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幼稚園教諭とは?仕事内容や免許取得方法、保育士との違いを解説
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「幼稚園教諭に興味がある」「幼稚園教諭を目指すか迷っている」という方もいるのではないでしょうか。幼稚園教諭を目指す際には、仕事内容や保育士との違いを把握して検討する必要があります。幼稚園は教育を行う場であり、幼稚園教諭は遊びや生活を通して子どもの成長を促すのが仕事です。 この記事では、幼稚園教諭の仕事内容や1日の流れ、免許状の種類・取得方法を解説します。幼稚園教諭と保育士との違いや向いている人も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
幼稚園教諭とは?
幼稚園教諭とは、幼稚園に勤務し子どもたちに心身の発達を促したり、教育したりする仕事です。幼稚園は学校教育法に基づく正規の学校体系の一環として位置づけられ、幼稚園教諭は遊びや生活を通して子どもの心身の発達を促す教育を行います。
幼稚園教諭は運動や音楽、制作などを指導する役割が求められるでしょう。保育士が主な役割とする保育とは異なり、幼稚園教諭は教育に重点を置いている点が特徴です。
幼稚園教諭の仕事内容
幼稚園教諭の仕事は、子どもを教育するだけでなく、保護者への連絡やお便りの作成など多岐にわたります。幼稚園教諭の主な仕事内容は、以下のようなものが一例として挙げられるでしょう。
年度、毎月ごとの活動計画
音楽や制作、運動などの指導
着替えや食事など生活に関する指導
園児の健康管理
保護者への連絡や面談
教室の準備や片付け、掃除
お便りの作成
行事の準備や指導、運営
幼稚園では、文部科学省が告示する幼稚園教育要領や独自のカリキュラムに基づき、幼児の教育や活動の計画を立て実施します。なかには英語を教えたり自然に触れ合う機会をつくったり、独自のカリキュラムを実施している幼稚園もあるようです。
幼稚園教諭の仕事内容も、幼稚園の方針によって変わってくるでしょう。
幼稚園教諭が働く1日の流れ
幼稚園では、一般的に9時ごろに園児が登園して14時ごろに退園します。園児が退園したら、幼稚園教諭は教室の清掃や翌日の準備、事務作業などをして退勤となります。
以下は、幼稚園が働く1日の流れです。1つの例として、参考にしてください。
時間 | 主な業務内容 |
8時 | 出勤・教室や活動の準備 |
9時 | 園児が登園・体調の確認や朝の会を実施 |
10時 | 遊びや制作など午前の活動を実施 |
12時 | 昼食(準備や食事のマナー、片付けなどの見守りや指導) |
13時 | 遊びや制作など午後の活動を実施 |
14時 | 帰りの会を実施・園児を見送る |
15時 | 教室の片付けや清掃・翌日の活動や行事の準備・事務作業 |
17時 | 退勤 |
幼稚園によっては、働く保護者に代わって預かり保育を実施している場合があります。保護者の仕事が終わるまで預かる必要があるため、17時〜18時ごろまで開園している幼稚園もあるでしょう。
幼稚園教諭になるには?一種・二種・専修免許状の概要
幼稚園教諭として働くためには、幼稚園教諭の免許状が必要です。幼稚園教諭の免許状は一種・二種・専修の3種類あり、取得方法や特徴に違いがあります。
幼稚園教諭 免許の種類 | 主な取得方法 | 特徴 |
一種免許状 | 大学 | 園長として勤務できる可能性がある |
二種免許状 | 短大・専門学校 | 園長として勤務できない可能性がある・大学や大学院卒よりも短期間で免許を取得し就職できる |
専修免許状 | 大学院 | 園長として勤務できる可能性がある |
田澤里喜「就学前施設の園長・施設長の資格要件の現状と課題」では、幼稚園園長の資格について、学校法第二十条で「専修または一種の教員免許状を有して学校(幼稚園を含む)や幼保連携型認定こども園などで5年以上仕事をしている者」と記されています。
しかし、就学前施設の園長・施設長の資格要件は幼稚園、保育所、認定こども園や地域型保育事業など施設種別によって異なりますが、どの施設でも例外として幼稚園教諭免許状や保育士資格を保有し、保育者の経験を必要としないケースもあります。
幼稚園教諭二種免許状のみ所有している場合、施設によっては園長を目指せない場合もあるでしょう。将来園長を目指したい方は、幼稚園教諭一種免許状を取得するのがおすすめです。幼稚園教諭二種免許状は園長として勤務できない可能性がありますが、短期間で取得できるため、コストが抑えられ実務経験を早く積める点はメリットといえるでしょう。
文部科学省の「教員免許制度に関する基礎資料/別表第三(第六条関係)」によると、幼稚園教諭二種免許状を有している方は、所定の条件を満たすと一種への切り替えが可能です。切り替えるには、「幼稚園教諭として実務経験を5年以上積む」「自治体指定の養成機関で免許法認定講習・公開講座・通信教育で、所定の単位を取得する」という2つの条件を満たすことが必要です。なお、単位取得に関する条件は自治体によって異なるため、詳細はホームページなどで確認してください。
出典
玉川大学学術リポジトリ「就学前施設の園長・施設長の資格要件の現状と課題」(2025年6月20日)
文部科学省「教員養成部会 教員免許制度ワーキンググループ(第5回)配付資料」(2025年6月20日)
【状況別】幼稚園教諭免許を取得する流れ
ここでは、幼稚園教諭免許状を取得する流れを状況別に紹介します。高卒から目指すのか、保育士資格を保有したうえで目指すのかなど、状況に応じて確認してください。
高校卒業後、幼稚園教諭を目指す場合
幼稚園教諭免許状を取得するためには、文部科学省指定の養成機関(短大・大学・専門学校など)を卒業する必要があります。高校卒業後に目指す主なルートは、以下の3つです。
短期大学または専門学校を卒業
大学を卒業
大学+大学院を卒業
大学や専門学校の教育学部や幼児教育学科などに入学し、幼稚園教諭になるための単位を取得します。一般教養や教科に関する科目(国語や音楽、保健体育など)、教職に関する科目(幼児教育学や幼児心理学、教育実習など)を学ぶことになるでしょう。
単位取得後に、卒業認定を受けると免許状取得の申請、免許状の発行となります。前述したように、短期大学・専門学校の場合は二種免許状、大学の場合は一種免許状、大学院の場合は専修免許状を取得できます。
教員資格認定試験を受け二種免許の取得を目指す場合
高卒で20歳以上かつ、保育士として3年以上実務経験がある方は、幼稚園教員資格認定試験に合格すると二種免許状を取得できます。「教員資格認定試験」は、幼稚園や小学校、高等学校の教員を確保するために、文部科学省が開催している試験です。
大学や専門学校に入りなおさなくても、保育士資格を保有している方は、条件を満たせば通信講座や独学で資格取得できる可能性があるでしょう。
出典
文部科学省「教員資格認定試験」(2025年6月20日)
保育士が特例制度を利用して幼稚園教諭を目指す場合
保育士は、文部科学省が管轄する「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」を利用して、幼稚園教諭を目指すこともできます。この特例は、保育士または幼稚園教諭の資格保有者がそれぞれもう一方の資格を取得しやすくする制度です。
保育士資格を保有している方は、実務経験が3年かつ4,320時間以上ある場合、大学において修得する最低単位数が8単位に軽減します。前述した保育士の実務経験条件に加え、幼保連携型認定こども園での保育教諭などとして2年かつ2,880時間以上の実務経験を有する場合は、6単位に軽減されます。
上記の単位を取得した後に都道府県教育委員会に申請すると、幼稚園教諭一種状または二種免許状が交付される流れです。
なお、必要単位は通信講座での取得も可能なため、働きながら目指したりコストを抑えたりして、取得できるでしょう。
出典
文部科学省「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」(2025年6月20日)
幼稚園教諭の主な勤務先
幼稚園教諭の勤務先は幼稚園だけでなく、認定こども園や保育園といった場合もあります。ここでは、幼稚園教諭の主な勤務先とその特徴を紹介するので、参考にしてください。
幼稚園
幼稚園教諭の代表的な勤務先である幼稚園は、学校教育法で定められた学校です。満3歳児〜就学前の子どもを預かり、遊びや生活を通して発達を促したり教育したりします。
幼稚園の一般的な開園時間は、9時〜14時ごろまでです。小学校と同じように、夏休みや冬休みなどの長期休みもあります。閉園後、幼稚園教諭は事務作業や活動の準備を行い、基本的には17時ごろまで勤務します。また、近年では働く保護者に代わって18時ごろまで預かり保育したり、長期休みに開園する幼稚園もあるようです。
認定こども園
幼稚園教諭のなかには、認定こども園で働く方もいます。認定こども園とは、0歳から就学前の子どもを対象として、教育と保育を一体的に行う施設です。なお、認定こども園には大きく分けて、以下のような4つのタイプが存在します。
種類 | 特徴 |
幼保連携型 | 幼稚園と保育園、両方の機能をあわせ持つ単一の施設 |
幼稚園型 | 認可幼稚園が、保育が必要な子どものための保育時間を確保するなど、保育所的な機能を備える |
保育所型 | 認可保育園が、保育が必要な子ども以外の子どもも受け入れるなど、幼稚園的な機能を備える |
地方裁量型 | 幼稚園・保育園いずれの認可もない地域の教育・保育施設が、認定こども園として必要な機能を果たす |
参照:こども家庭庁「認定こども園概要」
こども家庭庁「認定こども園概要」によると、幼保連携型の場合、幼稚園教諭免許状と保育士資格を併有した保育教諭を配置すると定められています。そのほかのタイプで満3歳以上を保育する場合は、幼稚園教諭と保育士資格の両免許・資格の併有が望ましいとされています。満3歳未満を保育する場合は、保育士資格が必要です。
ただし、文部科学省の「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」によると、経過措置として2029(令和11)年度末までは幼稚園教諭免許状または保育士資格のいずれかを有していれば、保育教諭になれるとされています。
出典
こども家庭庁「認定こども園概要」(2025年6月20日)
文部科学省「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」(2025年6月20日)
保育園
自治体によっては、保育士不足や待機児童解消を理由として、条件付きで幼稚園教諭免許状の保有者が保育園の保育士として働けるケースもあるようです。ただし、自治体によって「保育士を2/3以上配置している」「満3歳以上を担当する」といった条件が設けられているでしょう。
なお、保育補助やパートとして働く場合は資格が問われない場合もあるため、自治体の規定に関わらず働ける可能性があります。保育園では0〜3歳児の子どもも対象となるため、より幅広い子どもの年齢に対応できる知識やスキルが必要になるでしょう。
幼稚園教諭の平均年収
以下の表は、厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」を参照し、保育教諭の給与・ボーナス・年収を年齢別にまとめたものです。
年齢 | 平均年収(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額) |
20~24歳 | 328万8,800円 |
25~29歳 | 385万9,300円 |
30~34歳 | 395万3,300円 |
35~39歳 | 413万5,800円 |
40~44歳 | 431万8,800円 |
45~49歳 | 454万6,600円 |
50~54歳 | 456万2,900円 |
55~59歳 | 485万9,600円 |
60~64歳 | 511万7,800円 |
参照:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
幼稚園教諭は、基本的に勤続年数が長くなると主任や副園長、園長などと役職が付くため年収も上がっていくでしょう。
出典
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年6月20日)
幼稚園教諭と保育士の違い
幼稚園教諭と保育士は、主な役割や配置基準、勤務スケジュールなどに違いがあります。保育士と違う部分を把握して、幼稚園教諭の仕事について理解を深めましょう。
幼稚園教諭 | 保育士 | |
管轄 | 文部科学省 | 厚生労働省 |
必要な資格 | 幼稚園教諭免許状 | 保育士資格 |
主な役割 | 遊びや生活を通して発達を促したり、教育をしたりして就学に備える | 保護者から子どもを預かり、遊びの提供や生活全般の介助、発達の支援を行う |
主な勤務先 | 幼稚園・認定こども園など | 保育園・乳児院・児童養護施設など |
子どもの対象年齢 | 満3歳~就学前 | 0歳~就学前 |
配置基準 | 1学級の幼児数は35名以下を原則として、1学級当たり専任教諭1人を置く | 保育士1人当たり、0歳児3名・1歳児6名・2歳児6名・3歳児15名・4歳児25名・5歳児25名 |
開園時間
※一般的な例 | 9時~14時(5時間程度) | 7時~18時(11時間程度) |
休園日
※一般的な例 | 土日祝日・春、夏、秋、冬休み・年末年始 | 日曜日・祝日・年末年始 |
平均年収 | 412万7,300円 | 406万8,100円 |
参照:e-GOV法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条2項」厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査
」
幼稚園教諭は、保育士と比べて1人で担当する幼児の数が多い場合があります。開園時間や休園日も保育園と異なるため、勤務時間やスケジュールにも違いが出るでしょう。
出典
e-GOV法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条2項」(2025年6月20日)
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年6月20日)
幼稚園教諭として働くメリット
ここでは、幼稚園教諭として働く際に感じるメリットや魅力について紹介します。幼児教育に携わりたい方やワーク・ライフ・バランスを保ちたい方は、幼稚園教諭として働くメリットを感じられる場合もあるでしょう。
幼児教育に携われる
幼稚園は教育を行う学校として位置づけられているため、幼児教育に携われたり力を入れたりできる点はメリットといえます。幼稚園によっては、英語教育に向けた教育に力を入れている場合もあります。幼児教育を通じて子どもたちの発達を促したい、音楽や絵画を教えたいという方は、幼稚園教諭として働くメリットがあるでしょう。
ワークライフバランスを保ちやすい
職場にもよりますが、幼稚園は一般的に土日祝日が休みとなり、長期休暇の出勤は交代制となる場合もあるようです。そのため、幼稚園教諭は休みやプライベートの時間を比較的確保しやすく、ワークライフバランスを保ちやすいメリットがあります。
また、延長や預かり保育に対応していない幼稚園では、残業時間が少ない傾向にあるのもメリットです。休みを取りやすかったり残業時間が少なかったりすれば、仕事とプライベートの両立もしやすいでしょう。
幼稚園教諭として働くデメリット
担当する子どもの人数や年齢が、幼稚園教諭として働く際にデメリットと感じる場合もあります。ここでは、幼稚園として働くデメリットを2つ紹介します。
保育園に比べ担当する子どもの人数が多い
保育士と比較すると、幼稚園教諭は1人で担当する子どもの人数が多くなるケースもあります。たとえば、3歳児クラスの場合、保育士は1人当たり15名、幼稚園教諭は1人当たり35名の子どもが定員です。幼稚園教諭は保育士よりも担当する子どもの人数が多いため、負担に感じる部分もあるでしょう。
幼稚園では2歳児以下の子どもの受け入れがない
幼稚園では基本的に2歳以下の子どもの受け入れがないため、小さな子どもが好きで赤ちゃんのお世話をしたい方はデメリットと感じる場合もあるでしょう。また、保育士であれば0歳〜小学校まで対応できる幅広いスキルを身につけられますが、幼稚園教諭は満3歳〜就学前までに限られます。
子どもに関わる仕事をしたい場合は、どの年齢層に携わりたいかを考え、職種を検討する必要があるでしょう。
幼稚園教諭として働くやりがい
幼稚園教諭は、子どもの成長を支援できたり保護者から必要とされたりする点に、やりがいを感じる場合が多いようです。ここでは、幼稚園教諭として働くやりがいを3つ紹介します。
子どもの成長を支援できる・見守れる
幼稚園教諭は日々の活動を通して、子どもの成長を支援できたり見守れたりする点にやりがいを感じられるでしょう。年少から年長まで同じクラスを担当する場合もあるため、年々成長していく姿にやりがいを感じられる場合もあります。
できなかったことができるようになったり、教えたことが身についたりすると、子どもと一緒に成長を喜べる場面もあるでしょう。
子どもや保護者から必要とされる
幼稚園教諭は、子どもや保護者と信頼関係を築き、必要とされる存在になればやりがいにつながるでしょう。勤務中に困っているときにサポートを求められたり、一緒に遊びたいと慕われたりするときには、やりがいを感じる方も多いのではないでしょうか。
また、幼稚園教諭は保護者にとって一緒に子どもの成長を見守ってくれる心強い存在になれる場合も。幼稚園教諭として役に立っていると感じられれば、仕事のモチベーションアップにもつながるでしょう。
行事やイベントで達成感を得られる
幼稚園では、運動会や発表会、遠足など行事やイベントが開催されます。練習や運営で大変と感じる場面もありますが、無事に成功した際には達成感を得られるでしょう。運動会や発表会に向けて、幼稚園教諭がダンスや演劇を指導します。
本番で子どもたちが頑張る姿や成功する姿を目にすると、「大変なこともあったけど、最後まで頑張って良かった」と思えるでしょう。
幼稚園教諭に向いている人
幼稚園教諭を目指そうか迷っている場合は、向いている人の特徴を確認してみましょう。幼児教育や行事の準備や運営に興味がある方は、幼稚園教諭に向いている可能性があります。
保育よりも幼児教育に興味がある
子どもに生活習慣などを身につけてもらう保育よりも、幼児教育に興味があり力を入れたい場合は、幼稚園教諭に向いているでしょう。幼児教育は、「自立心を育てる」「創造力を大事にする」「グローバルな教育に力を入れる」など、幼稚園によって方針が異なります。
興味があったり共感できたりする幼児教育の分野があれば、幼稚園教諭の仕事にやりがいを感じながら働けるでしょう。
自分が希望するやり方でクラスを作りたい
幼稚園では、一般的に1人の幼稚園教諭が1年間クラスを担当するケースが多いようです。そのため、子どもたち一人ひとりの個性を把握し、蜜な関係を築ける可能性が高いといえます。また、保護者とも1年間関わるため、一緒に子どもたちの成長を見守り、絆が深まるでしょう。日頃歌う歌や発表会の題目を自分で選べたりするなど、自由度が高い可能性も魅力です。
行事やイベントに関わりたい
運動会や発表会、遠足などを通して子どもの成長を促したい、スキルを磨きたい方は、幼稚園教諭に向いている可能性が高いでしょう。
保育園では、保育士や働く保護者の負担軽減から行事やイベントを縮小している場合もあります。
一方、幼稚園では幼児教育の一環として課外活動や保護者参加型のイベントを開催する場合もあるため、さまざまな行事を経験して運営するスキルを磨けるでしょう。
幼稚園教諭のキャリアアップ方法
幼稚園教諭のキャリアアップには、勤務先で昇進や役職を目指すだけでなく、経験を活かして資格を取得する方法もあります。幼稚園教諭のキャリアアップ方法について、3つ紹介するので参考にしてください。
幼稚園で昇進・役職を目指す
幼稚園教諭として、経験を積んだり働きぶりが評価されたりすると、昇進して役職が付く可能性があります。一般的に幼稚園教諭は、以下のような流れでキャリアアップしていくでしょう。
1.研修期間
2.担任補助
3.担任
4.副主任
5.主任
6.副園長
7.園長
8.理事長(私立幼稚園の場合)
公立の場合は副園長や園長になる際、昇格試験に合格する必要があります。私立幼稚園においても、昇進について勤続年数や評価などの基準を設けている場合があるでしょう。
幼稚園教諭の仕事で活かせる資格を取得する
幼稚園教諭の仕事で活かせる資格を取得すれば、専門性が評価されて昇進や転職に役立つ可能性もあります。たとえば以下のような資格は、幼稚園教諭の仕事で活かせる場合があるでしょう。
資格 | 概要 |
絵本専門士 | ・絵本に関する高度な知識、技能および感性を備えた絵本の専門家
・読み聞かせやおはなし会、ワークショップなど本を使った活動に活かせる |
リトミックを指導できる資格(リトミック講師・リトミックインストラクターなど) | ・音楽を通して、リズム感や音楽能力、表現力を養うリトミックの指導に活かせる資格
・資格はいくつか種類があり、幼稚園やピアノ教室、介護施設などでも活かせる |
運動保育士 | ・運動と保育の専門家として、子どもの発達に合わせた運動遊びを提供する
・試験はなく、講習を受ければ資格取得ができる |
育児セラピスト | ・発達心理学に基づいた、適切な育児知識を伝える知識を学べる
・保護者のサポートや悩み相談にも活かせる |
幼児食インストラクター | ・幼児食の基礎知識や食物アレルギー、病気のときの食事に関する知識が身につけられる
・カリキュラム終了後、試験に合格すると取得できる |
幼保英語検定 | ・通常の英語力に加え、幼児英語教育に関する問題も出題される
・インターナショナルスクールやプリスクール、英語教育に力を入れる幼稚園などで活かせる |
スキルを磨きたい分野や興味がある資格を取得すると、幼稚園教諭の仕事で活かせるでしょう。また、資格は客観的なスキルの証明として、転職時に役立つ可能性もあります。
幼稚園教諭の経験を活かして別の職種に挑戦する
幼稚園教諭の経験を活かして新たな職種にチャレンジするキャリアアップの方法もあります。たとえば、幼稚園教諭免許状を持っていると、児童指導員の資格要件を満たすことが可能です。児童指導員は、放課後等デイサービスや乳児院、児童養護施設などで活躍している職種です。幼児教育以外の分野で専門知識を広げ、より広い観点で子どもを支援できるようになりたい方におすすめのキャリアです。
また、乳児の対応スキルも身につけたいという方には、保育士資格を取得して保育園や認定こども園で働く選択もあります。2029(令和11年度末までは、幼保特例制度で保育士資格が取りやすくなっているので、目指すなら今がチャンスです。
幼稚園教諭として働くうえでの将来性
幼稚園教諭は、共働き世帯の増加により、認定こども園での需要が増えたり幼稚園においても預かり保育への対応が求められたりするでしょう。また、幼稚園教諭の免許は、幼児教室や学童、発達支援施設などでも役立つため、幼稚園以外の場でも活躍できる可能性があります。
保育士資格や子どもに関する資格を取得すれば、より専門性が高まり将来的に活躍できるチャンスが広がるでしょう。
幼稚園教諭の求人を探す方法
幼稚園教諭の求人は、求人サイトやハローワーク、転職エージェントなどで探す方法があります。まずは希望条件を決め、自分の使いやすいサービスを利用しましょう。1人で求人探しや選考対策するのが不安な方は、転職エージェントを利用するのがおすすめです。転職エージェントは、転職に関する疑問や悩みを相談できます。プロからアドバイスをもらいながら、自分に合った求人紹介や選考対策などの手厚いサポートが受けられるでしょう。
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幼稚園教諭に関するよくある質問
ここでは、幼稚園教諭を目指す際のよくある質問に、Q&A形式で回答します。必要な資格やスキル、幼稚園教諭を活かせる職業などを解説するので、ぜひ参考にしてください。
幼稚園教諭になるには大学の何学科に入れば良い?
たとえば、教育学部や幼児教育学科など、幼稚園教諭免許状を取得できる大学や短大、専門学校の学科に入る必要があります。なお、幼稚園教諭免許状の取得に必要な科目は文部科学省によって定められており、一般教養や教科に関する科目、教職に関する科目の単位取得が必要です。
大学や専門学校の案内で、幼稚園教諭が取得できる学部はどれかよく確認してみましょう。
認定こども園で働く際に必要な資格はありますか?
基本的には、保育士資格と幼稚園教諭免許状の両方を有する、保育教諭の資格が必要です。ただし、2029(令和11)年度末までは経過措置として幼稚園教諭免許状または保育士資格のいずれかを有していれば、保育教諭として働けるとされています。
認定こども園の種類や働く際に必要な資格は、この記事の「認定こども園」で紹介しているので、参考にしてください。
幼稚園教諭はピアノを弾けたほうが良いですか?
幼稚園教諭にピアノは必須ではありませんが、弾けたほうが就職先の選択肢が増えたり、働く際に役に立ったりするでしょう。幼稚園によっては面接時に、ピアノが弾けるか問われる可能性もあります。
ほかのスキルや得意なことを活かして働くこともできますが、朝の会や発表会、卒園式など、ピアノの演奏が求められる活動はあるため、弾けたほうが良いといえます。
幼稚園以外に幼稚園教諭の免許を活かせる職業はある?
幼稚園教諭免許状を取得する際に得た知識やスキル、実際に働いた経験は、幼児教室やベビーシッター、学童、子ども向けの施設・サービスなどの職業で活かせるでしょう。いずれの職業も入職時に資格や免許が問われない場合もありますが、幼稚園教諭としての知識や経験は役立つ可能性が高いといえます。
まとめ
幼稚園教諭とは、子どもの心身の発達を促したり、教育したりする仕事です。幼稚園は学校教育法に基づく学校であり、幼稚園教諭は遊びや生活を通して子どもの成長を促したり、運動や音楽、制作などを指導したりします。
幼稚園教諭になるには、大学や短大、専門学校で一種・二種・専修免許状のいずれかを取得する必要があります。保育士資格や幼稚園教諭二種免許を保有している場合は、特例制度を利用して資格を習得できます。
幼稚園教諭は子どもや保護者から必要とされる、やりがいのある仕事です。「幼児教育に携わりたい」という方は、保育士より幼稚園教諭を目指した方が希望を叶えやすいでしょう。
幼稚園教諭の求人を探す場合は、ハローワークや就職・転職エージェントを利用すると、悩みや不安を相談しながら就職・転職活動が進められます。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。