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保育士が担う役割とは?社会・現場で必要とされる背景や心構えを解説
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保育士の役割を知りたい方もいるのではないでしょうか。保育士は、子どもの成長を支えるだけでなく、保護者の育児をサポートし、社会全体にも貢献する重要な役割を担っています。 この記事では、保育士の具体的な役割や社会における必要性、現場で求められる心構えについて解説します。保育士を目指す方や、その役割を見直したい方はぜひ参考にしてください。
目次
保育士が担う役割とは
保育士が担う役割は、社会的な役割と現場で果たす役割の2つに大きく分けられます。社会的な役割は、待機児童問題の解消や保育の質の向上、共働き家庭の支援、少子化対策への貢献が挙げられます。未来を担う子どもたちの健やかな成長を支えることで、社会全体の発展にも尽くしています。
一方、現場で果たす役割は、子ども一人ひとりの個性を尊重しながら、基本的な生活習慣を身につけさせることや、集団生活の中で社会性を育む手助けをすることです。
また、保護者の子育ての悩みに寄り添い、成長をともに見守るのも保育士の大切な役割の1つでしょう。時代の変化とともに求められる役割は多様化しており、保育士には専門知識だけでなく、柔軟な対応力や広い視野が必要とされています。
保育士に求められる社会的な役割
近年、共働き世帯が増加しているために、待機児童問題の解消や保育の拡充が求められ、保育士の重要性はますます高まっています。単に子どもを預かるだけでなく、成長を支え、保護者の育児をサポートする存在ともいえるでしょう。
ここでは、保育士が担う社会的な役割について詳しく解説します。
待機児童や人材不足問題の解決
待機児童の問題は依然として社会課題のひとつとなっています。こども家庭庁の「保育所等関連状況取りまとめ(令和6年4月1日)」によると、待機児童の数や施設の状況は以下のとおりです。
数値 | 前年比 | |
施設数 | 39,805か所 | 216か所(0.5%)増加 |
利用定員 | 3,044,678人 | 6,250人(0.2%)減少 |
保育所等利用児童数 | 2,705,058人 | 12,277人(0.5%)減少 |
定員充足率 | 88.8% | 0.3ポイント減少 |
待機児童数 | 2,567人 | 113人減少 |
待機児童のいる市区町村数 | 217市区町村 | 14市区町村減少 |
待機児童が100人以上の市区町村 | 2市 | 変動なし |
100人以上増加した市区町村数 | 1市 | 変動なし |
参照:こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和6年4月1日)」
保育士として働くことは、こうした待機児童や人材不足といった社会的な課題を解決する一助となります。子どもたちが安心して過ごせる環境を提供するためにも、保育士の役割はますます重要になるでしょう。
出典
こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和6年4月1日)」(2025年5月29日)
家庭支援の担い手
現在、核家族世帯や共働き世帯の増加により、子どもの世話を親族に頼るのが難しくなっています。厚生労働省の「令和5年版厚生労働白書」によると、共働き世帯は1980年の614万世帯から2022年には1,262万世帯へと倍増しました。
出典
厚生労働省「令和5年版厚生労働白書」(2025年5月29日)
総務省の「令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要} (p.37)」によると、核家族世帯は2005年の2832万7,091世帯から2020年には3011万571世帯へと増えています。このような状況の中で保育士の存在があるために、親は安心して仕事に取り組むことができるといえます。共働き世帯や核家族世帯の子育てを支える存在として、保育士の役割はますます重要になっているといえるでしょう。
出典
総務省「令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要」(2025年5月29日)
保育士が現場で果たす4つの役割
保育士は、子どもたちが健やかに成長できるよう、日々さまざまな役割を果たしています。
ここでは、子ども一人ひとりの成長を支える保育士の具体的な役割について、詳しくみていきましょう。
1.子どもの生活習慣を育む
保育士の重要な役割の1つは、子どもたちが基本的な生活習慣を身につけるように、支援することです。食事や排泄、着替え、手洗い、睡眠など、日々の生活に欠かせない行動を子どもが自分でできるようになるまで丁寧に指導します。こうした支援を通じて、子どもたちは自分で考え行動する力を育み、将来的な自立の基盤を築いていきます。
2.遊びや活動を通じて知性・身体能力の成長を促す
子どもたちは遊びやさまざまな活動を通じて、知的発達や身体能力を伸ばしていきます。そのため、保育士はかけっこやボール遊び、運動遊具を使った遊びを取り入れながら、子どもたちの体力や運動能力を育むサポートを行います。
また、絵本の読み聞かせや歌、リズム遊び、工作活動などを通じて、想像力や表現力、思考力を養うことも大切な役割の1つです。こうした活動を通じて、子どもたちは新しいことに挑戦する意欲や、楽しみながら学ぶ力を育てていきます。保育士は、遊びの中で子どもたちが成長できるように工夫し、発達を促します。
3.社会生活のルールを教えて協調性を養う
保育園は、子どもたちが集団生活を通じて社会のルールやマナーを学ぶ大切な場でもあります。保育士は、あいさつの習慣や順番を守る大切さ、友だちとの関わり方などを日々の保育の中で教えます。
また、遊びや行事を通じて協力する楽しさや相手を思いやる気持ちを育むことも重要な役割です。そのほか、交通ルールや公共の場でのマナーなど、社会で生きていくうえで欠かせないルールを伝えることも保育士の仕事の1つといえるでしょう。子どもたちが円滑に社会の一員として成長できるよう、日常の積み重ねの中でサポートします。
4.保護者と連携して子育てをサポートする
保育士は子どもを預かるだけでなく、保護者と協力しながら子育てを支える重要な役割を担っています。それぞれの家庭環境を考慮しつつ、保護者が安心して子育てできるようサポートするのも保育士の大切な仕事の1つです。日々の保育を通じて子どもの成長や変化を見守り、体調や行動の些細な変化にも気を配りながら、保護者と情報を共有します。
保育士は子育てに関する悩みや不安に寄り添い、相談に乗るなど、保護者と信頼関係を築いていくことも求められます。このように、保育士は子どもだけでなく家庭全体を支える存在として、日々の保育に取り組んでいます。
保育士に求められる能力や心構え
保育士は、子どもたちの成長を支える専門職として、さまざまな能力や心構えが求められます。ここではそれぞれ詳しくみていきましょう。
子ども一人ひとりに寄り添う姿勢
子どもはそれぞれ個性があり、成長のペースや興味を持つものも異なります。そのため、保育士は一人ひとりの気持ちや発達段階を理解し、丁寧に関わることが大切です。子どもの言葉に耳を傾け、気持ちを尊重すると、安心して自分が表現できる場所を作ることができるでしょう。
このように、子どもの安心感や自己肯定感を育むうえで、一人ひとりの個性や成長に寄り添う必要があります。子どもの気持ちを尊重して温かく見守る姿勢は、保育士として求められる資質といえます。
大切な命を預かる責任感と誠実さ
保育士は、子どもたちの安全と健やかな成長を支える責任ある役割を担っています。
保護者から大切な命を預かる以上、子ども一人ひとりの健康状態や行動に細かく気を配り、危険を未然に防ぐ必要があります。転倒や誤飲といった事故を防ぐための環境整備はもちろん、子どもが不安を感じたときには寄り添い、安心できる存在であるのも重要です。
また、保護者と信頼関係を築くうえでも、誠実な姿勢は欠かせません。子どもの成長や日々の様子を丁寧に伝え、保護者と協力しながら子育てを支えていくことが大切です。子どもの命を守り、成長を支える責任感と誠実さは、保育士として求められる重要な資質といえるでしょう。
発達段階に応じた適切な関わり方
保育園に通う子どもたちは、0歳から6歳までと発達の差が大きく、それぞれの成長段階に応じた関わり方が求められます。たとえば、乳児期の子どもには安心感を与えられるようスキンシップを大切にし、幼児期には自立心を育むための声かけや見守りが重要です。
また、同じ年齢でも成長のスピードは一人ひとり異なるため、子どもの個性や発達のペースをよく観察し、それに合わせた保育を行うことが求められます。子どもの発達を正しく理解し、その時々に必要なサポートを提供できる柔軟性と洞察力が求められるでしょう。
保育士の具体的な業務内容
保育士の仕事は、子どもの身の回りの世話をするだけではなく、遊びや活動を通じた成長の支援、生活習慣の指導、保護者との連携など多岐にわたります。
ここでは、保育士が実際にどのような業務を行っているのか、具体的な内容を紹介します。
子どもの成長と安全を支える日々の業務
保育士の業務は、単に子どもを預かるだけではなく、安全で快適な環境を整えながら、一人ひとりの成長を支えることです。日常生活の習慣を身につける手助けをしたり、遊びや行事を通じて心身の発達を促したりと、多岐にわたる関わりの中で子どもたちの成長をサポートします。また、子どもの健康や安全を守るため、細やかな観察と適切な対応も欠かせません。
基本的な生活習慣のサポート(食事・排泄・着替え)
子どもたちが自立に向けて成長できるよう、食事・排泄・着替えなどの基本的な生活習慣を身につけるサポートを行います。年齢や発達に応じた適切な声かけや手助けをしながら、「自分でできた」という成功体験を積み重ねて、自信や意欲を育てることが大切です。
生活習慣の確立は、健康的な成長にもつながるため、保育士の重要な役割の1つといえるでしょう。
健康管理や体調の確認を行い、異変を早期発見
保育士は子どもたちが毎日元気に過ごせるよう、健康管理にも細心の注意を払います。登園時の様子や食欲、機嫌の変化を観察し、体調の異変にいち早く気づくことが求められます。特に感染症の流行が懸念される時期には手洗いや消毒を徹底し、感染予防に努めることが大切です。万が一の体調不良やケガに備え、応急処置や保護者への迅速な連絡も保育士の重要な業務の1つといえるでしょう。
遊びや行事を通じて社会性や創造力を育む
子どもたちは遊びの中で多くを学びます。ごっこ遊びでは協調性やコミュニケーション能力が育まれ、製作活動では創造力や表現力を伸ばせるでしょう。また、運動遊びを通じて体力の向上を促すほか、季節の行事やイベントを取り入れると、豊かな感受性を育むことも可能です。保育士は、こうした活動を計画・実施しながら、子どもたちが楽しみながら成長できる環境を整えます。
保護者と連携して育児相談や情報共有を行う
子どもの成長をより良いものにするためには、家庭との連携も不可欠です。保育士は送迎時の会話や連絡帳を活用し、保育園での様子を伝えながら、保護者と密に情報共有を行います。また、育児に関する悩みに対して助言をしたり、一緒に解決策を考えたりして、家庭での子育てをサポートする役割も果たします。保育士と保護者が協力すると、子どもが安心して成長できる環境を整えられるでしょう。
保育士の役割についてよくある質問
ここでは、保育士の役割についてよくある質問を紹介します。ぜひ参考にしてください。
パート保育士の役割は正社員と違いますか?
パート保育士と正社員保育士では、担当する業務の範囲や責任の大きさが異なります。パート保育士は補助的な役割が中心です。一般的には食事や排泄の介助、遊びの見守り、環境整備などを担当することが多いでしょう。
一方、正社員はクラス担任を持ち、保育計画の作成や保護者対応、行事の運営など、より幅広い業務を担います。
フリー保育士の役割について教えてください
フリー保育士とは、特定のクラスを担当せず、園全体のサポートをする保育士のことです。各クラスの保育補助を行ったり、職員の休憩や研修時の代替保育を担当したりと、柔軟に動く役割を持ちます。園の状況に応じて必要な場所へ入るため、幅広い年齢の子どもたちと関わる可能性があります。
保育士としてのやりがいは何ですか?
子どもの成長を間近で見守り、成長を実感できることが大きなやりがいといえます。初めて言葉を話したり、自分でできることが増えたりする瞬間に立ち会えるのは、保育士ならではの喜びといえるでしょう。また、子どもだけでなく、保護者の育児を支える役割もあり、信頼関係が築けたときの達成感もやりがいにつながります。
まとめ
この記事では、社会全体や現場における保育士の役割について解説しました。保育士は、子どもの成長を支えて保護者の働く環境を支援しており、社会全体にも貢献しています。昨今では共働きや核家族が増えているため、今後も保育士の重要性はますます高まるでしょう。
また、保育の現場では子ども一人ひとりに寄り添いながら発達を促し、安全で安心できる環境を整えることが求められています。保育士は子どもを深く理解し、責任感を持って日々の保育に向き合うことが大切です。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
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