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絵本専門士の資格は意味がない?保育士が取得するメリットや注意点とは
- #スキルアップ

「絵本専門士の資格は意味ないの?」と疑問を持つ保育士の方もいるかもしれません。保育士が絵本専門士の資格を取得すると、絵本の読み聞かせや選書のスキルが向上し、専門性を高めたり地域での活動機会が増えたりするメリットがあります。一方で、直接的な収入増に繋がるとは限らない点も理解しておくことが大切です。この記事では、絵本専門士の魅力や「意味がない」と感じやすい人の特徴、知っておきたい注意点を解説します。
この記事のまとめ
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絵本専門士が意味がないかどうかは保育士の目標次第
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専門性の向上や活躍の幅を広げたい保育士には有効な資格
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取得には高倍率の選考突破と養成講座の受講が必要
目次
絵本専門士とは
絵本専門士とは、絵本に関する専門知識と高い技能を持つ人材を認定する資格です。国立青少年教育振興機構が設立しており、子どもの読書活動の推進や絵本文化の発展に貢献することを目的としています。
2014年に発足し、2025年度で第12期となるこの制度では、これまでに約630名の資格取得者を輩出しています(2025年1月現在)。絵本専門士には、研修会などで講師を務める指導力や、絵本に関する事業を企画・実施する能力も求められ、幅広い年齢層に絵本の魅力を伝える役割が期待されます。
出典
国立青少年教育振興機構「絵本専門士」(2025年10月15日)
絵本専門士の資格は意味ない?
絵本専門士に関心がある保育士の中には、「本当に役立つ資格なのだろうか?」「取っても意味がないのかな?」と疑問に感じている方もいるかもしれません。ここでは、絵本専門士の実用性や費用対効果について解説します。
読み聞かせなどのスキルアップに繋がる
保育士が保育現場での実践力を高めたいと考えるなら、絵本専門士の資格は有効な自己投資となり得ます。養成講座では、絵本の知識に加え、児童福祉・心理などの知識やおはなし会の手法など、日々の保育に役立つ専門知識や技能、感性を身に付けられます。
そのため、「子どもの興味関心を引き出す読み聞かせをしたい」「専門知識に基づいた質の高い絵本活動を計画・実行したい」といった意欲のある保育士にとって、絵本専門士の資格は保育の幅を広げ、自信を持って業務に取り組むための助けとなるでしょう。
収入アップに直結しない可能性がある
絵本専門士の資格は、取得しても給与アップや昇進に直接結びつくとは限りません。絵本関連の活動だけで高収入を得ることも難しいため、収入アップのみを目的にすると「意味がない」と感じる可能性があります。また、資格取得には、養成講座の受講料や教材費に加え、遠方の参加者は宿泊費や交通費などの費用も必要です。そのため、経済的なリターンを期待する人は、慎重に検討することをおすすめします。
絵本専門士の資格は「意味がない」と感じるのはどんな人?
絵本専門士の資格取得後の活動は個人の主体性に委ねられているため、受け身の姿勢のまま資格を取ると、「意味がない」「役に立たない」と感じる可能性があります。特に、以下のような考えを持つ場合、資格を十分に活用できないかもしれません。
仕事がすぐに増えると考えている
資格取得後の具体的な活動計画がない
収入アップを最優先に考えている
絵本専門士は、絵本の可能性を地域社会に広めることを目的に創設された資格です。絵本の理解促進や読書活動の推進に意欲的に取り組む姿勢がなければ、せっかく取得した資格を活かせず、結果として「意味がない」と感じてしまうでしょう。
保育士が絵本専門士を取得する3つのメリット
保育士が絵本専門士の資格を取得すれば、転職活動でのアピールポイントになったり、活躍の場を広げたりすることに繋がります。ここでは、保育士が絵本専門士の資格を持つことで得られる3つのメリットを紹介します。
1.絵本に関する知識やスキルを客観的に証明できる
保育士が絵本専門士の資格を取得すると、現場での発言や提案に説得力が増し、周囲からの信頼を得やすくなります。同僚や保護者からの相談に対しても、専門家として自信を持って応じられるようになるはずです。また、履歴書の資格・免許欄に明記できるため、転職活動の強みにもなります。特に読書を通じた教育に力を入れている園からは、即戦力として優遇される可能性があるでしょう。
2.読み聞かせイベントや地域活動で活躍しやすくなる
絵本専門士として認定された保育士は、公式のWebサイトで氏名が公開されるため、外部から講師として招かれ、活躍の幅が広がる可能性があります。派遣形態としては、事務局やNPO法人を介する場合と、個人で依頼を受ける場合があるようです。
保育士の具体的な活動としては、図書館・書店での読み聞かせイベントや、保育士・幼稚園教諭や保護者向け講座の参加などが挙げられます。親子向けのイベントでは、育児相談に対応しながら、絵本を通じた子育て支援も行えるでしょう。
3.絵本専門士同士のつながりができて学び合える
絵本専門士の資格を取得すると、同じ志を持つ仲間とのネットワークが築けます。養成講座でともに学ぶ同期だけでなく、全国の絵本専門士と交流することで、保育士としての視野を大きく広げられるでしょう。
国立青少年教育振興機構の「令和7年度絵本専門士養成講座(第12期)リーフレット」によると、2024年5月現在、絵本専門士の中で最も多い職種は図書館関係者で、次いで保育士・幼稚園教諭となっています。

実際に、絵本専門士同士がユニットを結成し、イベントを共同で企画・実施しているケースもあるようです。多様な専門分野を持つ人々との交流は、保育士としてのキャリアを豊かにしてくれるでしょう。
出典
国立青少年教育振興機構「絵本専門士」(2025年10月15日)
絵本専門士を目指す保育士が知っておきたい注意点
保育士が絵本専門士の資格取得を検討する際は、「やってみたい」という気持ちだけでなく、現実的な課題や注意点にも目を向ける必要があります。以下の内容を踏まえて、資格取得に本格的に取り組むかどうかを検討してみてください。
活動内容にはボランティア的な側面もある
保育士が絵本専門士を目指す際は、活動内容にボランティア的な側面があることを理解しておく必要があります。絵本専門士の中には、「きちんと報酬を得られる仕事にしたい」と考えていても、実際には無償で活動を行ったり、交通費が自己負担だったりと、収益化の難しさや活動費の捻出に悩む人も少なくないようです。
特に保育士の場合は、本業と並行して活動することになるため、時間のやりくりや、仕事とプライベートのバランスをうまく調整することも求められます。
倍率の高い選考を通過する必要がある
保育士が絵本専門士を目指すうえで念頭に置いておきたいのが、「簡単に取得できる資格ではない」という点です。養成講座の定員はわずか70名ですが、応募者は毎年1,000人を超えるともいわれており、難易度の高い選考を突破する必要があります。選考方法はエントリーシートによる書類審査のみで、学力試験などは行われません。そのため、選考基準が明確でなく対策が立てにくいのが現状です。
実際、「初めての応募で合格した」という人もいれば、「何度も挑戦しているのに、まだ通過できていない…」と悩む人も見られます。結果が出るまでに時間がかかることがあるため、継続して挑む覚悟が大切です。
保育士が絵本専門士になるには?
保育士が絵本専門士になるためには、国立青少年教育振興機構が実施する「絵本専門士養成講座」への応募が必要です。応募には、絵本に関する知識や実務経験が求められますが、保育士資格を持っていれば条件を満たします。
| 応募資格・選考方法 |
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| 受講料 |
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| 受講形式 |
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| 講座内容 |
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参照:国立青少年教育振興機構「令和7年度絵本専門士養成講座(第12期)」
絵本専門士養成講座は、全30コマの授業で構成されており、費用は税込8万円です。一定の成績を収めたうえで、修了課題で所定の評価を得ると絵本専門士として認定されます。
出典
国立青少年教育振興機構「絵本専門士」(2025年10月15日)
絵本専門士についてよくある質問
ここでは、絵本専門士についてよくある質問を紹介します。
絵本専門士と認定絵本士との違いは何ですか?
どちらも国立青少年教育振興機構が認定する民間資格ですが、対象者と取得方法に違いがあります。絵本専門士は、絵本に関する一定の知識および実践経験を持つ人が対象で、講座の受講や評価を経て認定される資格です。一方、認定絵本士は大学や短大、専門学校などに在籍している学生が対象で、授業科目の単位を修得することにより取得できる資格です。
出典
国立青少年教育振興機構「認定絵本士」(2025年10月15日)
絵本専門士は通信講座でも受講できますか?
2025年10月現在、絵本専門士の講座は通信講座では実施されていません。講座はすべて対面形式となっており、東京都の国立オリンピック記念青少年総合センターで行われます。受講にかかる交通費や宿泊費などは自己負担です。なお、地方からの受講を検討している場合は、会場内にある有料の宿泊施設(事前予約制)の利用が可能となっています。
絵本専門士の養成講座の選考に落ちた人はいますか?
絵本専門士の養成講座では、選考に落ちる人もいます。絵本専門士の養成講座の特徴は、少人数制できめ細かな指導が行われる点です。受講できるのは最大で70名(35名×2クラス)に限られており、希望者全員が参加できるわけではありません。倍率は高めのため、落選しても諦めずに継続して挑戦する姿勢が大切といえるでしょう。
絵本専門士になるにはどのような実務経験が必要ですか?
絵本専門士の養成講座に申し込むには、必ずしも実務経験が必要というわけではありません。ただし、受講資格の1つとして、絵本に関わる実務経験が3年以上あることが挙げられています。該当する職種の例は以下のとおりです。
図書館職員
保育士
幼稚園教諭
小学校教諭
福祉施設職員
絵本や児童文学の出版、販売
絵本や児童文学の編集
実務経験がなくても、子ども・絵本に関する資格や、絵本に関わる3年以上の活動実績などがあれば応募可能です。
まとめ
絵本専門士とは、絵本の専門知識やおはなし会などを運営するスキル、創作や編集に要する感性などを備えた専門家のことです。絵本専門士を意味がないと感じるかどうかは、保育士の目指す方向性や活動のビジョンによって決まります。収入アップに直結しにくく、活動にボランティア的な側面があるのは事実ですが、絵本に関する専門性を高め、活動の幅を広げるという点では大きなメリットがあります。目標実現への強い意志があれば、取得を検討する価値は十分にあるといえるでしょう。
また、「今の職場で給与アップが見込めない」と感じているなら、現在の職場よりも給与水準が高い園への転職が効果的です。レバウェル保育士では、気になる求人の想定年収を算出するのはもちろん、職場の内部事情を丁寧にお伝えするので、入職後のミスマッチを防ぎながら希望の条件を叶えられます。「絵本専門士以外に自分に合う資格はないかな?」といったキャリアに関するあらゆるお悩みもお気軽にご相談ください。あなたの目標達成に最適な選択肢を一緒に考え、サポートします。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。
















