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認可外保育園(無認可保育園)とは?認可との違いや保育士の働き方を解説
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「認可外保育園(無認可保育園)とは何か」「よくわからないので知りたい」という方もいるのではないでしょうか。認可外保育園は認可保育園に比べて設置基準が緩やかなため、保育士の中では、働きやすさを気にする方もいるかもしれません。 本記事では、認可外保育園の特徴や種類、認可保育園との違いを詳しく解説。認可外保育園で働くメリット・デメリットや、求人を探すコツも紹介します。「認可外保育園への転職を考えている」という方はぜひ参考にしてください。
目次
認可外保育園(無認可保育園)とは
厚生労働省の「令和元年度認可外保育施設の現況取りまとめ」によると、認可外保育園(無認可保育園)とは、児童福祉法に基づく認可を受けていない保育施設のことを指します。施設によっては、保育の独自性を保つためにあえて認可を受けていない場合もあります。
出典
厚生労働省「令和元年度認可外保育施設の現況取りまとめ」(2025年7月4日)
児童福祉法の基準を満たしていない施設
保育施設は、児童福祉法に基づき国が定めた設置基準を満たしている認可保育園と、認定を受けていない認可外保育園の2種類があります。認可外保育園とは、認可保育所、認定こども園、地域型保育事業以外の保育施設の総称です。
認可外保育園は認定を受けてはいないものの、「認可外保育施設指導監督基準」の基準を満たす必要があるため、多くの場合は適切に運営が行われています。
出典
文部科学省「認可外保育施設指導監督基準」(2025年7月3日)
厚生労働省「認可外保育施設の運営のポイント」(2025年7月3日)
認可外保育施設の種類
認可外保育園には、下記のような種類があります。認可保育所よりも緩やかな基準に基づいて運営されている傾向にあるため、個性的かつ柔軟性が高いのが特徴です。以下は認可外保育園の一例です。
院内保育園
企業主導型保育園
居宅訪問型保育(ベビーシッター)
ベビーホテル
院内保育園
院内保育園とは、病院で働く医療従事者の子どもを預かる施設のことを指します。病院内または近隣の場所に設置され、小規模かつ少人数の施設が多いのが特徴です。勤務体制が不規則な医療従事者に対応するべく24時間体制で運営している施設が多い傾向にあります。保護者がすぐ近くにいるため連絡・連携が取りやすいといえます。また、非常時に迅速に対応できるので、働く保育士にとっても安心しやすい環境です。
企業主導型保育園
企業主導型保育園とは、企業が自社従業員の子どもを預かるために設置する施設のことです。平成28年度に創設された企業主導型保育事業により、国からの補助金で運営されているため、認可保育園とほぼ同水準の補助を受けられます。複数の企業とともに共同で設置し、利用することも可能。また、枠があれば、地域の子どもを受け入れる場合もあります。
出典
こども家庭庁「企業主導型保育事業等」(2025年7月4日)
居宅訪問型保育(ベビーシッター)
認可外の居宅訪問型保育とは、いわゆるベビーシッターのことを指します。スタッフが自宅へ訪問し、子どもを保育するサービスです。ほかの認可外保育施設と同様に文部科学省の「認可外保育施設指導監督基準」を遵守しなければなりません。ベビーシッターの仕事を行う際は、保育士や看護師の資格取得もしくは一定の研修を修了する必要があります。
出典
文部科学省「認可外保育施設指導監督基準」(2025年7月3日)
こども家庭庁「「認可外保育施設指導監督基準」に定める認可外の居宅訪問型保育事業等における保育に従事する者に関する研修について」(2025年7月3日)
ベビーホテル
厚生労働省の「用語の説明」によると、ベビーホテルとは以下のいずれかに該当する施設のことを指します。
夜8時以降の保育
宿泊を伴う保育
利用児童のうち一時預かりの児童が半数以上
一般的に0歳~6歳までの子どもを対象とし、その中でも1歳~3歳の利用が多いようです。ベビーホテルで働く保育士は状況に応じて「沐浴・入浴」「夜の寝かしつけ」などの業務も行うため、幅広い保育に携われるでしょう。
出典
厚生労働省「用語の説明」(2025年7月3日)
認可外保育園と認可保育園の違い
「児童福祉法」において、認可保育園とは、区市町村もしくは民間事業者等が都道府県知事の認可を受けて設置した施設のことを指します。下記にて、認可外保育園と認可保育園の違いを表にまとめたので、参考にしてください。
認可外保育園 | 認可保育園 | |
設置・運営基準 | 厚生労働省の「認可外保育施設に対する指導監督要綱」によって規定 | 都道府県条例・規則によって規定 |
保育対象 | 保育を希望する人の子ども(入園条件はない) | 保育の必要性があると認定された子ども |
人員基準に計算される保育従事者の資格要件 | 概ね3分の1以上が保育士または看護師資格を保有(必ずしも全員が保育士ではない) | 全員が保育士資格または看護師資格を保有(特例配置あり) |
申込先 | 施設に直接申し込んで契約 | 区市町村の窓口に申請
定員を上回った場合は、市区町村が選考して人数を調整する |
保育料 | 独自に設定可能(認可保育園よりやや高めが一般的) | 区市町村が保護者の収入に応じて決定(保育園が自由に設定することは不可) |
運営費 | 基本的に保護者からの保育料のみで運営
企業主導型保育事業と認証保育所には補助金が支給される | 国・都・区市町村の補助金と保護者からの保育料で運営 |
出典
e-Gov 法令検索「児童福祉法」(2025年7月9日)
保育の無償化における条件の違い
認可外保育園と認可保育園では、令和元年10月から開始された「幼児教育・保育の無償化」の条件にも違いがあります。
認可保育園の場合は、利用する3歳から5歳までのすべての子どもたちの利用料が無料(0歳から2歳は、住民税非課税世帯が対象)となります。
一方、認可外保育園の場合は、以下の条件をクリアしなければなりません。また、指導監督基準を満たさない施設(証明書が交付されていない施設)は対象外となります。
保育所、認定こども園等を利用できていない
市町村から保育の必要性の認定を受けている
なお、3歳から5歳までの場合は、月額3.7万円まで、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の場合は、月額4.2万円までが無償化の範囲です。
出典
こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化」(2025年7月3日)
保育士が認可外保育園で働くメリットとデメリット
保育士が認可外保育園で働く場合、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょう。認可外保育園と認可保育園のどちらに勤務するか迷っている方は、下記の内容を参考にイメージを膨らませてみてください。
認可外保育園で勤務するメリット
保育士が認可外保育園で勤務するメリットは、以下の内容が挙げられます。
小規模な園が多い傾向にあるため落ち着いて保育をしやすい
早朝預かりや延長保育などニーズに沿った保育ができる
自分の理想の保育を叶えられる職場を探しやすい
職場によっては認可保育園より高給与な場合もある
前述のとおり、認可外保育園は運営の自由度が高く、独自性を出しやすいという特徴があります。そのため、施設の特色と自分の強みがマッチする場合は、経験やスキルを活かしやすいかもしれません。保護者の多様なニーズに応えたい保育士には向いているでしょう。
認可外保育園で勤務するデメリット
保育士が認可外保育園で勤務するデメリットとしては、以下の内容が挙げられます。
敷地面積が認可保育園に比べて狭い可能性がある
職場によっては夜勤があり生活リズムが不規則になる可能性がある
日曜日や祝日も出勤になる可能性がある
認可外保育園は、認可保育園に比べて制約が少ない分、保育の質の振り幅が大きいという側面もあります。経営母体によって待遇や働きやすさも変わるため、施設ごとの特徴をよく理解した上で、自分に合った求人を選ぶことが大切です。
認可外保育園を取り巻く状況
こども家庭庁の「令和4年度 認可外保育施設の現況取りまとめ」によると、令和5年3月31日時点での届出対象施設数は1万9,955ヶ所です。
また、認可外保育園の安全性において、立入調査などを通して指導監督が行われています。認可外保育園と聞くと、質の不確実性に不安を持つ方もいるかもしれませんが、認可外と一括りにするのではなく、自分の目で現場を確認するのが重要といえるでしょう。
出典
こども家庭庁「令和4年度 認可外保育施設の現況取りまとめ」(2025年7月3日)
認可外保育園の求人を探すには
保育士が認可外保育園の求人を探す際は、以下の3つのポイントを押さえることが大切です。転職の軸を明確にして、納得のいく選択を行うようにしましょう。
自分の強みや目指す保育と照らし合わせて選ぶ
認可外保育園では、英語・スポーツ・芸術などを重視して、オリジナリティを発揮しているケースがあります。留学やスポーツ、芸術などの経験があれば、活かせる場合も。
一方、認可外保育園は認可保育園と比べて行事が少なかったり、規模が縮小されていたりすることもあります。メリットとデメリットを把握し、自分が目指す保育やキャリアプランを考慮して求人を選ぶのが大切です。
保育方針や施設環境など労働環境を十分に確認する
認可外保育園の運営方針は各施設でかなり違いがあるため、自分との相性を見極めるのが大切です。「経営状態や給与は安定しているか」「設備は整っているか」「福利厚生は充実しているか」などもしっかりと確認しましょう。自分に合った保育園を見つけるためにも、園見学に参加するのも1つの方法といえます。
自分の生活スタイルに合った働き方を考える
前述のとおり、認可外保育園は生活リズムが不規則になる場合があるため、どのような暮らしを送りたいかを明確にしておくのが大切です。職場によっては、土日休みや連休が取りにくい可能性もあるため、家庭の状況やプライベートを考慮して選んでください。
認可外保育園に関してよくある質問
ここでは、認可外保育園に関してよくある質問を紹介します。
認可外保育園の求人の空き状況はどこで見られますか?
気になる認可外保育園がある場合、該当施設の公式ホームページをチェックしてみると良いでしょう。また、さまざまな求人情報から自分に合う職場を見つけたい場合は、転職エージェントに相談するのがおすすめです。1人で求人内容を比較検討するのは労力を要するため、第三者の力を借りると効率的に進められるでしょう。
認可外保育園への転職で失敗しないか怖いです
保育士の転職でミスマッチを防ぐには、実際に見学するのも1つの方法です。とくに認可外保育園は運営の自由度が高く、独自性を出しやすいという特徴があるため、園の様子や雰囲気を積極的に確認しましょう。求人が出ていなくても見学するのは可能な場合もあるため、問い合わせてみるのもおすすめです。
認可外保育園とはわかりやすくいうとどのような施設ですか?
簡潔にいうと、認可外保育園とは「児童福祉法に基づく認可を受けていない施設」のことを指します。保育施設には大きく分けると、認可保育所と認可外保育施設の2種類があります。認可保育所、認定こども園、地域型保育事業以外の保育施設を総称で認可外保育園(認可外保育施設)といいます。
まとめ
認可外保育園とは、児童福祉法に基づく認可を受けていない保育施設のことを指します。保育の柔軟性が高いのが特徴で、「院内保育園」「企業主導型保育園」「居宅訪問型保育(ベビーシッター)」「ベビーホテル」などが該当します。認可保育園とはさまざまな違いがあるため、設置・運営基準や事業の目的などの各ポイントをしっかりと押さえましょう。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
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