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学童保育とは?仕事内容や役立つ資格をわかりやすく解説!
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学童保育とは何か知りたい方もいるでしょう。学童保育は、小学生の子どもたちが放課後や長期休暇中に安心して過ごせる環境を提供する大切な場であり、子どもたちの健やかな成長と保護者の就労支援を同時に支える役割を担っています。 この記事では、学童保育の目的や課題、勤務するのに必要な資格やスキル、働くメリット・デメリットを分かりやすく解説します。学童保育について知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
目次
学童保育とは?
学童保育とは、主に共働き家庭やひとり親家庭の小学生を対象に、放課後や長期休暇中に安心して過ごせる環境を提供する施設です。「児童福祉法」に基づき運営されており、地域によって「学童クラブ」や「放課後児童クラブ」といった名称で呼ばれることもあります。
ここでは、学童保育の目的や対象となる子ども、運営形態について詳しく解説します。
出典
e-GOV法令検索「児童福祉法」(2025年4月9日参照)
学童保育の目的と役割
学童保育は、子どもたちが放課後を安全に過ごせるよう支援することが目的です。宿題や遊びを通じて生活のリズムを整えるだけでなく、集団生活の中で協調性を育み、社会性を身につける場としての役割も担っています。また、保護者が安心して働ける環境を整える点でも重要な役割を果たしています。
学童保育の対象となる子どもたち
学童保育の対象となるのは、以下の条件を満たす小学生です。
保護者が昼間不在の児童 (就労・疾病・介護などにより家庭での養育が困難な場合)
小学校に在籍している児童
学童保育は主に小学生が対象で、共働き家庭やひとり親家庭の子どもたちが利用します。ただし、自治体や施設によって対象年齢や条件が異なる場合も。一般の条件に該当しない場合でも、支援が必要な子どもを受け入れる体制が整っている施設もあるため、事前に自分の地域の状況を確認しておくと良いでしょう。
学童保育は大きく分けて4種類
学童保育は運営形態によって大きく4つの種類に分かれます。学童保育への転職を検討している方は、それぞれの特徴を理解して自身の状況に合わせた選択をしましょう。
設置・運営主体 | 職員の働き方 | 活動内容 | 開所時間 | |
公設公営 | 自治体が設置・運営 | 正職員や臨時職員、非正規職員など。自治体に登録して働く場合もある | 放課後の子ども見守り、遊び支援、イベント運営 | 平日:下校後~18時または19時(土曜・長期休業日は9時~17時) |
公設民営 | 自治体が設置、民間が運営 | 正職員・契約社員・パートなど雇用形態は多様 | 子どもの支援、運営のサポート、イベント企画 | 平日:下校後~18時または19時(土曜・長期休業日は9時~17時) |
民設民営 | 民間
(企業・NPO)が設置・運営 | 正社員・契約社員・アルバイトなど幅広く、独自の待遇や働き方が多い | 子どもの支援、習い事指導(英語、プログラミングなど)、学習サポート | 平日:下校後~20時前後(22時や24時までの場合も)
(土日や長期休業日の対応あり) |
管轄外・民設民営 | 企業・NPOが独自に運営 | 運営団体により勤務体系は多様
柔軟なシフト制やフルタイム勤務、夜間対応などもあり | 学習サポート、イベント企画、送迎、夕食提供など | 平日:早朝~20時前後または22時(土日や長期休業日の対応あり) |
それぞれの運営元によって職員の雇用形態や働き方が異なるため、自分に合った勤務スタイルを選ぶことが大切です。
学童保育の現状とこれからの課題
共働き世帯の増加により学童保育の需要は高まっていますが、運営には以下のような多くの課題があります。
定員の問題
開所時間の問題
施設の立地
支援員の不足
施設の規模や支援員数により定員は決まりますが、大規模運営が増加し子ども1人ひとりへの対応が難しい場合も。こども家庭庁の「令和6年放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(p.8)」によると、約4割の施設が18時半前に閉まるため、フルタイム勤務の保護者にとって利用しづらい状況もあります。
また、学校外の児童館などで運営されるケースもあり、子どもが毎日移動する負担や、保護者の送迎負担が発生することも課題の1つです。加えて、資格を持つ支援員の不足により、長時間勤務や業務負担の大きさが問題となっています。
出典
こども家庭庁「令和6年放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(2025年4月9日参照)
学童保育で働くためには?
職業情報提供サイトのjob tag「学童保育指導員」によると、学童で働くために特別な資格は必要ありません。資格がなくても、子どもと遊ぶことが好きだったり、成長を見守る仕事に興味があったりする人は、挑戦しやすい仕事です。
とはいえ、実際には保育士資格や教員免許を持つ人が多く、子どもの成長を支える仕事に携わった経験がある人に向いている職業といえるでしょう。学童保育は学生アルバイトとしても人気があり、教職を目指す人や児童心理学を学ぶ人、保育士志望の人にとっては、実際に子どもと接しながら学べる貴重な経験の場となっています。
出典
職業情報提供サイトjob tag「学童保育指導員」(2025年4月9日参照)
「放課後児童支援員」の資格があると働くうえで役立つ
2015年に「放課後児童支援員」の資格が新設され、学童クラブでは最低2名以上の配置が義務付けられました。そのため、放課後児童支援員の資格を取得していると就職や採用の際に有利になります。正職員として働く場合は資格を応募条件としている施設もあり、選べる職場の幅が広がる点もメリットです。
「放課後児童支援員」の資格取得に必要な条件
こども家庭庁の「放課後児童支援員に係る都道府県認定資格研修ガイドラインの概要」によると、「放課後児童支援員」の資格を取得するには、一定の条件を満たす必要があります。以下のいずれかに該当することで、資格取得のための研修を受けることが可能です。
保育士または社会福祉士の資格を持っている
幼稚園や小中高等学校の教諭免許を取得している
大学や大学院で教育・福祉・心理・社会学などの関連分野を専攻し、卒業または進学が認められた
高校卒業後に一定期間児童福祉施設や学童保育での実務経験がある
研修は6分野16科目・計24時間で構成され、学童保育の運営方針や子どもの発達、保護者や地域との連携など、実践的な知識を学べます。なお、保育士や教員免許を持つ場合、一部の研修科目が免除されることもあるため、事前に自治体へ確認しましょう。
出典
こども家庭庁「放課後児童支援員に係る都道府県認定資格研修ガイドラインの概要」(2025年4月9日参照)
学童保育で保育士として働く際の役割と仕事
学童保育では、日々の見守りや遊びのサポートだけでなく、保護者との連携や安心できる環境づくりも求められます。ここでは、学童保育での保育士の具体的な役割について詳しく解説します。
子どもの見守りとサポート
学童保育において保育士は、子どもたちが安心して過ごせる環境を整え、日常の生活をサポートする役割を担います。子どもの健康状態や精神面に気を配りながら、学習の見守りや遊びのサポートを行ったり、学年や発達段階に応じた関わりを大切にして自分の気持ちを表現できるよう手助けすることも重要です。
保護者との連携と情報共有
学童保育では、保護者との情報共有も欠かせません。日々の子どもの様子を伝え、成長や変化を共有することで、家庭との連携を深めます。また、子どもが抱える悩みやトラブルについて保護者と相談しながら対応することも不可欠です。学童は家庭と学校をつなぐ場でもあるため、保護者だけでなく、学校や地域とも連携し、より良い支援を提供していきます。
安心・安全な環境づくり
子どもたちが安全に過ごせるよう、施設の環境整備や危険予測を行うのも保育士の大切な役割です。日々の掃除や備品管理に加え、緊急時の対応方法を子どもたちと共有し、防災意識を育てることも求められます。
また、トラブルが発生した際には、冷静に対応し、子どもたちが安心できるようフォローすることも欠かせません。学童は、ただ過ごす場所ではなく、子どもたちの成長を支える大切な環境であるため、安全面の配慮を徹底し、健やかに過ごせる空間を提供する必要があります。
学童保育で働く保育士のメリット・デメリット
学童保育で働く保育士には、子どもの成長を間近で見守れることや、働き方の柔軟性が高いことなどのメリットがある一方、雇用形態の選択肢が限られるなど、デメリットも存在します。ここでは、学童保育における保育士のメリットとデメリットについて詳しくまとめました。
学童保育のメリット
学童保育は比較的ゆったりとした勤務スケジュールが特徴で、朝の出勤時間が遅めであったり、残業が少なかったりするため、ワークライフバランスを取りやすいメリットがあります。持ち帰りの仕事もほとんどなく、勤務時間内で業務が完結するため、仕事とプライベートをしっかり分けられるでしょう。
また、子どもたちの成長を身近で感じられるのも大きな魅力です。学童保育では、遊びや日々の関わりを通じて子どもたちの変化を見守ることができ、長期間関わることで信頼関係を築けます。小学校の環境に適応しながら成長していく姿を見届けられる点は、保育士としてのやりがいにもつながるでしょう。
学童保育のデメリット
学童保育の仕事は、雇用形態の選択肢が限られており、正社員の募集が少ないことがデメリットとして挙げられます。多くの学童保育施設ではパートやアルバイトの採用が中心であり、安定した雇用を求める場合には選択肢が限られることも考えられるでしょう。
また、給与水準が比較的低めであることもデメリットの1つです。職業情報提供サイトjob tagの「学童保育指導員」によると、学童保育指導員の平均年収は394万円でした。これは国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査
」に記載されている、日本の平均年収460万円と比べると低い水準にあります。この差は、学童保育施設という職場柄、業務で実績を残したり役職に就いたりして大幅に収入アップする機会が少ないことが影響しているでしょう。
キャリアアップを目指す場合は、放課後児童支援員の資格取得や、一定の経験を積んでから好条件で働ける職場へ転職するなどの工夫が必要になります。
出典
職業情報提供サイトjob tag「学童保育指導員」(2025年4月9日参照)
国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」(2025年4月9日参照)
学童保育で働く保育士によくある質問
ここでは、学童保育についてよくある質問をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
学童保育と保育園の違いは何ですか?
学童保育は主に小学生(6歳以上)を対象に、放課後や長期休暇中の生活の場を提供する一方、保育園は0〜6歳の未就学児を対象に、保護者が働いている間の保育を行います。
また、保育園は早朝から夕方までの長時間保育が中心で、保育士資格が必須ですが、学童保育は午後からの勤務が多く、国家資格は必須ではありません。対象年齢・勤務時間・必要資格の違いが主なポイントです。
学童保育での勤務時間はどのようなものですか?
平日は主に放課後の時間帯に勤務するため、1日3~6時間程度のシフトが多くなります。土曜日や長期休暇などの学校休業日は、朝から夕方までの8時間以上の勤務になることもあり、施設によっては交代制勤務を採用している場合もあり、柔軟な働き方が求められます。
放課後児童クラブと学童保育の違いとは?
「放課後児童クラブ」と「学童保育」は、名称が異なるだけで実態は同じです。どちらも正式には「放課後児童健全育成事業」として、保護者が日中働いている小学生の子どもを対象に、安全で安心な生活の場を提供しています。自治体や施設によって呼び方が異なる場合がありますが、目的や内容に違いはありません。
出典
こども家庭庁「放課後児童健全育成事業」(2025年4月9日参照)
まとめ
学童保育とは、小学生が放課後や長期休暇中に安心して過ごせる場所を提供する支援サービスであり、保護者の就労支援という社会的役割も担っています。子どもたちにとっては、学校とは違った関わりの中で成長できる貴重な時間であり、遊びや学びを通じて豊かな経験を積む場ともいえるでしょう。また、子どもと直接関わりながら地域の子育てを支えるやりがいある仕事のため、保育士から転職する方も多く見られます。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。