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保育士が失業手当を受ける条件とは?もらえる金額や申請から受給までの流れ
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保育士の失業手当について知りたい方もいるのではないでしょうか。失業手当は、次の仕事が決まるまでの生活を支えるために支給される給付金で、受給するには雇用保険の加入期間や求職活動の実績など、いくつかの条件をクリアする必要があります。 この記事では、保育士が失業手当を受けるための条件や支給額、申請から受給までの流れを詳しく解説します。退職後の生活を安定させ、スムーズに転職を進めるためにぜひ参考にしてください。
目次
保育士がもらえる失業手当とは?
失業手当とは、雇用保険に加入していた方が退職後、次の仕事が決まるまでの生活を支えるために支給される給付金です。正式には「基本手当」と呼ばれ、再就職先が決まるまでの間、生活の安定を支える役割を持っています。また、「失業保険」と呼ばれる場合もあります。
保育士を辞めた後、すぐに新しい仕事が見つかるとは限らず、収入が途絶えることに不安を感じる方も多いでしょう。そのようなときに失業手当を活用すると、金銭的な負担を軽減し、安心して次のキャリアに向けた準備ができます。スムーズに受給できるよう、退職前に制度の仕組みを理解し、必要な手続きを確認しておきましょう。
失業手当をもらうための3つの条件
退職した後、失業手当を受給するには雇用保険に一定期間加入し、求職活動を行うなどの条件を満たす必要があります。
ここでは、失業手当を受け取るために必要な3つの条件をわかりやすく解説します。
1.失業状態であること
失業手当を受け取るためには、退職後に失業状態であることが必要です。3でも紹介しますが、失業状態とは、働く意思があり積極的に就職活動をしているのにもかかわらず、次の就職先が決まっていない状態を指します。
2.一定期間雇用保険に加入していたこと
保育士を退職した後、失業手当をもらうためには、一定期間以上雇用保険に加入していることが必要であり、退職理由によって求められる加入期間が異なります。自己都合で退職した場合(一般離職者)は、退職した日から直近2年間に12ヶ月以上の被保険者期間が必要です。会社都合で退職した場合(特定受給資格者)は、直近1年間に6ヶ月以上の被保険者期間があれば失業手当を受け取れます。どちらのケースでも、退職前に一定期間雇用保険に加入している必要があるので注意しましょう。
出典
厚生労働省「ハローワークインターネットサービス」(2025年8月29日)
3.働く意思があり積極的に就職活動をしていること
失業手当を受け取るためには、働く意思があり積極的に就職活動をしていることが条件です。ハローワークで求職の申し込みを行い、定期的に就職活動の実績を報告する必要があるため、求人への応募、面接、職業相談の利用などの行動が求められます。
自己都合で退職した場合は、手当の支給開始までに一定の待機期間がありますが、その間も積極的に求職活動を続ける必要があります。失業手当は「次の仕事を見つけるまでの支援」であるため、前向きに就職活動を続けるのが大切です。
失業手当の支給期間はどのくらい?
失業手当の支給期間は、退職理由や雇用保険の加入期間によって異なります。ここでは、自己都合と会社都合の場合について詳しく解説します。
自己都合退職の場合の支給期間
自己都合で退職した場合、以下のように雇用保険の加入期間に応じて支給される失業手当の期間が異なります。
被保険者であった期間
10年未満 | 10年以上
20年未満 | 20年以上 |
90日 | 120日 | 150日 |
最短で90日、最長で150日受給できますが、受給開始までには一定の待機期間と給付制限があるため注意が必要です。
自己都合で退職した場合、失業手当の受給開始までに待機期間と給付制限期間があるため、実際に支給されるまで2ヶ月程度かかります。待機期間は求職の申し込みをした日から7日間です。正当な理由のない自己都合(給与が安い・仕事が合わないなど)で退職した場合、給付制限期間は離職日が令和7年4月1日以降は原則1ヶ月、同年3月31日以前である場合は原則2ヶ月となります。ただし、離職日から過去5年以内に2回以上自己都合で退職している場合、または懲戒解雇された場合は3ヶ月に延長されることがあります。
出典
厚生労働省「ハローワークインターネットサービス」(2025年8月29日)
会社都合退職の場合の支給期間
会社都合で退職した場合、失業手当の受給期間は雇用保険の被保険者期間と離職時の年齢によって異なります。
被保険者であった期間
離職時年齢 | 1年未満 | 1年以上
5年未満 | 5年以上
10年未満 | 10年以上
20年未満 | 20年以上 |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
30歳以上
35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳以上
45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳以上
60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上
65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
被保険者期間が1年未満であれば一律90日間ですが、1年以上になると年齢が上がるにつれて支給期間も長くなります。会社都合の場合、自己都合退職よりも期間が細かく分かれているため、しっかり把握しておきましょう。
失業手当の支給額はいくら?
失業手当の支給額は、退職前の給与によって異なり、基本的には、離職前6ヶ月の給与をもとに計算され、1日あたりの給付額が決まります。ただし、上限額が設定されているため、高収入だった場合でも一定の範囲内での支給となります。下記の計算方法を理解し、自分の給与に当てはめて確認してみましょう。
失業手当の計算方法
基本的な流れは、まず「賃金日額」を求め、それに応じた「基本手当日額」を算出し、最後に「所定給付日数」を掛けて総額を計算します。
1. 賃金日額=退職前6ヶ月の給与総額÷180(6ヶ月×30日)を算出
2. 基本手当日額=賃金日額×50~80%(年齢や賃金、日額によって異なる)を算出
3. 基本手当の総額=基本手当日額×所定給付日数
25歳で、同じ職場に3年間勤めた保育士が自己都合(仕事が合わない)で退職し、失業手当を受け取るケースを例として見てみましょう。雇用保険には1年以上加入しているため受給資格があり、退職前6ヶ月の給与は毎月20万円とします。
・賃金日額の計算
退職前6ヶ月の給与総額÷180日
=(20万円×6ヶ月)÷180日
=6,667円
・基本手当日額の計算(賃金日額の80%適用の場合)
賃金日額×80%
=6,667円×80%
= 5,334円
・所定給付日数の確認(自己都合退職・1年以上5年未満勤務のため90日)
基本手当日額×90日
=5,333円×90日
=479,970円(総額約48万円)
このように、失業手当の支給額は退職前の給与や勤務期間によって異なります。受給額を正しく把握し、再就職までの生活設計に役立てましょう。
失業手当の基本手当日額の上限額
失業手当の基本手当日額には上限額が設定されており、退職時の年齢によって異なります。上限額は「毎月勤労統計」の平均定期給与額に応じて見直されるため、支給額が変更されることがあります。受給額を確認する際は、最新の情報をチェックしましょう。
退職時の年齢 | 基本手当日額の上限額 |
29歳以下 | 6,945円 |
30歳~44歳 | 7,715円 |
45歳~59歳 | 8,490円 |
60歳~64歳 | 7,294円 |
参照:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります (p.1)」
失業手当の基本手当日額の下限額
失業手当の基本手当日額には下限額が設けられており、一定額以上の支給が保証されています。下限額は制度の改定により変更されることがあるため、最新の情報を確認するようにしましょう。
退職時の年齢 | 基本手当日額の下限額 |
全年齢 | 2,196円 |
参照:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります (p.1)」
失業手当を受給するための手続きとその流れ
失業手当を受給するには、ハローワークでの申請から失業認定まで、いくつかの手続きが必要です。手続きをスムーズに進めるために下記の必要書類を準備し、申請の流れをしっかり確認しておきましょう。以下は、失業手当を受給するために必要な書類です。
・ 雇用保険被保険者離職票(1・2)
・個人番号確認書類(以下のいずれか1つ)
マイナンバーカード
通知カード
個人番号の記載がある住民票
・身元確認書類(以下のいずれか1つ or 異なる2つ)
一種類でOK:運転免許証、マイナンバーカード、写真付き身分証明書など
二種類必要:健康保険証、児童扶養手当証書など
・ 証明写真(縦3.0cm×横2.4cm)2枚
※マイナンバーカード提示で省略可能
・本人名義の預金通帳またはキャッシュカード(一部指定できない金融機関あり、ゆうちょ銀行は可)
1.ハローワークで求職申し込みと受給資格の申請をする
まずは、ハローワークに行き、求職申し込みと失業手当の受給資格の申請を行います。この際、前述した必要書類を忘れずに持参しましょう。求職申し込みをすると、失業中であるのが認められ、失業手当の申請手続きへと進められます。
2.7日間の待機期間を過ごす
申請が完了すると、7日間の待期期間が始まります。この期間中は、基本的に働いたり収入を得たりしないようにしましょう。万が一収入を得た場合、待期期間がリセットされ、受給開始が遅れる可能性があります。
3.雇用保険受給者説明会に参加する
待期期間終了後、ハローワークで雇用保険受給者説明会に参加しましょう。この説明会では、失業手当の受給条件や、求職活動のルールについて詳しく説明されます。また、失業認定日に関する重要な案内も行われるため、必ず参加し、必要な書類を受け取っておきましょう。
4.失業認定を受ける
説明会に参加した後は、定期的な失業認定を受ける必要があります。失業認定は4週間に1回のペースで行われ、求職活動の実績を報告することが求められます。また、求職活動の実績には、ハローワークでの職業相談や、求人への応募などが含まれます。認定を受けないと手当が支給されないため、忘れずに手続きを行いましょう。
5.失業手当の支給が開始される
失業認定を受けると、指定の口座に失業手当が振り込まれます。受給期間中も、積極的に求職活動を行い、次の仕事を見つけるための準備を進めましょう。なお、失業手当の受給は一時的な支援であり、受給期間が終了すると支給はストップします。計画的に転職活動を進め、早めに再就職を目指しましょう。
失業手当を受ける際の注意点
適切な手続きを踏まないと受給が遅れたり、最悪の場合は手当を受け取れなくなることもあります。スムーズに受給するために、以下のポイントを確認しておきましょう。
求職活動の実績が2回以上必要になる
失業手当を受給するには、4週間ごとに2回以上の求職活動実績を報告しなければなりません。求職活動には以下のようなものが含まれます。
ハローワークでの職業相談
求人への応募や面接
ハローワーク主催のセミナーや講習会の受講
転職エージェントのカウンセリング
求職活動の回数が足りないと、その期間の手当が支給されない可能性があります。計画的に活動を進め、実績を確実に積み重ねておきましょう。
求職活動の進捗を正確に報告する
求職活動の内容は、ハローワークの失業認定時に詳しく報告する必要があります。活動日や応募先、面接の有無、参加したセミナーの名称などを記録し、正確に申告しましょう。
万が一、虚偽の報告をすると支給停止や返還命令を受ける可能性があります。ハローワークが求職活動の詳細を確認することもあるため、証拠となる資料(求人応募のスクリーンショットやセミナー参加証明書など)を残しておくと安心です。
待機期間中のアルバイトは避ける
失業手当の受給資格を得るためには、最初に7日間の待機期間を過ごす必要がありますが、この期間中にアルバイトなどで収入を得ると、待機期間がリセットされ、受給開始が遅れることがあります。
また、待機期間後でも、収入が一定額を超えると、失業手当の支給額が減額されたり、支給が停止されたりする場合も。副業や短期バイトを考えている場合は、事前にハローワークに相談し、影響が出ないか確認するようにしましょう。
保育士が失業手当をもらいながら転職を成功させるコツ
失業手当を受給しながら転職を成功させるには、計画的に求職活動を行う必要があります。求職活動の実績を4週間に2回以上作る必要があるため、ハローワークの相談や転職セミナーを積極的に活用しましょう。転職後のミスマッチを防ぐために、希望する勤務時間・給与・職場環境などの条件を整理し、優先順位を決めることも欠かせません。
「残業が少なく、プライベートの時間を確保したい」「人間関係が良好な環境で働きたい」など、悩んでいる方は転職エージェントの利用も選択肢の1つです。
「レバウェル保育士」では、取材訪問などを通じ、保育方針や職場の雰囲気など現場の情報を収集しています。これにより、事前に職場環境をしっかり把握したうえで転職活動を進められるのがメリットです。
また、条件のヒアリングや求人紹介、模擬面接など、あなたの転職を専任のアドバイザーがトータルでサポートします。サービスはすべて無料で利用できるため、ぜひお気軽にご相談ください。
保育士の失業手当に関してよくある質問
ここでは、保育士の失業手当についてよくある質問を紹介します。ぜひ参考にしてください。
失業手当を申請した後すぐに再就職した場合の影響は?
失業手当を申請してすぐに再就職が決まると、失業手当の支給は停止されます。しかし条件を満たせば「再就職手当」を受け取れます。ただし、受け取るには以下の条件をすべて満たす必要があります。
受給資格決定後、7日間の待期期間を経過、または事業を開始したこと
就職日の前日までに失業認定を受け、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
離職した前の事業主に再び就職したものでないこと
自己都合などで退職して給付が制限される期間がある場合、待期期間が満了した後初めの1ヶ月は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で採用されたこと
雇用見込みが1年以上ある職場に就職すること
原則として、雇用保険の被保険者になっていること
受給資格決定前から採用が内定していないこと
過去3年以内の就職で再就職手当または常用就職支度手当を受給していないこと
再就職手当を受け取る要件は変更される可能性があるため、ハローワークのホームページなどで常に最新の情報を確認してください。
出典
厚生労働省「再就職手当のご案内」(2025年9月1日)
パート勤務でも失業手当はもらえますか?
パートやアルバイトの場合でも、雇用保険に加入しており、一定の勤務期間を満たしていれば失業手当を受給できます。主な受給条件は以下のとおりです。
雇用保険に加入していたこと(週20時間以上の勤務など)
31日以上の雇用見込みがあること
ただし、退職理由や勤務状況によって給付条件が異なるため、詳細はハローワークで確認するのがおすすめです。
失業手当をもらいながら保育士の資格取得を目指せますか?
失業手当を受給しながら保育士の資格取得を目指すことは可能です。ハローワークが認める職業訓練を受講すると、追加の支援を受けられる場合があります。教育訓練給付金や求職者支援制度など、一定の条件を満たせば、受講費用の一部補助や訓練期間中の生活支援が受けられる場合があるため、ハローワークで相談してみましょう。
まとめ
失業手当とは、雇用保険に加入していた方が退職した後、次の仕事が決まるまでの生活を支えるために支給される給付金のことを指します。失業保険を受給するには一定の条件があるため、事前に確認する必要があります。年齢や雇用保険の加入期間によっても受給額や支給期間が変わるので、自分の状況を事前に把握しておくと安心です。
失業手当を受け取るには、ハローワークに行き、求職申し込みと失業手当の受給資格の申請を行います。その後、7日間の待期期間を過ごして雇用保険受給者説明会に参加し、認定を受ける必要があります。また、4週間ごとに2回以上の求職活動実績を報告しなくてはいけません。失業手当を受給するステップや注意事項を確認し、スムーズに転職活動を進めましょう。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。