研修で2日間実施します。
実践研修を修了すると正式に資格取得となり、勤務先や転職先などで児発管として働くことが可能です。
出典
こども家庭庁「サービス管理責任者研修事業の実施について」(2025年3月18日)
神奈川県「令和6年度神奈川県サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者実践研修 FJ5コース開催案内・募集要領」(2025年3月18日)
5.勤務先または転職先で児発管として働く
児発管として働く際は、児童発達支援や放課後等デイサービスに通う子どもに対する適切な福祉サービスの管理や推進などの役割を担います。児発管の主な仕事内容は、以下のとおりです。
利用者の個別支援計画作成
保護者の支援
教育機関や医療機関、自治体などとの連携
指導員への技術指導
児発管は、利用者となる子どもだけでなく、保護者や関係機関と連携するスキルも求められます。
児発管の主な就業先は、児童発達支援や医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援などの施設や事業です。障がい児入所施設や居宅訪問型児童発達支援などで働く場合もあります。
6.5年度ごとに資格の更新研修を受講する
児発管の資格は、5年度ごとに研修を受けて更新します。更新の要件は、「児発管として現在働いている」または「過去5年以内に2年以上児発管として働いた経験がある」です。
たとえば、東京都の「サービス管理責任者研修・児童発達支援管理責任者研修 研修制度について p.5」によると、実践研修の修了年度を起点として、翌年度から5年度毎に1回更新研修の受講します。
なお、5年度の枠ごとに受講していれば、以下のように1回目と2回目の更新研修受講間隔が6年以上になっても構いません。
更新研修では以下のような講義・演習を受講します。
科目 | 内容 |
障害福祉の動向に関する講義(1時間) | 児童福祉施策の最新の動向 |
サービス提供の自己検証に関する演習(5時間) | 事業所としての自己検証・児童発達支援管理責任者としての自己検証・関係機関との連携 |
サービスの質の向上と人材育成のためのスーパービジョンに関する講義及び演習(7時間) | 児童発達支援管理責任者としてのスーパービジョン・支援提供職員等へのスーパービジョン・研修のまとめ |
引用:こども家庭庁「サービス管理責任者研修事業の実施について p.18」
自治体によって更新に関する規定が異なる場合もあるため、前もって確認しておきましょう。
出典
こども家庭庁「サービス管理責任者研修事業の実施について」(2025年3月18日)
保育士から転職して児発管になるには
保育士から児発管になる場合、基礎研修受講要件の対象施設となる「保育所」や「幼保連携型認定こども園」「小規模保育事業」などで、5年間実務経験を積む必要があります。
東京都「サービス管理責任者研修・児童発達支援管理責任者研修研修制度について p.5」によると、保育士資格がある方も、実務経験の要件を満たす2年前から基礎研修の受講が可能です。つまり、直接支援の実務経験を要件を満たす5年のうち、3年が経過すると基礎研修を受けられます。基礎研修受講後の流れは、前述した「児発管になるための6つのステップ」の流れと同じです。
なお、保育士資格があっても、施設や業務内容が実務経験要件の対象外となる場合は、児発管になるための要件を満たせる転職先を探す必要があるでしょう。
出典
東京都「サービス管理責任者研修・児童発達支援管理責任者研修研修制度について」(2025年3月14日)
児発管になるには何年かかる?
自治体の規定や実務経験の年数にもよりますが、指定の国家資格を保有している方は最短3年、指定の国家資格を持たない方は最短5年で児発管になれます。 ここでは、児発管になる最短期間やOJT期間の免除について解説します。
最短で児発管になる方法
実務経験の要件をOJT期間も込みで満たすように研修を受講すると、最短で児発管になれます。具体的には以下のとおりです。
相談支援・直接支援の実務経験:実践研修までに必要な期間ー2年間
基礎研修:数日程度
OJT期間:2年間
実践研修:数日程度
たとえば、国家資格を持たない方は、実践研修を受講するまでに相談支援の実務経験が5年間必要です。実務経験を3年積んだ時点で基礎研修を受講し、残り2年分の実務経験はOJT期間に積みます。すると、合計5年で児発管になれます。
一方で、実務経験5年を満たしてから基礎研修を受講すると、OJT期間が別で2年間あるので、取得まで合計で7年かかります。基礎研修の受講時期を早めるだけで、2年間も取得期間を短縮できるので、基礎研修は早めに受講しておくと良いでしょう。
ただし、勤務先の人員不足で基礎研修受講のタイミングが伸びたり、研修の日程が少なかったりして、児発管になるまでの年数が予想以上に掛かることもあるようです。自治体の規定や資格の有無によっても必要な経験年数が異なるため、あくまで一例として抑えておきましょう。
研修やOJT期間が免除・短縮されるケース
児発管になるための研修期間やOJTは、条件を満たすと短縮されます。実践の積み重ねを行いながら、段階的なスキルアップができるように研修やOJT期間の見直しが行われました。
たとえば、厚生労働省の「サービス管理責任者等研修制度について p.5」によると、すでに相談支援または直接支援に3~8年従事している方が、個別支援計画の原案作成などに従事する場合、OJT期間が「2年以上」から「6ヶ月以上」に短縮可能です。
また、条件を満たすと実践研修前にみなしで児発管として従事し、その期間がOJTに算入される例外的な措置もあります。厚生労働省の「サービス管理責任者等研修制度について p.4」によると、やむを得ない事情により勤務先で人員が欠如している場合、以下の条件を満たすと実践研修修了時まで最長2年間、児発管としてみなし従事が可能です。
児発管の欠如前から当該事業所に配置されている
相談支援または直接支援業務の実務経験要件を満たしている
児発管の欠如時、すでに基礎研修を修了している
実践研修の受講前に必要なOJTは、児発管にみなし従事した期間も算入可能です。なお、期間経過後に継続して児発管として配置するには、OJT2年間の条件を満たしたうえで実践研修を修了する必要があります。
出典
厚生労働省「サービス管理責任者等研修制度について」(2025年3月19日)
児発管になるための求人を探すポイント
児発管になるには、相談支援や直接支援の実務経験を積んでOJTが受けられる求人を探す必要があります。ここでは、児発管になるための求人を探すポイントを紹介します。
児発管候補を募集している求人を探す
児童発達支援センターや放課後等デイサービスなど児発管が必要となる施設では、児発管候補を募集していることがあります。「児発管候補」「準児発管」といったキーワードで検索すると、基礎研修受講済の方を対象とした求人が見つかるかもしれません。
求人によっては基礎研修受講前の方を採用している場合もあるため、詳細をよく確認してみましょう。
直接・相談支援の実務経験ができる求人を探す
基礎研修の要件を満たしていない方は、直接支援や相談支援の実務経験ができる求人を探しましょう。たとえば、障害児相談支援事業や児童相談所、児童家庭支援センターなどの求人です。
先を見据えて、OJTを受けられる児童発達支援施設や事業を選んだほうが、資格取得までスムーズに進むでしょう。
児発管として働きたい施設を探す
転職活動では、児発管として働きたい施設を軸に求人探しをするのがポイントです。児発管として働きたい施設で実務経験を積めば、資格取得とその後の就職がスムーズに進みやすくなります。また、勤務先でOJTを受けられたり、条件を満たせばOJT期間が短縮されたりするメリットもあります。
児発管の資格取得後にどのような施設で働きたいか、キャリアプランを立てたうえで求人を探すと良いでしょう。
保育業界専門の転職エージェントを利用する
児発管になるための求人は、保育業界専門の転職エージェントを使えば効率よく見つけることができます。保育業界専門の転職エージェントは、保育業界の求人を豊富に取り扱っているので、児発管候補を積極的に募集している事業所があれば、ピンポイントで教えてもらうことが可能です。研修や勉強に協力的な職場が見つかれば、最短で児発管を取得して活躍することもできるでしょう。
「保育士から児発管になれる?」「児発管になるための実務経験を積みたい」といった方は、保育業界専門の転職支援サービス「レバウェル保育士」へお問い合わせください。レバウェル保育士では、地域に特化したプロのアドバイザーが求人紹介や選考対策など、転職活動をトータルサポートします。
転職活動やキャリアプランなどの不安やお悩みなども、お気軽にご相談ください。
児発管(児童発達支援管理責任者)を目指す方によくある質問
ここでは、児発管を目指す方によくある質問にQ&A形式で答えます。
児発管は将来性のある職種でしょうか?
児発管は、需要が高まっており、将来性がある職種です。厚生労働省の「令和4年社会福祉施設等調査の概況 p.1」によると、児童発達支援事業や放課後等デイサービス事業などは、2021年に比べ2022年の事業所数が増加しています。
児童発達支援の需要増加により事業所数が増え、児発管の将来性も高まっているといえるでしょう。
出典
厚生労働省「令和4年社会福祉施設等調査の概況」(2025年3月5日)
児発管の平均給与を知りたいです
厚生労働省の「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果 p.25」によると、常勤の児発管の平均給与は27万8,480円。同資料によると、職場や働き方によって給与は異なり、医療型児童発達支援では約41万円、保育所等訪問支援は約30万円という結果です。
出典
厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果」(2025年3月5日)
まとめ
児発管になるには、実務経験と研修の受講、OJTが必要です。児発管の実務経験を満たす方法は、大きく分けると「支援業務ルート」「国家資格ルート」の2つあります。それぞれ決められた支援業務や国家資格業務の要件を満たす必要があり、最短で3年、長くて8年の経験が求められます。
児発管になるための研修やOJTでは、基礎知識から実践的なスキルまで身につけることになるでしょう。
自治体の規定にもよりますが、保育士から児発管になる場合、児童福祉施設・事業などで実務経験を積み、基礎研修を受けることになります。児発管になるための求人を探す際は、「児発管候補」や「準児発管」として働ける施設や事業所を検討しましょう。
資格取得後に児発管として働きたい施設の求人を探したり、保育業界専門の転職エージェントに相談したりするのもポイントです。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。