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チャイルドマインダーとは?保育士との違いや資格の養成講座、働き方を解説
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「チャイルドマインダーの仕事内容や資格の取り方は?」と知りたい方もいるでしょう。チャイルドマインダーとは、少人数保育を専門とする知識やスキルを証明する民間資格です。 この記事では、チャイルドマインダーの役割や仕事内容、資格の取り方を解説します。受験資格や難易度、費用などの資格概要も紹介。チャイルドマインダーの主な働き方や、資格取得のメリット・デメリット、将来性についても参考にしてみてください。
目次
チャイルドマインダーとは
チャイルドマインダーとは、イギリスで発祥した少人数保育を専門とする知識やスキルを証明する民間資格です。イギリスでは、国家職業資格として認定されています。ここでは、チャイルドマインダーの役割や仕事内容を解説するので参考にしてみてください。
役割
チャイルドマインダーの主な役割は、少人数保育を通じて一人ひとりの子どもとじっくり向き合い、きめ細やかな保育を実施することです。チャイルドマインダーは、子どもの発達や個性などをもとに関わり方や保育計画を考えることで、成長を促したりサポートしたりします。
保育内容は、保護者の意向や価値観、家庭環境などをもとに考えることもあるようです。チャイルドマインダーは、子どもや保護者と密に関わり、きめ細やかな保育や手厚いサポートが求められるでしょう。
仕事内容
チャイルドマインダーは、自宅や利用者の家で家庭的な雰囲気のなか保育を実施します。子どもの人数は少人数制になりますが、仕事内容は一般的な保育園と変わらないでしょう。チャイルドマインダーの主な仕事内容は、以下のとおりです。
遊びの提供や見守り
おむつ交換やトイレの介助
昼食やおやつの介助
昼寝の寝かしつけ
連絡帳や記録の記入
保護者とのやり取り
チャイルドマインダーは、保護者の意向に沿って遊びや活動の内容を考えることもあります。外へ散歩に出かけたり、公園で遊んだりする場合もあるでしょう。
チャイルドマインダー・保育士・ベビーシッターの違い
チャイルドマインダーと保育士、ベビーシッターは、資格や保育人数などに違いがあります。それぞれの違いは、以下のとおりです。
職種 | チャイルドマインダー | 保育士 | ベビーシッター |
資格 | チャイルドマインダー(民間資格) | 保育士資格(国家資格) | 無資格で働けることもある |
保育人数 | 個別または少人数保育 | 集団保育 | 個別保育 |
保育の対象年齢 | 0~12歳 | 0~5歳 | 0~12歳くらいまで |
保育方法 | 保護者の意向や価値観に沿う | 園の保育方針に従う | 保護者からの依頼に応じる |
保育する場所 | 自宅または利用者の家など | 保育園や認定こども園などの保育施設 | 利用者の家 |
チャイルドマインダーと保育士は資格が必要ですが、ベビーシッターは無資格で働ける場合もあります。チャイルドマインダーとベビーシッターは、保育士に比べ幅広い年齢の子どもを保育する可能性があるでしょう。
【チャイルドマインダー】資格の取り方
ここでは、チャイルドマインダーの資格の取り方を解説します。チャイルドマインダーの資格は複数あり認定団体によって異なる場合もあるため、主な流れとして参考程度にしてみてください。
1.養成講座を受講する
チャイルドマインダーになるためには、養成講座を受講する必要があります。チャイルドマインダーの資格認定をしている団体のWebサイトから、申し込みましょう。養成講座の内容は認定団体により異なりますが、通信講座のテキストや動画で学習するようです。養成講座の内容や進め方にもよりますが、受講完了までは3〜6ヶ月程度掛かるでしょう。
2.認定試験を受ける
チャイルドマインダーの養成講座受講後は、認定試験が実施されます。認定試験は、自宅で受験できるようです。チャイルドマインダーの認定団体によっては、認定試験がなく養成講座の修了により資格取得となる場合もあります。養成講座の受講から資格取得までの流れは、認定団体の案内であらかじめ確認しておきましょう。
3.資格認定証が交付される
養成講座の修了や認定試験の合格後は、資格の認定証が交付されます。資格の認定証はチャイルドマインダーとして働く際、職場や保護者へ提示することになるでしょう。転職時にスキルの証明として利用することもあるため、大切に保管しておいてください。
【チャイルドマインダー】資格試験の概要
ここでは、チャイルドマインダー資格試験の受験資格や試験内容、難易度などを解説します。認定団体によっても異なるため、一例として参考にしてみてください。
受験資格
チャイルドマインダーは学歴や経験などの受験資格が問われず、資格を取得を目指せます。保育の仕事が未経験の方も、チャイルドマインダーの資格取得にチャレンジ可能です。なお、未経験者や保育士、幼稚園教諭向けなど複数のコースを設けている認定団体もあります。養成講座の受講規約は、認定団体の詳細をよく確認しましょう。
勉強・試験内容
チャイルドマインダーの資格を取得するためには、養成講座でチャイルドマインダーの役割や子どもの発達、保育の知識などを勉強します。主な勉強・試験内容は、以下のとおりです。
チャイルドマインダーの心構えや役割
子どもの発達や心理
子どもの成長を育む遊び
保育するうえでの安全管理や事故防止
発育のための栄養や離乳食
保育活動計画
養成講座では、基本的な保育に関する知識に加え、チャイルドマインダーとして働くうえでの専門知識や活動方法も勉強します。養成講座では、テストや添削プリントにより理解度を確認しながら勉強を進められるでしょう。
難易度
チャイルドマインダーの資格は養成講座を受講したうえで試験を受けるため、カリキュラムに沿ってきちんと勉強すれば、難易度が高く感じることはないでしょう。単元ごとにテストを受けながら、理解度をチェックできる養成講座もあります。養成講座の勉強が試験対策に直結するため、講座修了後は期間を空けず認定試験の合格を目指せるでしょう。
費用
チャイルドマインダーの資格取得費用は、安くてもトータルで13万円ほど掛かるようです。認定団体によって異なりますが、入会金や教材費、手数料、試験料など込みで13〜40万円ほど必要になるでしょう。資格取得費用は、分割払いが可能な養成講座もあります。決して安い金額ではないため、チャイルドマインダー資格が無駄にならないように目的は明確にしたうえで目指しましょう。
チャイルドマインダーの主な働き方
ここでは、チャイルドマインダーの就業先や働き方を紹介します。チャイルドマインダー資格の取得後は、保育施設や訪問型の保育サービスで知識やスキルを活かせるでしょう。
施設型の保育事業で働く
チャイルドマインダーのなかには、保育園や託児所など施設型の保育事業で働く方もいます。チャイルドマインダーの知識やスキルは、小規模保育園や企業内保育園、託児所など定員が少人数の保育施設で活かしやすいでしょう。
チャイルドマインダー資格のみの場合、保育施設では基本的に保育補助として働きます。保育士資格をもっている方は、チャイルドマインダーの資格と合わせて専門性を高められるでしょう。
訪問型の保育事業で働く
チャイルドマインダーは、ベビーシッターや居宅訪問型保育など、訪問型の保育事業で働くこともあります。ベビーシッターは利用者の自宅に訪問して個別保育を実施するため、チャイルドマインダーの知識やスキルが活かしやすい働き方です。ベビーシッターは保育士資格が問われない場合もあるため、チャイルドマインダー資格のみで働けるでしょう。
居宅訪問保育とは、障がいや疾病、保育園の閉鎖などにより集団保育ができない3歳未満の乳幼児を居宅で保育する事業です。認可の居宅訪問型保育事業で働く場合は、保育士資格または市町村から家庭的保育者に認定される必要があります。居宅訪問保育では個別保育を実施するため、チャイルドマインダーの知識やスキルを活かしながら働けるでしょう。
自宅で開業して働く
チャイルドマインダーのなかには、自ら開業して保育サービスを展開している方もいます。チャイルドマインダーの資格取得後、自宅で開業する場合は自治体への届け出が必要です。認可外であっても、都道府県や市町村への届け出が義務付けられています。子どもの定員に対する職員の人数や施設設備の監督基準も設けられているため、自宅で開業する場合は、自治体の規定に従って環境を整えましょう。
チャイルドマインダーの開業については、資格認定団体が情報を教えてくれたりフォローしてくれたりすることもあるようです。開業への手続きは煩雑であるため、専門家や経験者に相談してみましょう。
チャイルドマインダーの給料
チャイルドマインダーの平均的な給料は、就業先によって異なります。こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報>(p.4)」によると、チャイルドマインダーが働く可能性がある就業先の平均的な給与月額は以下のとおりです。
就業先 | 常勤者1人当たり給与月額
(賞与の1/12を含む) |
家庭的保育事業(家庭的保育者) | 36.8万円 |
小規模保育事業(A型)(保育士) | 29.4万円 |
小規模保育事業(B型)(保育士) | 30.0万円 |
小規模保育事業(C型)(家庭的保育者) | 30.4万円 |
参照:こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報>(p.4)」
また、職業情報提供サイトjobtag「ベビーシッター」によると、ベビーシッターの平均年収は394.3万円でした。1ヶ月あたりの給与に換算すると、約32.8万円となります。
出典
こども家庭庁「第8回 子ども・子育て支援等分科会」(2025年4月9日)
職業情報提供サイトjobtag「ベビーシッター」(2025年4月9日)
チャイルドマインダーの資格を取得するメリット
保育に関してスキルアップを目指したい方や専門性を高めたい方は、チャイルドマインダーの資格取得がメリットになるでしょう。ここでは、チャイルドマインダーの資格を取得するメリットを解説します。
少人数保育の専門知識やスキルが身につく
チャイルドマインダーの資格を取得すると、保育のスキルのなかでも少人数保育に特化した専門性を高められる点はメリットです。保育士の方がチャイルドマインダーの資格を取得すれば、少人数保育の知識やスキルを強みとして活かせます。チャイルドマインダーの知識やスキルを活かして働けば、職場や保護者から評価され保育士のキャリアアップにもつながるでしょう。
子どもとじっくり向き合い保育できる
チャイルドマインダー資格取得で身につけた知識を活かせば、子どもの発達や心理を理解し、じっくりと向き合い保育できるでしょう。チャイルドマインダーが実施する少人数保育では、子どもや保護者との関わりが深くなるため、家族と同じような存在になれることもあるようです。子どもの成長を保護者と一緒に見守り悩みや喜びを分かち合えれば、チャイルドマインダーとしてのやりがいにもつながるでしょう。
就職や転職で役立つ
チャイルドマインダー資格は知識やスキルの客観的な証明となるため、就職や転職でアピールできる点はメリットです。保育士がチャイルドマインダーの資格を取得すれば、少人数保育の専門性を強みとしてアピールできるでしょう。
無資格の方が保育施設への就職を目指す場合、知識やスキルのアピールが難しいこともあります。チャイルドマインダーの資格があれば、保育の知識があることや働く意欲も示しやすくなるでしょう。
チャイルドマインダー資格のデメリット
チャイルドマインダー資格だけでは、保育士として働けない点はデメリットです。一般的に保育施設へ就職する際は保育士資格が問われ、無資格の場合は保育補助になります。保育補助は、パートやアルバイトなどの非正規雇用になることもあるため、正社員を目指したいのであれば保育士資格も必要になるでしょう。
小規模保育園やベビーシッター、託児所などで働く場合は、保育士資格とチャイルドマインダー資格の両方をもっていると評価されやすくなります。
チャイルドマインダーに向いている人の特徴
ここでは、チャイルドマインダーに向いている人の特徴を紹介します。子どもと関わるのが好きなことはもちろん、責任感やコミュニケーション能力なども必要になるでしょう。
子どもと関わるのが好きな人
子どもとの関わりが好きで、じっくり向き合い保育したい人はチャイルドマインダーに向いているでしょう。チャイルドマインダーは、子ども一人ひとりの個性や発達に合わせて保育を実施します。そのため、子どもとの関わりが好きな人であれば、密な関わりから成長を促したりサポートしたりできるでしょう。
集団保育や少人数保育、個別保育など、保育の方法によって子どもとの関わり方は変わります。チャイルドマインダーは、少人数や個別保育のスキルを活かし、子どもとじっくり向き合いたい人が向いているでしょう。
責任感が強い人
チャイルドマインダーは、1人で子どもを保育することがあるため責任が強い人は向いています。1人で子どもの安全を守り事故防止に努めるためには、強い責任感が必要です。
また、保護者の意向に沿って保育を実施することにおいても責任感は求められます。責任をもって保育計画を立てたり、子どもに合わせた活動を実施したりすれば、保護者からの信頼が厚いチャイルドマインダーになれるでしょう。
コミュニケーション能力が高い人
コミュニケーション能力が高い人も、チャイルドマインダーに向いているでしょう。チャイルドマインダーは、子どもや保護者と密なコミュニケーションが求められます。子どもの個性や発達に合わせた保育を実施するためには、保護者へのヒアリングや日々のやり取りといったコミュニケーションが重要です。
ポジティブな声掛けや丁寧なやり取りをすれば、子どものやる気や成長につながることもあります。話をよく聞いて理解することや会話のキャッチボールが得意といった方は、コミュニケーション能力が高くチャイルドマインダーの仕事でも活かせるでしょう。
体力に自信がある人
体力に自信がある人は、チャイルドマインダーに向いています。チャイルドマインダーは、乳児を抱っこしたり子どもと一緒に外で遊んだりするため持久性が必要です。保護者からの意向で体力づくりを任され、運動する時間が長くなることもあります。子どもの安全を守ったり事故を防止したりするためにも、体力が必要になるでしょう。
チャイルドマインダーの需要や将来性
チャイルドマインダーは、少人数保育や個別保育のプロとして需要や将来性があるでしょう。共働き世帯の増加や核家族化により保育の需要が増加しており、一般的な保育園の集団保育だけでなく少人数保育や個別保育など、保育方法の選択肢も多様化しています。
保育園では人手不足が問題となり、一人ひとりの子どもとじっくり向き合う時間が少ないこともあるようです。そのため、保護者のなかには、子どもの個性や発達に合わせて手厚い保育が受けられる少人数保育や個別保育を選ぶ方もいます。
保育施設で働く際に問われるのは保育士資格のため、チャイルドマインダー資格と合わせてもっていれば専門的な強みを活かしやすくなるでしょう。また、チャイルドマインダーとして活躍するためには、資格取得後も少人数保育のプロとしてスキルアップを目指すことが重要です。
チャイルドマインダーに関するよくある質問
ここでは、チャイルドマインダーに関するよくある質問にQ&A形式で答えます。
チャイルドマインダーの資格取得は意味ない?
チャイルドマインダーの資格は、保育士資格と合わせて持っていると保育施設で活かしやすくなるでしょう。小規模保育園や託児所などで働く際は、一般的に保育士資格が問われます。チャイルドマインダー資格のみだと保育補助になりサポート業務がメインになるため、保育士資格もあると専門性を活かしながら働けるでしょう。
チャイルドマインダーは独学で資格取得できる?
チャイルドマインダーは養成講座の受講が必要なため、独学での資格取得はできません。チャイルドマインダーの資格を認定している団体で、養成講座を受講し認定試験を受ける必要があります。知識やスキルの習得のみであれば、チャイルドマインダー関連の本で独学できるでしょう。
まとめ
チャイルドマインダーとは、イギリスで発祥した少人数保育を専門とする知識やスキルを証明する民間資格を指します。チャイルドマインダーの役割は、少人数保育を通じて一人ひとりの子どもとじっくり向き合い、きめ細やかな保育を行うことです。子どもの個性や発達、保護者の意向に合わせて自宅や利用者の家で家庭的な雰囲気のなか保育を実施します。仕事内容は、食事の介助やおむつ替え、遊びの提供など一般的な保育と大きな違いはないでしょう。
チャイルドマインダーの資格を取得するためには、養成講座を受講し認定試験を受ける必要があります。受験資格において、学歴や経験は問われないため保育未経験の方も目指せる資格です。保育士資格とチャイルドマインダー資格の両方を持っていると、専門性を活かして活躍できる幅が広がるでしょう。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。