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モンテッソーリ教師資格を保育士が取得するには?選ぶポイントや費用も解説
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保育士の中には、モンテッソーリ教育の資格に興味をお持ちの方もいるのではないでしょうか。「どんな種類の資格があるの?」「どうやって取得するの?」「期間や費用はどのくらいかかるの?」など、気になる点も多いかもしれません。 この記事では、モンテッソーリ教師資格の概要について、保育士の視点で分かりやすく解説します。資格の種類や取得方法をはじめ、選ぶ際のポイントや取得するメリットもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
モンテッソーリ教師資格の概要
モンテッソーリ教育は、ローマ大学最初の女性医学博士であるマリア・モンテッソーリが考案した教育法です。その根底には、「子どもには生まれつき、自ら学び成長していく力(自己教育力)が備わっている」という考え方があります。
モンテッソーリ教育では、子どもの姿を丁寧に観察し、発達段階に合った環境を整えることが大切とされています。そのため、この教育方針に賛同し、子どもへの理解を深めてより良い保育をしたいと資格取得を目指す保育士も少なくありません。
モンテッソーリ教育を実践している幼稚園や保育園で資格が必須かどうかは施設によって異なりますが、取得していると歓迎される傾向にあります。「国内で専門性を高めたい」「国際資格を取得して海外の教育現場で働きたい」といった目標を持つ方にとって、資格取得は有効な選択肢といえるでしょう。
出典
日本モンテッソーリ教育綜合研究所「モンテッソーリ教育とは」(2025年4月9日)
モンテッソーリ教師資格の発行団体は主に3つ
国内で権威のある保育士向けのモンテッソーリ教師資格には、主に3つの種類があります。これらの資格には国際資格と国内資格があり、国際資格を取得することで、国内外で教員として活躍できるようになります。なお、現在国内で取得できる資格は0〜3歳および3〜6歳を対象としたもののみのため、考慮しておきましょう。
以下でご紹介する団体は、いずれも厳格で高い基準を設けており、専門性を高めたい方におすすめの資格です。ぜひ参考にしてみてください。
国際モンテッソーリ協会(AMI)
国際モンテッソーリ協会(AMI)は、モンテッソーリ教育の創設者のマリア・モンテッソーリが1929年に設立した組織です。
AMIはモンテッソーリ教育の普及において国際的に最も権威のある組織とされており、グローバルに活躍したい保育士に適した資格といえるでしょう。国内の施設でプログラムを受講すると、AMI認定のディプロマ(国際資格)を取得できます。
出典
東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター「国際モンテッソーリ協会(AMI)について」(2025年4月9日)
日本モンテッソーリ教育綜合研究所
日本モンテッソーリ教育綜合研究所は、1976年に発足したモンテッソーリ教育の普及を目的とする組織です。教師養成事業として、「国際資格取得コース」と「教師養成通信教育講座」の2つのプログラムを提供しています。
なかでも「国際資格取得コース」は、アメリカ・モンテッソーリ協会(AMS)およびモンテッソーリ教師教育認定評議会(MACTE)の認可を受けており、これまで海外で取得する必要があった国際資格を日本国内で取得できるのが特長です。講義会場は東京都のみとなりますが、国際的な視野を持って学びたい保育士に適しているでしょう。
出典
日本モンテッソーリ教育綜合研究所「国際資格取得コース (2歳半〜6歳)」(2025年4月9日)
日本モンテッソーリ協会(JAM)
日本モンテッソーリ協会(学会)は、1968年に発足したモンテッソーリ教育の研究を行う学術団体です。前述の国際モンテッソーリ協会と友好関係にあり、研究者・実践者の全国的組織としてモンテッソーリ教育の普及に取り組んでいます。
協会(学会)認定のモンテッソーリ教師養成コースは、国内の5つの施設で開講されています(具体的な施設名は後述します)。国内資格のため、日本での教育実践やキャリアを目指す保育士に適しているでしょう。
出典
日本モンテッソーリ協会「協会(学会)認定モンテッソーリ教師養成コース」(2025年4月9日)
モンテッソーリ教師資格を保育士が取得する方法
ここでは、保育士がモンテッソーリ教師資格を取得する際に、押さえておくべき重要な点を3つご紹介します。モンテッソーリ教師資格の取得方法や必要な条件について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
受講方法には対面やオンラインがある
モンテッソーリ教師資格を取得するためのコースは、対面のみ、もしくはオンラインと対面を組み合わせた形式が一般的です。一部の施設では、仕事を続けながら受講できるように対面の講義を土日中心で実施していたり、教育環境が整っていれば勤務先で実習を行ったりできるなどの配慮も行われているようです。なお、受講期間は1年から2年程度が目安です。
実務経験の有無は資格によって異なる
モンテッソーリ教師資格は、取得する施設によって出願条件が異なります。保育士をはじめとした資格保有者や数年の実務経験を求める場合もあれば、「子どもに関心のあるすべての方々」といった幅広い条件で応募できる施設もあるため、実務経験が浅くても諦める必要はありません。施設を選ぶ際は、出願条件を確認して自分に合ったコースを選びましょう。
コース次第では仕事との両立も可能
保育士の仕事をしながら資格取得を目指す場合、夜間部がある施設を選ぶ方法もあります。昼間部と異なり、教育実習のスケジュールを自分で調整したり、受講期間が長くなったりする点を考慮する必要がありますが、職場のサポートを受けられる方には有効な手段です。
実際、東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンターの「2025年度入学案内資料」によると、昼間部(入学時)の受講者のうち約4割が保育・教育関係者であるのに対し、夜間部では約9割が保育・教育関係者となっています。
夜間部で資格を取得する場合は、プログラムの要件に応じて勤務条件の調整が必要となるため、入学説明会に参加して具体的なスケジュールをよく確認しておきましょう。
出典
東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター「入学案内・学費」(2025年4月9日)
モンテッソーリ教師資格を保育士が取得できる施設
以下の表は、記事の冒頭で紹介した3つの資格を取得できる施設を一覧にしたものです。コースごとに特徴は異なるため、前述の内容も踏まえながら募集要項にしっかりと目を通すようにしましょう。
発行団体 | 取得可能な施設 |
国際モンテッソーリ協会(AMI) |
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日本モンテッソーリ教育綜合研究所 |
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日本モンテッソーリ協会(JAM) |
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なお、日本モンテッソーリ協会(JAM)発行の資格を取得できる「純心モンテッソーリ教師養成コース」は、4年間で幼稚園教諭一種・保育士免許・モンテッソーリ教員免許状の取得を目指すコースのため、ご注意ください。
自分に合うモンテッソーリ教師資格を保育士が選ぶには?
ここまでモンテッソーリ教師資格の取得方法をご紹介してきましたが、「どのコースを選べば良いの?」と迷う方もいるかもしれません。保育士が資格を選ぶ際は、以下の2つのポイントを押さえましょう。
資格取得の目的に応じて選ぶのがおすすめ
モンテッソーリ教師資格は、どの種類も学習内容の基本的な部分は共通しており、資格に優劣はありません。そのため、資格を選ぶ際は以下の項目を参考にして、自分のニーズに合ったコースを受講しましょう。
国際資格と国内資格のどちらが必要か
対象年齢は0~3歳と3~6歳のどちらを希望するか
対面とオンラインではどちらを重視するか
また、希望する就職先や転職先が決まっている場合は、その保育園が推奨している資格を選ぶ方法もあります。事前に採用条件を確認し、内容を見落とさないようにしましょう。
実践園の資格取得支援制度を活用するのも手
モンテッソーリ教育を実施している保育園の中には、資格取得支援制度を導入しているところもあります。この制度を利用すれば、学費の援助やシフト調整、有給休暇の追加付与などのサポートを受けられる可能性があるため、仕事との両立を目指す方にはおすすめです。
希望者全員が利用できるとは限りませんが、就職や転職を考える際は、制度の有無をチェックすると良いかもしれません。
保育士がモンテッソーリ教師資格を取得するのにかかる費用
保育士がモンテッソーリ教師資格を取得する際の受講料は、60万円〜100万円程度が目安です。通学・実習にかかる交通費や参考図書代なども考慮して、余裕を持って準備することをおすすめします。具体的な金額はコースの内容や期間によって異なるため、施設に直接確認しましょう。
また、資格取得にこだわらず、モンテッソーリ教育を体系的に学びたい方は、集中講座や通信教育などを選択肢に入れるのも手です。短期間のコースであれば比較的費用を抑えられる場合もあるため、目的や予算に応じて検討すると良いでしょう。
保育士がモンテッソーリ教師資格を取得するメリット
保育士がモンテッソーリ教師資格を取得すると、以下のようなメリットが期待できます。
実践的な知識やスキルを学べる
保育士としての姿勢を学べる
保育士としての信頼度が上がる
保護者からの理解を得やすくなる
資格手当が支給される場合がある
転職やキャリアアップに役立つ可能性がある
モンテッソーリ教育のスキルを身につけることで、保育の質が向上するだけでなく、キャリアアップや転職にも役立つと考えられます。また、スクールによってはモンテッソーリ実践園の求人も紹介している場合があるため、転職のチャンスも広がるでしょう。
モンテッソーリ教育の資格に関心がある保育士によくある質問
ここでは、モンテッソーリ教育の資格に関心がある保育士によくある質問をご紹介します。
モンテッソーリ教師資格を取得するのは大変ですか?
モンテッソーリ教師資格の中でも、特に国際資格は難易度が高いとされており、一定の努力が必要でしょう。たとえば、東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンターの「よくある質問」によると国際モンテッソーリ協会の規定には以下の条件が含まれています。
90%以上の出席率
期限内の提出物の提出
教育実習とレポートの提出
卒業試験の合格
そのため、働きながら資格取得を目指す場合は、無理なく受講できるコースを検討することが大切です。
出典
東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター「よくある質問」(2025年4月9日)
モンテッソーリ教師資格の合格率はどのくらいですか?
モンテッソーリ教師資格の合格率は発行団体によって異なるため、具体的な数値は明らかではありません。しかし、充実したサポート体制が整った施設を選べば、担当講師のきめ細やかな指導のもとで、合格に向けてしっかりと対策できるでしょう。コースの受講に不安要素がある方は、事前に問い合わせて確認することをおすすめします。
国際モンテッソーリの資格はオンラインのみで取得できますか?
国際モンテッソーリの資格は、対面のみ、またはオンラインと対面を組み合わせた形式で取得するのが一般的です。加えて、モンテッソーリ教育環境での実習を求められることがほとんどです。一方、国内資格の場合は、通信教育などを通じて学べるコースもあるようです。プログラムの内容は団体によって異なるため、チェックしてみると良いでしょう。
まとめ
モンテッソーリ教師資格を保育士が取得する場合は、「国際モンテッソーリ協会(AMI)」「日本モンテッソーリ教育綜合研究所」「日本モンテッソーリ協会(JAM)」の3つが主な選択肢となります。国際資格と国内資格があるため、取得の目的や将来の働き方に応じて選ぶと良いでしょう。
また、実践園の中には資格取得支援制度を導入しているところもあります。仕事を続けながら資格取得を目指すことも可能なため、自分に合った方法を検討するのがおすすめです。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。