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保育士が退職代行を使うとどうなる?メリット・デメリットや円満な辞め方

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パソコンを見ながら悩む保育士の画像

退職を考えている保育士の中には、「退職代行」に関心を持つ方もいるかもしれません。退職代行は、専門の業者が本人に代わって退職手続きを進めるサービスで、メリットもあれば注意すべき点もあります。 この記事では、退職代行の特徴や保育士が利用を検討する理由、退職代行を使わずに円満退職する方法を解説します。退職トラブルを相談するほかの選択肢も紹介するので、判断材料の一つにしてみてください。

この記事を書いた人

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「レバウェル保育士」編集部

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目次

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退職代行とは?

退職代行とは、退職を希望する本人に代わって、専門の業者が職場とのやり取りを行い、退職手続きを進めるサービスです。自分で退職を言い出しにくい場合も、退職日の調整や必要書類のやり取りを任せられるため、精神的な負担を軽減しながら退職を進められます。

代理交渉には弁護士資格が必要とされており、資格のない業者が対応すると弁護士法に違反する可能性があるため注意が必要です。また、退職代行の利用を通じて突然の退職連絡に職場が混乱したり、信頼関係が損なわれたりするリスクも考慮しなければなりません。

出典

e-Gov法令検索「弁護士法新規タブリンク」(2025年5月13日)

退職代行の利用を考え始める保育士の状況

保育士が退職代行の利用を検討する理由としては、心身の負担や職場環境の問題が挙げられます。以下では、退職代行の利用を考え始める保育士の主な状況をまとめました。

職場の労働環境に問題がある

保育士が退職代行の利用を考える背景には、厳しい職場環境があります。長時間労働や持ち帰り仕事が常態化し、労務管理にも問題がある職場では「このまま働き続けるのは難しい」と感じる保育士もいるでしょう。

実際に退職を決意しても、上司や園長に直接その意思を伝えるのは大きなプレッシャーがあります。このような理由から、精神的負担を軽減する手段として、退職代行の利用を検討する場合があるのです。

悪質な引き止めにあっている

保育士の人手不足が深刻化する中、一部の職場では、退職を申し出た保育士に対して悪質な引き止めが行われることがあります。そのため、強引な引き止めにどう対応すべきか分からず、退職代行の利用を考える保育士もいるようです。

「あなたが辞めたら園が回らない」「子どもたちが可哀想」と感情に訴えかけられたり、「そんな理由で辞めるのは甘い」と退職理由を一方的に否定されたりすると、保育士によっては直接交渉への不安や恐怖を強めてしまうでしょう。

バックレが頭をよぎってしまう

「バックレ」とは、正式な退職手続きをせずに、突然職場に出勤しなくなる行為を指します。本来は避けるべき行動ですが、退職交渉に対する不安や職場の人間関係の悪化によって、つい頭をよぎってしまう保育士もいるようです。

バックレは本人にも職場にもトラブルを引き起こす可能性があるため、現実的な選択肢とはいえません。そこで、正式な退職手続きとバックレの中間のような方法として、退職代行を検討する保育士もいると考えられます

精神的な負担が限界に達している

保育士の中には、ストレスによる疲弊から心身の限界を感じ、退職代行の利用を考える人もいます。精神的な負荷が大きい状況では、バーンアウト(燃え尽き症候群)に陥ったり、心身に症状が現れたりすることがあります。出勤すること自体が苦痛となり、自分で退職の意思を伝える気力すら持てなくなってしまう場合もあるでしょう。

そのようなとき、退職代行サービスは直接上司とやり取りせずに退職できる手段として、心理的な負担を軽減する助けになることもあります。

保育士が退職代行を利用するメリット

保育士が退職代行を利用する一番のメリットは、職場と直接やり取りをせずに退職できる点です。特に、弁護士や労働組合が運営している退職代行を利用すれば、より安心してサポートを受けられるでしょう。ここでは、そうした信頼性の高い業者に絞って主なメリットを紹介します。

園長や上司との面談を避けられる

保育士が退職代行を利用すると、園長や上司と直接会って退職の意思を伝える必要がなくなります。退職の話を切り出すときは不安や緊張を感じやすいものですが、感情的なやり取りを避けられるため、安心して手続きを進められるでしょう。

また、引き止めや不当な要求といったトラブルが起きそうな場合も、弁護士が対応する退職代行であれば代わりに交渉してもらえるため、安心して任せられます。

最短での退職が可能になる

保育士が退職代行を利用すると、最短での退職を実現できる可能性があります。健康上の問題や家庭の都合でできるだけ早く職場を離れたいという方や、「退職を引き延ばされたくない」という方には役立つかもしれません。

また、担当者によって迅速かつ効率的に手続きが進められるため、退職による嫌がらせやパワハラを受ける心配もなくなり、安心して退職に踏み切れるでしょう。

有給休暇や退職日の交渉を依頼できる

一部の退職代行では、有給休暇の取得や退職日について交渉を任せられます。一般的な退職代行業者では、退職の意思や有給休暇の取得希望を伝えることしかできません。しかし、弁護士が関与している業者であれば、残っている有給休暇についても適切に対応してもらえるため、自分の権利を守りながら退職条件を整えられます。

退職前の期間を上手く活用できれば、転職活動も余裕を持って進められるでしょう。

未払い残業代や給与を請求しやすい

一部の退職代行では、未払いの残業代や給与の請求も任せられる場合があります。事実と法律に基づいて交渉を進められるため、園側の言い逃れや誤魔化しを防ぐことにつながるでしょう。

また、弁護士が介入することで、園側の対応が真摯になりやすく、スムーズに請求が進む可能性も。退職後の準備に余裕を持ちたいという方は、金銭的な交渉を弁護士に任せることで、心理的な負担を軽減しやすいかもしれません。

保育士が退職代行を利用するデメリット

退職代行にはメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。保育士が退職代行の利用を検討する際は、短期的な利便性だけでなく、将来を見据えた判断が必要です。

3~8万円程度の費用が発生する

退職代行を利用する際のデメリットの一つが、費用がかかる点です。一般的にサービス料金は3万円〜8万円程度とされており、経済的に余裕のない保育士にとっては負担に感じることもあります。次の転職先が決まっていない場合は、心理的なプレッシャーにもなりかねません。

また、サービスによって支払方法も異なるため、契約内容を理解したうえで慎重に利用を検討する必要があります。

サービスの質にばらつきがある

退職代行は比較的新しい業界のため、業者によってサービスの質に差がある点には注意が必要です。たとえば、弁護士や労働組合が関与しているサービスと民間のサービスでは、取扱業務の範囲に差があります。実績が豊富な会社と経験の浅い新規業者では、保育士特有の事情にどこまで対応できるかにも違いが出るでしょう。

また、連絡の取りやすさや進捗報告の丁寧さ、対応のスピードなどもサービスによってばらつきがあります。退職後のサポート体制が整っているか、個別の状況に柔軟に対応してくれるかも重要な判断材料といえるでしょう。

近隣での転職に影響が出る可能性がある

退職代行では、今後のキャリアや地域内での転職活動に影響を及ぼすリスクもあります。地域の保育コミュニティが狭い場合、退職の経緯がほかの園に伝わる可能性があるでしょう。また、突然の退職は前職の園長・上司との関係性の悪化や、保護者との信頼関係を損なう原因にもなり、保育士としての評価に影響することも考えられます。

退職代行を利用する際は、将来の働き方や人間関係への影響も踏まえた慎重な判断が求められます。

保育士が退職代行を使わずに円満退職する流れ

保育士が退職を考えるときは、正しい手順を踏み丁寧に対応することで、退職代行を使わずに円満に辞められる場合があります。ここでは、円満退職を目指すための具体的な流れを紹介するので、状況に応じて視野に入れてみてください。

相手が納得できる退職理由を用意する

保育士が退職の意思を伝える際は、園長や上司が納得しやすく、具体的で分かりやすい理由を用意することが大切です。曖昧な表現は避け、自分の状況や今後の予定を簡潔に説明できるようにすると話がスムーズに進みやすくなります。

また、たとえ職場に不満があっても、否定的な言い方は避けましょう。「スキルアップのために新しい環境に挑戦したい」というように前向きかつ建設的な理由を伝えることで、相手に良い印象を与えられます。

退職時期に配慮する

退職時期に配慮することは、保育園の運営や子どもたちへの影響を抑えるうえで重要です。年度末や学期末など、できるだけ区切りの良いタイミングを選ぶことで、子どもたちや保護者にとっても混乱が少なくなります。

退職の意思は、可能であれば2〜3ヶ月前には伝え、後任の採用や引き継ぎに必要な時間を確保しましょう。やむを得ない理由がなければ、12月に退職の意思を伝えて3月末に退職するなど、園の行事や繁忙期を避けたスケジュールを立てるのが理想です。

忙しくない時間帯に退職の相談をする

退職の相談をする際は、園長や上司が落ち着いて話を聞ける時間帯を選びましょう。朝の受け入れや夕方の慌ただしい時間帯は避けたほうが無難です。いきなり話すのではなく、事前にアポイントを取ることで、相手も心の準備ができます。

面談場所は、ほかの職員や子どもたちに聞かれない静かな場所を確保しましょう。相談には30分〜1時間程度の時間を見込み、相手の質問にも丁寧に答えられるよう準備しておくことが大切です。

退職届を提出して意思の固さを示す

退職の意思を口頭で伝えたあとは、正式な退職届を提出することで、自身の決意の固さを示せます。提出のタイミングは、口頭での相談から数日以内が理想的です。提出時には丁寧な態度を心がけ、これまでの感謝を言葉にして伝えましょう。

なお、退職届は基本的に手渡しをするのが望ましいですが、やむを得ず郵送する場合は、配達証明のオプションをつけることをおすすめします。

引き止め目的の条件交渉には応じない

職場によっては、退職届を提出しても受け取ってもらえず、「人員が確保できるまで辞めないでほしい」と退職時期を引き延ばされる場合もあるかもしれません。

そのような状況であっても、感謝の気持ちを示しつつ退職の意思が固いことをしっかりと伝えるようにしましょう。曖昧な返答は避け、「退職の決意は変わりません」とはっきり言い、感情的にならず冷静に対話を続けることが大切です。

保育士の退職トラブルを解決する退職代行以外の方法

退職時にトラブルがあったとしても、必ずしも退職代行の利用が求められるわけではありません。保育士が納得のいく形で退職するためには、以下のような公的なサポートを活用する選択肢もあります

総合労働相談コーナー新規タブリンク
  • 各都道府県労働局や全国の労働基準監督署内に設置されている窓口
  • 労働条件や退職に関する幅広い相談について対応してもらえる
法テラス新規タブリンク
  • 国によって設立された法的トラブル解決のための総合案内所
  • 問い合わせ内容に応じて法制度や相談機関を案内してもらえる

信頼できる上司や先輩がいる職場であれば、建設的な話し合いができることもあるでしょう。しかし、パワハラやセクハラなどが見過ごされていたり、相談体制が整っていなかったりする職場では、誰にも頼れず悩みを一人で抱え込んでしまうことも少なくありません。

そのようなときは、退職代行を利用する前に、外部の専門機関や信頼できる第三者に相談してみましょう。誰かに話を聞いてもらうだけで気持ちが軽くなり、状況に合ったサポートを受けられるかもしれません。

出典

厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内新規タブリンク」(2025年5月13日)
日本司法支援センター「法テラス新規タブリンク」(2025年5月13日)

保育士が信頼できる退職代行を見分けるポイント

保育士が退職代行を利用する際は、サービスの内容や実績、対応の丁寧さなどを確認し、信頼できる業者を選ぶことが大切です。選択を誤ると期待どおりの結果が得られない可能性もあります。以下に退職代行の見分け方を紹介するので、お役立てください。

労働組合や弁護士が運営している

労働組合や弁護士が運営しているかどうかは、信頼性を見極めるうえで重要です。特に弁護士が関与しているサービスであれば、複雑な労働問題にも適切に対応できるほか、法律や倫理に基づいた運営が期待できるためセキュリティ面も安心といえるでしょう。

また、退職後のアフターフォロー体制も整っている傾向にあるので、サポート面も安心して利用しやすいといえます。

費用が一律で返金対応がある

信頼できる退職代行を選ぶ際は、料金の分かりやすさや返金対応の有無も大切です。業者によっては、基本料金に加えてオプション費用や特別対応による追加料金がかかることもあり、思わぬ出費につながる場合があります。その点、一律料金であれば、交渉の内容や時間にかかわらず費用が変わらないため、保育士も安心して利用しやすいでしょう。

また、サービスが期待どおりの結果でなかった場合に備え、返金保証があるかどうかも重要なチェックポイントです。返金の条件が明確に提示されているかどうかは、各業者の信頼性を判断する目安になります。

アフターサポートが充実している

信頼できる退職代行の特徴の一つは、退職後のアフターサポートがしっかりしていることです。退職手続きを代行するだけでなく、長期的な視点で依頼者をサポートする姿勢が見られるため、保育士が安心して利用できるポイントとなります。

具体的には、退職後のトラブルに関する相談対応や、離職票・源泉徴収票といった必要書類の取得サポートなどがあるようです。また、メンタルクリニックや引越業者の紹介といった退職後の生活をサポートするサービスを提供している業者もあります。

退職代行実績が多く口コミが良い

信頼できる退職代行を見極めるには、実績の多さや口コミの評価も大切な判断材料です。これまでに多くの退職をサポートし、保育業界の事情にも詳しい業者であれば、安心して任せやすいでしょう。また、SNS・口コミサイトで高評価となっていたり、紹介率が高かったりする業者も顧客満足度が高い証拠といえます。

ただし、口コミには事実と異なる内容や誇張された情報が含まれている可能性もあるので注意が必要です。実際に退職代行を利用した保育士の体験談も参考にしながら、複数の情報を比較して慎重に判断しましょう。

退職代行の利用は保育士の最終手段

退職代行には便利な面がある一方で、人間関係や保育業界でのネットワークを失ってしまう可能性も否定できません。そのため、退職代行の利用は保育士にとって「最終手段」と考えるのが望ましいでしょう。職場との間に誤解や行き違いがある場合は、直接話し合うことで関係が修復されたり、退職を見直すきっかけになったりすることもあります。

保育士の退職トラブルを解決する退職代行以外の方法」で紹介した内容を実践しても解決が難しい場合や、深刻なハラスメントなどで直接話し合うことが困難な場合に限り、退職代行の利用を視野に入れることをおすすめします。

保育士の退職代行の利用に関してよくある質問

ここでは、保育士の退職代行の利用に関してよくある質問を紹介します。

保育士が退職代行で失敗することはありますか?

退職代行の利用が必ずしも失敗につながるわけではありませんが、信頼性の低い業者を選んだり、自分の希望を正しく伝えられなかったりすると、期待した結果が得られないこともあります。また、法的リスクや将来の転職への影響、費用面での損失、心理的な後悔などが生じる可能性もゼロではありません。

保育士が退職代行を使う際の連絡は電話のみですか?

保育士が退職代行を利用する際の連絡手段は、電話だけに限りません。サービスによっては、メールやチャットアプリなど複数の方法で相談できる場合があります。自分に合った連絡手段を選べるほか、女性スタッフによる対応を希望できる業者もあるようです。

保育士が退職代行を使って保育園を辞める理由は何ですか?

保育士が退職代行を利用する理由には、長時間労働や人間関係の悪化、健康上の問題などが挙げられます。また、自力で退職を伝えるのが困難な場合や、専門家による適切な対応を求める場合にも利用されることがあるようです。詳しくは、この記事の「退職代行の利用を考え始める保育士の状況」をご覧ください。

まとめ

退職代行は、退職を希望する人に代わって専門業者が職場とのやり取りを行い、退職手続きを進めるサービスです。保育士が退職代行を利用することで、対面でのやり取りを避けたり、担当者のサポートを受けて迅速に退職できたりするメリットがあります。しかし、費用や転職活動への影響も考慮する必要があるため、退職代行が最適な選択肢とは限りません。総合労働相談コーナーなども活用し、自分に合った方法を見極めることが大切です。

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執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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