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保育士が退職を言いづらい理由は?辞めるタイミングや伝え方のコツを紹介!
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保育士として働くなかで「退職したいけれど、なかなか言い出せない」という悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。保育士は子どもや保護者、職員との関係が深いからこそ、辞める決断を伝えるのは勇気がいるものです。 この記事では、保育士が退職を言いづらい理由や仕事を辞める旨を伝えるときのコツを解説します。保育士が仕事を辞めるタイミングや退職意思の伝え方も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
保育士が退職を言いづらい5つの理由とは
保育士は退職を決意しても、なかなか言い出せないと悩むことも少なくありません。ここでは、保育士が退職を言いづらい5つの理由を解説します。
1.職場に迷惑をかけると感じるため
保育士は職員同士で協力しながら業務を進めるため、自分が抜けると「同僚に負担をかけてしまうのではないか」と感じる場合があります。人手不足の園では「自分が辞めたらほかの保育士がさらに大変になるのでは」と考え、退職を切り出せないこともあるでしょう。保育士は園の運営について考えるからこそ、自分が退職して職場に迷惑をかけることに後ろめたさを感じやすいのです。
2.上司や周囲の反応が怖いため
保育士は退職を申し出ると、園長や主任から厳しく詰め寄られたり、同僚から冷たく反応されたりするのではないかという不安を抱くことがあります。上司から「今辞めるのは無責任ではないか」「みんな大変なのに辞めるのか」などと言われるかもしれないと思うと、退職したい旨を言い出しにくくなるケースもあるようです。職場によっては、退職の意向を伝えにくい雰囲気がある場合も。そうした環境では余計に保育士が退職を申し出るハードルが高くなります。
3.引き止められるかもしれないと思うため
退職の意思を示しても強く引き止められるのではないかと心配し、伝えるのをためらう保育士もいるでしょう。保育士は、上司から「次の人が見つかるまで頑張ってほしい」「あと半年だけでも続けられないか」などと説得されると断りにくくなるケースも。また、仲の良い同僚から「あなたがいなくなると寂しい」などと言われると、退職の意思が揺らいでしまうかもしれません。
4.退職を切り出すタイミングがわからないため
保育園では年度単位でクラスが決まるため、保育士は年度途中で退職することに罪悪感を覚える場合があります。「今は発表会の準備で忙しいから言いにくい」「年度末の業務が落ち着いたら言おう」などと考えているうちに、どんどん退職の意思を伝えるタイミングを逃す保育士もいるのではないでしょうか。保育士が園の状況や人員の都合を考え過ぎると、結局退職を言い出せないまま時間が経ってしまうケースもあります。
5.子どもたちや保護者に申し訳ないと感じるため
毎日関わっている子どもたちのことを考えると、「慣れている保育士が辞めたら悲しむかも」と思い、退職を決断しにくくなります。また、保護者との間に信頼関係がある場合、「突然辞めると保護者を不安にさせてしまうのでは」と考え、なかなか退職を踏み出せない保育士もいるかもしれません。保育士は長く担当してきた子どもたちがいると、最後まで見届けたいという気持ちが強くなり、退職を決断するのが難しいと感じるケースもあるでしょう。
保育士が退職を言いづらいときの対処法
退職したい旨を職場に言い出せず先延ばしにすると、心身の負担が増し、より苦しい思いをする可能性があります。ここでは、保育士が退職を言い出せない状況を打開するための方法を紹介します。
退職は悪いことだと捉えない
退職を決意しても申し訳なさを感じたり、無責任かもしれないという不安を抱えたり、ネガティブに捉えてしまうことがあります。退職は悪いことではなく、自分の人生や働き方を見直し、より良い環境を求める前向きな選択肢の1つです。合わない環境で無理をして働き続けるのは、自分にも職場にも望ましくありません。
保育士は責任感が強く、「最後まで仕事をやり遂げなければならない」と考える方も少なくないでしょう。それによって心身が疲弊してしまうと、子どもたちや周囲にも影響を及ぼします。退職は逃げではなく、新しい一歩を踏み出す大切な決断です。今の環境が合わないと感じたら、自分の気持ちを尊重し、必要以上に罪悪感を抱かずに次のステップへ進むことを考えましょう。
言い出せない期間のデメリットを意識する
保育士のなかには退職を切り出せず、「もう少しだけ」と先延ばしにしてしまう方もいるでしょう。しかし、言い出せない期間が長引くほど、退職する時期を調整するのが難しくなります。また、引き継ぎの時間が十分にとれなかったり、希望の転職先を見逃したりする可能性もあります。
保育士は退職を決意しているものの伝えられない状態が続くと、仕事へのモチベーションが低下し、ストレスをさらに強く感じるかもしれません。退職は切り出すタイミングが遅くなるほど気まずくなり、自分だけでなく園にとってもデメリットが増えていきます。保育士は退職の申し出を先延ばしにすることでどのような支障が出るのかを意識し、早めに行動しましょう。
引き止められることを想定して準備する
園によっては、保育士が退職を申し出ても、強く引き止められる場合も想定されます。退職を引き止められた際に慌てないように、「なぜ仕事を辞めるのか」を自分の中で整理し、冷静に退職理由を伝える準備を行いましょう。保育士が退職を引き止められた際、退職時期をずらす余地がある場合は園側と話し合いながら調整するのも1つの方法です。保育士がトラブルなく退職するにはしっかり準備し、誠実な姿勢で退職したい旨を伝えるのが重要です。
保育士が仕事を辞めるタイミング
退職を決意しても、「いつ辞めるのが良いのだろう」と悩む保育士もいるでしょう。保育士は適切な時期を選ぶことで、円満に退職しやすくなります。ここでは、保育士が退職するのに適した時期を解説します。
スムーズな引き継ぎができる年度末
保育士が退職しやすいタイミングとして、選ばれることが多いのは年度末です。保育園では4月から新しいクラスが始まるため、年度替わりに退職すると引き継ぎがスムーズなのがその理由です。年度末に保育士が退職する場合は、園側も新年度に向けて職員体制を調整でき、新しい保育士を採用しやすいため比較的受け入れられやすい時期だといえます。担任を持っている保育士にとって、年度末は子どもたちの成長を見届けたうえで退職できる時期のため、途中で辞めることへの罪悪感を抱きにくいというメリットもあります。
比較的行事の少ない時期
保育士は行事の多い時期に退職すると、ほかの職員の準備や運営の負担が増え、迷惑をかけてしまうのではないかと不安になる場合があります。そのため、行事が一段落し、落ち着いている時期に退職するのも1つの手だといえるでしょう。大きな行事が少ない時期に退職すると、引き継ぎがしやすいという魅力もあります。
一方、運動会や発表会などの準備がある繁忙期に保育士が退職の意思を示した場合、「今は辞めないでほしい」と引き止められる可能性が高まるので注意が必要です。保育士は園の年間スケジュールを確認し、退職時期を適切に判断すると、円滑に退職を進められる可能性が高まります。
【例文つき】保育士の退職意思の伝え方
「退職するのを言いづらい」という保育士も少なくありません。言い出しづらいからこそ、事前にしっかりと考えておく必要があるでしょう。ここでは、具体的な退職理由ごとに、例文と伝え方を紹介します。
将来のキャリアを考えて辞める場合
将来のキャリアを考えて辞める場合の例文は、以下のとおりです。
今後のキャリアについて考えた結果、新たな分野に挑戦したいと思い、退職を決意しました。これまでお世話になり、大変感謝しております。今後の目標に向けて前向きに進みたいと考えています
保育士が将来のキャリアを理由に退職するときは、「新たな分野に挑戦をしたい」と伝えると、前向きな印象を与えられます。園への感謝の気持ちも伝えると、円満な退職につなげやすくなるでしょう。
体調不良で辞める場合
体調不良で辞める場合の例文は、以下のとおりです。
ここ数ヶ月間、体調を崩しており、通院していますが回復せず、仕事を続けるのが難しくなってきました。自分の健康を考え、しばらく療養することを決意しました。ご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんが、どうかご理解いただければと思います
保育士が体調不良を理由に退職する場合、仕事を続けるのが難しいと伝え、必要に応じて診断書を提出するかどうか検討しましょう。体調が回復したらほかの仕事を探す場合も、「療養に専念したい」と伝えれば、深く追究されにくくなります。
労働環境や働き方が合わず辞める場合
労働環境や働き方が合わず辞める場合の例文は、以下のとおりです。
自分の働き方について改めて考えた結果、今後は別の環境で新しい経験を積みたいと思うようになりました。自分に合った働き方を模索した結果、新しい環境が今後の成長につながると考え、退職を決意しました。これまで多くの経験を積む機会をいただき、大変感謝しております
保育士の退職理由が職場環境や働き方のときは、ネガティブな印象を与えないよう、柔らかい表現を使うのがポイントです。「環境が合わない」と直接的に言うのではなく、「自分に合った働き方を模索した」と伝えると、角が立ちにくくなります。
家庭事情で辞める場合
家庭事情で辞める場合の例文は、以下のとおりです。
家庭の事情により、今までのように働き続けることが難しくなりました。大変お世話になった職場を離れるのは心苦しいですが、家族との時間を優先するため、退職をしたいと考えております
家庭の事情による退職は、詳細を説明しなくても理解されやすい理由の1つです。家庭の事情で退職する際は、「引っ越しをすることになった」「家庭との両立のため」など、理由を簡潔に伝えるだけで問題ありません。園側に迷惑をかけたくないという気持ちを伝えつつ、やむを得ない事情で退職したい旨を伝えましょう。
保育士が職場に退職したい旨を伝える際のコツ
保育士が円満に退職するためには、適切な手順を踏み、落ち着いて話せるタイミングを選んで退職したい旨を伝えることが大切です。ここでは、保育士が退職の意向を伝える際に押さえておきたいコツを紹介します。
就業規則に沿って申告する
保育士が退職の申し出をする際は、事前に職場の就業規則を確認しましょう。園によっては「退職希望日の○カ月前に申告する」というルールがあるため、それに従って適切なタイミングで伝えることが大切です。スムーズに退職するためには、職場のルールを守って、計画的に手続きを進めましょう。
退職希望日を明確にする
保育士が退職の意思を伝える際は、「いつ辞めたいのか」を明確にするのが大切です。曖昧な言い方をすると、「もう少し考えてみては」と退職を引き延ばされる可能性があるため、「○月末をもって退職したいと考えています」と明確に伝えましょう。自分が希望する退職日と園の状況と合わない場合もあるため、ある程度柔軟な姿勢を見せると、話がまとまりやすい可能性があります。園側の要望も聞きつつ、無理のない範囲で退職日を調整すると円満に進められるでしょう。
直属の上司に直接伝える
退職の意思は、直属の上司に伝えるのが基本です。保育士がいきなり園長やほかの職員に退職したい旨を話してしまうと、上司があとから知り、「なぜ先に相談してくれなかったのか」と不信感を抱かれる場合があります。スムーズに退職の話を進めるためにも、日ごろの業務を直接指導してくれている上司に退職の意思を伝え、そのあとの流れについて相談しましょう。
保育士が上司に退職の意思を伝える際は、落ち着いて話せるタイミングを選ぶのが大切です。上司が忙しい時間帯に退職の話を持ち出すと、しっかりと話を聞いてもらえなかったり、後回しにされたりする可能性があります。そのため、事前に上司に「少し時間をいただいてお話をしたいことがあります」と伝え、相手の都合を確認してから退職の話を切り出しましょう。
退職理由はシンプルでポジティブな内容にする
退職理由は、必要以上に詳しく説明する必要はありません。なるべくシンプルで前向きな内容にまとめるのがポイントです。「職場環境が合わなかった」「人間関係が辛かった」というネガティブな理由を強調すると、トラブルになり、円満に退社するのが難しくなるケースもあります。退職を伝えた後、引継ぎや退職手続きを行う必要があるため、感謝の気持ちを忘れず、穏やかに話すのを意識しましょう。
保育士が円満に退職するための注意点
保育士が円満に退職するためには、引き継ぎをしっかり行い、感謝の気持ちを伝えることが重要です。退職時に気をつけた方が良いことを押さえておくと、職場でのトラブルを避けられるでしょう。ここでは、保育士が退職時に注意する点を解説します。
引き継ぎをしっかり行う
保育士が円満に退職するために大切なのは、引き継ぎをしっかり行うことです。退職の申し出をした時点で、後任の職員に必要な情報を伝える準備を始めましょう。保育士の仕事は日々の計画や子どもたちの様子を把握するなど細かいことが多いため、引き継ぎが不十分だと次に業務を担当する人が困ってしまうケースもあります。
引き継ぎでは、保育記録やクラス運営の進行状況を整理したり、保護者との連絡事項や注意点をまとめた資料を作成するのが効果的です。保育士が直接引き継ぎを行う際は、後任者が質問しやすい雰囲気を心がけ、わかりやすく説明するようにしましょう。質問や不明点がないか、ある程度説明したら立ち止まり、自分から後任者に尋ねるのもおすすめです。
感謝の気持ちを伝える
退職する際には、園に感謝の気持ちを伝えることが大切です。園やほかの保育士に感謝の言葉を伝えると、退職後も良好な関係を築けるでしょう。感謝の言葉を伝えるときは、「お世話になりました」という短い言葉だけでなく、具体的にどのような点で感謝しているのかを伝えると、より気持ちが伝わります。たとえば、同僚と一緒に成長できたことや上司に助けてもらった場面などを振り返りながら感謝の気持ちを言葉で表すと、相手に気持ちが伝わりやすいでしょう。
最後まで責任を持って働く
保育士は退職を決めたあとも、最後まで責任を持って働くのが重要です。退職することでモチベーションが低くなったり、手を抜いたりすることは避けましょう。保育士は子どもたちの安全や成長を見守るのが仕事です。そのため、退職の時期が近づいても、その責任を全うする必要があります。
最後まで保育士としての責任を持って働くことによって、自分も気持ちよく退職を迎えられるでしょう。保育士が円満な退職を迎えるためには、最後までプロとしての姿勢を貫く姿勢が大切です。
保育士が退職を言いづらい際によくある質問
ここでは、保育士が退職を言いづらい際によくある質問に、Q&A形式で回答します。
保育士は退職したい旨を誰に言うべき?
保育士が退職の意思を最初に伝える相手は、直属の上司が一般的です。そのあと、人事担当者や園長に退職したい旨を伝えます。報告する人の順番を守ると、園内での混乱を避けられるでしょう。保育士が退職の申し出をするときのポイントを押さえておきたい方は、本記事の「保育士が職場に退職したい旨を伝える際のコツ」を参考にしてください。
保育士は退職したいことを職場にいつ言う?
前述でもお伝えしましたが、保育士が退職の意思を職場に伝えるタイミングは、退職希望日の3ヶ月〜半年前が理想です。保育士の仕事は継続的に進行しています。そのため、早めに退職を伝えると、引き継ぎや後任保育士の調整をスムーズに行い、現場への負担が軽減できるでしょう。保育士が退職しやすい時期は、本記事の「保育士が仕事を辞めるタイミング」をチェックしてください。
保育士の辞める理由ランキングは?
東京都庁の「令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)」より、保育士が仕事を辞める理由をランキング形式で紹介します。
順位 | 退職理由 | 割合 |
1位 | 職場の人間関係 | 31.5% |
2位 | 仕事量が多い | 23.1% |
3位 | 給料が安い | 22.1% |
4位 | 健康上の理由(体力含む) | 20.6% |
5位 | 労働時間が長い | 18.6% |
参照:東京都庁「東京都保育士実態調査 結果の概要 (p.9)」
このデータから、保育士が退職する理由の1位は「職場の人間関係」です。2位は「仕事量が多い」、3位は給料に対する不満がランキングに入っています。4位は「健康上の理由(体力含む)」、5位は「労働時間が長い」です。
このことから、保育士が退職する理由は職場や労働環境によるものが多数を占めているのがわかります。
出典
東京都庁「令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)」(2025年6月30日)
まとめ
保育士が退職を言いづらい理由として、「職場に迷惑をかけるのではという不安」「上司や周囲の反応が怖い」「適切なタイミングがわからない」などが挙げられます。しかし、退職は自分の人生やキャリアを考えたうえでの前向きな決断です。
保育士が退職手続きをスムーズに進めるためには、園の就業規則を確認し、早めに上司に相談するのが大切だといえます。あらかじめ引き留められるのを想定し、退職する理由を明確に説明できるように準備してください。退職が決まってからも責任を持って仕事を続けると、円満に退職できるでしょう。
「どうしても退職したい旨を職場に言いづらい」という保育士は、先に転職先を決めるのも1つの方法です。新しい職場が決まれば、今の職場を退職する決心がつきやすくなるでしょう。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。