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療育保育士を辞めたい…退職を悩むときの対処法や経験が活かせる転職先
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療育保育士として働くなかで、「辞めたい…」と感じている方もいるのではないでしょうか。発達に特性のある子どもへの支援や、保護者対応のプレッシャー、専門的な知識が求められる環境などに、悩みや疲れを抱える方は少なくありません。この記事では、療育保育士が辞めたいと感じる主な理由や、つらいときの対処法、今後のキャリアを考えるヒントを紹介します。自分らしい働き方を見つけるための参考にしてみてください。
目次
療育保育士が辞めたいと考える主な理由
療育施設で働く保育士は、発達に特性のある子どもたち一人ひとりに寄り添い、支援を行います。しかし、心身ともに負担を感じて「辞めたい」と思う瞬間も少なくありません。ここでは、療育保育士が退職を考える主な理由について詳しく見ていきましょう
施設の支援方針と保育観が合わない
療育の現場では、施設ごとに支援方針や考え方が異なるため、施設の方針が合わず仕事を辞めたくなる療育保育士も少なくありません。自分の保育観や子どもへの関わり方が、施設の方針と違うと感じるとストレスがたまりやすい傾向にあります。
また、発達支援の進め方についても意見が分かれることがあります。子どもの主体性を大切にしたいと考えても、施設側が結果重視の方針を取っていると、日々の業務で違和感を覚えるでしょう。このような価値観の相違が長く続くと、「ここで働き続けるべきか」と悩む原因になります。
給与や待遇に不満を抱く
給料や待遇に不満を感じて、辞めたいと感じる療育保育士もいます。療育保育士の仕事は専門性が高く責任も重いにもかかわらず、給与面では一般の保育士と同等か、わずかに高い程度が一般的です。専門知識や技術を磨くための研修や勉強に時間を使っても、それが待遇に反映されないと感じる場合が少なくありません。
また、療育施設では人手不足で保育士1人の業務負担が大きかったり、、残業が常態化したりすることもあります。このような労働環境と給与のバランスに疑問を感じ、「もっと待遇の良い職場があるのでは」と悩む方も多いでしょう。
子どもの対応がストレスになる
子どもの対応や関わり方に難しさを感じ、悩む方も少なくありません。発達に特性のある子どもたちとの関わりは、想定外の行動や対応の難しさから精神的な負担が大きくなることがあります。パニックや問題行動への対処、コミュニケーションの難しさに日々向き合う中で、自分の対応が適切なのか不安になりやすい傾向も。
また、経験が浅い保育士は子どもの行動の裏にある意図や感情を読み取ることが難しく、支援がうまくいかないと自分を責めてしまうこともあるでしょう。成長の過程がゆっくりな場合も多いため、支援の成果を感じにくいこともストレスの原因となります。
保護者対応にプレッシャーを感じる
保護者対応にプレッシャーや難しさを感じ、辞めたいと考えることもあるでしょう。療育の現場では、子どもだけでなく保護者への支援も重要な役割です。しかし、子どもの発達に不安を抱える保護者の気持ちに寄り添いながら、適切な助言や支援を行うのは簡単ではありません。保護者からの期待や要求が高く、求められることに「応えなければならない」というプレッシャーを感じやすいといえます。
また、子どもの状態や発達の見通しについて伝える際には、専門的な知識と繊細なコミュニケーション能力が求められます。保護者との信頼関係を築くのが難しいと感じたり、ときには厳しい意見を受けたりすることで、精神的に疲れて悩んでしまう保育士も少なくないでしょう。
事故やケガの防止に精神的な負担がかかる
療育の現場では、発達の特性から予測困難な行動をとる子どもたちを見守る必要があります。突然走り出す、高いところに登る、物を投げるといった行動に常に注意を払い、事故やケガを未然に防がなければいけません。
このような緊張感の中で働き続けることは、心身への負担が大きいものです。「目を離した隙に何か起きたらどうしよう」という不安が常につきまとい、休憩時間でもリラックスできないこともあるでしょう。特に人手不足の環境では、この負担がさらに重くなりがちです。
療育の専門知識がない状態での支援に不安を感じる
保育士資格を持っていても、発達障がいや療育に関する専門教育を十分に受けずに現場に入るケースもあるかもしれません。そのため、「自分の知識や経験が足りない」と不甲斐ない思いを抱きながら子どもたちと向き合う方もいるでしょう。
専門的な知識が不足していると、子どもの行動の意味を理解できなかったり、適切な支援方法が分からなかったりして、自信を失いやすくなります。研修の機会が少ない施設では、学びながら実践するというプレッシャーの中で、「このままでいいのだろうか」という不安が募ることもあるでしょう。
キャリアアップの難しさに悩む
療育保育士としてのキャリアパスが見えにくいことも、悩みの1つです。専門性を高めても評価されにくかったり、昇進の機会が限られていたりすると、将来への不安を感じやすい傾向があります。
また、療育の仕事を続けていく中で、必要な知識をどう身につけたらよいのか分からず、不安を感じる方も少なくないでしょう。「このまま続けても成長できるのか」「将来的にどんなキャリアを築けるのか」という疑問に答えが見つからないと、転職を考えるきっかけになることもあります。
療育保育士を辞めるか悩んだときのチェックポイント
療育保育士として働くなかで、「このまま続けていいのか」「辞めるべきか」と悩んでしまうときは、一度立ち止まって自分の状況や思いを整理してみることが大切です。ここでは、辞めるか続けるか判断する際にチェックしておきたいポイントを紹介します。
辞めたい気持ちが一時的か見きわめる
辞めたいと思う気持ちが、一時的な疲れやストレスからくるものなのか、根本的な問題からくるものなのかを見きわめることが大切です。たとえば、忙しい時期や特定の出来事をきっかけに強く感じる場合は、休息をとることで解決する場合もあります。
自分の気持ちを整理するには、「いつから」「どんな場面で」辞めたいと思うようになったのかを振り返ってみましょう。日記をつけたり信頼できる人に話したりすることで、感情の波に流されず、冷静な判断ができるようになります。時間をかけて考えても辞めたい気持ちが変わらないなら、退職を考えても良い状況なのかもしれません。
職場環境を改善できるか考える
辞める前に、現在の職場環境を改善できる可能性を探ることも選択肢の1つです。上司や同僚に悩みを相談し、業務の調整や役割分担の見直しを提案してみましょう。職場によっては、あなたの声をきっかけに改善が進むこともあるかもしれません。
また、自分自身の行動や考え方で変えられることもあります。たとえば、業務の優先順位をつけ直したり、効率的な記録方法を工夫したりすることで、負担を減らせる場合もあるでしょう。ときには「完璧を求めすぎない」という意識も大切です。環境を変えようと努力しても状況が改善しないと感じたときは、転職も視野に入れて今後の働き方を見直すタイミングかもしれません。
今の施設で身につく知識やスキルを整理する
現在の職場で得られる知識やスキルを客観的に評価してみましょう。つらい面だけでなく、この環境でしか学べないことや経験できないことはないかを考えてみることが大切です。特に療育の現場では、発達支援の専門知識や個別支援計画の立て方など、将来どの分野に進んでも役立つスキルを身につけられます。
また、あと何年この施設にいれば、どんな力が身につくかを想像してみるのも良いでしょう。今は大変でも、「この経験が将来に活きる」と思える職場であれば、もう少し続けてみるのも1つの選択です。けれど、いくら頑張っても成長できる実感が持てないと感じるなら、転職を考えてみるのもいいかもしれません。
辞めたあとに実現したい未来を思い描く
「辞めたら何がしたいのか」というキャリアプランを具体的にイメージしてみることは、今後どう進むかを考えるうえでのヒントになります。たとえば、別の療育施設に移りたいのか、一般的な保育園に戻りたいのか、それとも保育の仕事から離れたいのか。自分に合った働き方や生活を想像してみると、気持ちが整理しやすくなります。理想の働き方や生活スタイルも含めて想像してみるとよいでしょう。
また、転職によって何を改善したいのかも重要です。辞めたい理由が「給与や待遇」「人間関係」「仕事内容」など、どこにあるのかを明確にしましょう。なんとなく「辞めたい」と思うだけで動くと、また同じ悩みにぶつかるかもしれません。次にどんな働き方をしたいのか、自分が何を大切にしたいのかを整理しておけば、後悔のない選択につながるはずです。
療育の仕事のやりがいに未練があるか振り返る
療育の仕事は確かに大変なことも多いですが、そのぶん得られるやりがいも大きいものです。たとえば、子どもの小さな成長を間近で感じられたときや、保護者の方から感謝の言葉をもらったとき、チームで立てた支援計画がうまくいったときなど、心に残る瞬間がいくつかあるのではないでしょうか。もし、そうした経験にまだ気持ちが向くなら、働く環境を変えることで、もう一度前向きに続けられる可能性もあります。
一方で、やりがいよりも辛さのほうが大きいと感じるなら、新しい道を考えるタイミングかもしれません。「自分にとって何が大切か」「どんな働き方が合っているか」を改めて見つめ直すことで、これからの選択がしやすくなるでしょう。
療育保育士を辞めずに続けるメリット
療育保育士の仕事に悩みながらも、続けることで得られるメリットもたくさんあります。ここでは、辞めるか迷っているときにこそ見直したい、続けるメリットについて解説します。
子どもの成長を深く支えられる
一人ひとりの変化に寄り添えるやりがいは、療育保育士ならではの魅力です。一般の保育よりも個別に子どもと向き合い、その子に合った支援を考えながら実践していくため、「初めて言葉を発した」「苦手だった活動に挑戦できた」といった成長の瞬間に立ち会える機会が多くあります。こうした達成感は、ほかの仕事ではなかなか味わえない貴重な経験といえるでしょう。
子どもの発達に悩む保護者の力になれる
子どもだけでなく、保護者の力になれることもやりがいの1つです。療育保育士は、発達に不安を抱える保護者の良き相談相手にもなれます。保護者に寄り添い、不安を受け止め、必要な情報や関わり方を伝えることで、子育てへの前向きな気持ちを引き出すサポートができるでしょう。「先生に話せて安心した」「家でもうまく関われるようになった」といった言葉は、療育保育士としての存在意義を感じられる瞬間です。また、保護者と一緒に子どもの成長を喜び合える関係性を築けることも、この仕事を続ける大きな力になるでしょう。
発達障がいがある子どもの対応力が高まる
療育の現場で働き続けることで、発達障がいに関する理解が深まり、実践的な支援スキルが身につきます。トラブル時の対応や環境調整の方法、子どもの行動の背景を読み取る力は、ほかの保育・教育分野でも高く評価されるスキルです。
また、療育の視点は特性のある子だけではなく幅広い支援にも役立つため、将来どのような道に進んでも強みになるでしょう。日々の課題に向き合いながら少しずつ自分の専門性を高められることが、療育保育士としての成長を実感できるポイントです。
療育経験がキャリアアップにつながる
療育分野での経験は、保育士としてのキャリアアップにもつながります。専門性の高い分野での実績は評価されやすく、将来的に児童発達支援管理責任者や施設長といった役職に就くチャンスにもつながるでしょう。また、発達支援に関する資格取得によってさらにステップアップする道もあります。子どもの発達に関する専門知識は社会的にも求められており、長期的なキャリアビジョンを描く上で有利になるでしょう。
出典
厚生労働省「職業情報提供サイト 児童発達支援管理責任者」(2025年6月30日)
療育保育士が辞めたいときの選択肢
「もう辞めたい」と感じたとき、すぐに退職を決断する前に、ほかの選択肢を知っておくことはとても大切です。ここでは、療育保育士としてのキャリアを無理なく続けるための選択肢を紹介します。
パートや派遣など働き方を変える
フルタイムの負担が大きいと感じるなら、同じ施設でパートタイムに変更したり、派遣社員として働く選択肢もあります。時間や日数を減らすことで、心身の負担を軽減しながら療育の仕事を続けられることもあるでしょう。
また、短時間勤務や隔日勤務など、自分のライフスタイルに合った働き方を相談してみるのもおすすめです。勤務形態の変更で、仕事とプライベートのバランスを取り直せれば、辞めずに済むこともあるでしょう。
一時的に休職して心を整える
心身の疲労が限界に達しているなら、休職という選択肢も検討しても良いかもしれません。一定期間仕事から距離を置き、心身を回復させる時間を確保することが大切です。有給休暇の取得や、場合によっては傷病休暇の制度を利用して、自分を見つめ直す時間を作りましょう。休養することで新たな視点が生まれ、続けるか辞めるかの判断も冷静にできるようになる場合があります。
転職して新しい環境に進む
今の職場が自分に合っていないと感じるなら、別の療育施設や保育に関わる職場に目を向けてみるのもひとつの選択です。支援の方針や職場の雰囲気は施設によってさまざまなので、自分の価値観や働き方に合う環境を探してみるのもよいでしょう。
転職を考え始めるときは、まず「今の職場でどんなことに困っているのか」「次の職場ではどんな働き方をしたいのか」を整理しておくのがおすすめです。療育の経験はほかの現場でも幅広く活かせるので、視野を広げて自分に合った道を見つけていきましょう。
療育保育士におすすめの転職先一覧
ここでは、「今の職場を辞めたい」とお考えの療育保育士の方におすすめの転職先を紹介します。自分に合った働き方を見つけるヒントとして、ぜひ参考にしてください。
保育園
一般の保育園でも、発達に特性のある子どもが増えており、療育現場で培った「個別対応の力」や「保護者との関わり方」は即戦力として活かせます。早期支援や保護者との関わりにおいて、療育経験のある保育士の視点はとても貴重です。
また、保育園では療育より専門的な対応を求められる機会は少なく、プレッシャーが軽減され、やりがいはそのままに働くことができます。子どもたちと日常を楽しみながら、無理なく保育の仕事を続けていきたい方におすすめです。
病後児保育
病後児保育は、病気やケガの回復期にある子どもを一時的に預かる施設です。少人数保育が基本で、子どもの体調や気分に応じた細やかなケアが必要な病後児保育では、療育で身につけた「観察力」や「丁寧な声かけ」が役立つでしょう。
勤務時間が比較的安定していたり、身体的な負担が少なめだったりする場合もあり、働きやすさの面でも魅力です。医療機関に併設されている施設では、看護師など他職種との連携を学べるメリットもあります。
学童保育
学童保育(放課後児童クラブ)は、小学生を対象とした放課後の居場所です。発達に特性のある子も在籍しているので、療育で得た「発達理解」や「個別支援の視点」が活きる場面がたくさんあります。また、小学生との関わりは、言葉のやり取りが中心になるため、年齢が上がることでコミュニケーションの取り方も変わり、新たなやりがいを見つけられるかもしれません。
学童保育は保育園や療育施設と比べて勤務時間が短く、午後からの勤務がメインとなることも多いため、ワークライフバランスを取りやすい環境といえます。自分の時間を確保しながら子どもと関わる仕事を続けたい方におすすめです。
ベビーシッター
マンツーマンまたは少人数の保育が基本となるため、療育経験をそのまま活かして、一人ひとりにじっくり向き合えます。特に発達サポートに特化したベビーシッターとして、療育の経験や知識を直接活かすことも可能です。保護者との密なコミュニケーションを取りながら、子どもの成長を支える喜びを感じられるでしょう。
また、時間や日数を自分でコントロールしやすく、ライフスタイルに合わせた働き方ができるのも魅力です。特に療育での経験を持つシッターは需要が高まっているので、キャリアを活かした新たな選択肢となります。
児童養護施設
発達障がいのある子どもが一定数いるため、療育で培った支援スキルや接し方が役立ちます。児童養護施設は、さまざまな事情によって家庭で暮らせない子どもたちの生活をサポートする場所です。子どもたちの生活全般に関わり、長期的な成長を見守れることがやりがいの1つです。
また、療育とは異なる子どもたちとの関わり方や支援スキルを学べる環境でもあります。子どもの生活や心に寄り添うことに関心がある方には、新たな成長の場となるでしょう。これまでの経験を活かしつつ、新たな支援方法や視点を身につけたい療育保育士におすすめです。
療育保育士を辞めたい人によくある質問
ここでは、療育保育士を辞めたいと感じる人が抱えるお悩みを、Q&A形式でお答えします。ぜひ参考にしてみてください。
療育保育士を辞めたいときどう伝えればいいですか?
まずは直属の上司に個別面談の機会を設けてもらい、落ち着いた環境で話しましょう。「○月末で退職したいと考えています」と時期を明確に伝えるとスムーズです。感情的な表現は避け、「一身上の都合」や「ライフステージの変化」など客観的な理由を簡潔に伝えましょう。また、「引き継ぎは責任を持って対応します」と誠意ある姿勢を見せることで、職場との良好な関係を保ったまま退職しやすくなります。
療育保育士の仕事にはどんな楽しさがありますか?
子ども一人ひとりの小さな成長に気づき、共に喜べることがやりがいの1つです。たとえば「初めて笑顔を見せてくれた」「以前より会話が増えた」といった変化は、達成感につながるでしょう。また、他職種と協力しながら支援を進める経験は、専門性の高いスキルや視野の広がりにもつながります。保護者からの信頼や感謝の言葉も、大きなモチベーションになるでしょう。
まとめ
療育保育士が辞めたいと感じるのは、施設と自分の保育観の違いや給与、労働環境、対応の難しさなど、さまざまな理由が挙げられます。しかし、辞める決断をする前に自分の気持ちを整理し、職場環境の改善の可能性を探ることが大切です。続けることで成長できる面も多くあるでしょう。
もし環境を変えたい場合は、同じ施設でパートタイムに変更したり、別の療育施設への転職を検討したりする選択肢もあります。大切なのは、自分が何を大切にしたいのか、どんな働き方が合っているのかをじっくり見つめ直すことです。
療育の現場で働く中で「このまま続けていけるだろうか」と悩んでいる方は、ぜひ「レバウェル保育士」にご相談ください。「レバウェル保育士」では、療育保育士特有の悩みに精通したアドバイザーが親身になって相談に乗ります。また、キャリアアドバイザーが職場の雰囲気や園の方針といった情報をお伝えするため、納得のいく転職先を見つけられます。すべてのサービスは無料で利用できるので、「転職するかまだ迷っている…」という方も、一人で抱え込まずに、まずは気軽に相談してみてください。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。