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保育士が派遣で働くメリット・デメリットは?働き方や待遇などを解説!
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「派遣保育士として働くメリットって何だろう?」と疑問を持つ方もいるかもしれません。保育士が派遣で働く主なメリットは、勤務時間・日数の自由度が高く、高時給で働けることや複雑な人間関係に巻き込まれにくいことです。また、多様な勤務先を経験できるため、視野を広げることにもつながります。この記事では、派遣保育士のメリット・デメリットを解説します。柔軟な働き方を希望する保育士の方は、参考にしてみてください。
この記事のまとめ
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保育士が派遣で働く主なメリットは、働き方の自由度が高いこと
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残業や責任の重い仕事が少なめで、心身の負担も軽減しやすい
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雇用の安定性が低い点や、給料が上がりにくい点には注意が必要
目次
派遣保育士の働き方は?
派遣保育士とは、人材派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の保育施設で働く保育士のことです。正社員やパート・アルバイトと異なり、雇用主は派遣会社となります。派遣保育士の魅力は、契約内容によって柔軟に働き方を選択できる点です。自分のライフスタイルに合わせた働き方ができるため、子育て中の方やブランクがある方、早番・遅番のシフト制に体力的な負担を感じる方などにとって、有効な選択肢となるでしょう。
厚生労働省の「派遣で働く皆様へ」によると、通常の派遣保育士の場合、同じ勤務先で働ける期間は、原則として3年が上限と定められています。派遣保育士についてさらに詳しく知りたい方は、「保育士の派遣ってどうなの?実際の仕事内容やメリット・デメリットを解説」の記事をご参照ください。
出典
厚生労働省「派遣で働く皆様へ」(2025年11月27日)
【働き方】派遣保育士のメリット
派遣保育士として働く主なメリットは、勤務時間や日数の融通が利きやすく、職場の人間関係に悩まされにくい点です。現在、正社員として長時間労働や複雑な人間関係に疲れている場合は、雇用形態を変えることで仕事の負担を軽減できるかもしれません。以下で詳しく見ていきましょう。
働き方の自由度が高い
派遣保育士のメリットの1つは、働き方の自由度の高さです。フルタイムだけでなく、短時間勤務や週3〜4日のみの勤務など、希望に合わせて勤務時間や日数を柔軟に対応してもらえます。そのため、結婚や育児、介護などで「保育士を続けながら家庭を優先したい」と考える方にとっては、理想的な働き方といえるでしょう。
また、正社員のように長期的な勤務が前提ではないため、契約期間満了を機に円満に退職することが可能です。退職手続きはすべて派遣会社が代行してくれるため、「引き止めに遭うのでは」という不安や、「職場に迷惑をかけてしまう」といった後ろめたさを感じることなく、次のステップに進めます。
人間関係に縛られにくい
職場の人間関係に悩まされにくい点も、派遣保育士として働くメリットです。正社員として働いていると、園内の人間関係や職場の雰囲気に悩み、転職を考えるケースも少なくありません。しかし、派遣保育士は、派遣先から直接雇用されているわけでないため、園の内部事情や複雑な人間関係のしがらみに巻き込まれることが比較的少なめです。
また、契約期間の満了に合わせて勤務先を変更できるため、心理的な安心感につながり、気楽に働けるという声も聞かれます。ただし、勤務先が変わるたびに新しい人間関係を築く必要があるため、環境の変化にストレスを感じやすい方は注意しておく必要があるでしょう。
【仕事内容】派遣保育士のメリット
ここでは、仕事内容に関する派遣保育士のメリットを解説します。一般的に派遣保育士に任される仕事内容は、パート職員とほぼ変わりません。そのため、正社員の業務にプレッシャーを感じている方は、派遣の働き方を視野に入れてみるのも手です。
子どもの保育に集中できる
派遣保育士は、担任業務や事務作業の負担が少ないことが一般的です。そのため、保育に集中しやすく、「子どもの成長を近くで見守りたい」「もっと触れ合いの時間を大切にしたい」といった保育士の思いを実現しやすいというメリットがあります。
ただし、派遣保育士の仕事内容は園の体制によって異なります。中には、クラス担任と同等の立場で働く必要があったり、週リーダーなどの責任ある役割を任されたりするケースもあるようです。入職後に「聞いていた話と違う」といったトラブルを避けるためにも、具体的な業務範囲について、必ず派遣会社と擦り合わせをしておきましょう。
人手不足や保育の質向上に役立てる
派遣保育士は、保育現場の人手不足を解消し、保育の質を高めるうえで重要な存在です。多くの保育施設では慢性的な人手不足が続いており、派遣保育士がいることで職員の負担軽減につながっています。実際に現場からは、「必要なときにサポートしてもらえるので助かる」といった感謝の声が聞かれます。
また、複数の施設で勤務した経験を持つ派遣保育士は、豊富なノウハウを身につけています。そのため、新しい視点やアイデアを現場にもたらし、保育の質の向上に貢献できるというメリットもあります。ただし、正社員が極端に不足している職場では、想定以上の役割や責任を求められる可能性もあるので、自分が無理なく働ける職場かどうかを慎重に見極めることが大切です。
正社員に比べ残業や持ち帰り仕事が少ない
派遣保育士のメリットとして、残業が少なく、持ち帰り仕事が発生しにくい点が挙げられます。派遣の場合、契約時間内で業務を終えることが前提となるため、突発的な残業や休日出勤を依頼されるケースは多くありません。仕事とプライベートの区切りがつけやすく、会議や事務作業、行事準備などで疲労困憊な保育士にとって働きやすい環境といえるでしょう。
子どもの命を預かる責任は正社員と変わらないものの、業務が際限なく増える心配が少ないため、精神面・体力面の負担を軽減しやすいはずです。
【キャリア】派遣保育士のメリット
派遣保育士として働くと、複数の施設での経験を通して、自分の保育スキルや引き出しを広げられます。ここでは、派遣保育士として働くことで得られるキャリア面でのメリットを紹介します。
さまざまな職場で保育士の経験を積める
キャリア形成における派遣保育士のメリットは、幅広い保育現場を経験しながら視野を広げられる点です。大規模保育園や小規模保育園、認定こども園、企業内保育所など特徴の異なる施設で勤務することで、年齢ごとの関わり方や園ごとの保育方針の違いを学べます。その結果、どのような環境であっても柔軟に対応できる力が身につくでしょう。
また、正社員の場合は「少し合わないな」と感じても簡単には辞めにくいものですが、派遣なら契約期間に合わせて職場を変えられます。そのため、「職場選びで失敗したくない」という思いが強い方も、興味がある分野に挑戦しやすいでしょう。
保育士のキャリアを見直せる
派遣という働き方は、保育士としてのキャリアを見直す良いきっかけになります。正社員の保育士の中には、サービス残業や持ち帰り仕事、重い責任、煩雑な事務作業などが原因で心身ともに疲弊し「もう続けられない」と異業種への転職を選ぶ方も少なくありません。
しかし、派遣保育士として働けば、基本的に契約で定められた業務に専念できるため、正社員時に抱えていた過度な業務負担や責任が軽減される傾向にあります。その結果、仕事の楽しさを再認識できたり、新しい園での成功体験を通じて自信を取り戻したりして、キャリアを中断することなく保育士の仕事を続けられる可能性があるのです。
【待遇】派遣保育士のメリット
派遣保育士として働く際、気になるのが待遇面ではないでしょうか。派遣の場合、雇用主は保育園ではなく派遣会社となるため、給与や各種手当、福利厚生などは派遣会社の規定が適用されます。以下で具体的にどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
労務管理がしっかりしている
派遣保育士の待遇面のメリットは、労働時間や休憩、有給休暇などがきちんと管理される点です。残業や休日出勤も派遣会社を通して適切に管理されるため、過重労働やサービス残業の心配が少なく安心して働けます。
また、派遣先を変えても、一定の条件を満たしていれば派遣会社の社会保険が継続されるため、正社員のように退職手続きの負担を気にせず働くことが可能です。労働条件に関する相談や調整も派遣会社が窓口となるので、万が一問題が起きてもサポートしてもらえます。
パートやアルバイトに比べ時給が高い
派遣保育士の時給は、地域や経験によって異なりますが、一般的にパートやアルバイトより高めに設定されています。正社員として働いていると、サービス残業が多く、「時給に換算するとこれだけ…?」とモヤモヤしてしまうこともあるかもしれません。派遣保育士なら、働いた分がしっかり収入に反映されるため、待遇面の不満を解消しやすいのが魅力です。派遣会社によっては、一定期間勤務すると賞与や退職金が支給されるところもあります。
派遣から正社員になれることもある
派遣保育士には、主に「登録型派遣」と「紹介予定派遣」の2種類の働き方があります。このうち、紹介予定派遣を選ぶと、最長6か月の派遣期間を経て、双方の合意があれば正社員として直接雇用されることが可能です。
正社員登用が確約されているわけではありませんが、「職場の雰囲気を確かめてから決めたい」「ブランクがあるためすぐに正社員に戻るのは不安」といった方には、お試し期間として働きながら職場との相性を確認できるメリットがあります。
ブランクがある方や未経験の方も働きやすい
派遣保育士は、「働き方の自由度が高い」「業務範囲が比較的限定されている」といった理由から、ブランクのある人や実務経験が少ない人にも向いている働き方です。保育補助が中心の職場であれば、「転職後にいきなり担任を任されるのは不安」「少しずつ経験を積んで自信をつけたい」という方も自分のペースで現場に慣れていけるでしょう。
前述のとおり、状況次第で正社員への道が開ける可能性もあるので、焦らず次のステップを検討できるはずです。
派遣会社のサポートがある
派遣保育士として働く場合、派遣会社から手厚いサポートを受けられるのもメリットの1つです。多くの派遣会社では、求人の紹介から面談の調整、就業後のフォローまで一貫したサポート体制を整えています。派遣先には直接相談しにくいことでも、コーディネーターが間に入って調整してくれるので安心です。また、派遣会社によっては研修制度を設けており、保育スキルの向上をサポートしてくれる場合もあります。
どの派遣会社を選べば良いか迷う場合は、口コミを見たり知人に聞いたりするのも方法の1つです。会社によってサービスや特徴が異なるため、自身に合ったところを選びましょう。
派遣保育士のデメリット
派遣という働き方は、働く目的や重視するポイントによってメリットにもデメリットにもなり得ます。ここでは、派遣保育士がデメリットと捉えられやすい点を紹介するので、自身の価値観と照らし合わせてみてください。
契約期間に限りがある
派遣保育士のデメリットとしてよく挙げられるのが、雇用の安定性が低い点です。派遣契約には、一般的に3か月から1年程度といった契約期間が定められています。幅広い経験を積めるのは派遣ならではのメリットですが、実際に働き始めると職場を転々とする働き方に落ち着かなさを感じる方もいるようです。ただし、勤務態度が評価されれば、園側から直接雇用の提案を受ける可能性もあります。
給料が上がりにくい
派遣保育士として働く場合、正社員のような昇給や賞与、処遇改善手当の支給などは期待できません。そのため、勤続年数や経験が増えても、長期的に見て給料が上がりにくい傾向があります。平均時給が高かったり、残業代がしっかり支払われたりするメリットはありますが、正社員と比較すると、生涯年収では大きな差が生じる可能性があるでしょう。
現に、派遣保育士の中には、直接雇用として働く保育士との待遇差に虚しさを感じたり、給食費補助などの福利厚生が受けられないことを惜しいと感じたりする方もいるようです。
役職に就けない
キャリアアップを重視する保育士にとって、派遣勤務はデメリットとなる可能性があります。なぜなら、派遣保育士は、クラス担任や主任などの責任あるポジションを任されにくい傾向があるためです。園によっては正社員のみが研修に参加する場合もあり、キャリアに必要な知識やスキルを体系的に学ぶ機会が限られることも考えられます。
そのため、保育の中心的な役割を担いたい、自分の保育観を実現したいという方には、派遣の働き方は物足りなく感じるかもしれません。特定の保育園に根ざし、将来的に正社員を目指したい場合は、紹介予定派遣を選択肢に入れ、直接雇用への道を検討することをおすすめします。
派遣という立場がプレッシャーになる
派遣保育士として働く際、派遣されているという立場自体がプレッシャーになることもあります。派遣は正社員のような無期雇用契約ではないため、経費削減などを理由に契約更新されないリスクがあります。そのため、「次の園はスムーズに決まるだろうか」「自分の働きぶりが契約に影響しないだろうか」という心配を抱えることもあるでしょう。
また、派遣先によって職場の人間関係や保育方針、仕事の進め方などが変わるため、新しい環境に馴染むのに時間がかかったり、精神的な疲労を感じたりする保育士もいるようです。
正社員の保育士と壁を感じることがある
派遣保育士として働く際の心理的なデメリットとして、正社員の保育士との間に見えない壁を感じることがあります。これは、情報共有が後回しにされたり、職員会議への参加機会が限られたりすることで、「外部の人間」として扱われているという感覚を抱きやすくなるためです。
また、担任業務や行事への参加がない場合、正社員を中心とした輪の中に入りにくいと感じる場面も多くなるでしょう。こうした心理的な障壁が、職場での居心地の悪さや孤立感につながることもあります。
契約期間の途中で辞めにくい
派遣保育士として働く際のデメリットの1つに、契約期間の途中で辞めにくいという点があります。派遣契約では特別な事情がない限り、契約期間を全うすることが基本です。そのため、職場環境が合わないと感じたり、より良い条件の職場が見つかったりした場合でも、すぐに転職することが難しいという制約があることを理解しておく必要があります。
やむを得ず契約を早期に終了したい場合は、できるだけ早めに派遣会社へ意向を伝え、相談することが大切です。
保育士の派遣求人を探す方法
保育士の派遣求人を探すには、保育士専門の人材派遣会社に登録するのが一般的です。派遣会社に登録すると、専任のコーディネーターが希望条件に合った求人を紹介してくれるため、効率良く仕事を探せます。また、保育士専門や一般の求人サイトで、地域や勤務条件を絞って派遣求人を探すことも可能です。
求人を選ぶ際は、勤務地や勤務時間・日数だけでなく、保育方針や園の雰囲気、求められる役割なども詳しく確認しましょう。人材派遣会社から希望に沿わない求人を紹介されたときは、きっぱりと断る勇気も必要です。なお、レバウェル保育士では、派遣を検討している保育士のキャリア相談が可能です。専任のアドバイザーが、一人ひとりに合った働き方をともに考えます。相談のみの利用もできますので、ぜひチェックしてみてください。
派遣で働く保育士に関するよくある質問
ここでは、派遣で働く保育士に関して、よくある質問を紹介します。
派遣保育士によくある悩みは?
派遣保育士が抱えやすい悩みとして、「業務への関わり方や自分の意見を伝える範囲に迷ってしまう」といった点が挙げられます。また、研修や専門的な指導を受ける機会が限られ、スキルアップの面で物足りなさを感じるケースもあるようです。派遣先によっては、保育業務よりも清掃などの雑務が中心になり、不満を感じる方もいます。
派遣保育士と正社員保育士の違いは?
派遣保育士と正社員保育士の大きな違いは、雇用形態と業務範囲にあります。派遣保育士は、派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の保育施設で勤務するのが特徴です。これに対し、正社員保育士は勤務する保育施設と直接雇用契約を結びます。また、正社員は、保育計画の立案やクラス運営、行事の企画、保護者対応など幅広い責任と業務を担いますが、派遣保育士は基本的に保育業務を中心とし、補助的な役割を担うのが一般的です。
まとめ
派遣保育士のメリットは、働き方の自由度が高く、人間関係に縛られにくい点です。責任の重いポジションを任されることが少なく、契約期間ごとに多様な職場で経験を積めるため、家庭と仕事の両立や子どもとの関わりに専念したい方には魅力的といえるでしょう。一方、デメリットとして、雇用の不安定さや正社員と同等の収入を得にくいこと、正社員との間に心理的な壁を感じる可能性があることなどを理解しておく必要があります。
派遣という働き方が自分に合うかどうかは、保育士の仕事に何を求めているかによって変わります。「正社員やパートと迷っている」「育児後の復帰を考えている」といった方は、レバウェル保育士にご相談ください。保育業界に精通した専門のアドバイザーが、業界特有の事情も踏まえて丁寧にアドバイスいたします。希望を詳しくヒアリングし、派遣以外の選択肢も含めてぴったりの働き方をご提案するので、不安を解消することができますよ。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。














