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働きやすい保育園の見分け方!保育士が見るべき条件や見学のポイントを解説
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働きやすい保育園の見分け方が気になる保育士もいるのではないでしょうか。勤務しやすい保育園の特徴は、保育理念が自分の考えと合い、労働条件が整っているところといえます。 この記事では、保育士が働きやすい保育園の見分け方や、求人条件の比較方法をまとめました。自分にとって活躍しやすい環境に転職するコツも解説しているので、参考にしてみてください。
目次
保育士が働きやすい保育園の見分け方
働きやすい保育園を見分けるためには、複数の観点からの確認が必要です。具体的には、保育理念や労働条件、職場の雰囲気、人員体制などが判断材料となります。ここでは、保育士向けに「自分に合った職場環境の見つけ方」をまとめました。
保育理念が自身の保育観と合うか
働きやすい保育園を見分けるうえで重要なのは、園の保育理念が自分の保育観と合っているかどうかです。子どもの捉え方や保育に対する考え方が異なる環境では、日々のストレスが大きくなってしまいます。
園のWebサイトや求人情報で保育理念を確認し、子ども主体の保育を大切にしているか、どのような子どもに育ってほしいと考えているのかなどを見極めましょう。実際の保育に理念が反映されているかどうかも、園見学などで確認することが大切です。
給料や休みなど希望の労働条件が叶うか
給与水準や休暇制度は、働きやすい保育園に欠かせない要素です。給料面では基本給に加え、住宅手当や賞与の支給実績、昇給制度の有無を確認しましょう。休みに関しては年間休日数や有給休暇の取得状況、産休・育休の実績なども重要なポイントです。実際の勤務時間やシフトの組み方、残業の実態なども働きやすさに関わってきます。
自分の優先する希望条件を決め、求人情報を絞って調べると、働きやすい職場を見つけやすくなります。同じエリアでほかの園との比較を行い、自分の希望する条件と照らし合わせて検討しましょう。
職場の人間関係や雰囲気は良いか
保育の現場では、職員同士の連携や信頼関係が子どもたちの健やかな成長に直結します。職場見学時には、職員同士のコミュニケーションの様子や表情から、職場の雰囲気を感じ取ることが大切です。
先輩保育士からの指導体制や、困ったときのサポート体制の有無も確認しておきたい要素です。職員の定着率や平均勤続年数も、職場環境を判断する指標となります。
現場の人手に余裕があるか
保育士の負担感や働きやすさにつながるのが、現場の人員配置です。国が定める配置基準ギリギリで運営している園と、基準を上回る手厚い人員配置をしている園では、保育士一人あたりの負担や働きやすさが異なります。
保育士の人員に余裕がある園では、子どもたちと丁寧に関わる時間が確保でき、書類作成などの業務にも適切な時間を割くことが可能です。急な欠勤があった場合も対応が可能で、残業が常態化するリスクも低くなります。
働きやすい保育園を見分けるための求人条件
保育士が働きやすい保育園を見分けるには、求人条件をしっかり確認し、理解することが大切です。ここでは、働きやすい保育園を見分ける際に、確認しておきたい求人条件を解説します。
保育園の規模
働きやすい保育園を見分けるには、自分の求める働き方に合わせて、園の規模を選ぶことが大切です。小規模の園では、子どもたち一人ひとりとじっくり関われ、保育士個人の裁量が大きい傾向にあります。子どもを手厚く支援したい保育士や、業務負担の軽減を望む人には、小規模の園が合っているかもしれません。
大規模の園では、多くの子どもたちと接せられるのが特徴です。職員数の多さから休みの調整がしやすいかもしれません。また、研修制度の充実や役職の種類が豊富な場合もあり、キャリアアップの機会が豊富な傾向にあるのが魅力です。。
運営母体
運営母体が公立か私立かによっても、働きやすさや待遇に違いがみられるでしょう。私立保育園は運営法人によって、待遇や保育方針が多様で、特色ある保育を実践している園もあるようです。たとえば、英語教育やリトミックに力を入れている園、モンテッソーリ教育を導入している園など、多岐にわたります。私立保育園は、保育観に合った園を見つけやすいのがメリットです。
若手のうちは公立と私立で待遇に大きな差はありませんが、キャリアを積んで管理職になる段階では、公立の方が条件が良くなる傾向にあります。公立保育園は自治体が運営しており、給与体系や福利厚生が安定しているのが特徴です。公立保育園で働くためには、公務員試験に合格する必要があります。また、合格しても採用枠の空きがなければ就業できない点に注意しましょう。
保育園の設立年
歴史ある園と新しく開設された園では、雰囲気や運営スタイルに違いがあります。長い歴史のある園では、保育のノウハウが蓄積され、地域に根付いた活動が行われる傾向にあるでしょう。
新しい園では、従来のやり方に囚われない自由な発想で保育を展開している場合もあります。最新の設備や保育方法を取り入れやすい反面、運営の仕組みや体制が整っていないこともあるため、確認が必要です。
保育園の立地と通勤方法
保育園の立地は、日々の働きやすさに影響します。通勤時間を短くして、プライベートの時間を確保したいと考えるなら、家から近い園を選ぶことが大切です。プライベートで園の子どもや保護者に会いたくない人は、住んでいる地域とは少し離れた場所での勤務を検討しましょう。
通勤方法も、働きやすさを見分けるポイントです。電車通勤なのか車通勤なのか、最寄り駅からのアクセスはどうかなど、自分の生活スタイルに合った通勤環境を選ぶことで、毎日のストレスを軽減できます。
年間休日数と有給休暇の取得率
保育士の働きやすさを左右する要素として、年間休日数と有給休暇の取得しやすさがあります。厚生労働省の「令和6年就労条件総合調査の概況(p.7)」によると、労働者の1人あたりの平均年間休日数は、約116日です。平均を上回る年間休日数が120日以上ある園は、働きやすい職場といえるでしょう。
有給休暇の取りやすさも大切な指標です。制度として有給休暇があっても、実際に取得しにくい雰囲気があれば意味がありません。求人票の有給休暇の取得率で、実態を把握しておくと安心です。
出典
厚生労働省「令和6年就労条件総合調査 結果の概況」(2025年5月30日)
シフトパターンと平均残業時間
日々の勤務時間や残業の実態も、保育士の生活の質や働きやすさに関わる要素です。シフト制の場合、早番・遅番の頻度や決まり方、希望は出せるのかなどを確認しましょう。固定勤務の場合は具体的な勤務時間を確認することが大切です。
平均残業時間は、「普段は何時ごろに退勤されていますか?」「忙しい時期はどのくらい残業がありますか?」というように、面接で具体的に質問しましょう。残業代の支給状況や、持ち帰り仕事の有無についても踏み込んで聞くことで、より正確な労働環境が把握できるかもしれません。
延長保育や休日保育の有無
延長保育や休日保育の有無は、シフトや働きやすさに影響します。延長保育を行っている園では、早朝や夕方以降の時間帯にも保育士の配置が必要です。また、土曜保育や休日保育の実施状況によって、週末の出勤が発生する場合もあります。
延長保育や休日保育の実施状況を、事前に保育園のWebサイトで確認しておくのがおすすめです。ワーク・ライフ・バランスを重視する人は、志望先の園の勤務体制が自分のライフスタイルに合うかどうかを慎重に検討しましょう。
研修制度や教育体制
保育士がスキルアップやキャリア形成を考えるうえで、研修制度や教育体制の充実度も重要です。具体的には、新人研修の内容や期間、外部研修への参加機会などを確認しましょう。キャリアアップ研修の受講支援や、専門分野のスキルアップをサポートする制度があるかどうかも調べる必要があります。
未経験や経験の浅い保育士、ブランクのある人にとっては、しっかりとした教育体制があることが働きやすさにつながるでしょう。面接で「新人はどのくらいの期間、先輩と一緒に保育をしますか?」「研修制度はありますか?」といった質問をし、職場のサポート体制を把握するのが効果的です。
年間行事の充実度
保育園の年間行事は、保育士の業務負担に関わります。運動会や発表会といった大きな行事だけでなく、季節の行事や誕生会、遠足といった日常的な行事の内容も確認しましょう。
行事準備のための残業や持ち帰り仕事が発生するかどうか、行事のねらいや取り組み方針なども、保育士の働きやすさを左右するポイントです。自分の保育観に合った取り組み方をしている園を選ぶと、無理なく働けるでしょう。
福利厚生の種類と内容
保育園の福利厚生の充実度も、保育士の長期的な働きやすさに関わります。手当が充実していれば、実際の手取り額が増えることもあるようです。保育園の福利厚生の一例として、下記のものがあげられます。
住宅手当
通勤手当
扶養手当
役職手当
昼食代の補助
リフレッシュ休暇
退職金制度
資格取得のバックアップ制度
また、健康診断の実施状況や、保育士の休憩室・更衣室の設備なども働きやすさに関わる要素です。園の福利厚生や設備などを含めて、総合的な待遇を評価することが大切になります。
職員の年齢層や経験年数
職場の人間関係や雰囲気に影響するのが、保育士の年齢構成や経験年数です。ベテラン保育士が多い園と若手中心の園では、保育の進め方や職場の雰囲気が異なる場合があります。
面接時に「職員の年齢層はどのくらいですか?」「平均勤続年数はどれくらいですか?」といった質問をすることで、職場環境をより具体的にイメージできるでしょう。また、職員の定着率も重要な指標です。頻繁に退職者が出る園は、職場環境に課題がある可能性も考えられます。
自分が保育園の雰囲気に馴染めそうかどうかを基準に職場を選ぶと、長く働き続けやすい環境が見つかるかもしれません。
保育士が働きやすい保育園に転職するコツ
保育士が働きやすい職場を見つけるためには、希望条件を絞って情報収集し、慎重に判断することが大切です。ここでは、保育士が働きやすい保育園に転職するためのコツをまとめました。
自分の希望条件を明確にして求人情報を絞る
保育士が転職活動を始める際は、自分自身が求める職場環境や条件を明確にしましょう。「何を重視したいか」「何を譲れないか」を整理することで、効率良く求人を探せます。
給与・休日などの労働条件や保育方針、立地条件など、幅広い観点から自分の優先順位を決めます。すべての条件を満たす完璧な園を見つけるのは難しいため、特に重視する2〜3つのポイントを決めておくのがおすすめです。
実際に働いている人がいるなら話を聞いてみる
実際に志望先の園で働いている人の声は、保育士が働きやすさを判断するうえで信頼できる情報源です。知人や友人が働いている園であれば、職場環境について率直に話を聞けます。残業の有無や有給休暇の取得状況、職場の人間関係などの知りたいことを質問してみましょう。求人情報や面接では得られない、職場のリアルな姿を知れるかもしれません。
ただし、個人的な感想や一時的な状況の場合もあるので、複数の情報源から総合的に判断することが重要です。
保育園を見学して雰囲気を肌で感じる
保育士が働きやすさを確認したいとき、可能であれば園見学をするのがおすすめです。実際に現場を見ると、求人情報だけでは分からないリアルな情報が得られます。
見学の際は、子どもたちの表情や保育士の動き、保育環境などをよく観察します。「子どもたちが生き生きとしているか」や「保育士が笑顔で働いているか」「清潔で安全な環境が整っているか」などは、働きやすさを判断する手掛かりになるでしょう。
疑問点は面接や園見学の際に質問する
面接や園見学の場は、職場を深く知れる機会です。気になる点や疑問に思うことは、遠慮せずに質問しましょう。質問内容や園側の回答の仕方から、園の体制や雰囲気を読み取れます。
「1日のスケジュールはどのようになっていますか」「書類作成の時間はどのように確保していますか」「職員間の情報共有はどのように行っていますか」など、具体的な業務に関する内容が、職場の実態や働き方を知るのに効果的です。また、「困ったときのサポート体制はどうなっていますか」「キャリアアップの機会はありますか」など、長期的な視点の質問もしてみましょう。
質問に対して具体的かつ誠実に答えてくれる園は、透明性のある運営をしている可能性が高く、働きやすい環境かもしれません。
転職エージェントを活用して情報収集する
保育士専門の転職エージェントを利用することで、より効率的に働きやすい保育園を見つけられます。転職エージェントは、保育業界や地域の事情に精通しており、求人票だけでは分からない情報も持っているのが特徴です。
転職エージェントを活用するメリットは、非公開求人の紹介を受けられることです。キャリアアドバイザーに希望条件を伝えれば、公開されていない好条件の求人に出会えるかもしれません。また、園の職場環境や実態についても、把握しているため、より正確な情報に基づいて転職先を選べるでしょう。
保育園の見学や面接時にチェックしておきたいポイント
働きやすい保育園を選ぶためには、園見学や面接で、注目すべきポイントを押さえておきましょう。ここでは、職場の働きやすさを見極める際にチェックしておきたいポイントを紹介します。
働いている職員の表情や雰囲気
職員の様子は、保育園の働きやすさを表す目安になります。見学時に注目したいのは、保育士たちの表情が明るく生き生きとしているかどうかです。笑顔で子どもたちと接している様子や、職員同士が自然にコミュニケーションを取り合う姿があれば、風通しの良い職場環境である可能性が高いでしょう。
余裕を持って保育にあたっているか、あるいは常に慌ただしく動き回っているかで、人員配置の適切さや業務量の多さがうかがえます。複数の保育士が協力して保育を進めている様子や、困ったときに助け合う場面が見られるかどうかは、チームワークを知る手掛かりになるでしょう。
保育施設の設備や保育環境
保育施設の状態や保育環境は、保育士の働きやすさにも直結します。子どもたちが活動しやすい設計になっているか、安全対策は十分か、清潔に保たれているかなどを確認しましょう。
おもちゃの量や種類、状態も重要なポイントです。子どもの年齢や発達に応じた教材が揃っているか、定期的に更新されているかなどは、園の教育方針や予算配分を知るきっかけになります。保育室の換気や温度管理など、快適な環境が整っているかどうかも見ておきましょう。
また、「書類作業のスペースがきちんと確保されているか」や「ICT化の導入状況」「業務効率化への取り組み」なども調べておきたいポイントになります。職員の休憩室や、更衣室の設備状況も確認できると理想的です。
園長や主任の話し方・対応
園長・主任の話し方や対応は、園の組織文化を映し出します。質問への受け答えの仕方や話の進め方から、保育士の働きやすさを見極めるヒントを得られるかもしれません。
面接や園見学で疑問に思ったことを質問し、園長の答え方に注目しましょう。丁寧に耳を傾け、具体的かつ誠実に回答してくれる園長は、職員の声にも同様に耳を傾ける可能性が高いです。質問をはぐらかしたり、曖昧な返答に終始したりする場合は要注意かもしれません。
また、園の強みだけでなく、課題や改善点を率直に話してくれるかどうかも重要です。園の課題を隠さず、正直に話してくれる園長は、信頼できる可能性が高まります。保育や子どもに対する熱意が言葉から伝わってくるか、職員の働きやすさへの配慮について具体的な取り組みを話してくれるかなども、チェックしておくのがおすすめです。
働きやすい保育園にの見分け方に関してよくある質問
ここでは、働きやすい保育園の見分け方に関してよくある質問に、Q&A形式でお答えします。
働きやすい保育園の雰囲気とは?
働きやすい保育園の特徴は、職員同士の関係性が良好で、活発な雰囲気があることです。このような園なら、子どもについての意見交換が自由にでき、新しい提案も受け入れられる風通しの良さがあります。また、困ったときは互いにフォローし合える関係性があり、失敗を責めるのではなく成長の機会として捉える文化が根付いている職場も働きやすいでしょう。
職場の雰囲気以外の要素で、働きやすい保育園の特徴を掴みたい人は、本記事の「保育園の見学や面接時にチェックしておきたいポイント」を参考にしてみてください。
どんな保育園で働きたいか迷ったときはどうすれば良い?
どんな保育園で働きたいか迷ったら、自分が大切にしたい保育観や働き方の希望を明確にすることから始めましょう。働きやすい保育園を見つけるためには、複数の園を見学して比較検討するのが有効です。自分の核となる価値観に合った園を選ぶと、長く働き続けやすくなります。
ホワイト保育園とブラック保育園の見分け方は?
ホワイト保育園とブラック保育園を見分けるには、「園の方針や労働条件について明確な説明があるか」や「職員のサポート体制が整っているか」などに注目することで確認できます。
ホワイト保育園はサービス残業がなく、時間外手当が支給されたり、有給取得率が高かったりするのが特徴です。また、離職率が低く、保育士の平均勤続年数が長い傾向にあります。ブラック保育園は、離職者が出やすく、求人が頻繁に出ていたり、面接時の質問に具体的な回答がなかったりするようです。
まとめ
働きやすい保育園を見分けるには、労働条件や職場環境を詳しく確認することが大切です。給与や休暇制度はもちろん、実際の勤務時間や残業の状況、有給休暇の取得しやすさなど、具体的な働き方を調べるようにしましょう。
「園の保育理念が自分の保育観と合っているか」や「職員同士のコミュニケーションは円滑か」「人員配置に余裕があるか」なども、働きやすさを考慮するうえで重要なポイントです。保育園の見学時には保育士の表情や動きにも注目し、生き生きと働いているか観察してみましょう。職場の情報を総合的に判断して、自分に合った環境を選ぶことが、長く働き続けられる職場を見つけるコツになります。
自分1人で働きやすい保育園を見分ける自信がない方は、「レバウェル保育士」を活用してみてください。「レバウェル保育士」なら、保育業界に特化したアドバイザーが求人票だけでは分からない職場環境や実態について、豊富な情報を基にアドバイスします。職場の雰囲気や人間関係、労働条件など気になる点を事前に確認できるため、ミスマッチのない転職を実現できるでしょう。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。