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保育士資格が活かせる仕事とは?保育園以外の職場や意外な転職先を紹介
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「保育士資格を活かせる仕事はどのようなものがあるのか」と興味を持っている方もいるのではないでしょうか。保育士の資格や経験は保育園だけでなく、さまざまな分野で役立つ貴重なスキルです。 この記事では、保育士資格を活かせる具体的な職種や転職を検討する際に押さえておきたいポイントについて詳しく解説します。新たなキャリアの可能性を広げ、自分に合った働き方を見つけるための参考にしてください。
目次
保育士資格を活かせる仕事には何がある?
保育士資格は、保育園以外でも多様な分野で活かすことができ、活躍する場が広がっています。また、保育士資格を取得して勤務した後、結婚や出産などを経て、再び子どもに関わる仕事に戻りたいと感じる方もいるでしょう。
ここでは、保育士資格がどのような職場で活用できるかをわかりやすく解説します。
他の保育園
保育士としての経験を活かしつつ、新たな環境でスキルを高めたいと考える方には他の保育園へ転職するのがおすすめです。保育園ごとに保育方針や子どもとの関わり方、勤務体制などが異なるため、転職によって自分に合った環境を見つけられる可能性があります。
「今の職場にやりがいを感じにくい」「別のアプローチで子どもと関わりたい」と感じる方にとっては、他園に転職すると、問題が解決する場合もあるでしょう。
企業内の保育園
企業内の保育園は、福利厚生の一環として従業員の子どもを預かるために企業が運営する施設で、一般的な保育園とは異なる面がいくつかあります。一般的に企業のオフィス内や近隣に設置される傾向にあります。保護者との距離が近いため、コミュニケーションが取りやすい場合が多いでしょう。
また、少人数の保育を行う施設が多く、クラス編成がない場合もあります。行事や事務作業の負担が少ない傾向にあり、無理のない働き方をしやすいのも魅力です。福利厚生が手厚く給与水準が高い傾向にあるため人気が高いのも特徴。転職を考える保育士にとって、注目の選択肢の1つといえるでしょう。
学童保育
学童保育は放課後や夏休み・春休みなどの長期休暇中に保護者から小学生の子どもを預かり、宿題を見たり一緒に遊んだりして、過ごす施設です。学童保育で指導員として働くには、特に資格は必要ありません。しかし、保育士資格があれば所定の研修を受けて放課後児童支援員として働くことができます。
厚生労働省の「放課後児童支援員の役割及び職務と補助員との関係」によると、放課後児童支援員は2015年に新設された資格制度です。学童保育には資格保持者を配置する必要があるため、保育士資格を所有する方が取得すると就職活動で有利になる場合もあるでしょう。学童保育は保育園とは異なり、持ち帰り仕事や残業が少ない傾向にあるため、子どもと関わりながら、プライベートな時間も大切にしたい方に向いています。
出典
厚生労働省「放課後児童支援員の役割及び職務と補助員との関係」(2025年6月6日)
認定こども園
認定こども園は、教育・保育を一体的に行う施設で、幼稚園と保育所の両方の良さを持っています。0歳から就学前までの子どもが対象です。施設の種類によって多少異なる場合もありますが、認定こども園で働くためには、原則として保育士免許と幼稚園教諭免許が必要となります。しかし、保育士として3年以上の実務経験がある方は教員資格認定試験に合格すると、資格を取得できます。
認定こども園は全国的に増加傾向にあり、保育だけでなく教育に関わるチャンスが広がるのも、魅力のひとつといえるでしょう。
病児保育
病児保育は、病気中や回復期の子どもを一時的に預かります。医療機関や保育園に併設されていることもあり、子どもの状態に応じてさまざまな対応が求められます。
通常の保育園とは異なり、病児保育での業務は子どもの状態を注意深く観察するのが中心です。少人数制でイベントや行事などの準備がないケースがほとんどで、保育に集中できるのが魅力といえるでしょう。
乳児院・児童養護施設
乳児院や児童養護施設は虐待や育児放棄、貧困などの理由で家庭を離れた子どもたちを支える重要な施設です。これらの施設では、保育士の配置基準が設けられており、保育士資格を保有しているのが大きな強みとなります。
また、通常の教育に加えて、親代わりとして子どもたちの日常生活や感情に寄り添う役割も求められるため、子どもたちの心のケアや生活支援に深く関わることができるでしょう。
幼稚園
幼稚園は、満3歳から小学校入学前の子どもを対象とした教育施設です。保育園と異なり、一般的な幼稚園は子どもを預かる時間が短く、主に教育活動に重点を置いています。
また、夏休みや冬休みなどの長期休暇が設けられているため、時期により休みが取りやすいのも魅力です。幼稚園で働くためには幼稚園教諭免許が必要ですが、保育士資格を保有している場合、免許を取得しやすくする「幼保特例制度」が利用できます。
転職を考えている方はこの機会に幼稚園教諭免許を取得し、新たなキャリアを目指してみるのも良いでしょう。幼保特例制度の期限は、2030(令和12)年3月31日までとされていますが、変更される可能性があります。文部科学省の公式ホームページなどで最新情報を確認するのがおすすめです。
出典
文部科学省「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」(2025年7月3日)
ベビーシッター
ベビーシッターは家庭や特定の施設を訪問し、子どものお世話をする職業です。特定の資格は必要ありませんが、保育士資格があると選考の際に有利になったり、保護者の信頼を得やすいなどのメリットがあります。
放課後等デイサービス
放課後等デイサービスは、障がいや発達に特性がある子どもたちを対象とした福祉施設で、基本的に就学児から18歳までの支援を行っています。児童発達支援事業所とは異なり、学校が終わった後や長期休暇に利用されるため、短時間の拘束で働くことができるのが特徴です。子どもたちが安心して過ごせる場所を提供しながら、個々の成長を支援するやりがいのある仕事です。
児童発達支援施設
児童発達支援施設は、障がいがある未就学児を支援する施設で、主に社会福祉法人が運営しています。保育士から転職して児童発達支援施設で勤務する場合、新たに障害への理解や適切な対応を学ぶ機会が多いでしょう。しかし、既存の保育に関する知識やスキルを活かしながら働けるため、保育士資格を保有する場合は転職時に有利になる場合も。子どもたちの成長をサポートし、支援が必要な家庭に寄り添う、やりがいのある仕事の1つです。
保育士経験を活かしたい方向け!保育園以外の意外な転職先
保育士資格は保育業界だけでなく、一般企業でも活かせます。ここでは、保育士資格を活かせる意外な転職先を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
テーマパーク
保育士資格を保有する方におすすめなのが、子ども向けのテーマパークやアミューズメント施設です。子どもたちと直接触れ合い、笑顔を見る機会が多いため、楽しい雰囲気の中で働くことができるでしょう。子どもと接する仕事を続けたい方にとって魅力的な環境だといえます。対象年齢は幅広いため、保育士としてのスキルを活用できる場面は限られるかもしれません。しかし子どもたちと触れ合い、笑顔を見れる機会があるという点では、充実した日々を過ごせる可能性があります。
写真館
写真館も保育士資格を保有する方におすすめの転職先です。泣いてしまう子どもをあやしたり、自然な笑顔を引き出したりと、保育園で培ったスキルや経験が求められる場面も多いでしょう。また、子どもたちと接しながら、着替えや記念日を祝うサポートを行うので、毎日やりがいを感じられるはずです。子どもたちの個性に合わせた柔軟な対応が必要となるため、保育士の経験を活かしながら働ける職場の1つといえるでしょう。
子育て用品の企業
保育士としての知識や経験は、子育ての現場に即した商品の開発や改善に役立ちます。そのため、子育て用品を取り扱う企業では貴重なスキルと見なされるでしょう。保育園や家庭での使用を想定した安全性や使いやすさを考慮しながら、子育てに寄り添った商品を企画できるため、保育の現場経験を十分に活かすことができるでしょう。
また、保育園向けの商品や実用的なデザインが求められることが増えており、保育士の視点で子どもの使いやすさや成長支援を考慮した商品企画が求められる場合も。保育士として培った経験を活かし、商品を通じて多くの家庭を支えられる、やりがいのある仕事でしょう。
幼児教室
幼児教室では、一般的に0歳から6歳の幼児を対象とし、遊びやゲーム、音楽や運動などを通して知育や身体表現、社会性などの発達を促進します。幼児教室では、保育士を経験して養った子どもとのコミュニケーション能力、保護者への対応スキルを活かせる可能性が高いといえます。
また、幼児教室は保護者とともにレッスンを進めることが多いため、保育園や幼稚園に比べて一人ひとりの子どもと向き合える時間が多い点も魅力です。働く時間が決まっており、比較的短い勤務が可能なため、ワークライフバランスを保ちたい方にもぴったりでしょう。
子ども服・おもちゃの企画販売
保育士として培ったコミュニケーション力は、接客の際にも役立ちます。
また、現場で学んだ視点は、子どもにとって使いやすい商品配置や季節に応じたディスプレイ作り、デザインの提案にも活かせるでしょう。「子どもに関連する仕事を続けながら、新たにクリエイティブなことに挑戦したい」という方におすすめです。
習い事の先生
ピアノや書道など習い事の指導では、保育士として身につけた「わかりやすく伝える力」が大いに活かされます。子どもたちの好奇心を刺激したり、興味を持たせながら、楽しく学べる場を提供すると、スムーズに指導できるでしょう。
また、保育の現場で養った子どもへの共感力は、個性に合わせた指導をする際に役立つ場合も。たとえば、レベルに応じた教え方を工夫し、子どもたち一人ひとりに自信を持たせるようなサポートができるでしょう。「教育の場で保育の経験を活かしたい」という方におすすめです。
保育士資格を活かして別の職種・業種に転職するメリット・デメリット
保育士経験を活かしつつ、新たな職種や業種に挑戦すると得られるメリットがある一方、デメリットもあります。ここでは別の職業や業種に転職する際に考えられるメリット・デメリットについて解説します。
メリット
保育士経験を活かして新たな職種や業種に転職するメリットは以下のとおりです。
体力的・精神的な負担が軽減する可能性がある
転職先によっては給与がアップする
保育現場では得られないスキルが身につく
デメリット
一方、保育士経験を活かして新たな職種や業種に転職するデメリットは以下のとおりです。
保育士としての経験を活かしにくい場合がある
やりがいを感じにくい可能性がある
新しい仕事に適応する労力が必要になる
保育士が異業種で働くメリットとデメリットについて詳しく知りたい方は「保育士以外の仕事は何がある?資格を活かせる職場や意外な転職先を解説!」の記事もあわせてお読みください。
保育士自体を辞めるか悩んだときの判断基準
保育士の仕事自体は好きで続けたいのか。それとも保育士自体を辞めたいのかを掘り下げて考えましょう。保育士の仕事は好きだけれど「仕事量が多すぎて給与に見合わない」「人間関係が辛い」など、別の園に転職すれば問題が解決する可能性があります。
また、子どもと関わる仕事がしたいのか、それともこだわらないのかも転職を検討する際に軸となるでしょう。「体力的に保育士の仕事を続けるのが難しい」「でも子どもと関わる仕事がしたい」のであれば、「保育士経験を活かしたい方向け!保育園以外の意外な転職先」で紹介した仕事に転職するのも1つの方法です。ぜひ参考にし、検討してください。
保育士資格を活かして転職するときのポイント
ここでは、保育士資格や経験を活かして転職し、より良い環境で働くために押さえておきたいポイントを紹介します。
自分の興味や関心がある分野を明確にする
まずはどの分野に興味を持っているかを明確にしましょう。子どもが好きで保育士として勤務している場合、現職の職場環境が合っていないだけで、キャリアを変えたいわけではない場合もあります。そのような場合には、他の保育関連の施設へ転職すると、課題が解決する可能性もあるでしょう。
また、「仕事の負担が重い」「子育てとの両立が難しい」などの理由で離職を考える方も保育士も少なくありません。しかし現在、保育士の職場環境は改善が進んでいます。求人情報を比較し、働きやすさを重視した施設を選ぶことが可能です。
転職先の仕事内容をしっかりと調べる
転職でよくある失敗は、「思っていた内容と実際の業務が違った」というものです。表には出てこない仕事や予想外の業務も多く、入職後にギャップを感じて戸惑う方もいるかもしれません。新しい職場でのミスマッチを防ぐためにも、事前の情報収集はしっかり行いましょう。
たとえば、転職を希望する業種で働いている知人に話を聞く、転職サイトの相談サービスを利用するなども1つの方法です。実際の業務内容を確認し、納得したうえで転職先を決めることが、後悔しないキャリア選択につながります。
キャリアプランや理想の働き方を整理する
転職先を選ぶ際には、自分の理想の働き方やキャリアプランを明確にするのが大切です。保育士の経験やスキルを活かせる業種は多岐にわたるため、選択肢が多い分、迷ってしまうこともあるでしょう。
「子どもと関わり続けたい」「一般的な保育園とは異なる環境で働きたい」「保育士の経験が求められる新たなフィールドに挑戦したい」など、自分の希望やこだわりを具体的にしておくと、理想に合った転職先が見つけやすくなります。まずは、自分がやりたいこと、避けたいことをはっきりとさせて、転職先の方向性をしっかりと絞り込んでいきましょう。
キャリアプランを考える際は、現在のスキルや経験にとどまらず、5年後、10年後にどのような自分でいたいかを意識すると、転職先に求める条件も明確になり、自分に合った道筋が見えてくるはずです。
保育士資格や経験を活かして転職する際によくある質問
ここでは、保育士資格が活かせる仕事に関してよくある質問に回答します。ぜひ参考にしてください。
ブランクがある保育士におすすめの転職先はありますか?
最近は保育士が再び現場に戻りやすいよう、研修制度やフォロー体制が整備された施設が増えている傾向にあります。そのため、研修制度やフォロー体制が整っている保育園に勤務するのも1つの方法でしょう。また、短時間勤務からスタートし、徐々に現場に慣れるのもおすすめです。保育士として積み上げてきた経験やスキルは、現場で役立つ可能性が高いといえます。また、ブランク中に子育て経験がある場合、保護者の立場が理解できるため、転職でもアピールできるでしょう。
保育士が一般企業の面接を受ける際のアピールポイントは?
保育士ならではの強みとして、いくつかのポイントが挙げられます。
まず、子どもや保護者の気持ちにしっかりと耳を傾ける傾聴力です。傾聴力は、信頼を築くうえで大切なスキルであり、安心感を生む力ともいえます。
また、クラスの運営に必要不可欠な協調性も保育士の特徴です。チームで協力しながらクラス運営を支える姿勢は、多くの現場で評価されるでしょう。
ほかにも、子どもの命に責任を持ち常に安全を確保する責任感、子どもの予測できない行動に柔軟に対応できる対応力も大きな武器です。これらのスキルは、他の職場でも非常に役立つ可能性があります。
保育士が転職で一般企業の求人を探す方法は?
保育士から転職する場合、一般企業に興味がある場合は転職エージェントを利用し、幅広く求人情報を収集するのが大切です。未経験者を積極的に受け入れ、保育士資格やその経験を評価してくれる企業もあります。
転職エージェントを利用すると、業界に詳しい担当者のサポートを受けられるため、異業種への転職も安心して進められるでしょう。未経験の分野でも、仕事内容や企業の風土について詳しく説明してくれるので、自分の強みが活かせる企業を効率良く探す手助けとなります。
まとめ
今回の記事では、保育士資格が活かせる仕事や意外な転職先について紹介しました。保育士のスキルや経験は、子どもへの接し方や保護者対応で培ったコミュニケーション力、柔軟な対応力、安心・安全を考えた行動力など、多様な仕事で評価されるでしょう。
「保育士資格は保育園でしか役に立たない」と思わず、自分の可能性を広げて、理想の働き方に近づく転職先を見つけてみてください。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。