最終更新日:
育児セラピストとは?資格の取り方・活かし方・向いている人を解説!
- #スキルアップ

育児セラピストとはどのような資格か気になる方もいるのではないでしょうか?育児セラピストは、子どもの心の発達や親子の関わりについて学び、家庭や保育・教育・福祉の現場などで活かせる民間資格です。この記事では、育児セラピストの資格の特徴や取得方法、実際に活躍できる仕事、向いている人の特徴などの情報をまとめました。
目次
育児セラピストとは?
育児セラピストとは、子どもの発達や愛着形成についての知識を持ち、保護者の悩みに寄り添いながらサポートする「育児の専門家」です。一般社団法人日本アタッチメント育児協会が認定する民間資格で、子どもの心身の成長だけでなく、育児に関わる大人のメンタルケアや家族間のコミュニケーションまで視野に入れた支援を行います。
育児セラピストの役割
育児セラピストの主な役割は、子どもの発達やアタッチメント(愛着形成)理論に基づいて、保護者に対して適切な育児支援を行うことです。子どもの行動や発達段階を理解し、成長に応じた関わり方をアドバイスするほか、保護者が抱えるストレスや不安にも寄り添い心のケアを行います。
また、家庭内でのコミュニケーションを円滑にし、親子関係だけでなく夫婦間や家族全体の関係性の向上にも働きかけます。保護者が安心して子どもと向き合えるように支援することで、子どもの健やかな成長を土台から支える専門的な役割といえるでしょう。
育児セラピストになるための条件
育児セラピストの資格を取得するために、特別な学歴や経験は必要ありません。年齢や職業にかかわらず、子育てに関心のある方であれば誰でも挑戦できます。現在子育てをしている方にとっては、学んだ知識をすぐに実生活に活かせるというメリットがあり、実際の育児に照らし合わせながら学べるため、理解も深まりやすいでしょう。
なお、講座は1~2日間の集中形式で行われます。子ども連れでの受講はできませんが、会場付近で家族が子どもを見守り、休憩時間に授乳するなど工夫しながら参加されている方もいるようです。
育児セラピスト講座のコース【レベル別】
育児セラピスト講座は、育児に関する知識を深めたい方から、専門的に支援活動を行いたい方まで、目的や習熟度に応じてステップアップできる講座が用意されています。自分のペースや将来像に合わせて講座を選択しましょう。
育児セラピスト2級講座(前期課程)
育児セラピスト2級講座は、育児の基本的な知識や親子の愛着形成について学べる入門編のコースです。初めて学ぶ方や育児初心者にも分かりやすい構成のため、家庭での子育てに自信を持ちたい方や、育児に不安がある方の第一歩としておすすめの内容となっています。
費用内訳 | 価格 |
育児セラピスト2級 受講料 | 7万円 |
受講費用総額(税別) | 7万円 |
育児セラピスト2級講座は土曜日に開催され、受講時間は6時間です。2級の内容は前期課程と位置づけられており、1級(後期課程)に進むと正式に資格取得ができるようになっています。
出典
一般社団法人日本アタッチメント育児協会「育児セラピスト2級」(2025年4月17日)
育児セラピスト1級講座(後期課程)
育児セラピスト1級講座では、2級で学んだ育児知識や実践を土台に、より専門的な視点から育児を学び直します。子どもの発達や親子関係を理解するための心理学・発達理論を深く掘り下げ、知識を「伝える力」へとつなげていくことが目的です。
保護者の疑問や不安に対し「なぜそうするのか」に根拠を持って説明できる力と、一人ひとりに寄り添ったコミュニケーション力を磨いていきます。子どもだけでなく保護者の心にも寄り添える「育児の専門家」として、知識と対話力を備えた存在を目指せる講座です。
費用内訳 | 価格 |
育児セラピスト1級 受講料 | 12万円 |
認定試験料 | 1万円 |
受講費用総額(税別) | 13万円 |
育児セラピスト1級講座は土日の2日間開催で、カリキュラム修了後に筆記試験があります。試験に合格後、資格認定を希望される場合は、別途認定申請料2万円(税別)が必要となり、申請することで認定証が発行されます。
出典
一般社団法人日本アタッチメント育児協会「育児セラピスト1級」(2025年4月17日)
育児セラピストシニアマスター講座
育児セラピストシニアマスター講座は、育児セラピスト1級(後期課程)を修了した方を対象に、育児セラピストとしての専門性を高めるための講座です。この講座では、乳幼児期を超えた「思春期・青年期」から「成人期」「壮年期」「老年期」に至るまで、大人の発達心理について深く学びます。アタッチメント理論の視点から大人の心の発達を読み解きながら、自己実現理論や、実際の現場で活かせるカウンセリング・ファシリテーション技法についても学べる、実践と理論が融合した内容となっています。
費用内訳 | 価格 |
育児セラピストシニアマスター 受講料 | 15万円 |
認定試験料 | 1万円 |
受講費用総額(税別) | 16万円 |
育児セラピストシニアマスター講座も2日間開催で、講座終了後に質疑応答の時間があります。なお、こちらの講座は明確な開催日程が決まっていないため、気になる方は公式のWebサイトから問い合わせしましょう。
出典
一般社団法人日本アタッチメント育児協会「育児セラピストシニアマスター講座」(2025年4月17日)
育児セラピストの資格取得方法と流れ
ここでは、一般社団法人日本アタッチメント育児協会の「資格取得の流れ」を参考に、育児セラピストの資格を得る方法ついて紹介します。育児に関する専門的な知識とスキルを学び、資格取得を目指しましょう。
Step1.受講申し込み
育児セラピストの資格を取得するには、講座への申し込みが必要になります。受講の申請は、日本アタッチメント育児協会のWebサイト・電話・メール・FAXから問い合わせが可能です。申し込みにあたっての不安や疑問は、よくある質問ページでも確認できるため、事前にチェックしておくと安心です。
Step2.受講料の支払い
育児セラピストの受講申し込み完了後、1週間以内に指定口座へ受講料を振り込みましょう。支払い方法は、銀行振込と郵便振替が選べます。万が一、入金が遅れてしまいそうな場合は、その旨を早めに問い合わせるようにしましょう。
Step3.講座の受講
受講料の入金が確認されると、育児セラピスト講座の詳細案内が届きます。講座は座学と実践を組み合わせた集中カリキュラムで、対面・オンラインのどちらでも受講可能です。受講日数は取得する級によって異なります。
2級のみ:1日(前期課程)
1級のみ:2日間(後期課程)
1・2級セット受講:3日間(前期+後期課程)
前期課程は土曜に開催され、アタッチメントや発達心理学の基礎を学び、後期課程は土日2日間で、応用理論やカウンセリング技法、筆記試験までを実施。日程や会場などの詳細は事前に案内されるため、対面受講を希望する場合は会場や当日のスケジュールを事前に確認し、時間に余裕を持って向かいましょう。
Step4.認定試験・レポート提出
育児セラピスト講座の最終日には、理解度を確認するための認定試験が行われる場合があります。2級のみを受講する場合は試験はなく受講をもって修了となりますが、1級では筆記試験や実技試験が実施されます。講座によっては試験に加えて受講後にレポートの提出が求められることがあり、試験・レポートの結果をもとに資格審査が行われ、合否が決まります。
Step5.合否通知・認定証の発行
育児セラピスト試験の結果は、講座終了後2〜3週間以内に登録住所へ届きます。合格した場合は、資格認定申請料を1週間以内に支払いましょう。もし試験に不合格の場合は、レポート提出や別途費用がかかりますが、再試験で合格を目指すことが可能です。
認定証は申請料の支払い後、約2〜3週間以内に発送されます。認定証を受け取ると、資格取得者専用のサポートサイトを利用することが可能です。なお、育児セラピストの資格は、年会費や更新料が不要となっています。
出典
一般社団法人日本アタッチメント育児協会「資格取得の流れ」(2025年4月17日)
育児セラピストの資格を活用できる分野・仕事
育児セラピストの資格は、実務での知識だけでなく子どもの発達に関する深い理解を持つことで、さまざまな場面での支援が可能になります。ここでは育児セラピストの資格を活用できる分野や仕事について紹介します。
保育・教育の現場
育児セラピストの資格を持つ保育士や教職員は、愛着理論や発達心理学に基づいた知識が深まり、日常の保育・教育活動で実践的なスキルを活用できるようになります。感情を上手に表現できない子どもにどう接するか、集団生活でのコミュニケーションをどうサポートするか、個別対応が必要な子どもにどのようにアプローチするかなど、実際的な場面で自信を持って対応できるでしょう。また、子育てに悩む保護者への個別面談や育児相談においても、学んだ知識を活かして適切なアドバイスやサポートを行えます。
子育て支援講座や講師活動
育児セラピストの資格を取得すれば、地域で開かれる子育て支援講座や親子イベントの講師として活動できます。たとえば、「子どもの心の発達について」や「育児中のストレスを軽減する方法」などを伝えることで、地域の親たちにとって有益な支援を行えるでしょう。また、育児セラピスト1級の修了後に取得できる「育児セラピストインストラクター」を取得すれば、より専門的な知識をもとに本格的な講師業をスタートさせることも可能です。
自身の家庭での育児に活用
育児セラピストの資格は、仕事だけでなく家庭での子育てにも役立ちます。たとえば、子どもが感情をうまく表現できず戸惑っている場面や、親自身が育児に不安を感じた時にも、発達心理学や愛着形成理論に基づいたアプローチを行えます。これにより、日々の育児に対する不安が軽減され、親としての自信にもつながるでしょう。
周囲の育児支援
育児セラピストとして得た知識は、身近な家族や友人が育児に悩んでいる際にも役立ちます。「子どもの発達が遅れているのでは」と不安を抱える親や、育児疲れによってストレスを溜め込んでいる友人に対して、アドバイスを行えます。アタッチメント理論や心理的サポートの視点をもとにした助言は、聞き手の心を落ち着けるだけでなく、具体的な行動変容へとつながることも少なくありません。
育児セラピストに向いている人
子育てに悩む親子と真剣に向き合い、心に寄り添うためには、どのような人が向いているのでしょうか。ここでは、育児セラピストとして活躍しやすい人の特徴を紹介します。
子どもと接する仕事経験がある人
すでに保育士や幼稚園教諭、学童指導員、ベビーシッターなど、子どもと関わる現場で働いている方は、育児セラピストとしての適性が高いといえます。日々の実践経験があることで、育児における課題や親の悩みに対して具体的なイメージを持ちやすく、学んだ知識も現場に活かせるでしょう。また、保護者からの信頼をさらに深める手段として、育児セラピスト資格を活用する方も増えています。
聞き上手な人
心に寄り添い、安心感を与えることができる人は、育児セラピストに向いています。育児セラピストには「聞く力」が欠かせません。保護者の悩みや不安をじっくりと受け止め、否定せずに寄り添う姿勢が求められます。自分の意見を伝えるよりも、相手の気持ちを理解しようと努められる方は、自然と相談されやすくなり、セラピストとしての信頼も築きやすいでしょう。
自身の育児経験を活かしたい人
子育ての経験がある方は、自身の体験をもとに保護者の悩みに共感しやすく、現実的なアドバイスができるという強みがあります。「あの時こんなことで悩んだ」「こうすれば気持ちがラクになった」といった経験は、ほかの保護者にとって大きな安心材料となるでしょう。育児セラピストの知識と自身の経験を掛け合わせることで、より実践的な支援が可能になります。
育児の正しい知識を広めたい人
SNSやブログ、講座などを通じて、育児に関する正しい情報発信をしたいと考えている方にも育児セラピストは向いているでしょう。科学的根拠に基づいた子どもへの関わり方や、親子関係の築き方を発信することで、育児に悩む多くの人の手助けになります。個人で活動できる柔軟性があるため、自分のペースで発信したい方、社会貢献につながる仕事を目指したい方にぴったりです。
育児セラピストについてよくある質問
ここでは、育児セラピストについてよくある質問にお答えします。ぜひ参考にしてみてください。
試験の合格率はどのくらい?
育児セラピストの認定試験について、具体的な合格率は公式には公表されていません。しかし、講座は2日間で体系的に学べるカリキュラムとなっており、しっかりと内容を理解して臨めば、十分に合格を目指せるレベルとされています。
万一、試験で合格基準に達しなかった場合であっても、再試験やレポート提出によって再度の認定取得が可能です。再試験には別途費用が発生する場合がありますが、理解を深めるための質疑応答の時間も設けられているため、学びを補完しながら試験に備えられます。
育児セラピストは独学で取得できる?
現在のところ、育児セラピストの資格は独学のみで取得することはできません。資格を得るためには、一般社団法人日本アタッチメント育児協会が主催する認定講座の受講が必須となっており、所定の講義を受けたうえで、認定試験に合格する必要があります。資格取得を目指す方は、公式の講座情報を確認すると安心です。
育児セラピスト資格は意味がないって本当?
意味がないということはありません。育児セラピストの資格は、子どもの心の理解や保護者への寄り添い方など、育児に関する現場で役立てられます。育児や保育に携わる人にとって、実践に活かせる内容を学べることから、取得する価値のある資格といえるでしょう。
まとめ
育児セラピストは、発達心理学に基づいて適切な育児知識を身につけられる資格です。講座を受講することで、子育ての現場に活かせたり、学んだ内容を他者に教えられたりします。育児に不安を感じている方や、誰かの支えになりたい方は、育児セラピストの学びを通して、より安心できる子育て環境づくりに貢献できるでしょう。
育児セラピストの資格取得を通じて新たなキャリアに踏み出したい方は、「レバウェル保育士」の活用がおすすめです。
「レバウェル保育士」は保育業界に特化した転職支援サービスで、キャリアアドバイザーが履歴書・職務経歴書の書き方から面接対策まで丁寧にサポートします。採用側の視点を踏まえた熱意の伝わる転職理由も一緒に考えてくれるので、初めての転職でも安心です。
すべてのサポートは無料で利用できるため、転職に不安や迷いがある方はぜひ一度ご相談ください。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。