保育の資格

最終更新日:

医療保育専門士とは?主な仕事内容や資格取得の方法、働くメリットをご紹介

  • #スキルアップ
保育士とこども、医療保育専門士のイメージ

「医療保育専門士とは何か」と気になる方もいるでしょう。医療保育専門士とは、小児科病棟で子どもを保育する医療保育士や病棟保育士の知識・スキルを証明する資格です。 この記事では、医療保育専門士の仕事内容や資格取得の方法、受験資格を解説します。医療保育専門士の資格を取得するメリット・デメリットも紹介します。医療保育専門士の給料事情や医療保育士・病児保育士に活かせる資格も解説するので、参考にしてみてください。

この記事を書いた人

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士のお仕事探しならレバウェル保育士 登録する バナー

医療保育専門士とは

医療保育専門士とは、医療保育士や病棟保育士に必要な知識やスキルを身につけられる資格で、一般社団法人日本医療保育学会が認定しています。ちなみに医療保育士と病棟保育士には明確な違いがなく、仕事の内容はほぼ同じと考えてよいでしょう。ただし、医療保育士の方が看護などの役割を担う医療機関もあるようです。

医療保育士や病棟保育士として働くには、一般的に必要な資格は保育士のみです。しかし、病棟で勤務するため、医療の知識が問われることもあります。医療保育専門士の資格を取得すると、医療保育士や病棟保育士としての専門性を高め、スキルやキャリアアップにもつながるでしょう。

医療保育専門士の仕事内容

医療保育専門士の主な仕事内容は、以下のとおりです。

  • 子どもの活動や遊びのサポート

  • 子どもとのコミュニケーションや心身のケア

  • 食事・排泄・入浴など入院生活の介助

  • 子どもの家族・保護者の支援

  • 医師や看護師との連携

医療保育専門士は、一般的に小児科病棟に入院中の子ども(0~15歳ごろ)に関わります。小学生以上の子どもの場合は勉強をサポートしたり、話し相手になったりする機会もあるでしょう。また、適切な保育やサポートができるように、保護者や医師、看護師と連携することも重要な仕事の1つです。

医療保育専門士の受験資格

一般社団法人日本医療保育学会認定「医療保育専門士 資格認定実施要綱 (p.1)新規タブリンク」によると、医療保育専門士の受験資格は以下のとおりです。

  • 日本国の保育士資格を有し、現職で保育をしている

  • 病院、診療所、病(後)児保育室、障害児者の施設(医療型障害児入所施設・医療型児童発達支援センター等)および乳児院(病・虚弱児介護加算対象施設に限る)等で、常勤1年以上、非常勤は年間150日以上かつ 2年以上の保育経験がある

  • 一般社団法人日本医療保育学会の正会員で、申し込み時に1年以上の会員歴がある(研修を受講する前年の4月末までに年会費の振込を完了)

医療保育専門士の資格取得には、以上すべての条件を満たす必要があります。受験資格において非常勤に該当する場合は、公式の詳細をよく確認して勤務日時の算出をしましょう。

出典

一般社団法人日本医療保育学会認定「医療保育専門士 資格認定実施要綱新規タブリンク」(2025年5月2日)

医療保育専門士になるには

医療保育専門士になるには、一般社団法人日本医療保育学会が主催している認定試験を受ける必要があります。ここでは、一般社団法人日本医療保育学会認定「医療保育専門士 資格認定実施要綱新規タブリンク」をもとに、医療保育専門士の資格認定の流れを解説するので、参考にしてください。

出典

一般社団法人日本医療保育学会「医療保育専門士 資格認定実施要綱新規タブリンク」(2025年5月2日)

1.参加登録

医療保育専門士の認定試験に参加登録する流れは、以下のとおりです。

  • 1.参加登録に必要な書類を揃えて郵送

  • 2.書類審査が実施・審査結果が通知される

  • 3.通知を受けたら、資格認定研修費用30,000円を所定の口座に入金

  • 4.入金確認後、研修要項や研修テキストなどが届く

参加登録する際は、以下の書類を揃えて資格認定委員会事務局に郵送します。

  • 参加登録申込書(所定の様式)

  • 保育士免許の写し(A4サイズとする)

  • 履歴書(所定の様式、見本参照のうえ記入すること)

  • 在職証明書(所定の様式)

  • 勤務先推薦書(所定の様式)

なお、参加登録後にやむを得ない理由で研修に参加できなくなった場合、翌年度に限り資格認定研修への受講資格が有効となります。

2.資格認定研修

参加登録後は、資格認定研修に参加します。資格認定研修は、1回から3回までを順番に受講する必要があります。資格認定研修では、研修受講と指定課題の提出により必要な認定を受けます。やむを得ない理由で研修に参加できなかった場合は、所定の手続きを行い、翌年度に限り欠席分の研修に参加可能です。

3.事例研究論文の提出

事例研究論文は、資格認定研修修了の認定を受けてから1年以内に提出します。論文の提出要領は、研修会で配布されます。事例研究論文を提出し受理されると、口頭試験実施通知が届きます。

4.口頭試問を受ける

事例研究論文が受理された後、原則3ヶ月以内に口頭試問が実施されます。口頭試問とは、一般的に面接官からの質問に対して口頭で答えていく試験です。資格認定研修や事例研究論文の内容を踏まえて、対策する必要があるでしょう。

5.登録および資格認定交付手続き

口頭試問に合格したら、認定申請書と認定料を資格認定委員会事務局に提出します。認定料は、20,000円です。所定の手続きが完了すると、一般社団法人日本医療保育学会認定「医療保育専門士」として登録され、認定証と認定カードが交付されます。

6.資格更新手続き(5年ごと)

医療保育専門士の認定有効期間は、5年です。一般社団法人日本医療保育学会認定「医療保育専門士 資格更新制度新規タブリンク」によると、更新申請には資格取得日から資格更新申請時までに一定の業績単位を取得する必要があります。

学会や研修への参加や執筆業、大学での講義などの業績を単位として申請します。必須単位とされている学会や研修もあるため、詳細については公式の情報をしっかりと確認しましょう。

なお、資格を更新する場合は、資格更新審査料 5,000円、認定更新料10,000円が必要となります。認定有効期間に限らず、学会を退会したり、年会費の納入を忘れたりすると資格失効となるため注意しましょう。

以上の資格取得の流れや費用は、年度ごとに変更される可能性があるため、詳細については必ず公式の情報を確認してください。

出典

一般社団法人日本医療保育学会認定「医療保育専門士 資格更新制度新規タブリンク」(2025年5月2日)

医療保育専門士の資格を取得するメリット

医療保育専門士を目指すかどうか迷っている方は、資格取得のメリットを把握して検討しましょう。医療保育士や病棟保育士として働いている方は、医療保育専門士の資格を取得することで専門知識が身についたり、転職時に役立ったりします。

看護・医療保育の専門知識が身につく

医療保育専門士の資格取得は、看護や医療保育の専門知識が身につくというメリットがあります。一般的に医療保育士や病棟保育士は、保育士資格があれば働けますが、実務では看護や医療などの知識が問われることもあるようです。 医療保育専門士は、さまざまな病気や病状の子どもと関わるため、看護や医療の知識があったほうがより質の高い保育を実施できるでしょう。

医療保育士・病棟保育士への転職で役立つ

医療保育専門士は、医療保育士や病棟保育士へ転職する際に役立つでしょう。ただし、医療保育士や病棟保育士は一般的な保育士求人に比べ少なく、転職が難しい場合があるかもしれません。医療保育専門士の資格があれば、知識やスキルを客観的に証明できるため選考で有利になる可能性がある点はメリットといえます。

医療保育専門士の資格を取得するデメリット

ここでは、医療保育専門士の資格を取得するデメリットを2つ紹介します。デメリットも把握したうえで資格取得を目指しましょう。

資格取得に費用や時間がかかる

資格取得には、研修や論文作成などの時間を捻出する必要があります。また、参加登録と認定料を合わせると50,000円ほどの費用が必要です。費用や時間がかかるのを考慮し、慎重に検討しましょう。

資格を保有し続けるためには更新が必要

医療保育専門士は、5年ごとに更新する必要があります。医療保育専門士の資格を保有し続けるために、更新に必要な活動をしたり費用がかかったりする点はデメリットと感じることがあるかもしれません。更新するためには、学会や研修への参加や執筆業、大学での講義などにより業績単位を取得しなければいけません。また、更新費用も必要になるため、資格を保有し続けるために労力がかかる点はデメリットといえるでしょう。

医療保育専門士の資格を取る難易度

医療保育専門士は、実務経験や研修を経てより専門的な知識・スキルが問われるため、難易度は高いといえるでしょう。前提として、医療保育専門士を受験するためには、病院や病児保育室などでの実務経験が必要となります。

また、筆記試験ではなく、研修レポートや論文、口頭試問などで審査されるため、実践的な知識・スキルが問われます。医療保育専門士は、医療保育士や病棟保育士として基礎的な知識やスキルを身につけたうえで、専門性を高めないと合格するのは難しいでしょう。

医療保育専門士の年収

職業情報提供サイト(job tag)の「保育士新規タブリンク」によると、保育士の平均年収は396.9万円となっています。医療保育士は保育士の平均年収よりも若干高い傾向にあるようです。

医療保育専門士の資格を保有していると、職場によっては資格手当がつく可能性もあります。また、一般的に医療保育士や病棟保育士の雇用元は医療機関となるため、医師や看護師と同様の福利厚生が受けられることもあるでしょう。

出典

職業情報提供サイト(job tag)「保育士新規タブリンク」(2025年5月2日)

医療保育士・病棟保育士の仕事に活かせる資格

ここでは、医療保育専門士以外で医療保育士・病棟保育士の仕事に活かせる資格を紹介します。資格概要や取得の目的から、医療保育専門士以外も検討してみましょう。

保健医療ソーシャルワーカー

保健医療ソーシャルワーカーは、医療機関の相談室や医事課に勤務し、入院患者やその家族に対し保険や治療費の免除制度についてアドバイスします。また、入院患者の家族の問題や退院後のケアなど、患者からさまざまな相談に乗り解決への援助を行います。

保健医療ソーシャルワーカーの資格は、一般社団法人 医療教育協会が認定しています。一般社団法人 医療教育協会の「保健医療ソーシャルワーカー新規タブリンク」によると、資格取得には指定の大学や短大、専門学校に通学して専門知識を養い、年2回開催される試験に合格すると保健医療ソーシャルワーカーとして認定されます。

出典

一般社団法人 医療教育協会「保健医療ソーシャルワーカー新規タブリンク」(2025年5月2日)

保健児童支援士

保健児童支援士は、子どもの発達や子育ての相談業務を専門に行います。一般社団法人医療教育協会が認定する資格です。保険児童支援士の資格を取得すると、専門的な医療知識に基づいた相談や助言を行えます。

一般社団法人医療教育協会「保険児童支援士新規タブリンク」によると、保健児童支援士の資格を習得するには、教育指定校の規定科目を修得し能力認定試験を受験します。能力認定試験で合否が問われることはなく、卒業見込みであることが習得する条件です。病児保育のなかで、子どもの心理的な支えになったり、保護者へアドバイスしたりする知識やスキルが身につくでしょう。

出典

一般社団法人医療教育協会「保険児童支援士新規タブリンク」(2025年5月2日)

医療保育専門士に関するよくある質問

ここでは、医療保育専門士に関するよくある質問にQ&A形式で答えます。資格取得の方法や勉強方法について参考にしてみてください。

医療保育専門士の資格の取り方は?

医療保育専門士は受験資格を満たしたうえで参加登録し、資格認定研修に参加します。その後、事例研究論文の審査や口頭試問に合格すると、資格認定証が交付されます。受験資格と資格取得の流れについて詳しくは、この記事の「医療保育専門士になるには」「医療保育専門士の受験資格」でそれぞれ紹介しているので、参考にしてください。

医療保育専門士になるための大学や専門学校はある?

医療保育士や病棟保育士になりたい方向けに、医療保育コースを設けている専門学校や大学はあるようです。ただし、医療保育専門士の受験資格には実務経験が必要なため、専門学校や大学を卒業後、医療保育士や病棟保育士として働いた後に目指すことになるでしょう。

医療保育専門士の資格取得を目指すときは本で勉強可能?

医療保育専門士は、基本的に資格認定研修で知識やスキルを身につけることになるようです。ただし、事例研究論文や口頭試問などの試験もあるため、医療保育や病児保育関連の本で得た知識は、資格を取得するうえで役立つでしょう。

まとめ

医療保育専門士とは、医療保育士や病棟保育士に必要な知識やスキルを身につけられる資格で、一般社団法人日本医療保育学会が認定しています。医療保育専門士の主な仕事は、入院する子どもの保育やサポートを行います。

医療保育専門士の資格を取得する際は、参加登録後に資格認定研修を受講し、事例研究論文や口頭試問に合格すると、資格認定証が交付されます。受験資格には保育士資格や病児保育室での実務経験、一般社団法人日本医療保育学会の会員歴などが必要です。

病児保育士や医療保育士として働いている方は、医療保育専門士の資格を取得することでスキルアップできたり、転職で役立ったりするメリットがあるでしょう。ただし、資格を取得するには時間や費用がかかり、保有し続けるためには更新する必要もあります。メリット・デメリットを把握したうえで、医療保育専門士の資格を取得するか検討しましょう。

「医療保育専門士の資格を活かせる求人を探したい」「医療保育専門士の資格を活かして転職したい」という方は、ぜひレバウェル保育士にご相談ください。レバウェル保育士は、保育業界専門の転職支援サービスです。

地域に特化したプロのアドバイザーが、あなたの条件に合った求人をご紹介します。転職活動の相談や求人の紹介、模擬面接などサービスはすべて無料で利用できるため、ぜひお気軽にお問い合わせください。

執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

この記事をシェアする

  • Facebookでシェアする
  • Xでポストする
  • LINEで送る
  • はてなブックマークでブックマークする

保育士・幼稚園教諭の転職なら

レバウェル保育士
  • 非公開
    求人あり

  • LINEで
    気軽に相談

  • 面接対策
    ・条件交渉

転職サポートを受けてみる