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食育アドバイザーとは?資格取得の流れと仕事での活用法を分かりやすく紹介
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食育アドバイザーとはどのような資格で、どのような役割を担うのか知りたい方もいるでしょう。食育アドバイザーは、食に関する基礎知識を学び、家庭や教育、医療・福祉の現場で活かせる資格です。子どもの食習慣や高齢者の栄養管理など、幅広い年代の健康を支える役割を果たします。この記事では、食育アドバイザーの資格の特徴や取得方法、実際に活躍できる仕事、向いている人の特徴などの情報をまとめました。
目次
食育アドバイザーとは?
食育アドバイザーは一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)認定の民間資格で、食育の基礎知識を持ち、指導ができることを証明するものです。食育とは、食の知識と選択力を育み、健全な食生活を促す活動を指します。食育アドバイザーの資格は、家庭だけではなく地域や教育の現場でも活かすことが可能です。技能審査に合格すれば、「JADP認定食育アドバイザー」の称号が与えられます。
出典
一般財団法人日本能力開発推進協会「JADP認定食育アドバイザー」(2025年4月9日)
食育アドバイザーの目的と生まれた経緯
ここでは、食育アドバイザーの資格の目的と、生まれた経緯について解説します。資格の目的や背景を知り、実際に技能審査へ挑む際の参考にしてみてください。
資格取得の目的と意義
食育アドバイザーの資格は、変化し続ける現代の食環境の中で、正しい知識と実践力を持った人材を育成することが目的です。近年では、ライフスタイルや家庭環境の多様化、加工食品や外食の増加により、栄養バランスの乱れや偏食、食に対する関心の低下が深刻な社会課題となっています。
食育アドバイザーは子どもから高齢者まで、年齢やライフステージに応じた「食育」を支援できるのも特徴。家庭内の食事作りはもちろん、学校や地域、保育・福祉・医療の現場、食品業界など、あらゆる分野で活かせる応用力の高いスキルを身につけることが可能です。この資格を通して得た知識と実践力は、自分自身の食生活を見直すきっかけになるだけでなく、身近な人の健康作りや地域全体の食育活動にも貢献できます。
食育アドバイザーが生まれた経緯
食育アドバイザーが生まれた経緯には、現代社会の食生活の変化による課題が関係しています。たとえば、ファストフードやレトルト食品などの利用頻度の増加によって、食事の栄養バランスが偏ったり、食べる時間や量が不規則になったりすることが挙げられるでしょう。また、伝統的な食文化の継承が難しくなっているほか、食の安全性に対する不安も高まっています。
こうした課題に対応するため、2005年に「食育基本法」が制定され、国をあげて食育の推進に取り組む体制が整えられました。この法律では、家庭・学校・地域・企業・行政など社会全体で食育を進めることが重要であるとされ、国の基本方針として以下の7つの取り組みが掲げられています。
家庭における食育の推進
学校や保育所など教育機関での食育の推進
地域における食生活改善活動の推進
国民への食育推進運動の展開
生産者と消費者の交流促進や、持続可能な農林漁業の活性化
食文化の継承への支援
食の安全や栄養に関する調査・研究・情報提供および国際交流の推進
これらの動きを背景に、専門知識を持って実践できる人材として食育アドバイザーの資格が生まれました。資格取得者は、家庭内での献立作りや食習慣の見直しを行うだけでなく、地域の講座や学校での指導、食育イベントの企画・運営など、幅広い現場で「食を通した教育」を担う存在として活躍しています。
出典
総務省「食育基本形の体系」(2025年4月9日)
食育アドバイザーの資格を取るには?
食育アドバイザーの資格を取得するには、認定された教育機関で指定カリキュラムを受講し、修了後に行われる検定試験に合格する必要があります。ここでは、資格取得までの流れと上級資格についての情報をまとめました。
資格取得の流れ
食育アドバイザーの資格取得は、認定教育機関での受講が必須です。カリキュラムに沿った正しい知識と実践スキルの習得が重視されているため、独学のみでは資格を得られない点に注意しましょう。食育アドバイザーの資格取得の流れは、以下のとおりです。
1.日本能力開発推進協会(JADP)認定の教育機関で対象のカリキュラムに申し込む
2.食育の基本知識や実践的なスキルについて学習を進める
3.カリキュラム修了後、日本能力開発推進協会の公式サイトから検定試験を申し込む
4.受験料の支払い後、検定試験問題が発送される
5.在宅で受験し、合格基準である70%以上の得点を目指す
6.答案提出後、約1ヶ月で合否結果が通知される
講座では、食育の基本理念をはじめ、栄養バランスや食事マナー、子どもの食育、シニア世代の食支援まで、幅広いテーマが扱われます。通信講座形式が主流で、自宅でテキストやDVDを使って学習し、添削課題を提出。カリキュラムを修了すると、検定試験への申込資格が得られる仕組みです。受験の際は、教育機関や合否判定、通知のタイミングなどをよく調べておきましょう。
上級食育アドバイザーを目指すことも可能
食育についての専門知識を深めたい人は、「上級食育アドバイザー」の取得もおすすめです。この資格では、基礎的な食育の知識だけでなく、より高度な栄養学やライフステージに応じた食の支援、指導方法などについて学べます。
上級食育アドバイザーの資格は、保育士・介護職・栄養士・医療従事者など、すでに食や健康に関わる仕事をしている人にとっても、専門性を高める絶好の機会となるでしょう。地域の講師活動やセミナー開催などを視野に入れている人にもおすすめです。
出典
一般財団法人日本能力開発推進協会「JADP認定食育アドバイザー」
一般財団法人日本能力開発推進協会「JADP認定上級食育アドバイザー」(2025年4月9日)
食育アドバイザーの資格を得るメリット
食育アドバイザーの資格を取得することで、食に関する正しい知識を身につけるだけでなく、家庭や職場、地域での食育活動にも自信を持って取り組めるようになるでしょう。ここでは、食育アドバイザーの資格を取得するメリットについて解説します。
食育に関連する専門知識を得られる
食育アドバイザーの資格は栄養学の知識にとどまらず、食文化やライフスタイル、食事と心身の健康の関係についても学べます。食事が与える体調や気分への影響、食文化に基づいた食生活の大切さなど、幅広い専門知識を学べるのが特徴です。この知識を活かして、学びながら自分自身の食生活を見直し、より健康的なライフスタイルを実現できるでしょう。
安全性を意識した食品の選択ができる
食育アドバイザーは、食品の保存方法や産地、加工方法など、食材選びの基準に関する知識も習得可能です。これにより、消費者として正しい選択をするためのスキルが身につき、家庭や職場での食事提供においても品質や安全性に配慮した選択ができるようになります。また、食品業界に従事する場合やフードコンサルタントとして活動したい場合も、食育アドバイザーとしての知識が役立つでしょう。
食育アドバイザーが活躍できる仕事
食育アドバイザーの資格を取得すれば、料理教室や教育現場、食品開発の現場などで役立てることが可能です。どのような場面で資格を活かせるのか、詳細を確認してみましょう。
料理教室の講師
食育アドバイザーは、家庭向けの健康的なメニューを紹介する料理教室の講師として活躍できます。子ども向けやシニア向け、アレルギー対応メニューなど、ターゲット層に応じた講座を開講することで、より多くの人に「食」の大切さを伝えることが可能です。また、料理だけでなく、食材選びや食べ方、栄養バランスの考え方などを提案できるため、受講者の食に対する意識を高められるでしょう。
保育園・学校など教育の場
食育アドバイザーの知識は、保育園や学校をはじめとした教育現場でも活用することが可能です。子どもの頃から健全な食習慣を育むことは、生涯に渡る健康維持につながります。教育現場で子どもたちに「食べることの大切さ」「栄養のバランス」「食事マナー」などを伝えるのも、食育アドバイザーの大切な役割です。また、保護者向けの食育講座を開催するなど、家庭との連携を図る取り組みも期待されています。
飲食業や食品開発の現場
飲食店や食品業界で食育アドバイザーの視点を取り入れれば、「体にやさしい」「安心できる」といった食事の提供につなげられます。安全で栄養バランスの取れたメニューの開発や、パッケージに記載する栄養情報の監修などに関わる場面においても、専門知識を役立てられるでしょう。企業の商品戦略にも貢献できるポジションを目指せます。
医療・福祉の分野
医療・福祉の現場では、栄養や食事管理が直接的に健康状態へ影響するため、食育アドバイザーの知識が役立つでしょう。高齢者施設や介護現場では、嚥下機能の低下に配慮したメニューの工夫や、食事を楽しむ工夫などが求められます。
また、病院では管理栄養士のサポートとして、患者への食事アドバイスや生活改善への提案などにも関わることが可能です。利用者一人ひとりに寄り添いながら、食を通じて心身の健康を支えることができる、やりがいのある分野といえるでしょう。
食育アドバイザーの資格取得に向いている人の特徴
食育アドバイザーは、食に関する正しい知識を学び、それを日常生活や仕事に活かしたいと考える人にとって大きな武器になります。ここでは、どのような人が食育アドバイザーに向いているのか、その特徴を詳しくみていきましょう。
食や健康に関心がある人
日々の食事や体の健康に対して意識を持っている人は、食育アドバイザーの資格取得に向いているでしょう。食育アドバイザーの勉強をすれば、栄養バランスの良い食事や旬の食材の活用法、体調に合わせた献立作りなど、実生活で役立つ知識を身につけられます。
「家族の健康を守りたい」「食生活を見直したい」と考えている場合は、自分自身や身近な人の健康管理に役立てられるでしょう。また、乳幼児から高齢者までライフステージごとに異なる食の課題にも対応できるため、より深く「食と健康」に関わりたい方におすすめです。
手軽に食育の知識を身につけたい人
「忙しくても自分のペースで学びたい」「通学せずに資格を取りたい」という人にも、食育アドバイザーはおすすめです。認定教育機関が提供する通信講座を受講すれば在宅で学習から試験まで完結できるため、スキマ時間を活用しながら資格取得できます。
また、専門的過ぎないカリキュラム構成のため、初心者でも無理なく学び進められるのも魅力です。「食育に興味はあるけれど、どこから手をつけていいか分からない」という場合であっても、食育アドバイザーの資格は食に関する第一歩として選択しやすいでしょう。
食育アドバイザーに関するよくある質問
ここでは、食育アドバイザーについてよくある質問にお答えします。ぜひ参考にしてみてください。
食育アドバイザーと食育インストラクターの違いは?
食育アドバイザーは、日常生活や仕事に活かせる「基礎的な食育の知識」を学べる資格で、家庭内での食生活改善や地域での食育活動に役立ちます。通信講座の受講後、自宅での試験を経て取得できるため、忙しい方や初学者でも挑戦しやすいでしょう。
食育インストラクターは、食に関する専門的な技術や実践力も必要とされ、調理実習や対面での講義など、高度な内容が含まれる資格です。資格には「プライマリー」「ミドル」「シニア」「マスター」の4段階があり、級が上がるごとに受験条件や難易度も上がっていきます。「気軽に食育の学びをスタートしたい」という方には食育アドバイザー、「専門性を高めてプロを目指したい」という方には食育インストラクターが向いているでしょう。
食育アドバイザーと食生活アドバイザーの違いは?
食育アドバイザーは認定された通信講座を受講し、決められたカリキュラムを修了すれば自宅で受験し資格を取得できます。学習内容は食育に特化しており、家庭や地域での食育指導に役立つ内容が中心です。
食生活アドバイザーは、食事だけでなくマナー・経済・医療・法律など多岐に渡る範囲の知識を問われる資格で、指定会場での試験が必要になります。3級は選択問題中心ですが、2級では記述問題や時事的な内容も含まれ、ややハードルが高くなるのが特徴です。「家庭や教育の現場で食を伝えたい方」には食育アドバイザー、「幅広い食生活のアドバイザーを目指す方」には食生活アドバイザーがおすすめといえるでしょう。
食育アドバイザーの資格は意味がないって本当?
一部では「食育アドバイザーは簡単に取得できるため、意味がないのでは?」という声も聞かれますが、実際には多くの場面で役立つ実用性の高い資格です。とくに家庭や教育現場、医療・福祉分野などで活かせる知識が多く含まれており、実践に結びつけやすい特徴があります。
また、資格取得を通じて「食について伝える力」が身につくため、地域の食育活動や子どもの食育支援など幅広く活用できるでしょう。家族の健康管理やキャリアアップを考えている方にとっても、価値のある資格といえます。
まとめ
食育アドバイザーは、家庭での食事作りや教育現場、福祉・医療分野など、幅広い場面で活かせる知識と実践力を身につけられる資格です。ライフステージごとの健康課題に対応した食事の考え方を学ぶことで、身近な人々の健康を支える役割を果たせるでしょう。
また、食育の基礎だけでなく、日常生活に落とし込んで実践できる内容が多いため、資格取得は自己成長だけでなく、周囲への貢献にもつながります。健康や食育に興味がある方は、生活や仕事に役立つスキルとして、この資格に挑戦してみるのもおすすめです。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。