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院内保育士になるために必要な資格は?求められるスキルや仕事内容を解説

  • #保育士
絵を持つ園児たちの画像

院内保育士の資格について知りたい方もいるでしょう。院内保育士は、病院や医療機関に勤める職員の子どもたちを預かる保育士のことで、基本的には保育士資格があれば働くことが可能です。この記事では、院内保育士に求められるスキルや一般の保育園との違い、働くうえでのメリット、注意点などを詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

院内保育士になるには資格は必要?

院内保育士として働くには、一般的な保育園と同様に保育士資格が必要です。それ以外の特別な資格は求められません。ただし、医療保育専門士の資格があると、専門性の高さを示せることから転職で有利になる可能性があります。

医療の知識や資格は不要

院内保育士の役割はあくまで「保育」であり、病気の子どもを預かるわけではないため、医療に関する知識や資格は必要ありません。院内保育士は、病院の敷地内やその近くに併設された保育園で働くため、入院して医療ケアを受ける子どもを担当する「病棟保育室」とは業務が分かれています。そのため、院内保育士に医療行為やその補助を求められることがなく、遊びや生活支援、保護者対応などを担当するのが基本です。

とはいえ、基礎的な医療知識を身につけておくと、採用や実務の場面で有利に働く可能性もあります。もし救命講習や医療的ケア児に関する研修を受けている場合は、応募書類や面接で積極的にアピールすると評価につながるかもしれません。

パートの保育補助なら無資格でもOK

パートの保育補助であれば、無資格であっても院内保育に携わることが可能です。保育補助は正規の保育士をサポートする役割で、子どもの見守りや遊び・活動の補助、教材の準備・片付けなどを担当します。求人はパートやアルバイト向けが多いため、勤務時間の調整がしやすく、現場で子どもと関わる機会をもてるのが特徴です。

まずは保育補助として院内保育に携わり、実務経験を積みながら将来的に保育士資格の取得を目指すのも選択肢の一つといえます。

院内保育と一般の保育園の仕事内容の違い

院内保育士と一般の保育園で働く保育士とでは、担当する子どもや勤務時間、行事などに違いがあります。以下の表で、具体的な違いをまとめました。

比較項目 院内保育士 一般の保育士
担当する子ども
  • 少人数・異年齢の子どもを担当
  • 保護者の勤務シフトにより登園する子どもが日ごとに変わる
  • 年齢ごとのクラスを担当し、同じ子どもを継続的に保育
勤務時間
  • 早朝・夜間・24時間対応の施設もあり、シフト制勤務が基本
  • 日中勤務が中心
  • 早朝や延長保育はあるが、夜間対応はほとんどない
行事・

事務作業

  • 運動会や発表会など大規模行事は少ない
  • 持ち帰り仕事や書類作成も少ない
  • 年間を通して行事が多く、準備や書類作成の負担が大きい
立地・

環境

  • 病院敷地内または近隣に設置
  • 緊急時も医療職員とすぐ連携可能
  • 住宅地や地域に設置され、通いやすさを重視

このように、院内保育士は「行事負担を減らしたい方」「子どもとじっくり向き合いたい方」「シフト勤務に対応したい方」にとって魅力的な職場といえるでしょう。一方、一般の保育士は、クラス担任として長期間同じ子どもに関わりたい方や、行事を通して子どもの成長を支えたい方に適した働き方といえます。

院内保育士に求められるスキル

ここでは、院内保育士として活躍するために必要なスキルを解説します。自分に備わっているものや不足している内容がないか、照らし合わせてみましょう。

急な登園や年齢差に対応できる柔軟性

院内保育士には、急な予定の変化にも落ち着いて対応できる柔軟さが求められます。病院で働く保護者はシフト制が多く、子どもの登園や降園の時間が日によって変わることもあります。このような状況にも慌てず、手順を踏んで行動することが大切です。

また、幅広い年齢の子どもたちが一緒に過ごす傾向にあるので、一人ひとりの年齢や発達段階に合わせた関わり方ができる力も求められます。子どもの年齢や状況に応じて臨機応変に動ける姿勢が、院内保育士として活躍するうえで必要になるでしょう。

子どもの変化に気づく観察力

院内保育士になるには、子どものちょっとした変化に気づく観察力も大切です。院内保育所は、一般的な保育園に比べて子どもの人数が少なく、一人ひとりとじっくり向き合える環境です。だからこそ、保育士は子どもの小さな変化を見逃さないようにする必要があります。

たとえば、「今日はなんだか表情が暗いな」「いつもと違って食欲がないな」といった些細な変化に気づくことが重要です。そうした変化に気づいたら、「夜はしっかり眠れたかな?」「お家で何かあったのかな?」というように、子どもの置かれている状況に寄り添えると、安心して過ごせる支援につながります。子どもが発する言葉だけでなく、行動や仕草からも気持ちを読み取ることで、より深く現状を理解できるでしょう。

簡潔で的確なコミュニケーション能力

院内保育士には、その日にあったことを端的に伝えるコミュニケーション能力が求められます。院内保育所の保護者は、医療従事者として日々忙しく働いています。そのため、子どもを迎えに来る時間が限られていることもあり、保育士とゆっくり話す時間が取れない場合も少なくありません。

たとえば、子どもの今日の様子を伝える際は、「今日は〇〇をとても楽しんでいました」といった成長を伝えるだけでなく、「少し熱っぽかったので、水分補給をこまめに行いました」といった体調の気づきも、簡潔に伝えることが大切です。忙しい保護者の負担にならないよう、要点を絞って報告すれば、より良い信頼関係につながります。

不規則勤務を支える体力と自己管理力

院内保育士には、体力と自己管理力が大切です。病院に併設された保育所では、医療従事者の勤務シフトに合わせて早朝や夜間、長時間の勤務が必要になる場合があります。そのため、一般的な保育園よりも不規則な勤務になりやすく、体力的な負担がかかる可能性も考えられるでしょう。院内保育士として働く際は、十分な休息や規則正しい睡眠を意識して、日々の体調をしっかり整えることが欠かせません。体調管理ができていれば、保育の質を保ちながら子どもたちに笑顔で向き合うことが可能です。

院内保育士のキャリアに関する注意点

院内保育士としてキャリアを重ねていくには、いくつか注意しておきたい点があります。下記の内容を参考に、長期的なキャリア面も検討したうえで就職・転職を判断しましょう。

年齢別保育の経験を積みづらい

院内保育では、特定の年齢の子どもを長期間担当する経験を積むのが難しい場合があります。院内保育所は少人数かつ異年齢の子どもたちをまとめて保育することが多く、年齢ごとのクラス分けがあまり行われません。そのため、一般的な保育園のように、1年間同じ年齢の子どもを担当してクラス運営や年齢に合わせた保育計画を実践する機会は少ないといえます。年齢別の保育スキルやクラス担任としての経験をしっかり積みたい場合は、院内保育だけだと経験が偏る可能性があるため、キャリア形成の面で注意が必要です。

キャリアアップ研修が給料に反映されない

院内保育士は、保育士等キャリアアップ研修を受けても給料に直接反映されない場合があります。これは、院内保育所の多くが認可外保育園として運営されており、処遇改善加算の対象にならないためです。

実際に、院内保育士がスキルやキャリアを向上するために受けている研修は、自治体や保育団体の主催するものが中心となります。院内保育所は小規模で職員数も少ないため、独自で行うものより外部の研修を利用する機会が多いようです。研修の参加実績をつくっても給料に反映されるのは難しいですが、専門性を上げることは保育士としてのステップアップにつなげられるでしょう。

院内保育士として働くメリット

院内保育士には、一般の保育園とは違った働きやすさや魅力があります。院内保育士として働くメリットを下記にまとめました。

  • 子どもとじっくり向き合える保育が実現できる

  • 医療従事者や保護者と連携が取りやすい

  • 夜勤手当で収入を増やすことができる

  • 平日の日中に自由な時間を確保できる

業務負担が比較的少なかったり、待遇面に期待できたりすることは、院内保育士として活躍していくうえでのやりがいといえます。院内保育の魅力や大変さについては、「院内保育がきついと言われる理由は?働くメリットと転職時の注意点も解説」の記事も参考にしてみてください。

院内保育士の求人の探し方

院内保育士の求人を探すなら、保育士専門の転職エージェントに相談するのがおすすめです。専門のエージェントでは、自身が求める職場環境と院内保育の現場が合っているかどうか、詳しい判断材料を提供してもらえます。希望条件に近い求人を紹介してくれるため、効率的に転職活動を進めることが可能です。

レバウェル保育士では、保育や福祉分野に詳しいキャリアアドバイザーがあなたの転職をトータルサポート。職場に求める条件や適性を考慮し、ぴったりの求人を提案いたします。

院内保育士に関してよくある質問

ここでは、院内保育士に関する質問にお答えします。ぜひ参考にしてみてください。

院内保育士の仕事はきついの?

院内保育士の仕事が「きつい」と感じるかどうかは人それぞれですが、院内保育ならではの大変さもあります。たとえば、保護者である病院職員のシフトに合わせて勤務時間が不規則になったり、幅広い年齢層にあわせた提案を求められたりすることが挙げられるでしょう。また、一般的な保育園に比べて、子どもや保護者との関わりが物足りなく感じてしまう保育士もいるかもしれません。

院内保育士と病棟保育士の違いは?

同じ病院で働く保育士であっても、院内保育士と病棟保育士では仕事内容が異なります。院内保育士は、病院で働く職員の子どもを預かるのが仕事です。主な保育内容は一般的な保育園とほぼ同じで、健康的な子どもたちを対象に保育を行います。

一方、病棟保育士は、入院している病気の子どもたちをケアします。遊びや学習のサポートを通じて精神的なケアを行うのが主な役割で、保護者だけでなく医師や看護師との連携も重要です。

院内保育士の初任給はどれくらい?

日本医療労働組合連合会「2023年度 院内保育所実態調査結果(p.19)新規タブリンク」によると、院内保育士の平均初任給は17万5,511円でした。なお、初任給の最高額は24万円、最低額は13万円となっています。夜勤や各種手当の有無、勤務時間の状況などによって、院内保育士の給料は変動するといえるでしょう。
院内保育士の給料事情については、「院内保育士の給料は高い?転職時に見るべき条件や給与アップの方法を解説」の記事も参考にしてみてください。

出典

日本医療労働組合連合会「2023年度 院内保育所実態調査結果新規タブリンク」(2025年9月1日)

まとめ

院内保育士になるために特別な医療資格は必要ありませんが、保育士資格は必須です。院内保育は、病院で働く職員の子どもを預かり、一人ひとりを見守れるのが特徴といえます。保護者の勤務に合わせて早朝や夜勤に携わることがあるため、体力や自己管理が欠かせません。院内保育士として働く際は、形成したいキャリアを積んでいけるか、自分にとって向いている環境かを判断する必要があります。

「院内保育士の求人が見つからない」「もっと自分にあった職場を見つけたい」といった方は、転職エージェントのレバウェル保育士にご相談ください。レバウェル保育士では、保育業界に精通したアドバイザーがあなたの転職活動を支援します。キャリアパスや職場環境についても具体的な情報提供ができますので、院内保育士を目指す方はぜひご相談ください。

執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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