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保育士の持ち帰り仕事は当たり前?違法になる場合や減らすためのアイデア
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保育士のなかには、持ち帰り仕事について悩んでいる方もいるかもしれません。保育士の持ち帰り仕事は禁止されている職場もあり、当たり前の状況ではないといえるでしょう。 この記事では、保育士が持ち帰りする仕事内容やリスク、減らす方法などを解説します。持ち帰り仕事が少ない保育士求人を探すポイントも紹介するので、悩みの解決方法を検討してみましょう。
目次
保育士の持ち帰り仕事は当たり前?
保育士が働く職場によっては、昔からの風潮や先輩保育士の働き方から、持ち帰り仕事が当たり前になっていることもあるようです。ただし、保育士の業務負担軽減や勤怠管理の明確化に向けて、持ち帰り仕事が禁止されている職場もあるため、当たり前とはいえません。
働く職場によっては、持ち帰り仕事がグレーゾーンになり、誰に相談したらよいか迷ったり、辞めたいと思ったりする場合もあります。持ち帰り仕事が常態化して悩んでいる保育士の方は、この記事で解説するリスクや減らす方法などを参考にしてみてください。
保育士の持ち帰り仕事は違法?
保育士が持ち帰り仕事に対応する状況によっては、違法になることもあります。厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(p.1)」によると、「労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間」です。持ち帰り仕事について、上司から指示されたり、はっきり言われていなくとも暗黙のうちに考えや意志を示されたりした場合は、労働時間に該当する可能性があります。つまり、職場から持ち帰りを指示された場合は、労働時間として扱われ賃金が発生しなければ違法です。
また、e-GOV法令検索の「労働基準法 第三十二条」によると、「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間につき40時間を超えて労働させてはならない」とされています。1週間に40時間を超える場合は、時間外労働として残業代が支給されなければいけません。持ち帰り仕事が労働時間にあたり、実働時間が所定労働時間を超えている場合は、残業代が支払われないと違法になります。
出典
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(2025年6月10日)
e-GOV法令検索「労働基準法 第三十二条」(2025年6月10日)
保育士が持ち帰りする仕事内容
保育士の勤務時間中は保育業務を優先して対応するため、事務作業や行事の準備などが後回しになり持ち帰って進めることもあるようです。ここでは、保育士が持ち帰りする主な仕事内容をまとめました。
保育の記録や書類作成などの事務作業
保育の記録や指導計画、園だよりの作成などは、勤務時間中に終わらず持ち帰り仕事になることもあるようです。年度替わりの時期は、新しいクラスの計画や入園に関する書類のやり取りで事務作業が増え、持ち帰り仕事で対応しないと終わらないこともあるかもしれません。
保育の記録や園だよりの作成などは、保育中のスキマ時間やお昼寝中などに進めることもあるようですが、子どもを見守りながら作業すると、思い通りには進まないでしょう。事務作業は持ち帰り仕事にしたほうが、一人で集中して進めやすいと思う方もいるようです。
壁面装飾や製作物の作成
保育士の持ち帰り仕事には、保育室の壁面装飾や子どもたちが行う製作物の準備なども含まれることがあるようです。季節に合わせて保育室の飾りつけを変えていたり、製作の活動が多かったりする保育園では、業務負担が大きく持ち帰り仕事になることもあります。保育室の飾りつけで喜んでほしい、製作活動で発達を促したいなど、子どもたちへの強い思い入れから持ち帰り仕事で頑張っている保育士の方もいるでしょう。
発表会や運動会など行事の準備
行事に関する準備は、規模が大きかったり子どもの人数が多かったりすると時間が掛かり、持ち帰って作業する保育士もいます。発表会の衣装作りや小道具の準備、運動会の装飾やプログラムの作成など、行事に向けた準備はやることが多く、勤務時間内に終わらないこともあるようです。
保育園によっては、毎月何かしらのイベントや行事が開催されており、準備が大きな負担になる可能性もあります。発表会や運動会など、力を入れている行事の前には、持ち帰り仕事をしないと間に合わない場合もあるでしょう。
保育士が持ち帰り仕事をするリスク
保育士が自宅に持ち帰って仕事をすると、書類の管理や健康面などで問題が発生する恐れがあります。ここでは、保育士が持ち帰り仕事をする主なリスクを4つ紹介するので、トラブルが起きないように把握しておきましょう。
個人情報の漏洩につながる恐れがある
保育士が持ち帰って作業する保育記録や園だよりには、子どもや保護者の個人情報が含まれていることがあるため注意が必要です。通勤中に書類を落としたり、カフェで作業しているとき隣の人に見られたりして、プライバシーに関わる情報が漏れるかもしれません。子どもや保護者の個人情報が漏洩すると、園の信頼を大きく損ない責任が問われる場合もあります。
職場によっては、個人情報を含む書類の持ち出しを明確に禁止しているところもあるようです。個人情報が載っている書類は、持ち帰り仕事にしないほうがリスクを防げるでしょう。
サポートや仕事量の調節をしてもらえなくなる
職場が保育士の持ち帰り仕事を把握していない場合、勤務時間内に業務をこなせていると間違った判断をされるリスクがあります。持ち帰り仕事により、実働時間があいまいになったり上司がその場で作業を見ていなかったりすると、保育士の能力や勤務時間内で対応可能な業務を適切に把握できません。
また、持ち帰り仕事をする保育士ほど業務を任されやすく、さらに仕事量が増えるという悪循環に陥ることもあるようです。持ち帰り仕事により保育士の業務負担が表面化しないと、取り組むべき業務改善や人員配置の見直しが進まなくなる恐れもあります。
サービス残業が続くと健康管理が難しくなる
持ち帰り仕事は実質的なサービス残業であり、日常的になったり夜遅くまで作業をしたりすると、十分な休息が取れず体調に影響する可能性があります。自宅で持ち帰り仕事をすると、時間管理にメリハリがなくなり、長時間のサービス残業になるかもしれません。保育士は、体力が必要な仕事であるため、睡眠をとったり身体を休めたりすることが大切です。プライベートの時間でリフレッシュできないと、仕事への意欲低下にもつながる恐れがあります。
疲労が蓄積して保育の質低下につながる
持ち帰り仕事により疲労が溜まると、日中子どもたちとじっくり関わったり、笑顔で遊ぶ余裕がなくなったりするかもしれません。疲労による判断力の低下は、子どもたちの安全管理に影響する可能性もあります。新しい遊びを考えたり、子どもの発達に合わせて工夫したりするには、保育士自身の余裕が必要です。持ち帰り仕事で疲弊している状態では、本来の保育の質を維持することが難しくなります。
保育士が持ち帰り仕事を減らす方法
業務の進め方を見直したり、苦手なことに対してアドバイスをもらったりすれば、保育士の持ち帰り仕事を減らせることもあるようです。ここでは、保育士が持ち帰り仕事を減らす方法を3つ紹介します。
業務に優先順位を付けて対応する
保育士が持ち帰り仕事を減らすには、重要度と緊急性を考慮して業務に優先順位を付けてみましょう。締め切りがある書類や日程が決まっている行事の準備は、逆算してスケジュールを立てておくのもコツです。子どもたちのお昼寝中や、保育補助が見守っている間に、少しずつ進める作業も決めておくと効率化につながります。業務に優先順位を付け、スケジュール管理すれば、持ち帰ってまでする仕事なのかどうかも判断しやすくなるでしょう。
壁面装飾や行事の物品は毎年使いまわす
壁面装飾や行事の準備物は、一から作るのではなく再利用すれば業務負担を減らせます。季節の壁面装飾は、ラミネートして大事に取っておくと数年間使いまわせるかもしれません。型紙やデザインを保存しておけば、作り直す際の時間短縮になります。行事の小道具や衣装も保管場所を確保し、次回使えるよう整理しておくことが大切です。前年度の物品を使いまわせば、保育士の労力だけでなく、保育園の経費削減にもつながります。
苦手な業務は得意な保育士にアドバイスをもらう
保育室の飾りつけや園だよりのデザインなど、苦手なことがあれば得意な保育士からアドバイスをもらうと効率化につながる可能性があります。壁面装飾の作り方を聞いたり、ほかのクラスの園だよりをベースに作らせてもらったりと、業務を効率よく進めるためには得意な人の真似をしてスキルを身につけていくのも手です。
また、園全体の作業や行事の準備における業務分担の場面では、得意なことを引き受けると仕事をスムーズに進められます。PC作業が得意であればプログラムの作成、裁縫が得意であれば衣装づくりなど、保育士それぞれの強みを活かした分担により園全体の業務を効率化できるでしょう。
保育士が持ち帰り仕事を辞めたいときは?
保育士が持ち帰り仕事を辞めたいと悩んだときは、上司に相談したり転職を検討したりしましょう。ここでは、保育士が持ち帰り仕事を辞めたいときの対処法を紹介します。
上司やほかの保育士に相談する
仕事量が多かったりサポートが不足していたりして持ち帰り仕事が発生している場合は、上司に相談してみましょう。勤務時間内に仕事が終わらない状況は、職場に知ってもらうことが大切です。上司に相談すれば、仕事量を減らしたり保育補助を付けてサポート体制を整えてくれる可能性もあります。
また、持ち帰り仕事に関する同じ悩みをもつ保育士がいれば、職場に対して一緒に改善を求めるのも手です。「みんな大変なのは同じ」とあきらめるのではなく、持ち帰り仕事は職場全体の問題として解決策を見つける姿勢が重要になります。
保育士専門の転職エージェントに相談する
いまの職場に相談しても持ち帰り仕事が改善されない場合、転職を検討するのも選択肢の1つです。保育士専門の転職エージェントは保育現場の内部事情に詳しく、表面的な求人情報からはわからない「実際の職場環境」を知れる可能性があります。持ち帰り仕事が禁止されていたり、業務負担改善に取り組んでいたりする職場の情報を得ながら、求人選びが可能です。
持ち帰り仕事に悩んでいる方は、保育業界専門の転職支援サービス「レバウェル保育士」にご相談ください。レバウェル保育士では、保育士の働き方や転職活動に詳しいプロに、キャリア相談ができます。転職するか悩んでいる段階での相談も可能なため、お気軽にお問い合わせください。
持ち帰り仕事が少ない保育士求人を探すポイント
持ち帰り仕事が少ない転職先を探すためには、保育士の人数や行事の開催頻度を確認してみましょう。ここでは、持ち帰り仕事が少ない保育士求人を探すポイントを紹介します。
保育士の人数や配置
保育士の人数が多かったり、配置に余裕があったりする職場は、一人ひとりの業務負担が軽減されている可能性があります。保育補助あるいはフリーの保育士がいる場合、遊びやお昼寝の見守りを任せられれば、クラス担任をもつ保育士が連絡帳を記入できたり事務作業を進められたりすることもあるようです。入園に関する書類や保護者向けのお知らせなどを補助してくれる事務員がいる園では、保育士が本来の保育業務に集中できる環境が整いやすくなります。
行事やイベントの開催頻度
行事やイベントが少ない保育園では、準備による持ち帰り仕事の負担を軽減できる可能性があります。年間行事予定は保育園のWebサイトに掲載されていることがあるため、いまの職場と比較してみましょう。運動会や発表会など大きな行事が開催されない、小児病棟の保育施設や病児保育の求人を検討するのも1つの選択肢です。
0~2歳児のみを対象とした小規模保育園も、年齢的な理由から行事の開催が限られていることがあります。子どもの定員が少ない保育園では、行事があったとしても人数が少ないぶん保育士の業務負担が軽減されることもあるようです。
労働時間の管理方法
タイムカードやICカードなど客観的な勤怠管理システムを導入している園は、保育士の労働時間が適切に管理されやすくなります。勤怠管理に対する意識が高いと、持ち帰り仕事やサービス残業などが禁止される可能性もあるでしょう。勤怠管理システムを導入すると、残業時間も明確になります。求人情報には平均残業時間が掲載されていることがあり、その時間が少ない職場では業務負担軽減に向けた工夫がされている場合もあるでしょう。
ICTシステムの導入・活用状況
連絡帳や保育記録のアプリ、園児の登園管理システムなど、ICTシステムの活用により、業務の効率化が進められている保育園では、持ち帰り仕事が少なくなる可能性があります。ICTシステムが活用されていると、手書きの手間が減ったりデータで管理されたりして、事務作業の時間が削減されやすくなるようです。保育園によっては、Webサイトや求人情報でICT導入をアピールしていることがあるため、確認してみましょう。
保育士の持ち帰り仕事に関するよくある質問
ここでは、保育士からの持ち帰り仕事に関するよくある質問に答えます。公立保育園で働く場合や休日に持ち帰り仕事をするリスクについて、参考にしてみてください。
公立保育園で働く保育士は持ち帰り仕事がある?
行事の開催頻度や保育園の規模によっては、保育士の業務負担が大きくなり、持ち帰り仕事が発生する可能性もあります。ただし、公立保育園で働く保育士は公務員であるため、予算の都合から残業を減らす意識が高い場合もあるようです。書類作成や記録の様式が統一されていたり、前例を踏襲した行事が運営されていたり、業務の効率化が図られていることもあります。
保育士が休日に持ち帰り仕事をするとどうなる?
休日返上で持ち帰り仕事をしていると、プライベートの時間が確保できず、ワーク・ライフ・バランスが崩れてしまいます。身体を休めたりリフレッシュしたりする時間が減少し、心身の疲労につながるかもしれません。持ち帰り仕事が常態化すると、保育の質低下にもつながり、子どもたちの安全管理に影響する恐れもあります。この記事の、「保育士が持ち帰り仕事を減らす方法」を参考に、持ち帰り仕事に対する改善策を検討してみましょう。
まとめ
保育士は、職場の風潮や仕事量の多さなどから、事務作業や行事の準備などを持ち帰り仕事することもあります。ただし、職場によっては、保育士の業務負担改善や情報漏洩のリスクから持ち帰り仕事が禁止されていることもあるため、当たり前とはいえません。持ち帰り仕事は、業務の優先順位付けや壁面装飾の使い回しなど、業務の見直しや工夫により減らせる可能性があります。
持ち帰り仕事が常態化していると勤怠管理があいまいになり、適切なサポートが受けられなくなったり、体調を崩したりするかもしれません。いまの職場で改善に向けて取り組んだり上司に相談したりしても持ち帰り仕事が続く場合は、転職を検討するのも1つの選択肢です。レバウェル保育士では、保育士のキャリア相談ができるため、持ち帰り仕事による悩みもお気軽にご相談ください。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。