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加配保育士とは?役割や配置基準・仕事内容・向いている人などを解説!
- #保育士

「加配保育士の具体的な仕事内容は?」「配置基準はどのくらい?」と気になる方もいるのではないでしょうか。加配保育士とは、保育園などで障がいや発達上の特性がある子どもを支援する役割のことです。この記事では、加配保育士の役割や働くやりがい、大変な点を解説します。必要な知識や向いている人の特徴も紹介するので、「自分に務まるか不安」「良い環境で働きたい」と考えている方は、ぜひチェックしてみてください。
この記事のまとめ
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加配保育士とは、集団生活で特別な配慮が必要な子を支援する役割のこと
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加配の有無は診断書や手帳の所持などから自治体が総合的に判断する
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配置基準に明確な定めはなく、子ども1~3名に保育士1名の配置が一般的
目次
加配保育士とは?
加配保育士とは、保育園や認定こども園などの集団生活の中で、障がいや発達上の特性など、特別な配慮を必要とする子どもに配置される保育士を指します。加配という言葉通り、法律で定められた通常の配置基準にプラスして、追加で配置されるのが特徴です。
加配保育士が求められる背景には、支援を必要とする子どもの増加やインクルーシブ保育の推進があります。こども家庭庁の「保育所等における障害のあるこどもの受入れについて」によると、保育所等での障がいのある子どもの受入れ数は、2024年時点で約9万人に達しています。一人ひとりの個性に寄り添い、集団生活を支える加配保育士は、現代の保育現場に欠かせない存在といえるでしょう。
出典
こども家庭庁「保育」(2026年3月16日)
加配保育士の主な仕事内容・役割
加配保育士の役割は、特別な配慮を必要とする子どもがクラスの一員として安心して過ごせるよう、環境を整え支援することです。ここでは、加配保育士の具体的な仕事内容について見ていきましょう。
子どもの支援やケア
加配保育士の役割は、対象となる子どもの一番近くに寄り添い、集団に馴染めるようきめ細やかなサポートを行うことです。着替えや食事といった日常生活の介助はもちろん、周囲の子どもたちと一緒に活動を楽しめるよう、ときには見守りつつ集団生活の橋渡し役を担います。
具体的な支援の内容は子どもの特性によって異なりますが、共通するのは安心できる環境づくりです。たとえば、活動の切り替えが苦手な子に事前に声かけをしたり、大きな音が苦手な子のために静かに落ち着けるスペースを確保したりといった配慮が考えられます。
個別指導計画の作成や実施
特別な配慮を必要とする子どもに適切な支援を届けるためには、現状の課題や目標を明確にする必要があります。その指針となるのが「個別指導計画」です。加配保育士は担任と協力しながら、専門的な視点で個別指導計画の作成に携わります。
一番近くで子どもを見守る加配保育士の気付きや記録は、その子に合う支援を考えるためのベースとなります。作成した計画を園全体で共有すれば、どの職員も同じ方針で関われるようになり、一貫性のあるサポートが可能になるでしょう。子どもの成長に合わせて内容を定期的に見直し、より良い支援へと繋げていくことも、加配保育士の大切な役割です。
担任保育士や保護者との情報共有
担任保育士や保護者とこまめに情報を共有し、周囲と協力して保育を進めることも加配保育士の重要な仕事です。担任とは日々の子どもの様子や支援方法について対話を重ね、全体の活動とのバランスを調整しながら、ともにクラス運営を支えます。
また、保護者とは連絡帳や送迎時の会話、面談などを通じて、園での生活や家庭での過ごし方を丁寧に伝え合います。家での様子や保護者の想いを知ることは、より良い支援を考えるためのヒントになるでしょう。たとえば、身につけるものにこだわりがある子どもの場合は、行事の衣装について素材や形を事前にすり合わせておくことで、本人が心地良く参加できる代替案を見つけられるかもしれません。
関係機関や療育施設との連携
加配保育士は、子どもが通う療育施設や医療機関といった外部の専門施設と連携する役割も担っています。専門家からの助言を日々の保育に取り入れたり、園での様子を共有したりすることで、より客観的で適切な支援へと繋げるためです。
また、保護者の希望によって「保育所等訪問支援」が実施されることもあります。保育所等訪問支援とは、専門の支援員が実際に園を訪れ、集団生活に馴染むためのアドバイスを行う制度です。外部の担当者と積極的にコミュニケーションを取り、自身の関わり方や保育環境を見直して支援力を磨いていくことも、加配保育士の役目といえます。
出典
こども家庭庁「各種ガイドライン・手引き等について」(2026年3月16日)
加配保育士のやりがい
加配保育士の仕事には、対象となる子どもとじっくり向き合うからこそ味わえる喜びが数多くあります。ここでは、加配保育士ならではのやりがいを紹介します。
成長する様子を近くで見守れる
加配保育士のやりがいは、担当する子どもの小さな成長や変化を感じ取り、その瞬間をすぐそばで見守れることです。個別に関わる時間が多い加配保育士だからこそ、集団保育では見逃されがちな変化にも目を向けられます。たとえば、活動の切り替えが苦手だった子どもが少しずつ次の行動に移れるようになったり、午睡の時間に落ち着いて布団に入れるようになったりといった様子が見られることもあるでしょう。
子どもと深い信頼関係を築ける
加配保育士のやりがいの1つは、担当する子どもとじっくり関わりながら、深い信頼関係を築けることです。最初は警戒心が強く出ていたり、試し行動が多かったりするケースもあるでしょう。しかし、その子の特性やペースに合わせて丁寧に関わり続けることで、少しずつ心を開いてくれる可能性もあります。試行錯誤しながら関わった結果、「〇〇先生、大好き!」と言ってもらえたときの嬉しさは、かけがえのない経験となるでしょう。
発達支援や障害特性に関する知識が得られる
加配保育士として勤務すると、障害についての専門的な知識やスキルを実践を通じて身につけられます。前述のとおり、療育の専門家から直接アドバイスを受けられる場合もあるため、保育士としての視野を広げられるでしょう。
一人ひとりに合わせた関わりは、障害の有無に関係なく、すべての子どもにとって大切です。加配保育士として培った経験は、ほかの子どもたちへの理解や支援に活かせるだけでなく、保育士としての市場価値が高まり、活躍の場も広がるでしょう。
加配保育士の大変なこと
加配保育士の仕事には、やりがいがある一方で、特有の難しさや課題もあります。ここでは、加配保育士として働く中で直面しやすい悩みや大変なことを整理しました。
自分の対応が適切かどうか悩みやすい
加配保育士として働き始めたばかりの頃は、知識や経験の浅さから、対応に自信が持てず悩むことがあります。特に初めて加配を担当する場合は、子どもとの打ち解け方に迷うことも少なくありません。経験を重ねる中で、少しずつ関わり方を工夫できるようになっていきますが、最初は戸惑いや不安を感じやすいものです。
たとえば、「じっとしていられない」「噛む・叩くなどの他害行為がある」「パニックや癇癪を起こす」といった姿が見られる場合、子どもが何に困っているのか、その背景を考えながら日々手探りで向き合うことも考えられます。
常に目が離せず疲労が蓄積しやすい
加配保育士は、支援が必要な子どもの安全を第一に守る重要な役割を担っています。そのため、保育時間中は常に高い集中力を維持しなければならず、「片ときも目が離せない」「疲れが溜まりやすい」と感じる人も少なくありません。
支援が必要な子どもの中には、感情のコントロールが難しくほかの園児に手を出してしまったり、教室から突然飛び出したりといった突発的な行動が見られることもあります。一瞬の油断が大きな事故に繋がる可能性があるため、常に注意を払い続ける必要があるでしょう。子どもの年齢が上がり力が強くなってくると、とっさの動きに対応したり駆け寄ったりするのにも、いっそうの体力が求められます。
職場で孤独感を抱く可能性がある
加配保育士は、担任保育士とは異なる立ち位置で保育に関わるため、職場環境によっては孤独感を抱くことがあります。園内に同じ役割の職員がいなかったり、経験が浅い段階で加配を任されたりすると、どう動けば良いか分からず、一人で悩みを抱え込んでしまうケースもあるでしょう。
本来、配慮が必要な子どもへの対応は、園全体で共有し協力し合うべきものです。しかし、現場の連携が不足していると、支援方針がバラバラになったり、対応をその場任せにされているような不安を抱いたりする可能性も。こうした状況は、保育士の負担を増やすだけでなく、子ども自身の混乱を招く原因にもなります。
加配保育士が関わる子ども
加配保育士が主に関わるのは、集団生活の中で特別な配慮や支援を必要とする子どもです。こども家庭庁「令和6年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業 障害児保育の財政支援におよび受入れ方策等に関する調査研究報告書(p46)」によると、保育施設での障害種別の受入れ状況は、発達障がいや知的障がいの子どもの割合が高くなっています(加配の対象となるかどうかは、障害の程度や支援の必要性によって異なります)。
| 障害の種別 | 割合 |
| 視覚障害 | 2.8% |
| 聴覚障害 | 7.8% |
| 言語障害 | 8.7% |
| 肢体不自由 | 11.9% |
| 知的障害 | 35.7% |
| 病弱・虚弱 | 3.5% |
| 発達障害 | 65.9% |
| 医療的ケア児 | 6.6% |
| 「気になる子」 | 75.7% |
| その他 | 9.9% |
発達障害とは、脳機能の発達に関係する特性で、自閉症スペクトラム障害(ASD)や学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などが含まれます。気になる子とは、グレーゾーンと呼ばれる、診断基準には至らないものの発達に気になる特徴がある子どものことです。
加配保育士が実際に配置されるための判断基準は自治体ごとに異なりますが、一般的には「特別児童扶養手当の支給対象となっている」「身体障がい者手帳や療育手帳の交付を受けている」「医師による診断書や意見書等がある」などが挙げられます。
出典
こども家庭庁「令和6年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業 実施事業一覧(二次公募)」(2026年3月16日)
政府広報オンライン「発達障害って、なんだろう?」(2026年3月16日)
加配保育士の配置基準
加配保育士の配置には全国一律の明確な基準はなく、具体的な運用は各市区町村が独自に判断しています。こども家庭庁の指針では、おおむね「障がいのある子ども2名に対し、保育士1名」の配置を標準としていますが、多くの自治体では、一人ひとりの子どもの特性や支援の必要度に応じて柔軟に加配人数を決めているようです。
こども家庭庁の「令和6年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業 障害児保育の財政支援におよび受入れ方策等に関する調査研究報告書(p29)」によると、障害種別ごとの保育士1人あたりの平均児童数は以下のとおりとなっています。
| 障害の種別 | 平均人数 |
| 視覚障害 | 3.0人 |
| 聴覚障害 | 3.0人 |
| 言語障害 | 3.0人 |
| 肢体不自由 | 2.7人 |
| 知的障害 | 3.0人 |
| 病弱・虚弱 | 2.3人 |
| 発達障害 | 2.9人 |
| 精神障害(発達障害以外) | 3.0人 |
| 医療的ケア児 | 1.7人 |
| 「気になる子」 | 3.0人 |
| その他 | 2.4人 |
調査結果を見ると、多くの障害種別では「子ども約3名につき保育士1名」の配置が平均的なことが分かります。一方で、日常的な医療的ケアを必要とする「医療的ケア児」の場合は、平均1.7名につき保育士1名という手厚い体制が取られています。
出典
こども家庭庁「令和6年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業 実施事業一覧(二次公募)」(2026年3月16日)
加配保育士に求められる知識やスキル
加配保育士には、保育の基本スキルに加え、発達特性や障害に関する専門知識が求められます。同じ診断名であっても、必要な支援は子どもによって異なります。正しい知識があれば、行動の背景を理解し、より適切なサポートに繋げられるでしょう。また、保護者の中には、子どもの将来に不安や葛藤を抱える方も少なくありません。カウンセリングの手法や傾聴の知識を持っていると、家族支援でも大きな力となります。
こうしたスキルは実務を通して磨かれますが、並行して自主的に学びを深めることも大切です。専門書の活用や外部研修への参加は、自身のスキルアップに繋がります。保育士等キャリアアップ研修では、障がい児保育の分野を体系的に学べるので、視野に入れるのも1つの手といえるでしょう。
出典
こども家庭庁「保育」(2026年3月16日)
加配保育士に向いている人の特徴
療育や発達支援に関心があり、意欲的に学び続けられる人は、加配保育士に向いている可能性があります。専門知識を深めようとする探究心があれば、子どもの行動をより深く理解できるのはもちろん、日々の保育に対するモチベーションも維持しやすいでしょう。
また、子どもの可能性を信じ、成長を焦らずに見守れる忍耐強さも欠かせない要素です。たとえ発達の歩みが緩やかであっても、日々の小さな変化を自分のことのように喜べる温かな視点は、支援の現場での強みとなります。加配保育士の仕事は、チームでの関わりが基本です。担任や外部の専門機関と情報を共有し、足並みを揃えて支援に取り組める協調性がある人は、周囲からの信頼も厚くなるでしょう。
加配保育士の給料や待遇
加配保育士の給料は施設によって差がありますが、基本的に一般の保育士と大きな違いはありません。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号1」によると、保育士全体のきまって支給する現金給与額は27万7,200円、年間賞与その他特別給与額は74万1,700円です。年収換算すると約407万円となります。加配保育士の給与水準を考えるうえでも1つの目安になるでしょう。
また、加配保育士は、パートや派遣といった非正規雇用の求人も多く見られます。加配対象となる子どもの人数や状況が年度ごとに変動するため、柔軟に対応できる雇用形態が選ばれやすくなっているようです。パート勤務の時給も、一般的な保育士と同程度とされており、待遇面に大きな差はありません。
出典
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(2026年3月16日)
加配保育士になるには?資格は必要?
加配保育士になるには、基本的に保育士資格があればOKです。特別な資格や試験が必須とされているわけではなく、未経験から挑戦できる場合もあります。障がい児保育の経験がなくても、入職後に実務を通して知識やスキルを身につけることが可能です。
また、加配保育士は専用の求人に応募して採用されるだけでなく、すでに勤務している保育士の中から決まることもあります。日頃から園長や上司に「加配保育士になりたい」「療育や発達支援に興味がある」といった希望を伝えておけば、状況に応じて声がかかる可能性もあるでしょう。
加配保育士の求人を探す方法
加配保育士の求人を探すには、保育士求人サイトを活用する方法があります。「加配保育士」「加配担当」といったキーワードで検索すると、該当する求人を見つけやすくなるでしょう。加配保育士の求人は数が限られる場合もあるため、最初から条件を絞り込み過ぎず、幅広く情報収集を行いましょう。
また、保育士専門の転職エージェントの利用も有効です。キャリアアドバイザーに希望条件を伝えることで、自分に合った求人を紹介してもらえる可能性があります。一般には公開されていない非公開求人を扱っている場合もあり、選択肢を広げたい方にもおすすめです。
加配保育士に関するよくある質問
ここでは、加配保育士に関するよくある質問を紹介します。
加配保育士が辛いと感じるのはどのようなときですか?
加配保育士は、子どもへの対応に悩んだときに辛さを感じやすい傾向があります。加配対象の子どもは一人ひとり特性が異なるため、「この対応で良いのか」と悩む場面も少なくありません。また、事故やケガを防がなければならないという責任からプレッシャーを感じ、疲労やストレスに繋がることもあります。詳しくは、この記事内の「加配保育士の大変なこと」で解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
加配保育士をつけるにはどのような条件がありますか?
加配保育士を配置する条件は自治体によって異なりますが、一般的に「医師による診断書や意見書の提出がある」「障がい者手帳等を所持している」などが挙げられます。基本的には、保護者が自治体に加配の申請を行い、審査を経て必要性が認められると園への配置が決定・要請されます。ただし、自治体によっては、園での様子をもとに検討会などを行い、市区町村の判断で職員の加配が行われるケースもあるようです。地域によって認定基準が異なるので、詳細はお住まいの市区町村へ直接確認することをおすすめします。
加配保育士を配置すると保育園に補助金が出ますか?
加配保育士を配置すると、自治体から保育園に対して補助金が支給される場合があります。福岡県の「障がい児保育等受入体制標準モデル2025年版(p39)」によると、福岡市では、福岡市特別支援保育事業補助金という制度が設けられており、保育士1人当たりの補助単価の目安は、月額27万3,000円となっています(1対1の支援が必要な場合)。加配保育士に関する補助金の額や支給条件は地域差があるため、1つの参考としてご覧ください。
出典
福岡県「障がい児保育について」(2026年3月16日)
まとめ
加配保育士は、特別な配慮を必要とする子どもに寄り添い、成長を間近で支える専門性の高い役割です。日々の保育には発達特性への深い理解や柔軟な対応力が求められます。対象の子どもとの間に結ばれる強い信頼関係は、この仕事ならではの喜びといえるでしょう。一方で、最適な支援方法に頭を悩ませたり、常に目が離せない緊張感から、孤独や疲労を感じたりすることもあります。加配保育士がやりがいを持って働き続けるためには、サポート体制が整った職場を選び、周囲と密に連携することが大切です。
「自分に合う求人が見つからない」「加配として働けるか不安」という方は、レバウェル保育士にご相談ください。レバウェル保育士では、園ごとの職場環境や人間関係といった求人票だけでは見えにくい内部情報をお伝えし、加配保育士として安心して働ける職場をご提案します。「いつかは発達支援や療育に携わりたい」など、将来を見据えたご相談も大歓迎です。サービスはすべて無料なので、お気軽にお問い合わせください。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。












