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加配保育士とは?仕事内容や必要な資格、求められるスキルを解説

  • #保育士
花を持つ保育士のイメージ

「加配保育士とは何か」「どのような仕事なのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。加配保育士とは、発達や心身に障がいのある子どもを担当するために配置された保育士のことです。 この記事では、加配保育士の仕事内容や役割、求められる知識やスキルについて解説。加配保育士になる方法や求人を探すコツも紹介します。加配保育士に興味がある、働いてみたいという方は、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人

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「レバウェル保育士」編集部

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加配保育士とは

加配保育士とは、発達や心身に障がいのある子どもを担当するために配置された保育士を指します。加配保育士になると、基本的には対象となる子どもに専属で寄り添って保育を行うことになるでしょう。

加配保育士は、一般的に保護者から自治体へ加配が申請され、条件を満たしたうえで保育園に配置されます。そのため、保育園や年度によって加配の対象となる子どもの有無や人数は異なるでしょう。

加配保育士の配置基準・補助金

加配保育士については、自治体によって配置基準や配置されるまでの流れ、補助金などが異なります。配置されるまでの例は、以下のとおりです。

  • 1. 保護者が自治体に保育園での加配を申請

  • 2. 条件を満たしていれば、自治体から保育園に加配保育士の配置を要請

  • 3. 保育園が加配保育士を配置した後、子どもを受け入れる

子どもが加配の対象となるかの基準は、たとえば「医師の診断書がある」「障がい者手帳を持っている」などが挙げられます。配置基準は自治体によりさまざまで、加配対象の子ども1〜3人につき1人加配保育士が配置されるという例があるようです。なお、自治体によっては加配保育士を配置すると、保育園に補助金が出る場合もあります。

加配保育士が必要とされる理由

共働き世帯が増加し、母親の就業率が高まっているため、発達や心身に障がいのある子どもの保育も必要となっています。厚生労働省の「障害児通所支援の現状等について (p.1)新規タブリンク」によると、障がい児向けの支援サービスの利用者数は毎年増加している傾向にあります。加配保育士が必要とされる理由には、単に利用者が増えただけでなく、保護者の就業状況も影響しているでしょう。

出典

厚生労働省「障害児通所支援の現状等について新規タブリンク」(2025年7月2日)

加配保育士の主な仕事内容・役割

加配保育士は、発達や心身に障がいのある子どもをサポートするため、保育士や保育補助とは違う動きが必要になる場合もあるでしょう。ここでは、加配保育士の主な仕事内容や役割を紹介します。

子どもの支援やケア

加配保育士は、子どもの発達や心身の障がいに合わせて必要な支援を行います。基本的には集団保育のなかで子どもをサポートしますが、状況によっては個別に遊びや活動するケースも。保護者と連携しながら子どもの発達特性や障がいについて理解を深め、適切な支援を考える必要があります。

個別の保育計画を作成

一般的な保育ではクラスや月齢単位で保育計画を作成しますが、加配保育士が担当する子どもは保育計画を個別に作成するケースも。保育計画とは、保育園の方針をもとに、年次や月次で目標を設定し、達成ための手段や方法をまとめたものです。保護者と相談したり、子どもが他の療育施設に通っている場合は連携して計画を作成する必要があるでしょう。

他の保育士との連携

加配保育士が担当している子どもは、集団とは別で活動することもあるため、クラス担任や他の保育士に報連相してうまく連携する必要があります。また、子どもの様子や支援方法について、加配保育士が主導となって職員間で情報共有する場合も。普段からうまく連携ができていれば、加配保育士が不在のときも対応がスムーズにいくでしょう。

保護者との連携

加配保育士が子どもにより良い支援を行うためには、保護者との連携も重要です。保護者から共有される家での様子や悩みなどは、保育園で支援方法を考える際にも参考になるでしょう。保護者が困っていることや悩みに対して寄り添って、一緒に解決策や支援方法を考えていくことが求められます。

加配保育士の雇用形態・給料

加配の対象となる子どもの有無や人数は年度によって異なるため、非正規雇用で募集される傾向も。ここでは、加配保育士の雇用形態や給料について紹介します。加配保育士の雇用形態や給料は勤務先によっても異なるため、1つの例として参考にしてください。

加配保育士の雇用形態

加配の対象となる子どもの有無や人数は、年度により異なります。そのため、必要に応じ契約更新を検討できるパートや契約社員など非正規雇用で募集される傾向にあります。ただし、加配対象の子どもが卒園した場合でも、そのまま保育士や保育補助として契約が更新される可能性があります。

加配保育士の平均年収

一般的に、保育士と加配保育士の給与水準に大きな違いはないでしょう。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク」によると、保育士の平均年収は406万8,100円です。また、保育士の年齢と勤務年数別の給与・賞与・年収は以下のとおりです。

年齢 平均年収(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)
20~24歳 335万1,000円
25~29歳 372万4,200円
30~34歳 389万7,500円
35~39歳 430万6,600円
40~44歳 420万4,200円
45~49歳 439万1,700円

参照:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計新規タブリンク

なお、パートで採用される際の時給相場も保育士と大きな違いはないでしょう。

出典

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計新規タブリンク」(2025年7月3日)

加配保育士のやりがい

加配保育士のやりがいは、「保育士としてスキルアップできる」「加配対象の子どもとじっくり向き合える」などが挙げられます。自分自身と子どもが成長することにやりがいを感じられるでしょう。

子ども一人ひとりとじっくり向き合える

加配保育士は一般的に対象となる子どもを1〜2人ほどを担当することが多いとされています。そのため、一人ひとりにじっくり向き合って保育できる点にやりがいを感じる場合もあるでしょう。クラス担任や保育補助の場合は、複数人を同時に保育する必要があるため、一人ひとりとかかわる時間が限られているケースも。加配保育士はじっくり向き合う時間が長い分、小さな変化や成長にやりがいを感じられます

もちろん、加配保育士も個別対応しながら全体の安全を見守りますが、基本的には対象の子どもをメインにじっくり支援できるでしょう。

保育士としてスキルアップできる

加配保育士として勤務すると、発達や心身の障がいについて理解が深まり、知識やスキルが身につく点にやりがいを感じる方もいるようです。一般的な保育経験だけでなく、発達や心身に障がいのある子どもを対象とした保育経験もあれば、保育士としての市場価値を高められる可能性があります。

加配保育士が大変だと感じること

一般的には保育士資格があれば加配保育士になれるため、発達や心身に障がいのある子どもへの対応方法や支援については、働きながらスキルを身につけていく必要があります。加配保育士を目指す場合は、大変さも把握しておきましょう。

自ら知識・スキルを磨く必要がある

保育士資格を取得する際に、発達や心身に障がいのある子どもについて学ぶ機会はありますが、知識だけでは対応できない場面もあります。より良い支援を行うためには、実務経験からスキルを身につけ、自ら学ぶ必要があるため、負担に感じる方もいるでしょう
また、発達や心身に障がいのある子どもへの理解を深めるためには、仕事以外の時間を使って自ら文献を読んだり情報収集したりする必要があります。

厚生労働省の「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ (p.1)新規タブリンク」によると、「保育士等キャリアアップ研修」の項目には障がい児保育が含まれており、研修に参加すれば学べる機会があるでしょう。いずれにせよ、学ぶ意欲が低いと加配保育士としての仕事を「大変だ」と感じる可能性があるため、スキルアップする意欲や余裕があるかどうかを考えたうえで、目指しましょう。

悩みを1人で抱えて辛いと感じることもある

加配保育士の配置は保育園のなかで1人となる場合もあります。そのため、同じ悩みを共有できず、辛いと感じることもあるでしょう。加配保育士として働く人が他にいなければ、同じ目線で辛さに共感してくれる人がいないケースも考えられます。加配保育士の経験がある保育士は多いわけではないため、結果的に悩みを1人で抱えて辛いと感じる方もいるでしょう。

加配保育士になるには?

一般的に加配保育士になるためには、保育士資格が必要です。また、加配保育士になる流れは、「勤務先の保育園から加配保育士に任命される」「加配保育士の求人を探して内定を得る」という主に2つの方法があるでしょう。

なお、人手不足などを考慮して、保育士資格がなくても配置できるように条件を緩和している自治体もあるようです。一方では、加配保育士や発達支援の経験を問う場合もあるため、求人を探す際には募集要項をしっかりと確認しましょう。

加配保育士に求められる知識・スキル

保育士資格を取得する際に、子どもの発達特性や障がいについて学ぶ機会はありますが、実務として支援する際には、より深い知識が求められる場合もあります。また、保護者と同じ目線で話すためにも、支援する子どもの発達特性や障がいについて学ぶ必要があるでしょう。

障がい・発達に関する知識

加配保育士は、障がいや発達特性についての基本的な知識を身につけたうえで、それぞれの子どもに合わせた支援を行うスキルが求められます。障がい・発達特性といっても、さまざまな種類や症状があります。また、同じ障がいでも保育における課題や必要な支援は子どもによって異なるでしょう。

保護者の相談に応じるスキル

加配保育士は、保護者から子どもの悩みを相談される機会もあるため、一緒に考えたりアドバイスしたりするスキルが求められるでしょう。保護者からの悩みにアドバイスするためには、ある程度の経験や知識が必要です。また、保護者と話す際は、基本的なコミュニケーション能力も求められるでしょう。

加配保育士に向いている人

学ぶ意欲が高い人や小さな変化に気づける人は、加配保育士に向いている可能性があります。ここでは、加配保育士に向いている人の特徴とその理由について解説するので、参考にしてください。

療育や発達支援について学ぶ意欲が高い人

療育や発達支援について興味があり、学ぶ意欲が高い人は加配保育士に向いている可能性があります。療育や発達支援について知識を深めれば、加配保育士として働く際に役立つといえるでしょう。
療育や発達支援に関して専門的に支援する施設もありますが、保育士資格を活かすのであれば加配保育士として働くのも1つの方法です。学ぶ意欲が高ければ、加配保育士として働く際のモチベーションも保ちやすくなるでしょう。

小さな変化に気づける人

「◯◯の絵本に興味を示した」「自分でスプーンを持った」など、生活のなかで子どもの小さな変化に気づける人は加配保育士に向いている可能性があります。小さな変化に気づき、子どもや保護者と一緒に喜びを分かち合えると、加配保育士としてのやりがいにつながるためです。
また、保護者は子どもの発達について悩んでいることもあるため、できたことに目を向けて前向きに支援してくれる加配保育士は心強い存在になるでしょう

加配保育士の求人を探すコツ

加配保育士の募集は不定期のため、求人探しが難しい場合もあります。ここでは、加配保育士の求人を探すコツを3つ紹介します。

パートや契約社員など非正規雇用の求人から探す

加配保育士の求人を探す際には、正社員だけでなくパートや契約社員なども含め、幅広い雇用形態で探してみるのがおすすめです。加配保育士は対象となる子どもがいるときだけ配置されるため、パートや契約社員など非正規雇用求人が多い傾向にあります。
また、そもそも加配保育士の求人数が限られているため、見つけにくい場合もあるでしょう。その場合は、雇用形態だけでなく他の条件も幅広くしておいたほうが、加配保育士の求人と出会える可能性が高まるでしょう。

勤務先の保育園や幼稚園に相談する

加配保育士は勤務している保育士のなかから配置されるケースもあるため、勤務先の保育園に相談するのも1つの手だといえます。あらかじめ、「加配保育士に興味がある」「療育や発達支援に携わりたい」などと伝えておくと、必要になったときに声がかかる可能性も。加配保育士が必要になる機会は多くはないため、日頃から上司や園長に相談しておきましょう。

保育系の就職エージェントを利用する

加配保育士の求人探しがうまくいかないときは、保育系の就職エージェントを利用してみましょう。保育系の就職エージェントであれば、求人探しについてプロに相談できます。自分に合った求人探しや職場選びをサポートしてもらえるでしょう。

「加配保育士の求人探しがうまくいかない」「療育や発達支援の仕事に関わりたい」という方は、保育業界専門の転職支援サービス「レバウェル保育士」にご相談ください。地域に特化した専任のアドバイザーがあなたの条件にあった求人をご紹介します。

条件ヒアリングから模擬面接まで、トータルでサポートするため、安心です。求人探しに悩んだ際はぜひお気軽にお問い合わせください。

加配保育士に関するよくある質問

ここでは、加配保育士に関するよくある質問にQ&A形式で回答します。加配保育士に興味がある方は仕事をするうえでの辛さや配置されるまでの流れについて、ぜひ参考にしてください。

加配保育士はつらい?

加配保育士は、保育士資格があれば実務経験がなくても配置や採用されます。子どもは一人ひとり異なり、発達の特性や障害もそれぞれです。そのため、どのように対応したら良いかわからず、つらいと感じる場合も。また、子どもによっては走り回ったり行動を制限するのが難しかったりするため、通常の保育士に比べて体力的にも精神的にも負担が大きいと感じ、つらいと感じることもあるようです。

加配保育士が配置される流れは?

保護者の申請により加配の条件を満たしていれば、自治体が承認し、保育園に加配保育士を配置することを要請します。要請を受けた保育園は、勤務している保育士または新たに採用して加配保育士を配置し、子どもを受け入れるというのが流れです。なお、加配保育士が配置される流れは、自治体によっても異なります。

まとめ

加配保育士とは、発達や心身に障がいのある子どもを担当するために配置された保育士です。加配保育士は加配対象となる子どもを個別に見守り、遊びや給食など保育園での生活を支援します。

勤務先にもよりますが、基本的には保育士資格があれば加配保育士として働くことは可能です。なお、加配対象となる子どもの有無や人数は年度によって異なるため、加配保育士の配置も不定期かつパートや契約社員などの非正規雇用で募集される傾向にあります。

レバウェル保育士では、「子どもの発達支援や療育の仕事に興味がある」「保育士としてスキルアップしたい」など希望条件をヒアリングし、あなたにぴったり合う求人をご紹介します。転職に関する相談や求人紹介、選考対策などすべてのサービスが無料で利用できるため、ぜひお気軽にお問い合わせください。

執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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