最終更新日:
幼稚園教諭は保育園で働ける?特例制度で資格を取得する方法や働くメリット
- #幼稚園教諭

「幼稚園教諭は保育園で働ける?」という疑問を持っていませんか?幼稚園教諭は、免許を活かして保育園で働ける可能性があります。 この記事では、幼稚園教諭が保育園で働くための具体的な方法や条件、メリットなどを解説します。幼稚園教諭が保育士資格を取得する方法についてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
目次
幼稚園教諭は保育園で働ける可能性がある!
幼稚園教諭は特例制度を活用したり、保育補助として働いたりすることで、保育園で働ける可能性があります。ここでは、特例制度を活用する条件や、保育補助として働く方法をまとめました。
特例制度を活用して保育園で働く
特例制度を活用すれば、保育士資格を持っていなくても保育園で働ける場合があります。以下では、特例制度の概要と条件を整理しました。
保育所等における保育士配置に係る特例制度とは
「保育所等における保育士配置に係る特例制度」とは、保育士不足に対応するために設けられた制度です。特例制度により、保育士の資格を持っていない幼稚園教諭や小学校教諭、養護教諭などが一定の条件を満たすと保育園で勤務できるようになりました。
特例制度が設けられた背景には、保育士不足があります。待機児童問題の解消や保育の質の向上を図るには、保育現場で働く人材の確保が必要です。幼稚園教諭は、子どもの発達や教育に関する専門知識を持っているため、保育園で勤務する適性があると考えられています。
特例制度の適用は自治体によって異なる場合があるので、注意が必要です。特例を活用して保育園で働くことを検討する場合は、各自治体の規定を確認しましょう。
幼稚園教諭が保育園で働く条件
厚生労働省の「保育所等における保育士配置に係る特例について(通知)(p.2)」によると、幼稚園教諭が特例制度を活用して保育園で働く際は、3歳児以上の保育を担当するのが望ましいとされています。保育経験のない幼稚園教諭等は、子育て支援員研修や保育に必要な研修の受講を求められるのが基本です。
事業所や自治体の判断によっては、特例を実施していない場合もあります。そのため、すべての幼稚園教諭がすぐに保育園で働けるわけではありません。実際に特例制度を利用して保育士として働く幼稚園教諭の数は、それほど多くないのが現状のようです。
出典
こども家庭庁「通知(平成24年度~平成29年度)」(2025年5月12日)
保育補助として働く
幼稚園教諭が保育園で働ける方法として、保育補助という選択肢もあります。保育補助は、保育士資格を持たなくても働ける職種です。
保育補助の仕事は、保育士のサポートや子どもたちの見守り、保育環境の整備などがあります。幼稚園教諭が保育補助として働くことで、保育現場の雰囲気が分かり、将来的に保育士資格の取得を目指すきっかけにもなるでしょう。
幼稚園教諭免許状を持っていると、子どもとの関わり方や発達に関する知識があるため、保育補助で働く際も即戦力として活躍できるかもしれません。
幼稚園教諭が保育園で働くメリット
幼稚園教諭が保育園で働くと、より幅広い年齢の子どもの成長を間近で見られたり、保育の知識を学べたりするメリットがあります。この項の内容を参考に、幼稚園教諭が保育園で働く魅力を確認してみましょう。
より幅広い年齢の子どもと関わる機会がある
幼稚園教諭が保育園で働くメリットは、より幅広い年齢層の子どもたちと関わる機会が得られることです。幼稚園では3歳から6歳までの子どもたちを対象としていますが、保育園では0歳から6歳までの子どもたちに対応します。
幼稚園教諭が保育園で働くことで、乳児から幼児まで、より広い年齢層の子どもたちの成長に関わることが可能です。たとえば、「言葉を話す前の子どもたちとのコミュニケーション方法」や「初めての歩行をサポートする方法」など、幼稚園では経験しにくい保育スキルを身につけられます。
幅広い年齢層の子どもたちと関わることで、子どもの成長と発達をより深く理解でき、多様な保育スキルを学ぶことが可能です。
保育の専門性が身につく
幼稚園教諭が保育園で働くことで、保育の知識を学べます。幼稚園と保育園では、子どもたちと関わる時間や方法に違いがあるのが特徴です。保育園は幼稚園よりも、長い時間を子どもたちと過ごすため、生活全般にわたるケアを行います。子どもの基本的な生活習慣の形成や健康管理、安全への配慮など、より幅広い保育スキルを身につけることが可能です。
保育園では、子ども一人ひとりに合わせて、細やかな対応が求められます。年齢が低い子どもの場合、それぞれ発達段階や生活リズムが異なるため、個別の配慮が必要です。保育園での勤務経験を通じて、子どもの特性をより理解し、年齢に応じた保育を行う能力が磨かれます。
幼稚園教諭が保育士資格を取得する方法
幼稚園教諭が保育士資格を取得する方法は、主に3つあります。ここでは、それぞれの取得方法をまとめました。
保育士資格特例制度を活用する
保育士資格特例制度は、幼稚園教諭が効率的に保育士資格を取得するための制度です。こども家庭庁の「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」によると、特例制度は令和11年度末まで期間限定の制度になります。
幼稚園教諭が特例制度を活用し、保育士養成施設で特例教科目8単位を修得すると、保育士試験が全科目免除されるのが特徴です。保育士資格特例制度を利用するには、幼稚園教諭免許状を取得後、3年以上かつ4,320時間以上の実務経験が求められます。
幼稚園教諭が保育士資格特例制度を活用すれば、必要な学習期間が大幅に軽減され、より早く保育士資格の取得が可能です。
出典
こども家庭庁「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」(2025年5月19日)
保育士試験に合格する
幼稚園教諭は、保育士試験に合格して保育士資格を取得することも可能です。こども家庭庁の「保育士になるには」によると、保育士試験は年に2回実施されています。保育士試験には筆記試験と実技試験があり、筆記試験に合格すれば実技試験に進める仕組みです。
一般社団法人全国保育士養成協議会の「幼稚園教諭免許状所有者の免除について」によると、幼稚園教諭は免除申請をすることで、「保育の心理学」「教育原理」「実技試験」が免除されます。それ以外の科目についても、指定保育士養成施設で科目履修し免除申請すると、対応する科目の筆記試験が免除になるのが特徴です。
保育士資格特例制度が対象外の幼稚園教諭も、保育士試験は一部科目が免除されるため、挑戦してみるのも1つの選択肢になります。
出典
こども家庭庁「保育士になるには」(2025年5月19日)
一般社団法人全国保育士養成協議会「幼稚園教諭免許状所有者の免除について」(2025年5月19日)
指定保育士養成施設を卒業する
指定保育士養成施設の卒業によって、保育士資格を取得する方法もあります。指定保育士養成施設で必要な科目を履修して卒業すれば、保育士試験なしで保育士資格を取ることが可能です。より体系的に保育を学びたい場合や学校での学習が合っている人は、指定保育士養成施設の卒業を目指すのも1つの手になります。
こども家庭庁の「保育士になるには」によると、指定保育士養成施設には、大学・短期大学・専門学校があります。指定保育士養成施設の中には通信教育課程を設けている場合もあり、働きながら学ぶことも可能です。ただし、通学するには時間と費用がかかるため、長期的な視点で検討する必要があります。
出典
こども家庭庁「保育士になるには」(2025年5月19日)
幼稚園教諭が保育園で働けることに関してよくある質問
ここでは、幼稚園教諭が保育園で働けることに関してよくある質問に、Q&A形式でお答えします。
幼稚園教諭は保育士資格特例制度をいつまで活用できる?
保育士資格特例制度の期限は令和12年3月31日までです。利用を考えている方は、自分が対象になるかどうかを確認し、なるべく早めに行動しましょう。
保育士資格特例制度を詳しく知りたい方は、本記事の「保育士資格特例制度を活用する」を確認してみてください。
幼稚園教諭免許状と保育士資格を両方取れる学校はある?
幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方を取得できる学校は存在します。指定保育士養成施設のうち認可校であれば、卒業と同時に幼稚園教諭免許状と保育士資格の取得が可能です。併修校の場合は保育士資格の取得のみとなりますが、通信教育を併用して幼稚園教諭免許状が取れる学校もあるため、確認してみましょう。
まとめ
幼稚園教諭が保育園で働くには、特例制度の活用や保育補助としての就業、保育士資格の取得といった選択肢があります。保育園で働くことで、より幅広い年齢の子どもたちと関わり、保育の専門性が身につき、キャリアの幅が広がるかもしれません。
幼稚園教諭が保育士資格を取得する場合、保育士資格特例制度の活用や保育士試験への合格、指定保育士養成施設の卒業といった方法があります。現在の状況や目標に合わせて自分に向いている方法を選ぶことが大切です。
幼稚園教諭の免許を活かしつつ、保育園への転職を考えている方は、「レバウェル保育士」に相談してみてください。「レバウェル保育士」なら、幼稚園教諭から保育園への転職に関する不安や疑問に対して、保育業界に精通したアドバイザーが丁寧に対応します。
幼稚園と保育園の勤務形態の違いについても詳しくアドバイスできるので、新しい環境への挑戦を目指す方はぜひお問い合わせください。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。