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保育士が対応する事務作業には何がある?業務効率化のコツも解説
- #保育士

保育士の仕事には、子どもたちの保育だけではなく、多くの事務作業が含まれています。事務作業が苦手な保育士さんの中には、「時間がかかり過ぎて困っている」という方もいるのではないでしょうか。この記事では、保育士が行う事務作業の内容を具体的に解説します。事務作業を効率化するポイントや、事務の負担が少ない保育園への転職方法についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
保育士が対応する書類関連の事務作業
保育現場では、さまざまな種類の書類作成が必要です。書類関連の事務作業について、1つずつ説明します。
保育計画書・保育指導案の作成
保育計画書は、年間・月間・週間など、期間ごとに保育内容や目標を定めた計画書です。園の保育理念に従いながら、子どもたちの興味や関心、発達を考えて保育計画を立てます。
一方、保育指導案は、日々の保育活動の具体的な進め方を記したものです。子どもの発達段階に応じた活動内容や、季節の行事、安全への配慮など、必要な要素を記載します。保育指導案は、保育計画と照らし合わせながら作成します。
連絡帳の記入
連絡帳は、保育士と保護者をつなぐ大切なコミュニケーションツールです。その日の子どもの様子や食事量、睡眠時間、体温などの基本的な情報に加え、園での活動内容や成長の様子を細かく記入します。特に0~2歳児クラスでは、体調管理が大切となり、より細やかな記録が求められます。
また、連絡帳を通じて、保護者から質問や相談を受ける場合もあります。一つひとつの相談に丁寧に返答し、安心して子どもを預けられる関係性を築くことが大切です。
保育日誌の記入
保育日誌は、その日の保育内容や子どもたちの様子を記録する公式文書です。主に、下記の内容を記録します。
日付、天候
出席状況
クラス全体の活動内容と保育のねらい
子どもたちの様子
保護者への連絡事項
保育の振り返り
保育日誌は、子どもの成長を確認する資料となるだけでなく、保育の質を向上させるための振り返りにも活用されます。子どもたちの様子だけでなく、反省点や改善点も記し、次の対応に活かしましょう。
保育経過記録(児童票)の作成
保育経過記録(児童票)は、月1回ほどのペースで作成する個別の成長記録です。子どもの生活習慣や健康状態、言葉の理解力、運動能力など、さまざまな観点から子どもの状態を詳細に記録します。保育経過記録は、保育士間での情報共有や引き継ぎに活用されることもあるので、丁寧に作成しましょう。
行事計画書の作成
行事計画書は、園で実施する行事の内容や進行を細かく記したものです。運動会や発表会、季節の行事など、それぞれの目的や意義を明確にし、準備・当日の進行・片付けの流れを具体的に記載します。行事計画書を作る際は、子どもたちが楽しく安全に参加できるよう、細かい配慮も求められます。
保護者向けのお便りの作成
担任保育士が月1回作成するお便りには、クラスでの活動の様子や月間スケジュール、全体へのお知らせなどを記載します。園での子どもたちの様子を保護者に分かりやすく伝え、信頼関係を深めるツールとして重要な役割を果たしています。
行政へ提出する書類
認可保育所は児童福祉施設なので、定期的に行政へ運営状況の報告が求められます。在籍児童数の報告や補助金申請、事故報告書など、さまざまな書類の作成を、保育士が手伝う場合もあるでしょう。これらの書類は特に正しく書くことが大切になるため、記入方法や提出期限などの規定も厳格です。記入漏れや誤記がないよう、複数人でチェックする体制を整えることが重要です。
保育士が対応する書類以外の事務作業
保育士の仕事には、子どもたちの保育や書類作成以外にも、さまざまな事務作業があります。特に主任保育士や園長は、園全体の運営に関わる業務を担当することが多くなるでしょう。保育現場で対応する書類以外の事務作業について、紹介します。
勤怠管理とシフト作成
勤怠管理とシフト作成は重要な業務です。保育園では、園児の人数に応じて保育士の配置人数が決まっているため、配置基準を満たすシフトを組む必要があるからです。シフト作成担当者は、保育士一人一人の希望休や有給休暇を考慮しながら、各時間帯で必要な人員を確保できるようシフトを組みます。
経理業務
保育園の経理業務には、給食費や保育料の集金管理、各種支払い処理、帳簿付けなどがあります。特に認可保育園の場合、行政からの補助金に関する経理処理も重要な業務となります。また、園の予算管理や支出の把握、給与計算の補助なども行います。
経理業務については、経理ソフトを活用して効率化を図っている園も増えてきているようです。
来客対応・電話対応
来客対応や電話対応は、園の印象を左右する大切な業務です。特に見学者への対応は、入園希望者が利用を検討するきっかけとなるため、園の特徴や保育方針を分かりやすく説明することが求められるでしょう。
また、保護者から急な連絡や相談が入る場合もあるため、必要に応じて担任保育士へ情報を伝達するなど、適切に対応することが大切です。
ホームページの更新
近年、保育園でもホームページやSNSでの情報発信が一般的になってきています。現場の保育士が、園での活動の様子や行事の報告、お知らせなどを定期的に更新する仕事を任せられることもあるでしょう。
備品の管理・発注
保育園で使用する備品は、多岐にわたります。消耗品は切れることのないよう、在庫管理と計画的な発注が大切です。日ごろから備品の在庫に注意して保育を行うとよいでしょう。
保育士が事務作業を効率化するには
事務作業に時間を取られて残業や持ち帰り仕事が発生している保育士の方向けに、保育士が事務作業を効率化するコツを紹介します。
やるべき仕事を整理する
事務作業を効率的に進めるには、まずやるべき仕事を明確にすることが大切です。たとえば、ホワイトボードやタスク管理アプリを使って、その日の予定や締め切りが近い業務を一覧にします。優先順位を付けることで、重要な業務から順番に取り組むことができるでしょう。
また、チェックリストを作成して進捗状況を把握したり、職員間で共有したりすることで、仕事の抜け漏れを防ぐこともできます。仕事を見える化することで、業務の全体像が把握しやすくなり、計画的に取り組めるようになります。
集中して取り組む作業は午睡時間を活用する
保育園では、午睡の時間帯が事務作業に取り組める貴重な時間となります。子どもたちが寝ている間は比較的静かで、集中して作業に取り組むことができます。特に、保育日誌の記入や連絡帳の作成など、まとまった時間が必要な作業は、この時間帯に行うと効率的です。
ただし、午睡中の子どもたちの安全確認も重要な業務のため、書類に集中し過ぎて子どもの見守りがおろそかにならないよう注意しましょう。
終わりの時間を決めて作業をする
事務作業は際限なく時間がかかってしまう傾向があります。そのため、「この作業は○時までに終わらせる」というように、終わりの時間を決めて取り組むことが効率化のポイントです。時間を区切ることで、集中力が高まり、作業スピードも上がります。
また、残業を減らすためにも、勤務時間内で終えられるよう計画的に進めることが大切です。時間を意識することでムダな時間を減らし、効率的に業務を進められるようになります。
ICTシステムを導入する
最近では、保育園でもICTシステムの導入が進んでいます。専用のアプリやソフトウェアを使うことで、連絡帳や保育日誌の作成、出席管理、シフト管理などの業務を効率化できます。また、タブレットを使って写真を撮影し、すぐに保育記録に活用することもできるようになっています。
導入時は使い方の習得に時間がかかりますが、慣れてくると大幅な業務効率化が期待できます。職場全体の業務効率化に役立ちそうなICTツールがあれば、園長に提案して導入を検討してもらいましょう。
事務作業の負担が軽い保育園に転職するコツ
事務作業の量や対応方法は園によっても変わります。保育士が事務作業の負担を減らして働ける保育園に転職するために見るべきポイントを紹介します。
ICTの導入に力を入れている保育園を選ぶ
園見学や面接の際に、業務効率化のためにICTを積極的に導入しているか、確認してみましょう。具体的に導入しているシステムも一緒に確認すれば、現場での業務イメージも湧くはずです。
また、ICTに関する研修制度があるかどうかも重要なポイントです。システムを効果的に活用できる環境が整っているかどうかで、実際の業務負担は大きく変わってきます。
事務員が在籍しているか調べる
専任の事務員がいる園では、経理業務や各種書類作成、来客対応などを保育事務が担当してくれるため、保育士は保育業務に集中できます。求人情報や園のホームページで事務員の配置状況を確認し、面接時には具体的な役割分担について質問することをおすすめします。
また、事務員の勤務時間や人数なども確認しておくと良いでしょう。事務作業の分担が進んでいる園ほど、業務効率が良い傾向にあります。
保育士の配置人数に余裕があるか確認する
保育士の人数に余裕があるかどうかは、事務作業の負担に直結します。国の基準より多く保育士を配置している園では、保育業務に追われ過ぎることなく、事務作業の時間も確保しやすくなります。面接時には、各クラスの保育士配置数や、フリーの保育士の有無を確認しましょう。
また、急な欠勤時のフォロー体制についても聞いておくと良いでしょう。人員に余裕がある園は、休憩時間の確保もしやすく、働きやすい環境が整っている傾向があります。
保育士の事務作業についてよくある質問
ここでは、保育士の事務作業に関してよくある質問について回答します。これから保育士を目指す方や転職を考えている方は、参考にしてみてください。
保育士の業務内容を簡単に教えてください
保育士の業務は、大きく「保育業務」と「事務業務」に分けられます。「保育業務」には、子どもたちの保育、食事や着替えの援助、安全管理などが含まれます。一方、「事務業務」では、保育計画書の作成や連絡帳の記入、保育日誌の作成などを行います。業務内容は園によって違いますが、子どもたちの成長を支えるという保育士の役割はどの園でも共通です。
保育士が事務作業で残業することはありますか?
残業の実態は園によって大きく異なりますが、事務作業による残業は少なからず発生することがあります。特に、行事前の準備期間や月末の書類作成時期には、業務が集中しやすい傾向も。しかし一方で、最近では働き方改革の一環として残業削減に取り組む園も増えており、ICTシステムの導入や事務作業の分担の見直しなどで残業を減らしている園もあるようです。
保育現場のICT化は進んでいますか?
一般社団法人保育ICT推進協会によると、2022年度時点の保育現場のICT化率は、平均で36%です。保育記録や保護者との連絡、園児の出欠管理などにデジタルを活用するケースが増えているようです。
ただし、ICT化の進み具合は園によって差があります。ICTツールとの連携による自動記録を実現している園がある一方で、従来の紙ベースの記録を続けている園もあります。今後はさらにICT化が進み、保育士の事務負担が軽減されていくことが期待されています。
出典
一般社団法人保育ICT推進協会「公立保育現場のICT化率は平均36%、全国の公立保育施設にむけて一斉調査を実施」(2025/04/09)
まとめ
保育士の事務作業は保育日誌や保育計画書の作成、連絡帳や保育経過記録の記入など多岐にわたります。そのため、子どもたちと関わる時間を確保しつつ、ワークライフバランスを整えるには、事務作業の効率化が必要不可欠です。事務作業を効率化するには、タスクを洗い出して優先順位を付け、ほかの職員と協力しながら進めるのが効果的です。園によってはICTシステムを導入し、抜本的な効率化に踏み切っているところもあります。
「事務作業の負担を減らしたい」という方には、ICT化が進んでいる園や、保育士数に余裕がある園への転職がおすすめです。
とはいえ、保育園のホームページや求人情報だけでは、業務効率化の実態が分からないこともありますよね。一人で情報収集するのが難しい方は、レバウェル保育士にご相談ください。レバウェル保育士では、直接事業所にヒアリングした職場環境の情報や、転職した方の口コミ情報をもとに、あなたの条件に合わせておすすめの職場をご紹介いたします。無料で利用できるので、お気軽にご相談くださいね。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。