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保育士の退職は多い?離職率や転職理由につながる職場環境の特徴

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青い筆記具と退職届と書かれた紙

「保育士の退職者が多いって本当?」と疑問に思う方もいるでしょう。保育士の退職者はほかの職種と比べて特別多いわけではありませんが、職場によっては辞める割合が高いと感じることもあるようです。 この記事では、保育士の離職率や退職者が多いといわれる保育園の特徴、退職者が少ない転職先を探す方法をまとめました。退職するか迷っている方は、問題解決の方法を確認してみましょう。

この記事を書いた人

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「レバウェル保育士」編集部

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「保育士の退職者が多い」って本当?

保育士の退職割合が高いという明確なデータはありませんが、職場によっては辞める人が多いと感じることもあるかもしれません。ここでは、保育士の離職率や一斉退職について解説します。

保育士の離職率は全職種平均より低い

厚生労働省の「保育士の現状と主な取組(p.23)新規タブリンク」によると、保育園に勤務する保育士の離職率は、2017年時点で9.3%です。厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果の概況(p.7)新規タブリンク」によると、常用労働者全体の最新の離職率は15.4%となっています。保育士の離職率と同じ年度である「平成29年雇用動向調査結果の概況(p.6)新規タブリンク」を見てみると、全体の離職率は14.9%でした。これらの情報を照らし合わせると、保育士の離職率は労働者全体の平均より低いことが分かります

なお、退職者が多いかどうかは、職場によっても異なります。離職率・定着率が気になるときは、求人票や保育園のWebサイトなどを確認してみるのも手です。

出典

厚生労働省「保育士の現状と主な取組新規タブリンク」(2025年6月16日)
厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況新規タブリンク」(2025年6月16日)
厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果の概要新規タブリンク」(2025年6月16日)

新卒保育士3年以内の離職率はやや高い

厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します新規タブリンク」によると、保育士を含む医療・福祉業界の新卒者(大学)における3年以内の離職率は41.5%となっています。医療・福祉は離職率の高い業界の4位になっており、新卒保育士の離職率はやや高い傾向のようです。新卒の保育士は、業務量の多さに戸惑ったり職場の雰囲気が合わなかったり、理想と現実のギャップを感じて辞めることが考えられるでしょう。

職場環境が悪く保育士の一斉退職が起きる園もある

統計上、保育士の離職率は高くありませんが、次々と辞める人が出たり一斉退職が起きたりする保育園もあります。過度な長時間労働やパワーハラスメントなど、職場環境が悪いと退職者が多くなることも不思議ではありません。職場環境の悪さは、保育環境にも影響を与えるため、改善に向けた取り組みが必要です。

職場環境が悪く、「ほかの保育士が次々に辞めている、自分はどうしよう⋯」と悩んでいるときは、退職を検討したほうが良い場合もあります。レバウェル保育士では、キャリアアドバイザーに現職の悩み相談ができるため、お気軽にお問い合わせください。

保育士の退職が多い保育園の特徴

ここでは、退職者が出やすい傾向にある保育園の特徴を紹介します。職場環境が悪かったり給料が低かったりする保育園では、退職を考える保育士が多くなる可能性があるでしょう。

人手不足により最低限の職員配置で運営している

保育補助やフリーの保育士を配置する余裕がなく、最低限の職員で運営している園の場合、体制への疑問を拭えず退職を考える保育士もいます。人手が足りていないと、体調不良による休みや有給休暇が取りづらくなったり、子どもたちとじっくり関わる時間が確保しづらくなったりするでしょう。働く環境と保育の質、両方に悪い影響が出ると、退職を考える保育士は多くなるかもしれません。

一人ひとりの仕事量が多い

保育士一人あたりの業務負担が大きい保育園では、退職者が多くなることもあるようです。ICTシステムの導入が進まず、登園管理や連絡帳、保育の記録などの手書き作業が多い場合、効率化を意識されていないと不満を感じてしまうでしょう。

イベントや行事を頻繁に開催している園では、準備に関する業務が多くなります。仕事量の多さに対する具体的な改善策が出てこないと、働き続けるのが難しいと判断する保育士もいるでしょう。

残業や持ち帰り仕事により労働時間が長い

残業が多かったり、持ち帰り仕事が当たり前になっていたりする保育園では、ワーク・ライフ・バランスが保ちづらいと退職を考える保育士もいます。残業や持ち帰り仕事が常態化すると休息時間が減り、健康管理が難しくなることもあるようです。「職場の風潮で、先輩より早く帰れない」「暗黙の了解で、持ち帰り仕事をしている」といった保育園では、退職者が多くなりやすいでしょう。

職場の人間関係や雰囲気が悪い

パワーハラスメントや意見が言いにくい閉鎖的な雰囲気がある保育園では、退職者が多くなる可能性があります。上司や先輩保育士に悩みや困っていることを相談しづらい環境では、働き続けることが難しいでしょう。

また、保育士によっては、保護者との関わり方に悩み退職を考えることもあります。保護者からのクレームに対して、責任を負わされたり適切なサポートがなかったりする職場では、精神的な負担を感じてしまうかもしれません。

給料が低い

給料が低かったり、手当や福利厚生が整っていなかったりする保育園では、将来のことを考えて退職する保育士が多くなるかもしれません。評価制度が不透明で昇給が見込めなければ、保育士としてのキャリアが不安になることもあるようです。

仕事量の多さや責任の重さに対して給料が見合っていないと、転職を考えるきっかけになります。ほかの保育園と家賃手当の支給額や福利厚生の内容を比較して、退職を検討する場合もあるでしょう。

問題に対して適切な対策を取らない

子どもの保育業務や保育士の働き方などに関する問題に対し、適切な対策を取ってくれない保育園では、退職者が多くなる可能性があります。保育士から改善の提案や悩みの相談があっても、「昔からこうだから」「みんなも頑張っている」として問題を放置されることもあるようです。

問題に対する認識が甘く、解決への取り組みが不十分な園では、保育士の不満が蓄積していきます。保育士は、「何を言っても変わらない」とあきらめ、退職の道を選ぶこともあるでしょう。

保育士が転職するか迷ったときは?

ここでは、保育士が退職・転職で迷ったときの対処法を2つ紹介します。いまの職場で悩みが解決できないか検討したうえで、転職するかどうかを決めましょう。

いまの職場で悩みを解決できないか検討する

現在の職場を退職して新しい環境に移るべきか迷っている保育士は、転職前にできることがないか検討してみましょう。上司に悩みを相談すれば、改善策を提案してくれたりサポート体制を整えたりしてくれる可能性もあります。仕事量の多さに悩んでいる場合は、業務の効率化や役割分担の見直しを提案するなど、解決策を一緒に考えることが大切です。また、同じ悩みを抱える保育士がいれば、一緒に声を挙げると、職場が改善に向けて動いてくれるかもしれません。

自治体が設置している保育士向けの相談窓口を利用する

こども家庭庁の「保育士・保育所支援センターやハローワークなどの連絡先新規タブリンク」によると、各自治体には保育士向けに仕事や職場における悩みを相談できる窓口が設置されています。たとえば、東京都福祉局の「保育の仕事に関する相談窓口新規タブリンク」では、保育士資格と現場経験のある保育人材コーディネーターへ、退職に関する悩み相談が可能です。

いまの職場で悩みが解決できない場合は、自治体の窓口で相談したり転職活動の情報収集をしたりすると、退職するかどうかの判断材料になるかもしれません。

出典

こども家庭庁「保育士・保育所支援センターやハローワークなどの連絡先新規タブリンク」(2025年6月18日)
東京都福祉局「保育の仕事に関する相談窓口新規タブリンク」(2025年6月18日)

【保育士向け】退職者が少ない転職先を探す方法

園見学をしたり転職エージェントに求人情報を聞いたりすると、希望条件にあった働きやすい職場を見つけやすくなる可能性があります。ここでは、保育士向けに退職者が少ない転職先を探す方法を紹介するので、参考にしてみてください。

保育園のWebサイトで職場環境改善の工夫を確認する

保育園のWbサイトでは、保育士の働き方や施設設備など、職場環境の改善に向けた取り組みを確認できる場合があります。職員の働きやすさに関する取り組みや、職場環境の改善に力を入れている園では、平均残業時間や有休消化率などを公開しているところもあるようです。

職員インタビューや日々の保育の様子が詳しく掲載されている園は、透明性を大切にしている可能性があります。ICTシステムの導入状況や研修制度の充実など、具体的にどのような取り組みが実施されているか確認してみましょう。

園見学で職場の雰囲気を確認する

可能であれば園見学をさせてもらい、職場の雰囲気や保育環境を自分の目で見て確認しましょう。見学時には、保育士の連携体制や保育室の広さ、教材の充実度などが分かる可能性があります。園見学中は、案内してくれる職員の方に、業務内容や働き方について質問することも可能です。職場の雰囲気を知るためには、園児の表情や職員同士のコミュニケーションの様子、子どもたちへの接し方などを見てみましょう。

転職エージェントで求人の詳細な情報を教えてもらう

保育士専門の転職エージェントを利用すると、求人票に載っていない職場の雰囲気や働いている人の声などの情報が得られることもあります。残業時間や有給休暇の取得状況、職員の定着率など、気になることがあれば転職エージェントが代理で聞いてくれる場合もあるようです。転職エージェントは複数の園と連絡を取っているため、転職に必要な情報を比較検討できます。自分の希望条件や譲れないポイントを明確に伝え、より自分に合った職場を紹介してもらいましょう。

レバウェル保育士で扱っている求人は、保育方針や保育士の雰囲気など取材しているため、職場のリアルな情報が得られます。気になる求人があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。

保育士の退職に関するよくある質問

ここでは、保育士の退職に関するよくある質問にQ&A形式で答えます。保育士が次々と辞めることや一斉退職について、参考にしてみてください。

保育士が次々と辞める理由は?

仕事量が多かったり残業が当たり前になっていたりする職場では、保育士が次々と辞める理由になります。保育士の悩みや苦労に対する問題意識が低く、改善に向けて取り組んでくれない職場の場合、退職を検討する保育士は多くなりやすいようです。また、事前の説明なく保育方針や運営方法などが急に変更されると、職場への不信感から保育士が次々と辞める状況につながりやすくなります。

保育士が一斉退職するのは無責任?

職場に改善を求めても動いてくれなかったり、問題意識が低かったりする場合、最終手段として一斉退職することもあるため無責任とは限りません。一斉退職する際は、その後の園児や保護者について気がかりになるかもしれませんが、保育士も一人の労働者として、心身の健康や自分のキャリアを守る権利があります。質の高い保育を提供するためには、保育士自身が健康でやりがいを持って働ける環境が不可欠です。

まとめ

保育士の離職率は9.3%となっており、労働者全体と比較しても特別に退職者が多い訳ではありません。ただし、新卒保育士の3年以内の離職率は41.5%とやや高めで、業務量の多さや職場の雰囲気など、理想と現実のギャップに戸惑う人も少なくないようです。

退職者が多いといわれる保育園には、人手不足による仕事量の多さや長時間労働、パワハラなどの職場環境の悪さなどの特徴がみられます。保育士からの改善提案や悩みの相談に対して適切な対応を取らない園も、退職率が高くなる可能性があるでしょう。

転職を考えている保育士は、まず現職での問題解決を試みることをおすすめします。いまの職場で解決できない場合は、保育士向けの窓口に相談したり、園見学で職場の雰囲気を確認したりして、自分に合った環境を探してみましょう。

「いまの職場環境に疑問を感じている」「転職するか迷っている」という保育士の方は、レバウェル保育士にご相談ください。レバウェル保育士では、業界に精通したキャリアアドバイザーが、あなたの悩みや希望を丁寧にヒアリングし、働きやすい職場環境の求人をご紹介します。給与や待遇面での不安、人間関係の悩み、キャリアプランの相談など、保育現場でのさまざまな課題に対して、具体的な解決策を一緒に考えていきます。

執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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