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保育士の主任はきついよ⋯仕事に悩んだときの対処法と続けるメリットを解説
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主任保育士の役割がきついと感じている方もいるのではないでしょうか?主任保育士は園長と現場保育士の間に立ち、運営や職員育成に関わることから「きつい」と感じる場面も少なくありません。 この記事では、主任保育士の仕事が「きつい」と言われる主な理由や、実際に悩んだときの対処法を紹介します。また、向いている人の特徴やキャリア展望についてもまとめました。
目次
主任保育士が「きつい」と言われる理由
主任保育士にキャリアアップしたものの、周囲の意見に板挟みとなったり、保育業務に専任しづらかったりと、自身の立場に悩むこともあるようです。ここでは、主任保育士が「きつい」と言われる理由を紹介します。
園長と現場保育士の板挟みになる
主任保育士は、園長の方針を現場に伝え、現場で働く保育士の意見や不満を園長に伝える役割を担うことから、「板挟みになるのがきつい」と思う場合があるようです。たとえば、園長から「もっと細かく連絡ノートを書くように」と言われても、現場の保育士たちは「時間的な余裕がない」という声があがることがあります。双方の気持ちを理解できるからこそ、どのように業務を調整し、理解を得るかに悩んでしまうでしょう。
保育以外の業務が膨大にある
対応する業務の多さも、「主任保育士がきつい」と感じる理由の1つです。朝は園児の受け入れから始まり、日中はクラスのヘルプに入りながら、合間をぬって電話や来客、職員からの相談などに対応します。また、シフトの調整や会議の準備、報告書の作成、行事の段取りなど事務的な仕事も多く、「目の前のことに追われて気づけば1日が終わっている」ということも少なくありません。どうしても日中だけでは終わらず、仕事を持ち帰ったり、残業でなんとか乗り切ったりする日々が続くと、心も体も疲れてしまうでしょう。
後輩指導や職員間の人間関係に悩む
主任保育士は人との関わりにエネルギーを消費しやすいため、「仕事がきつい」と感じる場合もあるでしょう。若手職員を指導する際は、「注意すると嫌われるかも」「どこまで口を出せばいいのか分からない」といった悩みを抱えることも少なくありません。また、職員同士のトラブル対応で人間関係の板挟みになる場合もあり、精神的な負担を感じる場面もあるようです。
自分の保育に集中できない場面が増える
主任になると担任を持たないケースが多く、自分が特定の子どもたちとじっくり関わる時間が減ってしまうことも少なくありません。保育以外にもシフト管理や保護者対応、職員間の調整、園長との会議などの業務を行い、日中に保育室にいる時間自体が限られる場合もあります。こうした業務の幅広さから、「本来やりたかった保育に集中できない」と感じ、もどかしさや物足りなさを感じることもあるでしょう。
責任の重さにプレッシャーを感じる
主任保育士は、保育の現場を守る責任に加えて、園全体のリスク管理やトラブル対応も担当する大変さがあります。園内での事故やけが、保護者からのクレームが発生した場合、主任が中心となって対応にあたります。状況を把握し、報告・謝罪・再発防止の対応まで一貫して行わなければならないことから、プレッシャーを感じる方も少なくありません。
仕事量に給与が見合わない
主任手当がつくとはいえ、実際の業務量や責任に対して給与が見合っていないと感じる方も少なくありません。主任でない現場保育士のときと給与面で大きな差が見られないと、やりがいや使命感だけでは仕事を続けるのが難しいと感じてしまうでしょう。責任の重さに見合った処遇がなされない現状に、モチベーションの低下や離職を考える主任保育士も一定数いるのが実情です。
主任保育士の仕事がきついときの対処法
ここでは、主任保育士の仕事がきついときの対処法を紹介します。周囲と協力したり意識的に休む時間を確保したりして、現在抱えている課題を解消できるようにしましょう。
園長やほかの職員と定期的に相談・共有する
仕事の悩みや困りごとで「きつい」と感じているときは、ひとりで抱え込まず園長や信頼できる職員と定期的に話し合いましょう。主任という立場では弱音を吐きづらいと感じるかもしれませんが、誰かに相談することで心が軽くなり、解決への糸口が見つかることもあります。小さなことであっても共有する習慣をつけておくと、ストレスの予防につながるかもしれません。
自分以外もできる仕事は別の保育士に振る
すべての業務を自分でこなそうとすると、心身に負担がかかってしまいます。自身の担当業務が多くてきついときは、ほかの職員が対応できる事務作業を割り振るのも手です。優先順位の高いタスクに集中できるよう、適切に仕事を振り分ければ、園全体の効率性もアップする可能性があります。
自分の時間を大切にする
「常に仕事のことが頭から離れなくてきつい」という主任保育士は、意識的に自分の時間を確保することが重要です。自分自身をいたわる時間を持つことは、仕事を長く続けるうえで欠かせません。趣味に没頭する時間、家族や友人と過ごす時間、何もしないでリラックスする時間などを意識して過ごせば、心の余裕にもつながります。
外部研修やサポート制度の活用をする
スキル不足で主任の役割がきつい場合は、自治体・保育関連団体が提供する外部研修や相談窓口などの支援制度を活用するのも一つの手です。たとえば、こども家庭庁が主催する「保育所長・主任保育士等研修」では、主任の立場や経験年数に応じたプログラムを受講できます。オンラインで受講できる研修もあるので、同じ立場の人の声を聞いたり、専門家のアドバイスを受けたりすることで、自分の考えを整理して前向きな気持ちを取り戻すきっかけになるかもしれません。
出典
こども家庭庁「令和6年度 こども家庭庁主催 保育所長・主任保育士等研修」(2025年5月23日)
休職して仕事から離れる
主任保育士が心や体に限界を感じたときは、無理に仕事を続けるのではなく、一度立ち止まって休養を取ることも選択肢として挙げられます。休職して仕事から少し距離を置くことで、自分自身と向き合う時間が持てるようになります。現状を冷静に判断できるようになれば、「どんな働き方がしたいのか」「本当に大切にしたいことは何か」を見つめ直すきっかけにもなるでしょう。
主任保育士に向いている人の特徴とは?
主任保育士には、冷静な判断力や自分の考えをしっかり持つ姿勢、チーム全体を見渡す視野の広さが求められます。ここでは、主任保育士として活躍しやすい人の特徴を紹介します。
冷静に物事を判断できる人
主任保育士はトラブルや緊急対応など、冷静な判断が求められる場面に直面することもあります。感情に左右されず、客観的に状況を見極めて行動できる人は、主任に向いているでしょう。
職員間の意見が食い違ったときも、どちらか一方に偏ることなく、事実を整理して公平に対応することが大切です。このような姿勢の積み重ねが、主任として現場をまとめる力につながっていきます。
自分の軸をもって働ける人
自分の保育観や信念を持ち続けられる人は、主任としてチームを支える力となります。「自分が大切にしている保育とは何か」という軸を持っている人は、判断に迷いそうな状況であっても自信をもって行動していけるでしょう。自分の考えに芯がある主任は、職員からの信頼も厚くなりやすいといえます。
チーム全体を見渡せる広い視野を持てる人
主任保育士は、チーム全体の動きを意識して動くことが求められるため、広い視野を持っている人が適しています。子ども一人ひとりの様子や保育士同士の連携状況、保護者との関係性、職員間の空気感など、さまざまな要素にアンテナを張る力が求められます。
また、保育士同士のちょっとしたすれ違いや保護者の不安のサインなど、小さな違和感や変化を早期に察知し、先回りして対応することも重要です。視野の広さはトラブルを未然に防ぐだけでなく、職場全体の雰囲気を良くすることにもつながります。周囲に常に目を配れる人は、主任としての信頼を得やすいでしょう。
きついだけじゃない!主任保育士のやりがい
主任保育士の仕事は、自分の成長や園づくりに深く関われるというやりがいもあります。ここでは、主任の仕事が「きつい」だけじゃない理由について解説します。
キャリアアップを目指せる
主任保育士として現場のまとめ役をした経験は、副園長や園長などのポジションを目指すうえで強みになるでしょう。園の運営全体に関わる視点が養われることで、将来的に独立して園を開業したり、法人運営に携わったりするといった選択肢も開けます。主任保育士の役職は、「現場+経営」の両方を経験できるステップとして捉えられるでしょう。
保育園全体の運営に関われる
園の方針づくりや運営に深く関われることも主任保育士のやりがいです。年間計画の立案、職員配置の調整、保護者対応の方針づくりなど、保育の質を高めるための重要な意思決定に関わる機会も多くなります。
また、行事や研修の企画運営といった実務面も含め、園の運営がスムーズに回るよう土台を整える役割を果たします。現場の声を汲み取りながら働きやすい環境づくりに貢献できるのが、主任ならではのやりがいといえるでしょう。
経験を積めばほかの職種への道も開ける
主任保育士としての経験は保育の現場だけでなく、ほかの職種にも活かすことが可能です。たとえば、現場で培った実践的な知識やマネジメントスキルをもとに、保育士を対象とした研修講師や、保育士育成スクールの講師として活躍する道があります。
また、保育園の立ち上げや運営に関わる管理スタッフ、施設運営を担う本部職へのキャリアチェンジも視野に入れられるでしょう。将来的に保育現場を離れたいと考えている方も、主任としての経験を強みにできます。
信頼される存在として評価される
責任が問われやすい大変な役割だからこそ、主任としての頑張りは周囲からの信頼や評価につながります。子どもや保護者、保育士仲間から頼られる場面も多く、自分の存在が支えになっていると実感できるのはやりがいになるでしょう。人とのつながりや感謝の言葉が、日々の原動力になることも少なくありません。
「主任保育士がきつい」と感じたら転職も選択肢に
人間関係や園の方針での悩みから「このまま主任を続けていけるだろうか」と不安や悩みを感じる場合もあるでしょう。これまでに紹介した対処法を試したり、やりがいを見つめ直したりしても、気持ちが晴れないときは、転職の選択肢を考えてみるのも1つの方法です。
環境が変わるだけで気持ちが前向きになったり、自分らしく働けるようになることもあります。たとえば、保育方針が合う園に出会えれば、同じ主任という立場でも、無理なくチームをまとめられるようになるかもしれません。今までの経験を活かして、現場から少し離れた保育関連の仕事にチャレンジするという道もあります。現在の職場から転職を希望する際は、保育業界に特化したエージェントを活用するのも手です。
主任保育士が「きつい」と感じることに関する質問
ここでは、主任保育士が「きつい」と感じる人が抱えるお悩みを、Q&A形式でお答えします。ぜひ参考にしてみてください。
主任保育士に向いていない人の特徴はある?
自分のことだけで精一杯になってしまう人や、周囲とのコミュニケーションが苦手な人には、主任保育士を務めるのが難しい場合があります。たとえば、忙しいときにほかの職員の様子を気にかける余裕がなかったり、指示やアドバイスを伝えるのが苦手だったりすると、チーム全体をまとめることができません。「周りへの目配り」「伝える力」「学ぶ姿勢」は自分から磨きをかけられるので、日頃から意識してみるのがおすすめです。
主任保育士としての目標はどんな内容が望ましい?
主任保育士には、園全体や職員の成長を見据えた中長期的な目標を持つことが求められます。「どんな園にしたいか」「どんな保育を実現したいか」といった未来を見据えた目標にすることが大切です。
職員同士が声をかけ合える風通しの良い職場づくりを目指す
3年以内に保護者満足度アンケートの結果を改善し、満足度90%を目指す
新卒職員の離職率を減らすため、月1回の面談制度を導入する
上記のように、数値を設定したり、期限を決めたりすることで、園の方向性が明確になります。具体的かつ実行可能な目標を立てられれば、職員が安心して働ける環境づくりにもつながるでしょう。
まとめ
主任保育士は担任を持たずに全体を見渡す立場だからこそ、「保育業務に専任できない」「責任が重くてきつい」と感じることがあります。状況によっては、仕事量と給与のバランスに悩む場面もあるでしょう。一方で、主任としてチームを導き、園全体の成長に貢献できることは、仕事に携わるうえでのやりがいにつながります。主任という立場がどうしてもきついときは、転職を視野に入れるのも一つの手です。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。