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保育士試験の造形に合格するコツは?効果的な練習方法や減点を防ぐポイント
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「造形試験に合格できるか不安」という方もいるのではないでしょうか。保育士試験の造形とは、与えられた内容を絵で表現する実技試験です。 この記事では、造形試験の合格基準や受験に必要な持ち物、絵の描き方のコツを紹介します。造形試験における効果的な練習方法や減点を回避するポイントも解説しますので、ぜひ確認してください。
目次
保育士試験の造形とは
保育士試験の造形は、実技試験にある3つのジャンル「音楽・造形・言語」のうちの1つです。一般社団法人全国保育士養成協議会の「実技試験(前期)概要」によると、造形の実技試験では、試験時間である45分以内に当日示される問題文の条件を満たした絵を縦横19cmの枠内に描きます。造形試験の問題文は、保育現場を想定したテーマで出題され、登場人物の人数やシチュエーションの条件なども提示されるようです。
ここでは、造形試験の合格基準や免除対象者を解説します。
出典
一般社団法人全国保育士養成協議会「実技試験(前期)概要」(2025年5月26日)
試験の合格基準
こども家庭庁の「保育士試験の実施について (p.12)」によると、実技試験の合格基準は満点の6割以上とされています。しかし、実技試験の具体的な採点基準は公表されておらず、どの要素がどの程度評価されるのかはわかりません。造形試験で合格基準を満たすためには、出題条件を満たす絵を時間内に描き上げられるようにし、減点となり得る要素を最小限に留めるのがポイントでしょう。
出典
こども家庭庁「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」(2025年5月26日)
造形試験の免除対象者
こども家庭庁の「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」によると、幼稚園教諭免許状を所有している場合は、「保育の心理学」「教育原理」「実技試験」が免除されます。そのため、幼稚園教諭免許状がある場合は、造形試験を受験する必要がありません。
出典
こども家庭庁「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」(2025年5月26日)
保育士試験の造形の受験に必要な物
一般社団法人全国保育士養成協議会の「実技試験(前期)概要」によると、保育士試験の造形試験には、以下の持ち物が必要です。
鉛筆またはシャープペンシル(HB~2B)
色鉛筆(12~24色程度)
消しゴム
腕時計
上記の画材を使って普段から練習しておくと、落ち着いて造形試験に臨めるでしょう。造形試験ではクレヨンやパス、マーカーペンの使用は認められていないため、注意してください。また、上記以外にも鉛筆削りは持ち込みできるため、持参しておくと安心です。造形試験の当日に慌てないよう、持ち物は事前に用意しておきましょう。
出典
一般社団法人全国保育士養成協議会「実技試験(前期)概要」(2025年5月26日)
保育士試験の造形における絵の描き方とコツ
造形試験では、限られた時間の中で問題に沿った絵を完成させる必要があります。ここでは、保育士試験の造形における絵の描き方とコツをまとめました。
問題文を確認する
造形試験を受験する際は、最初に問題文をしっかりと読み、出題条件を把握します。問題文には「何を描くべきなのか」の重要な情報が含まれているため、正確に理解していないと減点に繋がる可能性があるでしょう。問題文で示された登場人物の人数や、活動内容を間違えないよう注意が必要です。
また、造形試験では、場面設定もポイントです。「室内」「屋外」「公園」などの指定があれば、それに合った背景や小物を描く必要があります。造形試験では、問題文の内容を正しく反映させ、「誰が」「どこで」「何をしているか」が明確に伝わる絵を描きましょう。
構図をラフスケッチする
問題文の内容を理解できたら、全体の構図を決めるためにラフスケッチを描きます。ラフスケッチとは、「どこに何を配置するか」を決めるための簡単な下書きです。絵の構図がバランス良く整っていないと人物の位置が偏ったり、背景が寂しくなったりするため、事前に配置を考えます。構図を決める際には、主要な人物を中央付近に配置し、子ども同士の関係性や保育士との関わりがわかりやすい絵になるよう工夫するのがコツです。ラフスケッチの段階では、人物の細かい表情や服装は描き込まず、全体のバランスを確認するのに集中しましょう。
人物の書き込みをする
絵の構図が決まったら、人物の詳細を描き込みます。描かれた人物がいきいきしていると、絵の印象が良くなるため、表情や動きを丁寧に表現しましょう。人物を描くときは、年齢に応じて頭身に差をつけるのがポイントです。子どもを描く際は、頭を大きく、手足は短くすると幼い雰囲気になります。どの人物を描くときも、喜怒哀楽をわかりやすく、自然な手足の動きを意識して描きましょう。
背景と小物を描写する
人物の描き込みが終わったら、背景や小物の絵を追加して、場面を具体的にします。シンプル過ぎる絵は寂しい印象になるため、必要な要素を入れて、ストーリー性を持たせてください。室内の絵であれば棚やおもちゃ、屋外の絵であれば木や遊具など主要なポイントを押さえて何をしている場面かがわかる絵にしましょう。背景は奥行きを意識して、遠近感が伝わるように描くと効果的です。
色を塗る
最後に、色鉛筆を使って絵に着色をします。絵の色合いは全体的に明るく温かみのあるものを選び、楽しい雰囲気の絵に仕上げましょう。色鉛筆で着色するときは単色でべた塗りせず、重ね塗りやグラデーションを意識すると、より自然な仕上がりになります。人物や物に立体感をつける場合は、軽く影をつけるのがおすすめです。時間内に着色できるよう、主要な部分を先に塗り、最後に細かい部分を調整しましょう。
保育士試験の造形を効果的に練習する方法
保育士試験の造形でスムーズに問題文に沿った絵を描けるようにするには、日頃からの練習を積むのが大切です。ここでは、造形試験の対策として効果的な練習方法を紹介します。
基本的なデッサンを練習する
まずは、人物や身近な物を素早く描けるように練習しましょう。造形試験では、細かいリアルな絵を求められるわけではありませんが、子どもや保育士の特徴を表現できる力が必要です。人物を描くときは、立ち姿だけでなく、座る・走る・抱っこされるなどの動作も練習します。椅子やおもちゃ、遊具など保育現場によく見られるアイテムも、特徴をつかんで素早く描けるようにしておくと試験本番に役立つでしょう。短時間で人物や物の形を捉えられるようになるまで、デッサン練習を繰り返すのがポイントです。
構図力を鍛える
造形試験では、縦横19cmの限られたスペースに、問題文に沿った絵の場面を表現しなければなりません。そのため、どの位置に何を配置するのかを考える構図力が重要です。構図を決める際は、「メインの人物はどこに配置するか」を先に決めましょう。たとえば、保育士と子どもが遊んでいる場面なら中心に関わりのある人物を描き、周囲に背景や小物を配置するとまとまりが良くなります。背景や小物を配置するときは、絵に奥行きが出るよう意識しましょう。
また、人物の視線の流れを意識することも大切です。子どもたちが中心にいるメインの人物の方向を向いている絵を描くと、視線が中央に集まり、ストーリー性が伝わりやすくなります。構図力を鍛えることで、見やすく、印象に残る絵を描けるようになるでしょう。
色鉛筆で色を塗る練習を行う
造形試験では、色鉛筆を使って色を塗る必要があります。そのため、色鉛筆ならではの色の使い方に慣れておくのが大切です。色鉛筆を使った色塗りのコツは、「明るく温かみのある配色」を意識することです。保育の場面では楽しく安心感のある雰囲気が求められるため、カラフルな色合いを使い、絵に優しい印象を持たせます。
また、色塗りをする際は、重ね塗りを活用して影や光を考えて色をのせましょう。たとえば、人物の肌の色を塗る際には、ピンクやオレンジを混ぜると立体感のある自然な仕上がりになります。造形試験の本番で焦らないよう、普段から色鉛筆の使い方を工夫して練習しましょう。
過去の試験問題で対策する
実際の造形試験と同じ条件で、過去の試験問題を活用して絵を描けるように練習しましょう。造形試験の本番では45分以内に構図を決め、人物や背景を描いて着色するという一連の流れをこなさなければいけません。
時間を計りながら過去の試験問題に取り組むと、自分の弱点が分かり、改善すべきポイントが明確になります。過去の試験問題を通じて、どのような場面がよく出題されるのかも把握できるため、重点的に練習した方が良いテーマが見えてくるでしょう。過去の試験問題に挑戦したあとは、振り返りを行い、時間を短縮できる部分や表現を工夫した方が良い部分を洗い出すことが大切です。過去の試験問題で練習を重ねると、試験本番も落ち着いて対応できるようになります。
保育士試験の造形で減点を回避するポイント
造形試験は明確な採点基準の公表はされていませんが、減点されないよう注意することが大切です。ここでは、造形試験で知らないうちに減点されないよう、注意すべきポイントを解説します。
枠内全体に色を塗る
造形試験では、何も色をつけていない部分が多いと減点の対象になる可能性があります。背景の壁や床、空などに色がないと未完成の印象を与えてしまうため、注意が必要です。背景の壁や床は薄いベージュや木目調で塗ったり、窓の外は空の色で塗ったりするのが効果的でしょう。
時間に余裕がなければ、壁や床に軽く色鉛筆でグラデーションをつけるだけでも、しっかり塗り込まれた絵という印象になります。薄い色でも良いので枠内全体に色を塗り、余白がないように気をつけましょう。
人物は関節を意識して描く
人物の関節の表現が不自然だと絵に違和感が出てしまい、評価が下がる可能性があります。たとえば、腕や足を棒のように描いてしまうと、動きのあるポーズを上手く表現できません。造形試験では子どもが遊んでいる場面など、動きのあるシーンが出題される傾向にあるため、関節の曲がり方を意識して描くのが重要です。
手を振る動作を描くときは肘を曲げたり、走る動作を描くときは片膝を上げて腕を前後に振ったり、関節の位置と向きを意識すると自然な動きを表現できます。人物の体を描く際、関節の位置を決めてから動きをつけて描くのも効果的でしょう。
時間配分を考える
造形試験では制限時間が45分と決まっているため、時間が足りず、未完成の状態で絵を提出すると減点につながります。そのため、時間配分を決めて取り組むことが重要です。最初の10分で問題文を把握し、ラフスケッチで構図を決めます。次の15分で人物を中心に清書し、細かい部分を描き込みましょう。最後の20分で色塗りと背景や小物を仕上げます。
色塗りは時間がかかりやすいため、細かく描き込み過ぎて色を塗る時間が足りなくならないよう注意が必要です。自分が時間のかかる工程を把握して、時間配分の感覚をつかみましょう。
保育士試験の造形に関してよくある質問
保育士試験の造形に関してよくある質問に、Q&A形式でお答えします。
保育士試験の造形は初心者で絵が下手な場合も合格できる?
造形試験は、初心者も合格を目指せます。造形試験は絵の上手さよりも問題文の内容を絵に反映できているかが重要で、プロのようなイラストの技術は必要ありません。造形試験で大切なのは、出題されたテーマに沿った内容の絵を描くことです。初心者も描くコツを押さえて練習すれば、「場面が伝わる評価されやすい絵」を描けるようになります。造形試験に向けた絵の練習方法は、本記事の「保育士試験の造形を効果的に練習する方法」を参考にしてください。
保育士試験の造形において、合格作品と不合格作品の違いは?
造形試験において合格作品と不合格作品の違いは、「問題文に応じた絵かどうか」と「完成度が一定の基準を満たしているかどうか」です。造形試験に合格する作品は問題文に沿った場面が明確に描かれており、子どもや保育士の動きや表情が伝わります。
不合格になる作品は、テーマから外れた場面が描かれていたり、減点ポイントがあったりするようです。色塗りが中途半端な場合や時間内に描き切れていない場合も、不合格になる可能性があります。本記事の「保育士試験の造形で減点を回避するポイント」で減点を防ぐ方法を紹介しているので、ぜひご確認ください。
まとめ
保育士試験の造形試験とは、制限時間内に示されたテーマに沿った絵を描く実技試験です。造形試験では、絵の上手さよりも「お題の場面を適切に表現できているか」が重要視されます。造形試験に合格するためには、テーマに沿った内容を正確に描いて人物の表情や動きを自然に表現する、塗り残しなくバランス良く色を塗るのが大切です。絵を未完成のまま提出したり、人の動きが不自然だったりする場合は、減点につながる可能性があります。
造形試験の練習方法として、基本的なデッサンや構図の練習、過去の試験問題を使った時間配分を確認するのが効果的です。造形試験では、温かみが伝わる表現を心がけ、保育の現場を想像しながら描くのがポイントです。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
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