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小規模保育園は保育士にとって働きにくい?理由と職場選びのポイントを解説
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小規模保育園に興味はあるけれど、「働きにくいのでは?」「大規模園とどう違うの?」と不安に感じる方もいるかもしれません。小規模保育園には、子どもとじっくり関われる反面、休みの融通が利きづらいといった側面もあります。この記事では、小規模保育園が働きにくいといわれる理由や、そう感じやすい保育士の傾向を解説します。快適に働くためのポイントも紹介するので、転職をお考えの方はぜひお役立てください。
目次
小規模保育園は働きにくいって本当?
小規模保育園が働きにくいかどうかは、保育士自身の感じ方によって異なります。政府広報オンラインの「あなたに合った支援があります!ご存じですか?『子ども・子育て支援新制度』」によると、小規模保育園とは、主に0歳〜2歳までの乳幼児を対象に、6人〜19人の少人数を預かる保育施設のことを指します。
小規模保育園では、少人数の職員で業務を分担するため、柔軟な対応力や多様な役割が求められます。そのため、保育士の中には大規模保育園との違いに戸惑いを感じる人もいるでしょう。一方で、子どもと密に関わりながら、家庭的で落ち着いた雰囲気を好む人にとっては働きやすい職場に映る可能性もあります。
大規模保育園にも小規模保育園にも、それぞれに特徴や課題があります。自分の保育観や働き方に合った環境を選ぶことが、長く快適に働くためのポイントです。
出典
政府広報オンライン「あなたに合った支援があります!ご存じですか?『子ども・子育て支援新制度』」(2025年7月18日)
小規模保育園が働きにくいとされる5つの理由
「小規模保育園は働きにくい」といわれる理由には、人間関係や休日面、スキルなどに関する内容が挙げられます。以下で主な5つの理由を解説するので、小規模保育園特有の課題や悩みを理解したい方は、参考にしてみてください。
1.保育士同士の人間関係に左右されやすい
小規模保育園で働きにくさを感じる理由の1つが、人間関係の影響を受けやすい点です。職員数が少ないため人間関係が密接になりやすく、園長や同僚との相性が合わない場合、日々の業務にストレスを感じることがあります。一度人間関係が悪化すると、修復が困難になる可能性もあるでしょう。
お互いの長所や短所が明確になりやすい分、職場での人間関係が働きやすさに影響することを認識しておく必要があります。
2.休みの融通が利きづらい
小規模保育園では保育士の人数が限られているため、急な休みが必要になった際に代わりの職員を確保するのが難しい傾向にあります。職場によっては、体調不良であっても休みを取りにくかったり、有給休暇の取得が難しかったりする場合があるでしょう。
また、少人数で業務を分担しているため、「自分が休むと周囲に迷惑がかかる」と感じ、休みを取るのを遠慮してしまうことも。結果として、十分な休息や自己研鑽の時間を確保しにくく、働きにくいと感じる可能性があります。
3.幅広い保育スキルを身に付けにくい
小規模保育園は主に0〜2歳児を対象としているので、3歳以上の子どもの保育経験を積む機会が限られます。「年齢ごとの発達段階に応じた幅広い保育スキルを習得したい」「多くの園児との関わりを通じてスキルアップを目指したい」と考える保育士にとっては、物足りなさや働きにくさを感じるかもしれません。
また、大規模保育園のように子どもの成長を長期的に見守れないため、寂しさを感じる可能性もあるでしょう。
4.経験年数が浅いと心細さを感じやすい
小規模保育園では、保育士が一人で複数の業務をこなす必要があるため、対応に困った際に助けを求めるのが難しい場合があります。周囲の保育士が多忙なときには、経験の浅い保育士や新人保育士が一人で判断する場面もあるでしょう。
また、大規模保育園と比較すると専門的な研修の機会が少ない傾向にあるため、スキルアップを望む若手保育士の場合、将来への不安を感じる可能性があります。
5.園庭や遊具が少なく創意工夫が必要である
小規模保育園では、施設や設備面での制約が働きにくさにつながることもあります。小規模保育園は園全体のスペースが小さいため、園庭がなかったり、十分な広さが確保されていなかったりする場合があります。このような環境で子どもたちに外遊びの機会を提供するには、近くの公園などへ引率する必要があり、移動の手間や安全管理の負担が大きくなりがちです。
また、室内の遊具や教材も少ない傾向にあるため、保育士には子どもの発達を促すための創意工夫が求められます。十分な活動スペースや教材がないことで、理想とする保育が実現できず、もどかしさを感じる可能性もあるでしょう。
小規模保育園ならではの働きやすさもある
小規模保育園の勤務にはデメリットがある反面、大規模保育園にはない魅力も存在します。ここでは、保育士が小規模保育園で働きやすいと感じる理由を紹介します。
仕事とプライベートを両立しやすい
小規模保育園は、大規模保育園に比べて行事の規模が控えめで、準備にかかる時間や負担が軽い傾向にあります。そのため、残業や持ち帰り仕事が少なくなり、プライベートの時間を確保しやすいのがメリットです。
ただし、人員が不足している園では一人あたりの業務量が増え、想像以上に多忙になる可能性も考えられます。仕事とプライベートのバランスを重視する場合は、保育士の配置人数や勤務体制を事前に確認し、職場の実情を把握することが大切です。
一人ひとりの子どもに丁寧に対応できる
小規模保育園で働く魅力の1つが、子どもたち一人ひとりに寄り添った保育ができる点です。少人数を対象に家庭的な雰囲気の中で保育を行うため、子どもたちの個性や発達段階を深く理解し、きめ細やかな関わりができます。
また、0〜2歳児は成長が著しい時期のため、乳幼児保育のスキルを磨きたい方には適した環境といえるでしょう。子どもたちの小さな変化にも気づきやすく、保護者との信頼関係を構築しやすいのも、小規模保育園ならではの利点です。
体力的な負担を感じにくい
小規模保育園のメリットとして、「身体的な負担が少なく保育士として長く働きやすい」という点も挙げられます。主に0〜2歳児が対象のため、大規模保育園と比較して運動量が少なく、身体への負担を抑えられるのが特徴です。抱っこや動作の補助など体を使う場面はあるものの、体力に自信がない方も働きやすい環境といえるでしょう。
園内の移動距離が短く、大規模な行事準備による体力消耗も少ないので、年齢を重ねた保育士も無理なく働けるはずです。
小規模保育園が働きにくいと感じやすい保育士の特徴
ここでは、小規模保育園で「働きにくい」と感じやすい保育士の特徴を紹介します。小規模保育園での働き方が自分に合っているか不安な方は、ぜひチェックしてみてください。
小規模保育園の特性と自分の理想がズレている
小規模保育園で働きにくさを感じる保育士の特徴として、「園の特性と自身の理想や価値観の間にギャップがある」という点が挙げられます。たとえば、大規模な行事を通じて子どもの成長を見守りたいと考える人にとっては、行事の少ない環境に不満を覚えることがあるでしょう。自身の理想と小規模保育園の特徴が合致しない場合、日々の業務に違和感を覚え、働きにくさを感じることがあります。
「楽そう」といった先入観のみで選んでいる
「小規模保育園は楽そう」「子どもが少ないから負担も少ないだろう」といった表面的なイメージだけで職場を選ぶと、入職後にギャップを感じて後悔する可能性があります。
小規模保育園では職員の数が限られているため、各々が多様な業務に柔軟に対応する姿勢が必要です。園によっては、「大規模保育園より忙しい」「想像以上に大変」と感じる可能性もゼロではありません。「ゆったり働けそう」というイメージだけで判断せず、実際の仕事内容や職場の体制を事前に把握しておくことが、小規模保育園に勤務するうえで重要といえるでしょう。
大規模保育園でのキャリアアップを見据えている
小規模保育園では、大規模な行事の企画・運営やクラス全体の統括に携わる機会が少なく、マネジメントスキルの習得が難しい傾向にあります。主任や園長といった管理職を目指している場合は、成長の機会が限られていると感じ、働きにくさにつながる可能性があるでしょう。
また、小規模保育園では3〜5歳児の保育に関わる機会が少ないため、年齢別の保育経験が偏りやすいという側面もあります。幅広い年代の子どもと関わりながらキャリアアップを目指したい保育士には、大規模保育園のほうが適しているかもしれません。
小規模保育園で働きにくいと感じないためには
保育士が小規模保育園で働きにくさを感じないためには、園ごとの内部事情をしっかりと確認することが欠かせません。保育方針や職場の雰囲気は施設ごとに異なるため、自身に合う環境を見極めましょう。
正社員の比率や職員配置のバランスを確認する
小規模保育園で快適に働くためには、無理のない人員配置をしている職場を選ぶことが大切です。内閣府・文部科学省・厚生労働省の「子ども・子育て支援新制度ハンドブック 施設・事業者向け(p12)」によると、小規模保育園にはA型・B型・C型があり、事業類型によって職員数や職員資格の有無に違いがあります。
事業類型 | 職員数 | 職員資格 |
A型 | 保育所の配置基準+1名 | 保育士(※) |
B型 | 保育所の配置基準+1名 | 1/2以上が保育士(※) |
C型 | 0~2歳児 3:1 \ (補助者を置く場合は5:2) | 家庭的保育者 |
参照:内閣府・文部科学省・厚生労働省「子ども・子育て支援新制度ハンドブック 施設・事業者向け(p12)」
※保健師、看護師または准看護師の特例あり
B型の小規模保育園の場合、職員の半数以上が保育士であれば運営が可能です。職場によっては、保育士への業務負担が過度に集中する可能性があるでしょう。また、正社員が少ない園では、特定の保育士に責任や業務が偏る可能性も考えられます。こうした状況を避けるためにも、職員構成を十分に確認することが重要です。
出典
内閣府・文部科学省・厚生労働省「子ども・子育て支援新制度ハンドブック 施設・事業者向け」(2025年7月18日)
事前に小規模保育園の職場環境を把握する
小規模保育園での働きにくさを回避するためには、人員配置だけでなく、以下のような内部事情も把握しておく必要があります。
保育理念や方針
事務員の有無
休憩時間と休憩場所
残業の頻度
研修の有無や内容
有給休暇の取得状況
早番や遅番、土曜勤務の頻度
これらの項目は、働きやすさに直結する重要な要素です。加えて、保育士同士の人間関係や子どもへの関わり方、園全体の雰囲気なども確かめておきましょう。面接時や職場見学時に質問へ丁寧に答えてくれる園は、風通しがよく、保育士が安心して働ける環境を整えている可能性があります。
頻繁に掲載されている求人に注意する
保育士が小規模保育園の求人を選ぶ際は、掲載頻度や掲載時期に注目することが重要です。短期間で繰り返し求人が出されている場合、人間関係のトラブルや業務負担の偏り、雇用条件の問題など、働きにくさにつながる要因が潜んでいる可能性があります。
離職率や職員の出入りの多さに不安を感じる場合は、面接時に「前任者の退職理由」や「平均勤続年数」を質問すると、職場の安定性を判断する手がかりになるかもしれません。
「小規模保育園は働きにくい?」と悩む保育士によくある質問
ここでは、「小規模保育園は働きにくい?」と悩む保育士によくある質問を紹介します。
小規模保育園と大規模保育園はどっちが良いと思いますか?
小規模保育園と大規模保育園のどちらが働きやすいかは、保育士の価値観やキャリアプランによって異なります。小規模保育園は、少人数ならではのアットホームな雰囲気で、子ども一人ひとりと丁寧に関われるのが魅力です。大規模保育園は、幅広い年齢の子どもと関わりながら、多様な保育経験やキャリアアップの機会を得やすいというメリットがあります。働き方の柔軟性や休暇の取りやすさなども考慮し、自分に合った職場を選びましょう。
保育士から人気の小規模保育園にはどのような特徴がありますか?
保育士から人気が集まりやすい小規模保育園の特徴としては、「意見を言いやすく風通しの良い職場環境である」「急な休みにも対応できる人員体制がある」などが挙げられます。また、園長や主任が現場の意見を真摯に受け止め、積極的に改善に取り組む園は、保育士が定着しやすい傾向にあるでしょう。
小規模保育園の将来性は大規模保育園に比べてどう違いますか?
小規模保育園と大規模保育園の将来性は、地域の保育ニーズや政策動向に左右されます。0〜2歳児の保育ニーズが高い地域や、手厚い保育を望む家庭が多い地域では、小規模保育園の需要が見込まれるでしょう。少子化が進行する地域では、大規模保育園に代わり、地域の保育を支える役割を担うことも期待されます。
まとめ
小規模保育園の働きやすさは施設によって異なります。小規模保育園には、子ども一人ひとりに丁寧に関われる喜びがある一方で、「人間関係が密になりやすい」「休暇が取りにくい」「経験の幅が限られる」などの課題もあります。こうした特徴をよく理解したうえで、小規模保育園が自分に合うかを判断しましょう。転職活動では、「人員配置に余裕があるか」「残業の頻度や有給休暇の取得状況はどうか」「求人の掲載頻度は高過ぎないか」などを確認し、無理なく働ける環境かどうかを見極めることが重要です。
保育業界に特化した転職エージェントであるレバウェル保育士では、キャリアアドバイザーが小規模保育園への転職について丁寧にアドバイスします。希望条件に沿って求人を紹介するので、不安な点も解消できて安心です。転職先の内部事情を一人で把握するのは難しいため、アドバイザーのサポートを活用し、スムーズに転職活動を進めましょう。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。