保育の仕事

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託児所とは?保育園・幼稚園との違いや施設の種類、保育士の仕事内容を解説

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託児所のイメージ

保育士や子どもと関わる仕事に関心があり、託児所について知りたい方もいるのではないでしょうか。託児所は運営の自由度が高く、さまざまな事業形態や種類があります。 本記事では、保育園・幼稚園との違い、利用ニーズや入所理由など、託児所を取り巻く状況も含めて詳しく解説。託児所に勤務する際に必要な資格や仕事内容、給料なども取り上げるので、ぜひ参考にしてください。

託児所とは

託児所とは、認可外の保育施設の総称で、無認可保育園と呼ばれることもあります。保育所と同様に生活全般や遊びのサポートを目的としますが、児童福祉法の規定を満たしていないのが特徴です。託児所の多くは文部科学省の「認可外保育施設指導監督基準新規タブリンク」という設置規定に基づいて運営されているものの、認可保育所ほど規定が厳しくないため、柔軟な受け入れが可能となります。また、少人数教育がほとんどで、受け入れる対象年齢は託児所ごとに異なります。

出典

文部科学省「認可外保育施設指導監督基準新規タブリンク」(2025年7月3日)

託児所の種類

託児所には、独立型や併設型などさまざまな形態があります。ここでは、託児所の種類を5つに分け、設置場所とともに紹介します。

一般的な託児所

一般的な託児所とは、保護者に代わって一時的あるいは長期的に子どもを預かる施設のことを指します。設置場所は駅近や商業施設、美容室や歯科医院、臨時のイベント会場など多岐にわたります。利用のしやすさを考慮し、利便性が高い場所に設置されている傾向にあるため、託児所で働く保育士も通勤しやすいといえるでしょう。

企業主導型保育園

企業主導型保育園とは、従業員の多様な働き方に対応する施設で、柔軟な保育サービスを提供するのが特徴です。企業主導型保育事業として平成28年度に創設され、事業主拠出金を財源として、待機児童対策に貢献することを目的としています。認可外であるものの、運営費・整備費の助成があり、その額は認可施設とほぼ同水準です。自社従業員だけではなく、複数の企業が共同で利用したり、地域の子どもを受け入れたりすることも可能です。

出典

こども家庭庁「企業主導型保育事業等新規タブリンク」(2025年7月3日)

院内保育所

院内保育所とは、病院内あるいは近隣に設置された保育施設のことを指します。福利厚生の1つであり、医療従事者の子どもを預かるのが目的です。変則的な勤務シフトに対応するため、24時間体制の施設も少なくありません。院内保育所は、医療従事者を支える役割を果たすと同時に、経営側にも離職率の低下や採用率の向上などのメリットがあります。
保育士が院内保育所で働く場合、運営主体によっては好待遇も期待できるでしょう。

ベビーホテル

ベビーホテルとは、下記のいずれかの条件に該当する施設のことを指します

  • 夜8時以降の保育

  • 宿泊をともなう保育

  • 利用児童のうち一時預かりの児童が半数以上

ホテルと名前がついていますが、必ずしも宿泊機能があるとは限りません。保育時間や提供するサービスは施設によって異なるため、運営状況をきちんとチェックするのが大切です。夜間保育や24時間保育を実施している施設では、仕事の時間が不規則な保護者にとって特に頼れる存在といえるでしょう。
保育士がベビーホテルで働く場合は、沐浴・入浴や寝かしつけなどベビーホテル特有の業務を行う可能性があります。

認証保育園

認証保育園とは、東京都独自の制度であり、大都市特有の多様な保育ニーズに対応するために設置された施設です。「13時間以上開所」「ゼロ歳児保育の実施」が義務であり、民間事業者などが設置します。住所地に関係なく、すべての保育を必要とする人が直接契約します。認証保育園の形態はA型とB型の2種類があり、A型は0歳児〜5歳児が対象、B型は0歳児〜2歳児が対象となります。

出典

東京都福祉保健局「東京都の認証保育所制度について新規タブリンク」(2025年7月3日)

託児所と保育園・幼稚園との違い

以下の表は、託児所と保育園・幼稚園との違いを簡潔にまとめたものです。下記の見出しにてそれぞれの詳細を見ていきましょう。

託児所 保育園 幼稚園
所管官庁 なし 厚生労働省 文部科学省
対象年齢 託児所によって異なる 0歳~小学校就学前 3歳〜小学校就学前
保育時間 託児所によって異なる 保育園によって異なる 午前9時~午後2時が目安

参照:「保育所123新規タブリンク

出典

厚生労働省「保育所123新規タブリンク」(2025年7月3日)

保育園とは、児童福祉法に基づいて運営される児童福祉施設です。子どもを預けるには、条件や優先順位をクリアする必要があり、就労などにより家庭内で十分に子どもを保育できない場合が対象となります。市町村との契約になるため、自治体の審査によっては申し込みが通らない場合もあります。保育園に勤務するには保育士資格が必要で、運営は託児所よりも厳格です。

幼稚園とは

幼稚園とは、学校教育法に基づいて運営される教育施設です。運営主体は公営と民営に分けられます。保育園とは異なり、保護者と幼稚園が直接契約を行うのが特徴で、原則は誰でも利用可能です。預かり時間の基準は4時間ですが、中には延長保育を行っている場合もあります。幼稚園に勤務するには、幼稚園教諭免許状が必要です。

託児所の利用ニーズと入所理由

託児所の特徴は、運営の自由度が高いことです。一時預かり保育と月極保育があり、夜間保育や土日利用、早朝保育など、保護者の多様なニーズに応えます一時預かり保育では、買い物や用事などがある際に、時間単位で利用することも可能です。ライフスタイルが多様化している今日、保育理由を必要としない託児所は、保護者にとって必要不可欠な存在といえるでしょう。

こども家庭庁の「令和4年 地域児童福祉事業等調査結果の概況 (p.9)新規タブリンク」によると、認可外保育施設の入所の検討理由は以下のとおりです。

【施設の類型別にみた認可保育所等への入所検討状況(3つまで回答)】

ベビーホテル その他の認可外保育施設
認可保育所等への入所を検討しなかった 40.6% 43.3%
認可保育所等への入所を検討したが、認可保育所等に入所しなかった 59.4% 56.7%
認可保育所等の場所、自宅又は職場から認可保育所等までの距離が希望に合わなかった 6.0% 5.6%
認可保育所等の保育時間が希望に合わなかった 10.9% 5.5%
認可保育所等の保育の方針などが合わなかった 35.5% 31.5%
認可保育所等の利用料(保育料)が現在の施設より高かった 2.8% 4.1%
認可保育所等に入りたかったが、空きがなかった 24.6% 25.5%
認可保育所等に入りたかったが、預けたい時期に入れなかった 12.3% 11.3%
認可保育所等に入りたかったが、預かってもらえない年齢だった 1.7% 1.4%
認可保育所等に入りたかったが、共働きなどの親の入所要件を満たしていなかった 6.3% 5.5%
認可保育所等に特に問題はなかったが、この施設のほうがよかった 10.3% 12.0%
その他 5.2% 4.6%

「認可保育所等への入所を検討したが、認可保育所等に入所しなかった」が最も多い回答となっています。

出典

こども家庭庁「令和4年 地域児童福祉事業等調査結果の概況新規タブリンク」(2025年7月3日)

託児所の一世帯あたりの月額利用料金

託児所の月額利用料金の平均値はいくらでしょうか。こども家庭庁「令和4年 地域児童福祉事業等調査結果の概況 (p.5~6)新規タブリンク」によると、一世帯あたりの月額利用料(令和4年9月時点)は下記のとおりです。児童1人・2人の世帯ともに「7万円以上」と回答した割合が最も多い結果になっています

施設によって違うため一概には言えませんが、時間単位で利用する場合は、1時間あたり600円~1,000円前後と考えると良いでしょう。

【児童1人の世帯】

一世帯あたり月額利用料 ベビーホテル その他の

認可外保育施設

1万円未満 12.6% 10.7%
1万円以上2万円未満 9.0% 5.2%
2万円以上3万円未満 10.9% 8.0%
3万円以上4万円未満 12.7% 17.9%
4万円以上5万円未満 10.0% 11.9%
5万円以上 6万円未満 6.7% 14.1%
6万円以上7万円未満 5.0% 10.8%
7万円以上 33.1% 21.4%

【児童2人の世帯】

1世帯あたり月額利用料 ベビーホテル その他の

認可外保育施設

1万円未満 19.1% 13.4%
1万円以上2万円未満 4.8% 3.5%
2万円以上3万円未満 8.3% 6.7%
3万円以上4万円未満 11.9% 13.0%
4万円以上5万円未満 3.4% 9.7%
5万円以上 6万円未満 5.4% 12.4%
6万円以上7万円未満 2.1% 11.3%
7万円以上 45.0% 30.1%

出典

こども家庭庁「令和4年 地域児童福祉事業等調査結果の概況新規タブリンク」(2025年7月3日)

条件によっては無償化の対象となる

令和元年10月から開始されている幼児教育・保育の無償化において、認可外保育施設(一時預かり事業、病児保育事業、ファミリー・サポート・センター事業も含む)は住んでいる市町村から「保育の必要性の認定」を受けた場合に対象となります(保育所、認定こども園などを利用できていない人のみ)。

金額は、3歳~5歳が月額3万7,000円まで、0歳~2歳(住民税非課税世帯)が月額4万2,000円まで無償です。なお、通園送迎費や食材料費など利用料以外の費用については、無償化の対象とはなりません。

出典

こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化概要新規タブリンク」(2025年7月3日)

託児所で働くには

「子どもに関わる仕事がしたい」と考え、託児所で働く自分の姿をイメージしている方もいるでしょう。ここでは、託児所での働き方を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

託児所の勤務に必要な資格

託児所は、保育士資格がなくても働くことが可能です。そのため、資格を取得するかどうか迷っている人も選択肢に入れやすいでしょう。職場によっては保育士資格が求められる場合もあるため、自身の状況に応じて求人に応募してください。

文部科学省の「認可外保育施設指導監督基準新規タブリンク」によると、保育に従事する職員のおおむね3分の1は、保育士または看護師の資格取得者であることが原則されています。専門知識を有することは保護者の安心感にもつながるため、資格取得者のほうが優遇される可能性が高いといえます。

出典

文部科学省「認可外保育施設指導監督基準新規タブリンク」(2025年7月3日)

託児所での保育士の仕事内容

仕事内容は、託児所によって異なる場合もありますが、着替えや排泄の介助、遊びの提供・散歩、保護者への連絡、会議などが挙げられます。特色ある保育を提供する施設では、独自プログラムを導入している場合もあります。適性によっては、得意分野を活かすこともできるでしょう。また、衛生管理や安全管理への配慮も大切です。

託児所に勤務する保育士の給料

託児所に勤務する保育士の月給は、17万〜25万円程度が相場といわれています。大手企業が母体の場合や夜勤手当が支給される院内保育所に勤める場合は、平均以上の年収が見込める可能性もあるでしょう。

ただし、託児所はパートやアルバイトの求人も多く、時給制で働く人も少なくありません。そのため、職場によっては認可保育園に比べて給料が低い可能性も。自分の都合に応じて柔軟な働き方を求めている人には向いているといえますが、保育士として役職に就くことを希望していたり、キャリアアップによって高収入を狙っている場合は、認可保育園も視野に入れてみてください。

保育士が託児所に勤務するメリット

保育士が託児所に勤務する主なメリットは、「小規模のため保育業務に集中しやすい」「幅広い年齢の子どもたちと関われる」の2点が挙げられます。

小規模のため保育業務に集中しやすい

託児所は、基本的に小規模で運営されるため、一人ひとりの子どもに目が行き届きやすいというメリットがあります。精神的なゆとりを持ってきめ細かな保育を行いたい方や、保育士としてブランクがある方などに向いているといえるでしょう。行事やイベントも少ない傾向にあるため、事務作業の負担も軽減できます。また、スタッフの人数も少ないため、アットホームな雰囲気のもと働きたい方にもおすすめです。

幅広い年齢の子どもたちと関われる

時間単位や月単位の利用者が多い託児所では、一時的にさまざまな年齢の子どもたちと関わる傾向にあります。そのため幅広い保護者のニーズに寄り添い、臨機応変な対応力を身に付けたい保育士には、魅力的に感じられる環境といえるでしょう。

その反面、子どもの成長を見守りたい人は、寂しさを感じる可能性も。職場を選ぶ際は、保育士としてどのような瞬間にやりがいや喜びを感じるかを、きちんと見極めておくことが大切です。

保育士が託児所の求人を探す方法

託児所の求人を探す方法は、ハローワークや転職サイトが挙げられます。また、転職エージェントでは、内情を教えてもらえたり、履歴書や面接のサポートも受けられたりと、初めての転職活動でも安心です。

託児所は独自の保育サービスを行う施設も多く、職場環境が幅広いため、各施設の特色をしっかりと把握する必要があります。保育の進め方や運営方針はもとより、求人票に記載されている情報も隅々まで確認するようにしてください。大企業が運営する託児所は、収入や福利厚生のメリットから倍率が高い傾向にあるため、十分な選考対策を行うようにしましょう。

託児所について関心がある保育士からよくある質問

ここでは、託児所について関心がある保育士からよくある質問を紹介します。

託児所と一時預かりの違いとはなんですか?

一時預かり事業とは、地域子ども・子育て支援事業の1つで、未就園児を対象(一般型の場合)に、保育所や幼稚園などで一時的に預かることをいいます。実施主体は市町村で、一時的に家庭での保育が困難となった場合などが対象です。

出典

こども家庭庁「一時預かり事業実施要綱新規タブリンク」(2025年7月3日)

託児所と病児保育の違いとはなんですか?

病児保育とは、自宅での保育が困難な場合に、病気の子どもを一時的に預かり、保育や看護を行うことを指します。病児保育事業には3つの事業類型があり、「病児対応型・病後児対応型」「体調不良児対応型」「非施設型(訪問型)」に分かれるのが特徴です。

出典

内閣府「病児保育事業新規タブリンク」(2025年7月3日)

保育士が託児所で働くデメリットはありますか?

託児所では子どもの入れ替わり頻度が高い傾向にあるため、子どもの成長を見守りたい場合はデメリットに感じる可能性があります。また、大きな行事やイベントがないため、保育士としての仕事の幅を広げにくいと感じることも。夜勤がある託児所の場合は、生活リズムの乱れにも注意が必要です。

保育士が託児所で働くのはしんどいですか?

託児所は基本的に小規模で運営されるため、少人数を預かる場合が多く、心身の負担は少ないといえます。仕事量にストレスを感じている保育士は、余裕を持って働けるようになるかもしれません。ただし、職場によっては、夜間帯など不規則なシフトになる可能性があることを考慮しておきましょう。

まとめ

託児所とは、認可外の保育施設の総称です。託児所には、一般的な施設をはじめ、企業主導型保育園や院内保育所、ベビーホテル、認証保育園など、さまざまな種類があります。夜間保育や土日利用、早朝保育など多様なニーズに応えられるため、保護者にとって必要不可欠な存在といえるでしょう。託児所で働くには保育士資格が必ずしも必要という訳ではありませんが、資格取得者のほうが優遇される可能性が高いといえます。

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執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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