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公務員保育士とは?私立保育士の違いや転職するメリットも解説!

  • #保育士
空を見上げる保育士の男女

保育士や保育士を目指している方の中には、公務員保育士に興味がある方もいるのではないでしょうか。公務員保育士は、安定した雇用や福利厚生が魅力です。この記事では、公務員保育士のなり方や私立保育士との違いについて解説します。公務員保育士のメリット・デメリットについても説明しているので、自分に合う働き方を見つけるヒントにしてみてください。

この記事を書いた人

A

「レバウェル保育士」編集部

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公務員保育士とは

公務員保育士とは保育士の資格を所有し、地方自治体に雇用されて公立の保育園や施設で働く保育士のことで「公立保育士」とも呼ばれます。ここでは、公務員保育士の特徴を解説します。

自治体が運営する公立保育園や施設で勤務する

前述したとおり、公務員保育士は地方自治体、つまり市町村などが運営する保育園や保育施設で働く保育士を指します。

そのため、勤務する保育施設は、一般的な公立保育園のほかにも児童養護施設や放課後児童クラブなど、多岐にわたります。現在、民間の保育施設が増加傾向にあるため、一部の地域では公立施設の数が減少している状況もみられます。

自治体ごとに年齢制限に差がある

自治体によって異なりますが、公務員保育士の試験を受験するには年齢制限が設けられています。一般的に20代から30代までと制限を設けていることが多いようです。希望する自治体での応募条件は事前によく確認しておきましょう。

ただし、非常勤職員の場合は応募に年齢制限がないケースもあります。地方公務員の試験を受験せずに、採用選考に合格すれば働けることが多いので、非常勤で勤務したいと考えている方は、各自治体のホームページで募集要項などを確認してみましょう。

公務員保育士と私立保育士の違い

公務員保育士は公立の保育施設で働きます。一方で、私立保育士は私立の保育園で勤務する保育士です。ここでは、公務員保育士と私立保育士の主な違いについて詳しく解説します。

保育方針の違い

公立保育園では、自治体ごとに統一された保育方針が採用されており、同じ自治体内の施設であれば基本的に同様の方針に従って保育が行われます。一方、私立保育園は運営法人や園の方針に基づく独自の理念や保育方針を持つことが多く、園によって特色が現れやすいのが特徴です。

このように、公務員保育士が働く環境では標準化された保育方針がある一方で、私立保育士は多様な保育方針に対応する柔軟さが求められる場面も多いです。

仕事内容の違い

公務員保育士と私立保育士の仕事内容に大きな違いはありません。どちらも保育士免許を取得して働き、子どもの保育を行います。また、公立保育士も私立保育士と同様に、保育計画の作成や連絡帳の記入などの事務作業にも対応します。保育士としての経験は、公立保育園でも私立保育園でも十分に活かすことができるでしょう。

勤務時間の違い

公立保育園では、決められた標準時間に基づいて運営されるため、夜間や休日保育が行われることは比較的少なく、保育士の勤務時間も基本的に安定しています

これに対し、私立の保育施設では多様なサービスを提供する施設が多く、運営方針によっては夜間や休日保育を行う場合もあるため、勤務時間が不規則になる可能性があります。

異動の有無の違い

公務員保育士は、同じ自治体内で2〜4年ごとに異動するのが一般的です。多様な保育現場で経験を積みやすくなりますが、職場が変わるために適応力も求められます。

一方で私立保育士は基本的に異動がなく、同じ園で長期間働けるのが特徴です。ただし、運営元が複数の保育施設を経営している場合は、グループ内での異動を打診されるケースもあります。転職する際は、勤務先で異動の有無を確認しておくと良いでしょう。

福利厚生の違い

公務員保育士は、特別休暇を取得できたり、憲法で退職金が保障されていたりと、福利厚生において地方公務員の基準が適用されます

しかし、私立保育士の場合は、福利厚生の内容は勤務する施設によって異なります。私立保育園に転職する際は、志望先の福利厚生について事前に確認しておくのがおすすめです。

就職までの流れの違い

国家資格である保育士資格を取得するまでの道のりは同じですが、公務員保育士として働くには、地方自治体が実施する採用試験に合格する必要があります。採用試験に合格した後も、公立保育園の配置に空きが出るまでは勤務先が決定しないため、すぐに働けるとは限らないのが特徴です。

一方で、私立保育士の就職活動は一般企業の採用活動と同じように進むため、公務員保育士に比べて資格取得後すぐに就職できる可能性があります。

採用の倍率の違い

公務員保育士の試験は各自治体ごとに行われるため、募集人数や受験者数に応じて倍率は異なります。一般的に私立保育士よりも倍率が高く、人気エリアでは3.5〜8.0倍ほどの競争率になる場合もあります。

希望する自治体が人気であるほど倍率は高く、合格は難しくなります。そのため、エリアにこだわりがない場合は、倍率の低い自治体での採用を目指すのも1つの方法です。

給与・年収面の違い

2021年に公開された政府統計の総合窓口(e-Stat)の「幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査新規タブリンク」のデータ(1人当たり給与月額平均・賞与込み)によると、公務員保育士の給与は、私立保育士に比べてやや高い傾向にあります

これは、公務員には定期的な昇給制度があるためで、勤続年数が長くなるほど給与も安定して上がっていく仕組みが影響していると考えられます。

私立保育士 公務員保育士
主任保育士 422,966円 561,725円
保育士(一般) 301,823円 303,113円

主任保育士の給与を比較すると、公立では月額平均561,725円、私立では422,966円と、公立のほうが大幅に高い水準です。一般の保育士においては、公立が303,113円、私立が301,823円とわずかに公立が上回っています。

このように、公務員保育士は給与面での安定があるため、長く働き続けることで収入が増加しやすい特徴があり、安定を重視する方には魅力的な選択肢といえるでしょう。

出典

政府統計の総合窓口(e-Stat)「幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査新規タブリンク」(2025年4月18日)

公立の施設で勤務する保育士の雇用形態

公立の施設で働く場合、働き方は雇用形態によって変わります。ここでは、雇用形態ごとの特徴について紹介します。

正規職員

公務員保育士は基本的に正規職員のことを指します。正規職員はフルタイム勤務が前提で、自治体における保育の専門職として役割が大きい立場です。正規職員は長期的なキャリアを積みやすく、担任業務や主任といった責任ある役職を任される機会が多くあります。また、経験や実績次第では副園長や園長などの管理職に昇進することもあり、保育士としての成長とやりがいを見出しやすいのが特徴です。

臨時職員

臨時職員は、いわゆる非正規雇用の保育士で、基本的に短期間や限られた勤務時間で働きます。ただし、施設の状況に応じて正規職員と同様にフルタイムで勤務するケースもあります。

臨時職員は主に保育の補助業務に従事しますが、状況に応じて正規職員に近い業務を任されることもあり、柔軟に対応できる人材が求められます。

嘱託職員

嘱託職員は非常勤職員の1つで、定年退職後に再雇用される形が多くみられます。一般的には、1年から3年ほどの契約期間で再度業務に携わることが多く、契約ごとに更新の可能性がある雇用形態です。これまでの経験や知識を活かしながら嘱託職員として勤務し、柔軟な勤務形態で保育に貢献できる点が特徴です。

派遣保育士

派遣保育士は、登録した派遣会社を通じて勤務する保育士を指します。雇用元は保育園ではなく派遣会社になる点が特徴です。主に保育補助の役割を担い、複数のクラスでの業務に従事することが一般的です。派遣という雇用形態は、通常フルタイムでの勤務が求められますが、残業はほとんどないため、比較的働きやすい環境といえるでしょう。

派遣期間はあらかじめ定められており、年度の途中で契約が満了することもあるため、新たな職場での経験を積むチャンスが定期的にあります。

公務員保育士になるメリット・デメリットとは

公務員保育士への就職や転職を考える際、公務員と私立保育士のどちらを選択するか悩む方も多いでしょう。公務員保育士を目指すにあたっては、メリットと同時にデメリットも理解しておくことが大切です。

公務員保育士として働くメリット

公務員保育士は、安定した雇用と充実した福利厚生がメリットといえます。勤続年数に応じて昇給や昇進が期待でき、役職に就くことでより高い収入を得ることが可能です。

また、勤務時間が明確に設定されているため、仕事とプライベートの両立がしやすく、有給休暇や産休・育休の取得もスムーズなのもメリットです。長期的なキャリア形成がしやすい環境に加え、福利厚生が充実しているため、安心して長く働くことができます。

公務員保育士として働くデメリット

公務員保育士のデメリットは、就業までのハードルの高さが挙げられます。離職率が低く求人が少ないため、採用試験を突破するのは容易ではありません。地域によっては保育園の民営化が進み公立園が減少しているため、試験倍率が8.0倍になることも。今後民営化がさらに進展すれば、公務員保育士の求人数が減少する可能性もあるでしょう。

通常、公務員保育士は一定期間ごとに異動があり、2〜4年ごとに担当する施設や児童が変わるため、時には担当児童の卒園を見届けられない場合もあります。また、保育園の運営に関する事務や、他の児童福祉関連の施設に配置されることもあるため、柔軟に対応できることが求められます。

公務員保育士になる流れ

公務員保育士を目指すためには、まず保育士の国家資格を取得し、その後に公務員採用試験に合格する必要があります。ここでは、公務員保育士になるための採用試験について詳しく解説します。

保育士資格と採用試験に合格する

これまで何度か述べてきましたが、公務員保育士(正規職員)として働くためには、保育士の国家試験を取得後、さらに公務員試験に合格することが必須です。ただし、募集がない年は試験が実施されない場合もあるため、志望する自治体の最新の情報を常にチェックしておきましょう。

また、保育士試験の合格基準は具体的には公表されておらず、同日に試験を受けた受験者の中で上位者が合格となるため、しっかりと準備をすることが求められます。

一次試験と二次試験に合格する

公務員保育士になるためには、採用試験での一次試験と二次試験を受け、合格する必要があります。一次試験は、教養試験と専門試験の筆記試験です。教養試験は高校卒業程度の知識が問われるため、しっかりと対策しておきましょう。二次試験では、面接に加え、実技試験や体力試験が実施されます。実技試験では、ピアノや絵本の読み聞かせの能力がチェックされ、体力測定も行われます。

採用通知を受ける

地方自治体の保育士採用試験に合格しただけでは、公務員保育士として勤務することはできません。合格後、希望する保育園から採用されて初めて公務員保育士として働けます。

合格すると採用候補者名簿に1年間登録され、公立保育園の保育士に空きが出ると採用通知が届く仕組みです。。期間内に採用を希望する公立保育園がない場合は、就職できない可能性もあるので注意が必要でしょう。期間を過ぎた後も公立保育園に勤務したい場合は、公務員保育士試験を再度受験する必要があります。

公務員保育士を目指す前に知っておきたい注意点

ここでは、公務員保育士を目指す際に事前に知っておきたい注意点について解説します。注意点を学び、自分に合った働き方ができるかどうかも検討してみましょう。

公立保育園は民営化される可能性がある

公務員保育士が勤務する公立保育園は、近年民営化が進んでいる傾向があります。この流れは、公務員保育士の働く場が減少することを意味し、今後目指す方にとっては競争が一層激化する可能性もあります。

すでに公立保育士として勤務していても、勤務する園が民営化されれば、他の施設に異動を命じられる可能性があるかもしれません。引き続き公務員として勤務したい場合は、異動があるのも頭に入れておきましょう。

年功序列で上下関係が明確な職場もある

公務員保育士は、私立保育園に比べて待遇が良く、働きやすい環境が整っているため、長く勤務する人が多い傾向にあります。中には新卒から同じ職場で働く人もおり、年功序列の文化が根付いている場合もあるでしょう。

保育に対する理念が確立している方や、新しいアプローチを導入したいと思っている方にとっては、意見や提案が通りにくくストレスを感じる可能性があります。

公務員保育士に関してよくある質問

ここでは、公務員保育士に関するよくある質問を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

公務員保育士に受かる人にみられる特徴とは?

公務員保育士に合格する人には、目標を明確に持ち、自身のキャリアプランを描ける人が多い傾向があります。保育士として公務員を目指す理由や、将来的なキャリアの方向性をしっかりと見据える姿勢が大切でしょう。

また、情報収集能力があることも重要です。試験内容や自治体ごとの情報、実際の業務に関する理解を深めることで、実践的な視点を持って試験に臨めるため、合格に近づけるでしょう。

公務員保育士に向いているのはどんな人?

結婚や出産後も長く働き続けたい方や、異動に前向きでさまざまな職場経験を積みたい方に向いているといえるでしょう。公務員保育士は勤務年数に応じて給与が上がり、生涯の収入も大きくなるため、長期勤務を考えている方に適しています。

一方、公務員保育士は、保育園以外の施設に異動する場合もあります。そのため、同じ保育園でずっと働きたい方、移動したくない方には向いていない可能性があるでしょう。

まとめ

公務員保育士は、公立保育園で働く保育士を指します。異動が発生したり、就職するために公務員試験に合格する必要があったりする大変さはありますが、雇用の安定や充実した福利厚生が公務員保育士のメリットです。自分がどのような働き方を求めているか、どんな環境で保育に携わりたいかを見極め、理想のキャリアに合った職場選びをするのが大切です。

「職場環境に悩んでいる」「収入を上げたい」など、悩んでいる方は公務員保育士を目指すほか、転職を検討してみるのも1つの選択肢です。

レバウェル保育士は、保育士や幼稚園教諭に特化した転職エージェントとして、多くの求人やサポートを提供します。経験豊富なアドバイザーが面接対策や求人選びのアドバイスを行うため、初めての転職でも安心してステップアップを目指せるのが特徴です。転職を検討中の方は、ぜひ一度相談してみてください。

執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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