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小規模保育園とは?一般的な保育園との違いや働く際のメリット・デメリット
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「小規模保育園とは何か」「保育園の仕事内容とは何が違うのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。小規模保育園とは定員が6〜19人程度、少人数の子どもを保育する施設を指します。少人数のため、家庭的な保育環境を作りやすいでしょう。 この記事では、小規模保育園の種類や仕事内容、働く際のメリット・デメリットを解説。平均給与や向いている人の特徴も紹介するので、小規模保育園への就職・転職を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
小規模保育園とは
小規模保育園とは、定員が6〜19名、少人数の子どもを保育する施設を指します。一般的な保育園より子どもの人数が少ないため、家庭的な雰囲気のなかできめ細やかな保育を実施しやすい点が特徴です。
小規模保育園の対象年齢は原則0〜2歳児です。しかし、保育の選択肢を広げる観点から2023年4月に制度が改正され、3〜5歳児の受け入れに関して、市町村がニーズに応じて柔軟に判断できるようになりました。
出典
こども家庭庁「小規模保育事業における3歳以上児の受入れについて(通知)」(2025年7月3日)
小規模保育園の種類
小規模保育園は、A型・B型・C型という3種類の基準により、自治体から認可を受けます。ここでは、それぞれの分類基準や特徴について解説。保育士資格が必要な人数や職員の配置について違いを紹介します。小規模保育園で働いてみたい方は参考にしてください。
小規模保育園A型
小規模保育園A型は、保育園の分園に似ており、小規模な認可保育園に近いといえます。小規模保育園A型の主な認可基準は、以下のとおりです。保育園の認可基準も掲載しているので、比較して違いを把握しておきましょう。
保育園 | 小規模保育園A型 | |
職員数 | 0歳児3人、1・2歳児6人、3歳児15人、4・5歳児20人に対して1人 | 保育園の配置基準+1名 |
職員の資格 | 保育士※保健師または看護師等の特例有(1人まで) | 保育士※保健師または看護師等の特例有(1人まで) |
保育室の広さ※1人当たりの㎡ | 0・1歳乳児室1.65㎡、ほふく室3.3㎡/2歳以上保育室1.98㎡/3~5歳児保育室1.98㎡、屋外遊戯場3.3㎡ | 0・1歳児3.3㎡※2歳以上は保育園と同様 |
給食 | 自園調理※公立は外部搬入可(特区) | 自園調理(連携施設等からの搬入可) |
参照:こども家庭庁「地域型保育事業の認可基準について (p.6・7)」
小規模保育園A型の職員数は、一般的な保育園の配置基準より1人多くなければいけません。職員の資格に関しては、一般的な保育園と同じ基準です。
出典
こども家庭庁「小規模保育事業における3歳以上児の受入れについて」(2025年7月3日)
小規模保育園B型
小規模保育園のB型は、A型とC型の中間として基準が設けられています。小規模保育園B型の主な認可基準は、以下のとおりです。
職員数 | 保育園の配置基準+1名 |
職員の資格 | 2分の1以上が保育士(保育士以外には研修実施)※保健師または看護師等の特例有(1人まで) |
保育室の広さ※1人当たりの㎡ | 0・1歳児3.3㎡/2歳以上保育室1.98㎡ |
給食 | 自園調理(連携施設等からの搬入可) |
参照:こども家庭庁「地域型保育事業の認可基準について (p.6・7)」
小規模保育園のB型の場合、保育士資格保有者の割合は2分の1以上とされていますが、A型と同じく職員数を保育園の配置基準+1名にして質の確保を図っています。
出典
こども家庭庁「小規模保育事業における3歳以上児の受入れについて」(2025年7月3日)
小規模保育園C型
小規模保育園のC型は、家庭的保育に近い形態といえます。小規模保育園C型の主な認可基準は、以下のとおりです。
職員数 | 0~5歳児3人に対して1人(補助者を置く場合、5人に2人) |
職員の資格 | 家庭的保育者※自治体が行う研修を修了した保育士/または、自治体が保育士と同等以上の知識と経験を有すると認める者 |
保育室の広さ※1人当たりの㎡ | 0~2歳児3.3㎡/3~5歳児保育室、屋外遊戯場いずれも3.3㎡ |
給食 | 自園調理(連携施設等からの搬入可) |
参照:こども家庭庁「地域型保育事業の認可基準について (p.6・7)」
職員数は、年齢関係なく園児3人に1人配置する必要があります。また、職員の資格は保育士に限らず、保育士と同等以上の知識や経験を認められた家庭的保育者も対象となっている点が特徴です。
出典
こども家庭庁「小規模保育事業における3歳以上児の受入れについて」(2025年7月3日)
家庭的保育者とは、各自治体で実施されている家庭的保育事業の研修・認定を受け、自宅や所有している施設などで保育する者を指します。また、家庭的保育者は、自治体から認可を受ければ、小規模保育園C型として補助金や助成金を受けながら保育事業を展開できるケースもあるでしょう。
家庭的保育者は、保育士資格がなくても挑戦できる場合もあります。家庭的保育者の研修や認定基準は自治体によって異なりますが、一般的には座学で基礎的な知識を身につけた後に、実習が行われます。自治体によっては、年齢制限や就学前の子どもがいないか、介護していないかなどを問われることもあるため、要件をしっかりと確認しましょう。
小規模保育園と保育園の違い
小規模保育園と保育園の違いは、子どもの定員にあります。小規模保育園は6〜19名以下、認可保育園は20名以上です。また、前述したように、小規模保育園の種類によっては、職員の数や資格、施設の広さは異なります。
なお、小規模保育園では受け入れ年齢を0〜2歳児のみとしている場合もあります。また、小規模保育園は少人数制のため、クラス分けがなかったり、異年齢児が常に同じ保育室で活動したりする縦割り保育が実施されるケースもあるでしょう。
小規模保育園で働く保育士の仕事内容
小規模保育園で働く場合、子どもの定員は少ないものの一般的な保育園と仕事内容に大きな違いはないでしょう。以下は、一例として小規模保育園で働く際の1日の流れです。
1日の流れ・時間 | 仕事内容 |
出勤 | 事務作業・保育室の準備 |
午前8時 | 子どもが登園・保護者から子どもの様子や健康状態などを聞き取る |
午前9時 | 遊び・おむつ替え・排泄の介助 |
午前10時 | 園庭遊びや散歩など午前の活動を実施 |
午前11時 | 給食・食事の介助や見守り |
午後1時 | お昼寝・寝かしつけや見守り・交代で休憩 |
午後3時 | おやつ・食事のサポートや見守り |
午後4時 | 室内遊びや午後の活動を実施 |
午後4時半 | 順次降園・保護者に子どもの1日の様子を伝える |
午後6時 | 延長保育 |
退勤 | 事務作業・保育室の片づけや清掃、消毒 |
小規模保育園は子どもの定員が少ないため、年齢によるクラス分けがない場合もあります。遊びの内容は違っても、0〜5歳児の子どもを同じ空間で一緒に見守ることはあるでしょう。
小規模保育園で働くメリット・魅力
小規模保育園で働く際は、保育園と比べて子どもの定員が少ない点にメリットや魅力を感じる場合もあります。ここでは、小規模保育園で働くメリットや魅力を紹介します。
落ち着いた環境のなかで保育に集中しやすい
小規模保育園は一般的な保育園と比べて子どもの定員が少なく、職員の配置基準も多いため、落ち着いた環境のなかで保育できる点がメリットといえます。また、0〜2歳児のみを預かっている小規模保育園で働く場合は、ゆったりとした家庭的な保育を実施しやすいでしょう。
定員が少ないと一人ひとりの子どもと向き合う時間も長くなるため、手厚い保育を実施できる点も魅力です。
乳児保育の経験・スキルを磨きやすい
0~2歳児のみを対象とする小規模保育園で働く場合、乳児保育の経験やスキルが磨けます。ただし、0〜5歳児のどのクラスを担当するか自分では選べず、乳児保育をしたいといった希望が叶えられない場合もあるでしょう。
そのため、乳児保育の経験やスキルを磨きたい方は、0〜2歳児のみを受け入れている小規模保育園を選ぶのも1つの方法です。
行事・イベント関連の負担が少ない
一般的な保育園に比べ、小規模保育園は子どもの定員が少なく、行事やイベントの規模も小さい傾向にあります。そのため、行事・イベント関連の負担が少ないといえます。
一般的な保育園では、季節ごとに運動会や発表会などが開催され、準備や運営など行事に関する業務が大きな負担になる場合もあります。
行事やイベントの負担が少ないと、普段の保育に集中できたり、有給を取りやすかったりするメリットもあるでしょう。
小規模保育園で働くデメリット・大変なこと
小規模保育園での勤務のみを経験している場合、一般的な保育園に転職する際に知識やスキルが不足していると感じる場合があるかもしれません。ここでは、小規模保育園で働くデメリットや大変なことについて紹介します。
行事の経験や運営のスキルが身につきにくい
小規模保育園では、行事の規模が小さかったり少なかったりすることも。そのため、イベントの経験や運営のスキルを身につけるのが難しいケースもあります。一方、大規模な運動会や発表会、イベントを開催する保育園で働くと、行事を企画して準備・運営したり、子どもの成長を促したり指導したりするスキルを身につけられるでしょう。
欠員が出たときの影響が大きい
小規模保育園は、少人数の職員で運営している傾向にあるため、急な休みや欠員が出たときの負担が大きい場合も。急な休みや欠員が出た場合は、穴埋めとしてほかの保育士がシフトや有給を変更したりする必要があるでしょう。
小規模保育園で働く保育士の給与月額
小規模保育園の分類別、保育士1人当たり給与月額(賞与込み)は、以下のとおりです。なお、C型は保育士ではなく家庭的保育者の給与月額(賞与込み)となっています。
【定員6~12名の場合(常勤保育士)】
A型 | B型 | C型 | |
私立 | 26万8,153円 | 27万269円 | 29万2,061円※家庭的保育者 |
公立 | 22万5,313円 | ー | ー |
参照:e-Stat 政府統計の総合窓口「私立・公立地域型保育事業 定員区分別 小規模保育事業(A型・B型・C型)」
【定員13~19名の場合(常勤保育士)】
A型 | B型 | C型 | |
私立 | 26万8,856円 | 26万9,413円 | ー |
公立 | 22万5,821円 | ー | ー |
参照:e-Stat 政府統計の総合窓口「私立・公立地域型保育事業 定員区分別 小規模保育事業(A型・B型・C型)」
上記の表を見ると、定員6〜12名・私立のA型B型C型(家庭的保育者)を比較してみましょう。表によると、C型が一番給与月額(賞与込み)が高いといえるでしょう。
また、私立・公立のA型は定員6〜12名よりも13〜19名のほうが給与月額(賞与込み)が高いといえます。私立のB型も同様で、定員6〜12名よりも13〜19名のほうが高いのがわかります。
出典
e-Stat 政府統計の総合窓口「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」(2025年7月3日)
小規模保育園で働くのに向いている人
小規模保育園は一般的な保育園と保育環境や雰囲気が異なる場合もあるため、目指す保育や働き方によって向き不向きがあるでしょう。たとえば、以下にあてはまる場合、小規模保育園で働くのに向いている可能性があります。
アットホームな雰囲気や家庭的な保育環境で働きたい人
子ども一人ひとりとじっくり向き合って保育したい人
縦割り保育や異年齢保育をしたい人
小規模保育園は、一般的な保育園に比べ子どもの定員が少ないため、家庭的な環境で一人ひとりとじっくり向き合って保育したい人に向いているでしょう。また、クラス分けがなく0〜5歳児が常に同じ空間で活動する場合もあるため、縦割り保育や異年齢保育に興味がある人も向いている可能性があります。
小規模保育園の求人を探す方法
ここでは、小規模保育園の求人を探す方法を3つ紹介します。求人サイトやハローワーク、就職エージェントなどを併用し、就職・転職活動が効率良く進められるようにしましょう。
保育系の求人サイトで探す
求人を探す際には、施設形態で「小規模保育園」と絞り、検索できる保育系の求人サイトがおすすめ。求人サイトによっては、保育園全般から小規模保育園を自ら探さないといけないこともあるためです。
保育系の求人サイトは複数あるため、使いやすさや求人数を考慮し、利用するサービスを選びましょう。
ハローワークに相談する
自宅の近くや地元で求人を探したい場合は、ハローワークに相談してみましょう。居住地を管轄するハローワークを利用すると、自宅近くや地元の求人を紹介してもらいやすくなります。
また、厚生労働省の「ハローワークインターネットサービス」を利用すれば、いつでも求人検索が可能です。フリーワードで小規模保育園と入力すれば、求人が絞れるでしょう。
出典
厚生労働省「ハローワークインターネットサービス」(2025年7月4日)
保育系の就職エージェントを利用する
「小規模保育園の求人が見つからない」という方は、保育系の就職エージェントを利用するのがおすすめです。保育系の就職エージェントでは、小規模保育園の求人探しや選考対策についてプロに相談できるのがメリットといえます。スキルや経験、希望条件を提示すれば、自分に合った求人紹介や選考対策のサポートが受けられるでしょう。
保育士専門の転職エージェント「レバウェル保育士」は、「小規模保育園で働きたい」などあなたの希望条件に合った求人をご紹介します。取材訪問を通じて運営方針や雰囲気などの情報を収集しているため、現場のリアルな声がわかります。
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小規模保育園に関するよくある質問
ここでは、小規模保育園で働く際の疑問や不安についてQ&A形式で回答します。小規模保育園へ就職・転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
小規模保育園で働くうえで後悔することはある?
運動会や発表会など、行事やイベントでスキルを発揮したり、経験を積んだりしたい方は、小規模保育園で働くと後悔する可能性も。小規模保育園は一般的な保育園よりも子どもの定員が少なく、行事が小規模だったり、数が多くない場合もあるためです。
また、職員の数も少ないため、急な欠員や休みの穴埋めが負担になり、後悔する可能性があるかもしれません。
働くなら小規模保育園と保育園どっちが良い?
家庭的な保育環境で一人ひとりの子どもとじっくり関わりたい方は、小規模保育園で働いたほうが良いかもしれません。一方で、クラス担任をしたり行事の運営に関わったりしてスキルを磨きたい方は、保育園のほうが経験を積みやすいでしょう。
小規模保育園への就職を検討している方は、記事の「小規模保育園で働くのに向いている人」も参考にしてください。
小規模保育園では何歳までの子どもを担当する?
小規模保育園の受け入れ年齢は原則として0〜2歳児です。しかし、2023年4月に制度が改正され、3〜5歳児の受け入れに関して、ニーズに応じて市町村が柔軟に判断できるようになりました。乳児保育を経験したい場合は、0〜2歳児のみを受け入れている小規模保育園を選ぶと希望が叶うでしょう。
小規模保育園は働きにくい?
小規模保育園は一般的な保育園に比べて、子どもや職員が少ない傾向にあるため、家庭的な保育が合わない人は働きにくいケースも。また、職員が少ない分、急な欠員や休みが出ると穴埋めが必要になり、負担に感じる場合もあるようです。
小規模保育園への就職を検討する際は、この記事の「小規模保育園で働くデメリット・大変なこと」を参考に、大変な部分も把握しておきましょう。
まとめ
小規模保育園とは、定員が6〜19人という少人数の子どもを保育する施設です。子どもの人数が少ないため、家庭的な雰囲気のもと保育を行えるのが特徴です。小規模保育園は、施設の広さや職員の配置などにより、A型・B型・C型という3種類に分類されます。
一般的な保育園と小規模保育園で仕事内容に大きな違いはありませんが、行事の規模が小さかったり預かる子どもが0〜2歳児に限定されたりする場合も。アットホームな雰囲気のなかで、子ども一人ひとりとじっくり向き合い保育したい方は、小規模保育園で働くことに向いている可能性があります。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。