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児童指導員の仕事がきつい理由は?辞めたいときの対処法とやりがいを解説
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児童指導員の仕事がきついと感じている方も少なくないかもしれません。児童指導員は発達に特性のある子どもたちと関わるやりがいのある仕事ですが、一方で体力的・精神的な負担を感じることもあります。この記事では、児童指導員が大変な理由、つらいと感じたときの対処法、この仕事ならではのやりがいについて解説します。
目次
児童指導員の仕事はきつい?
児童指導員の仕事はきついのではと不安に感じている人もいるかもしれません。子どもたちの接し方や日々の支援に悩むことから、児童指導員の仕事が「きつい」と感じる場合も考えられます。ここでは、児童指導員の大変さを知るうえで知っておきたい具体的な仕事内容や、支援の対象となる子どもたちについて情報をまとめました。
児童指導員の基本的な仕事内容とは
児童指導員の主な仕事は、児童養護施設や障害児施設で子どもたちの生活支援と心理的ケアを行うことです。日常生活の指導や学習支援、遊びや行事の企画・実施、個別支援を通じて、生活習慣や社会的なルールを身につけられるように助言したり、個別支援計画に基づいて学習や行動の課題に取り組んだりします。
また、集団生活を通して協調性や社会性を育む活動のほか、文化・スポーツなどのプログラムの運営にも携わります。児童発達支援管理責任者やほかの専門職と連携し、子ども一人ひとりの特性に寄り添った支援を行うことが求められる仕事です。
支援対象となる子どもたちの特徴とは
児童指導員が支援する子どもたちは、障害を抱える児童や家庭環境に課題を抱える児童など、さまざまな事情を持つ子どもたちです。支援対象の年齢は施設によって異なりますが、一般的に0歳から18歳までと幅広く、小さな子どもから思春期の子どもまで対応します。
児童養護施設では小学生〜高校生が中心で、児童発達支援事業所や放課後等デイサービスでは未就学児や小学生が対象となる傾向にあります。
児童指導員の仕事がきついと言われる理由とは?
児童指導員の仕事は、子どもたちの生活支援や発達支援を通じて成長を見守る大切な役割ですが、「きつい」「大変」といわれることもあります。ここでは、児童指導員の仕事がきついといわれる主な理由について詳しく紹介します。
体力的にハードな仕事が続く
児童指導員の仕事は、子どもたちと日常的に関わる現場での支援が中心となるため、体力的なきつさを感じるかもしれません。児童養護施設や障害児支援施設などでは、子どもたちの身の回りの世話や外遊び、行事の運営などに日々取り組む必要があります。1日中子どもたちと向き合っていると体力的な負担から、「仕事がきつい」と感じる場面もあるでしょう。
また、夏休みや冬休みなどの長期休暇中は、施設で過ごす時間も長くなるため、普段以上に体力を消耗することもあります。
日々のトラブル対応で神経が休まらない
児童指導員は子ども同士のトラブルや突発的な行動への対応を求められることから、「きつい」と思う場合があります。支援の現場では子どもたちの行動に目を配りつつ安全を確保しなければならず、常に緊張感を持って対応し続ける姿勢が必要です。保護者や学校、ほかの支援機関との連携も多く、対応を誤るとトラブルに発展する可能性もあり、心理的にも気を遣う場面が生じやすいかもしれません。
子どもとの接し方や支援方法に悩む
児童指導員は「うまくいったと思った支援が翌日には通用しない」「引き出しが尽きてしまったため次の対策が浮かばない」と悩み、一定のきつさを感じる場合もあるでしょう。子ども一人ひとりの個性や状態に応じた対応が求められるため、正解が1つではなく、常に柔軟な対応が必要です。
また、言葉でのやり取りが難しい子どももおり、気持ちや欲求をくみ取る力も求められます。保護者対応や家庭環境への配慮も不可欠であり、子どもと関わる難しさを感じる場面もあるでしょう。
スタッフ間でのコミュニケーションに課題がある
人員が限られている現場では、一人ひとりの負担が大きくなりやすく、スタッフ間の連携不足や価値観の違いによるトラブルが起こることもあります。新人職員の教育や情報共有がうまくいかないと、現場全体の士気に影響を与えたり、人間関係のストレスを感じたりすることから、「児童指導員の仕事がきつい」と思う方もいるでしょう。スタッフ間の人間関係が悪化すると、個人のストレスの要因となる場合もあります。
事務作業に追われやすい
児童指導員の仕事は日々の記録作成、支援計画の立案、保護者との連絡帳のやりとり、各種書類作成など、事務作業も多くあります。限られた勤務時間の中で子どもたちの支援と並行して進める必要があるため、残業が発生することにきつさを覚える場合も。子どもと関わる時間を大切にしたいと思っていても、事務作業に追われてしまうことでストレスを感じることもあるでしょう。
給料が期待に届かず生活面に不安を抱える
児童指導員の給与水準は、他業種と比較して低めであり、生活面での不安を抱える要因となっています。厚生労働省の「障害福祉サービス等経営実態調査結果」によると、障害児通所支援事業に従事する児童指導員の平均月給は24万5,949円で、年収換算すると約416万円となります。
一方、国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」では、民間企業の給与所得者全体の平均年収は約460万円とされており、児童指導員の給与は全国平均を下回っているのが現状です。給与面でのギャップから「やりがいだけでは続けられない」「業務量と見合っていなくてきつい」と感じる人もいるでしょう。
出典
厚生労働省「令和 5 年障害福祉サービス等経営実態調査結果」(2025年5月2日)
国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」(2025年5月2日)
スタッフ不足で負担が増えてストレスになる
人手が足りない職場では1人の職員が担う業務量や負担が増えるため、「仕事がきつい」と感じることもあるでしょう。福祉業界では人手不足の傾向が続いており、児童指導員も例外ではありません。
また、職員の入れ替わりが激しいと、業務の引き継ぎがうまくいかず、現場が混乱してきついと感じる場合もあるでしょう。引き継ぎの不備や業務負担の増加が重なると、人手不足が進行するという悪循環につながる可能性もあります。
児童指導員のやりがいと魅力
子どもたちと日々関わるなかで成長や変化を間近で見守り、支えることができるのは児童指導員ならではの魅力です。ここでは、実際にどのような瞬間にやりがいを感じるのかを紹介します。
子どもたちの成長を実感したとき
児童指導員のやりがいは、子どもたちの「できた!」という瞬間に立ち会えることです。具体的には、「初めて自分の名前を書けた」「友だちにありがとうと言えた」といった成長が挙げられます。そうした変化が積み重なっていく様子を間近で見守ることができるのは、この仕事の魅力のひとつといえるでしょう。
子どもたちとの信頼関係が築けたとき
なかなか心を開いてくれなかった子が少しずつ笑顔を見せてくれたり、自分から話しかけてくれるようになると、「信頼してくれているんだな」と実感できます。信頼関係は一朝一夕で築けないからこそ、日々丁寧に向き合ってきた努力が実った瞬間に喜びを感じられるでしょう。子どもが安心して気持ちを伝えてくれたときには、「この仕事をしていてよかった」と思えるような魅力があります。
子どもたちの将来に寄り添えたとき
子どもたちの将来に寄り添えることも、児童指導員のやりがいの1つです。児童指導員は、子どもたちの「将来はこんなことがしたい」「○○になりたい」といった言葉に耳を傾け、必要なサポートやアドバイスを行えます。子どもの得意なことや個性を見つけ、自信を育てていく過程に関われるのは、この仕事ならではの喜びです。
保護者へのサポートがうまくいったとき
児童指導員は子どもと向き合うだけでなく、保護者とも信頼関係を築いていくことが大切です。保護者に日々の様子を伝えたり、子育ての悩みに耳を傾けたりすることで、家庭と施設の連携が深まります。また、家庭での変化に気づくことで、子どもの心のケアや安全の確保につながる場合も。保護者から「話を聞いてもらえてよかった」「アドバイスが助けになった」と言われたときは、やりがいを実感できるでしょう。
児童指導員に向いている人の特徴
以下のような特徴があると、児童指導員として活躍するのに向いている傾向があります。自分の性格や特性と照らし合わせ、キャリアの方向性を定める際の参考にしてみてください。
子どもの成長を支えたいという思いがある
相手の立場に立って考えられる
子どもや保護者とのコミュニケーションが得意である
決まったやり方だけでなく、工夫しながら対応するのが好き
子どもと元気に関わる体力や柔軟性がある
これらは特別なスキルではなく、経験を通して少しずつ育てていけるものです。「子どもと関わる仕事がしたい」「誰かの力になりたい」という気持ちがあれば、児童指導員を目指せるでしょう。児童指導員として大切なのは、子どもたちと誠実に向き合おうとする気持ちです。
児童指導員の仕事をきついと感じやすい人の特徴
「子どもを支援したい」「成長を見守りたい」という気持ちから、児童指導員を志す人もいるでしょう。ここでは、児童指導員の仕事を「きつい」と感じやすい人の特徴について紹介します。
状況に応じた判断や対応が苦手である
新しい知識や方法を取り入れるのを避けたい
物事に根気よく向き合うのが得意ではない
児童指導員の仕事に携わるときは、「子どもと向き合い続ける覚悟があるかどうか」が重要です。支援する子どもたちの中には、家庭環境に課題を抱えていたり、特性に応じた専門的な配慮が必要だったりします。単に「子どもが好き」という気持ちだけでは、続けるのが難しい場面もゼロでありません。自分の特性と向き合いながら、「どのような支援ができるか」を常に考えられる人が、児童指導員として成長していけるでしょう。
児童指導員がきつい…辞めたいときの対処法
状況によっては、「児童指導員の仕事がきついのでもう続けられない…」「転職した方がいいのでは」と悩む場面もあるでしょう。きついからという理由ですぐに辞める決断をする前に、一度立ち止まり、今の気持ちや環境を整理してみることが大切です。ここでは、児童指導員を「辞めたい」と感じたときにできる対処法を紹介します。
辞めたい理由を整理する
「児童指導員の仕事がきつい」「辞めたい」という気持ちが芽生えたときは、「何がつらいのか」「本当に辞めたいのか」「一時的なストレスなのか」などを整理しましょう。辞めたい理由は人それぞれですが、主に以下のような内容が挙げられます。
仕事量の多さに疲れている
人間関係に悩んでいる
子どもとの接し方に自信が持てない
自分に向いていないと感じている
児童指導員を目指したときの気持ちや、自分が本当にやりたいことを思い出せば、今の悩みを客観的に見つめ直せるかもしれません。
子どもへの接し方を見直してみる
児童指導員が子どもとの関わりで「仕事がきつい」と悩んでいるなら、支援の方法を見直す方法を試してみましょう。大切なのは、「できたこと」に注目して褒める姿勢です。失敗を責めるのではなく、少しでも成長した点を見つけて伝えることで、子どもは自信をつけて意欲的になれます。
また、「◯◯しないとダメ」と脅すのではなく、「◯◯したらこうしようね」と前向きな言い方を心がけましょう。子どもの気持ちに「そう思ったんだね」と共感を示せれば、信頼関係を築きやすくなります。先輩の関わり方を参考にしたり、マニュアルを見直すなどの小さな工夫が、大きな変化につながる可能性があります。
人に相談して解決策を探る
児童指導員が「仕事がきつい」と悩むときは、1人で抱え込まず信頼できる同僚や上司、家族に相談することも大切です。話すだけでも気持ちが整理され、「仕事に不満を抱えているのは自分だけじゃなかった」と感じられる場合もあるでしょう。同じような悩みを乗り越えてきた経験者の声を聞けば、この先の業務を進めるためのヒントになる可能性もあります。相談を通じて職場環境を改善できたり、思いもよらない支援を受けられたりする可能性もあるため、信頼できる人に相談して力を借りましょう。
資格を取得して知識や支援スキルに自信をつける
「自分には向いていないかも」と感じる原因が、知識やスキル不足にあるなら、資格取得を通じて自信をつけるのもおすすめです。「発達障害児支援士」「児童発達支援士」「発達障害支援アドバイザー」などの資格を取ることで支援の幅が広がり、現場での対応力も向上します。専門的な資格を得れば考え方や支援のノウハウが身につき、仕事への見方が変わるかもしれません。スキルアップを通じて自分の強みを再確認できれば、辞めたい気持ちが軽減することもあるでしょう。
転職活動を進める
考えを整理し、人に相談しても「仕事がきつくて続けるのが難しい」と感じた場合は、転職を視野に入れるのも1つの選択です。転職する場合は、別の職場で児童指導員として活躍するか、職種そのものを変えるかをよく考えるようにしましょう。ただし、勢いで辞めてしまうと収入面や気持ちの面で不安定になり、次の仕事探しにも支障をきたす可能性があります。よほど緊急性がない限りは、転職先が決まってから退職するのがおすすめです。
児童指導員の仕事がきついと感じたときのよくある質問
ここでは、児童指導員の仕事がきついと感じたときによくある質問にお答えします。ぜひ参考にしてみてください。
児童指導員が仕事をするうえで気をつけることは何ですか?
児童指導員の仕事で大切なのは、子どもとの接し方や言葉遣いに気を配ることです。子どもを注意する場面では、頭ごなしに叱るのではなく、きちんと話を聞くことが大切です。そのうえで、どうしていけなかったのかを丁寧に伝えるようにしましょう。言葉選びに気をつけ、共感や励ましを意識した対応を続けることで、子どもとの信頼関係も深まっていきます。
放課後等デイサービスの児童相談員はきついですか?
放課後等デイサービスの児童指導員の仕事は、一定の大変さを感じる場面があります。たとえば、発達に特性のある子どもたちとの関わり方に悩んだり、思うように支援できずに躓いてしまったりすることが挙げられるでしょう。仕事がきついと思う一方で、子どもたちの笑顔や成長に触れたときに、喜びや達成感を得られるのが児童指導員の魅力です。
まとめ
児童指導員の仕事がきついと思う理由には、子どもたち一人ひとりの個性に向き合いながら思うようにコミュニケーションが取れなかったり、支援の成果がなかなか見えなかったりすることが挙げられます。また、保護者やほかのスタッフとの連携がうまくいかず、ストレスを感じる場面も少なくありません。
「こうあるべき」と強く考えてしまう人や、物事と深く向き合うことを避けてしまう人は、児童指導員の仕事がきついと感じやすい傾向があります。児童指導員の仕事がきついと感じるときは、全ての悩みを一人で抱え込まず、同僚や上司に相談してみてください。自分のなかの課題に気づければ、子どもたちとの接し方を改めたり、スキルアップのための資格取得を検討できたりするでしょう。完璧を求めず、自分なりのペースで子どもたちと向き合うことが、長く続けていくコツです。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。