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認定病児保育専門士とは?資格取得に必要な条件や就職先、仕事内容を解説
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「認定病児保育専門士とは何だろう」気になる方も多いでしょう。認定病児保育専門士とは、病児保育士の専門的な知識やスキルを証明する資格です。 この記事では、認定病児保育専門士の資格取得方法や費用、更新制度について解説します。認定病児保育専門士の資格を取得するメリット・デメリット、就職先も紹介します。病児保育士の実務経験者や病児保育施設への就職・転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
認定病児保育専門士とは
認定病児保育専門士とは、病児保育士の専門的な知識やスキルを証明する資格です。病児保育士とは、病児や病後の子どもを預かる施設やサービスで働く保育士です。
認定病児保育専門士は、一般社団法人全国病児保育協議会が主催・認定しています。認定病児保育専門士の資格は、病児保育士の実務経験者がスキルアップや専門性を証明するために取得することが多いようです。
認定病児保育専門士の資格取得方法
ここでは、認定病児保育専門士の受験資格や取得する流れを解説します。認定病児保育専門士の資格取得を目指す場合は、あらかじめ資格認定までの流れを把握しておきましょう。
認定病児保育専門士の受験資格
認定病児保育専門士の受験資格がある方は、病児・病後保育室に勤務する保育士または看護師です。加えて、一般社団法人全国病児保育協議会の「認定病児保育専門士 資格認定実施要項 (p.2)」によると、以下のすべての条件を満たす必要があります。
全国病児保育協議会に施設で加盟し、病児保育室・病後児保育室に常勤として受講日初日までに2年以上勤務している
非常勤として受講日初日までに3年以上病児保育・病後児保育室に勤務し、週20時間以上勤務している
個人会員として加盟するものは、個人会員になって2年が経過し、病児保育室・病後児保育室に常勤として受講日初日までに2年以上勤務している
非常勤として3年以上病児保育・病後児保育室に勤務し、週20時間以上勤務している
病児保育室に在勤している
施設長から「施設長推薦状」において、推薦が受けられる
資格認定委員会が開催する「病児保育専門士認定講習会」をすべて受講できる
上記のとおり、認定病児保育専門士は、病児保育士で実務経験がある人向けの資格です。
出典
一般社団法人全国病児保育協議会「認定病児保育専門士 資格認定実施要項」(2025年5月2日)
認定病児保育専門士 資格取得の流れ
認定病児保育専門士の資格を取得するためには、資格認定講習会に参加した後、課題・研修レポートの提出や面接・口頭試問に合格する必要があります。
一般社団法人全国病児保育協議会の「認定病児保育専門士 資格認定実施要項 (p.5)」」によると、認定病児保育専門士の資格を取得する流れは以下のとおりです。
1.資格認定講習会登録手続き(受講審査申請費用の入金・申請書類の郵送)
2.認定委員会にて、受講について審査
3.資格認定講習会の参加決定通知発送
4.資格認定講習会へ参加
5.課題・研修レポートの提出
6.課題・研修レポートの審査
7.面接・口頭試問
8.登録および認定手続き
資格認定講習会に参加した後、2ヶ月以内に課題・研修レポートを提出します。課題・レポートが受理された後、原則3ヶ月以内に面接・口頭試問が行われます。面接・口頭試問に合格し、認定申請書の提出と認定料の入金が済むと認定証が交付される流れです。
出典
一般社団法人全国病児保育協議会「認定病児保育専門士 資格認定実施要項」(2025年5月2日)
認定病児保育専門士資格取得の難易度
認定病児保育専門士の受験資格には、最低でも2年以上の実務経験が必要になるため、病児保育士の基本的な知識やスキルが身についていないと合格は難しいでしょう。また、施設長からの推薦も必要であるため、日ごろの働きから資格取得を目指せるか判断される可能性があります。
病児保育士の基本的な知識やスキルを身につけたうえで、専門性を高めたりスキルアップを目指したりできる段階であれば、合格できる可能性が出てくるでしょう。
認定病児保育専門士になるにはいくらかかる?
一般社団法人全国病児保育協議会の「認定病児保育専門士 資格認定実施要項」によると、認定病児保育専門士になるには合計で36,000円かかります。詳細は、以下のとおりです。
項目 | 費用 |
受講を希望する際にかかる受講審査申請費用 | 1,000円 |
資格認定講座に必要な費用 | 25,000 円 |
合格後の認定料 | 10,000円 |
合計 | 36,000円 |
参照:一般社団法人全国病児保育協議会「認定病児保育専門士 資格認定実施要項」
受講を希望する際は、所定の口座に1,000円入金する必要があります。受講者認定決定通知を受けた後に25,000円、合格結果が送付された後に10,000円入金するという流れです。
出典
一般社団法人全国病児保育協議会「認定病児保育専門士 資格認定実施要項」(2025年5月2日)
認定病児保育専門士の資格更新制度
認定病児保育専門士の資格を保有し続けるためには、5年ごとに更新する必要があります。一般社団法人全国病児保育協議会「病児保育専門士 資格更新手帳 (p.3)」によると、資格更新制度の概要は以下のとおりです。
認定証の有効期間は、認定日より5年間
認定更新申請の受付は、該当年の3月1日~5月31日まで
更新申請には、5年の間に100単位以上の業績単位を取得する必要がある
資格更新審査料は5,000円、認定更新料は10,000円
やむを得ない理由で更新できない場合、資格認定委員会に届け出れば3年間を限度として申請の延期が可能
認定病児保育専門士の資格更新に必要な業績単位の条件は、以下のとおりです。
全国病児保育協議会全国研究大会:(1回必須)25単位以上
全国病児保育協議会支部およびブロック研修会:20単位以上
専門領域別の学会・研修会:20単位以上
関連学会における発表あるいは、執筆業績:10単位以上
認定病児保育専門士の資格を更新するためには、研修会への参加や学会での発表、執筆業績などの活動が必要です。なお、取得単位については、証明となる参加証や書類などを添付して申請します。
出典
一般社団法人全国病児保育協議会「病児保育専門士 資格更新手帳」(2025年5月2日)
認定病児保育専門士と認定病児保育スペシャリストの違い
認定病児保育専門士と認定病児保育スペシャリストの違いは、認定団体と受験資格です。認定病児保育専門士は「一般社団法人 全国病児保育協議会」、認定病児保育スペシャリストは「一般財団法人 日本病児保育協会」が資格認定しています。認定病児保育専門士は病児保育士の実務経験などを満たさないと受験できません。しかし、認定病児保育スペシャリストは高卒18歳以上であれば受験可能です。
なお、認定病児保育スペシャリストの資格は、2022年時点で認定事業が終了しました。ただし、一般財団法人 日本病児保育協会「2023年10月8日 資格取得講座を再開いたします。」によると、今後再開見込みはあるようですが2025年5月現在では再開されていません。認定病児保育スペシャリストの資格取得を検討する際は、最新情報や詳細について公式ホームページで確認してみましょう。
出典
一般財団法人 日本病児保育協会「2023年10月8日 資格取得講座を再開いたします。」(2025年5月2日)
認定病児保育専門士の資格を活かせる就職先
認定病児保育専門士の資格は、病児保育施設や訪問型の病児保育サービスを展開している企業で活かせるでしょう。ここでは、認定病児保育専門士の資格が活かせる就職先を、施設型と訪問型に分けて紹介します。
施設型の職場
施設型では、保育園・病院などに併設している施設や病児保育専門施設などで病児や病後の子どもを保育します。受け入れ対象は病児や病後のみであるため、日々預かる子どもは入れ替わるでしょう。また、施設によっては受け入れ可能な定員を少人数にしている場合もあり、常勤で働く保育士や看護師の職員も2、3人などと少ないことがあります。
訪問型の職場
病児保育には、病児や病後の子どもの自宅に訪問して保育するサービスを展開している企業もあります。また、ベビーシッターサービスのなかで病児・病後の子どもを預かるプランを展開している場合もあるでしょう。
訪問型の場合は、子どもの住み慣れた場所、落ち着いた環境のなかで病児保育ができます。また、訪問型の病児保育は、子どもの送り迎えが不要なため、保護者からは利便性が高いサービスとして需要があるようです。
認定病児保育専門士の仕事内容
認定病児保育専門士は、一般的に病児保育士として病児・病後の子どもを預かり、看病したり食事や排泄の介助をしたりします。認定病児保育専門士が病児保育士として働く場合の主な仕事内容は、以下のとおりです。
健康状態や体調の変化を見守る
検温
服薬介助
食事や排泄などの介助
無理のない範囲で遊びの提供をする
お昼寝の見守り
急変時は救急や保護者に連絡をする
病児保育士は医療行為に携われませんが、検温や健康状態の見守りなどによって体調が急変した場合は、救急や保護者に連絡する必要があります。また、服薬介助は可能なため、保護者から依頼された場合は、薬を管理したり飲み残しがないか確認したりするのも仕事の1つです。
認定病児保育専門士の資格を取得するメリット
認定病児保育専門士の資格を取得するメリットは、病児保育士としての知識やスキルを客観的に証明できる点です。認定病児保育専門士の資格があれば、病児保育士への就職・転職に役立つ可能性があります。
病児保育士は一般的に保育士または看護師の資格があれば働けますが、専門性の証明となる認定病児保育専門士の資格があれば採用時の選考で有利になることもあるでしょう。
また、認定病児保育専門士の資格を取得すれば、病児保育士としてスキルアップでき、実務で活かせます。認定病児保育専門士の資格取得の際には、資格認定講習会があるため、より専門的な知識やスキルを学べるチャンスがあるでしょう。
認定病児保育専門士の資格を取得するデメリット
認定病児保育専門士の資格を取得するデメリットは、費用や時間などのコストがかかる点です。認定病児保育専門士は、資格取得だけでなく資格更新にも費用や時間がかかります。
せっかく取得しても、更新できなければ費用や時間が無駄になる可能性もあります。取得後の更新も踏まえて、認定病児保育専門士にかかる費用や時間が負担にならないか検討する必要があるでしょう。
認定病児保育専門士の年収
職業情報提供サイト(job tag)の「保育士」によると、保育士の平均年収は396.9万円です。多くの求人では、認定病児保育専門士の平均年収は保育士と大きな差はないようです。
訪問型の病児保育サービスで働く場合は、ベビーシッターの平均年収が参考になるでしょう。職業情報提供サイト(job tag)「ベビーシッター」によると、ベビーシッターの全国平均年収は394.3万円です。
平均年収は勤続年数や能力、訪問型・施設型といった施設形態により幅があります。認定病児保育専門士の資格があれば、職場によっては資格手当が付く可能性があるでしょう。
認定病児保育専門士の資格を活かした就職・転職方法
認定病児保育専門士の資格を活かして求人を探す場合は、就職・転職エージェントに相談するのがおすすめです。保育士に比べ、一般的に病児保育士の求人数は少ないため、希望条件に合った求人を探しにくいこともあるからです。
就職・転職エージェントでは、求人紹介をしてもらえたり非公開求人を扱っていたりするため、1人で探すよりも希望条件の求人を見つけやすい可能性があります。また、認定病児保育専門士の資格を応募書類や面接でアピールする方法のアドバイスがもらえるのもメリットです。
地域に特化したプロのアドバイザーが、あなたの条件に合った求人をご紹介します。また、応募書類の添削や面接対策などもサポートしているため、お気軽にお問い合わせください。
認定病児保育専門士に関するよくある質問
ここでは、認定病児保育専門士に関するよくある質問にQ&A形式で答えます。認定病児保育専門士を取得するために必要なことや、病児保育士の資格について参考にしてみてください。
認定病児保育専門士に必要なスキルはありますか?
認定病児保育専門士は、病児保育士としてより専門性を高めた知識・スキルが必要となるでしょう。認定病児保育専門士の資格試験は、病児保育士としての実務経験が最低でも2年以上ないと受験できないため、基礎的な知識やスキルがあることを前提とされています。また、認定病児保育専門士の資格更新には、学会での発表や執筆の実績などが必要になるため、病児保育士として働く際に指導や助言ができるスキルも求められるでしょう。
認定病児保育専門士の口頭試問とは?
口頭試問の試験内容や過去問は公開されていませんが、資格認定講習会と課題・レポート提出後に実施されるため、それらを加味して試験対策する必要があるでしょう。一般的に、口頭試問とは面接官からの質問に対して口頭で答えていく試験です。知識や能力に加えて答え方や分からないときの対応力など、筆記試験では見極めにくい要素をチェックされるでしょう。
病児保育士になるにはどのような資格が必要?
病児保育士として働く際には、原則として保育士や看護師の資格が必要になるでしょう。ただし、訪問型の病児保育や非正規雇用で働く場合は、資格が問われない可能性もあります。なお、病児保育士の知識やスキルを証明する民間資格としては、認定病児保育専門士や認定病児保育スペシャリスト、医療保育専門士があります。
まとめ
認定病児保育専門士とは、病児保育士の専門的な知識やスキルを証明する資格です。病児保育士は、病児や病後の子どもを預かる施設などで勤務します。
認定病児保育専門士は、一般社団法人全国病児保育協議会が開催する認定試験で取得できます。受験資格は、病児保育士としての2年以上の実務経験や施設長からの推薦状などが条件です。受験資格を満たし資格認定講習会に参加した後、課題・研修レポートの提出や面接・口頭試問に合格すると、認定証が交付されます。認定病児保育専門士の有効期限は5年です。更新する場合は、研修会への参加や学会での発表実績など、必要単位を取得する必要があります。
認定病児保育専門士の資格を取得するメリットは、病児保育士の知識・スキルを客観的に証明でき、就職・転職で役立つ可能性がある点です。一方、資格取得にかかる費用や時間の負担がデメリットに感じることもあります。
認定病児保育専門士の資格は、目的や必要性、キャリアプランなどから取得するか検討してみましょう。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。