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児童指導員は資格なしでも目指せる!未経験OKの理由と仕事内容を解説

  • #児童指導員
ねんどで遊ぶ男の子と保育士の画像

児童指導員は「資格がないと働けないのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれません。児童指導員を名乗るには任用資格が必要ですが、無資格でも子どもと関わる姿勢や人柄、福祉への思いを重視して採用されるケースもあるようです。未経験からスタートし、働きながらスキルや知識を身につけていく人も多くいます。この記事では、資格がなくても児童指導員を目指せる理由や、仕事内容、働ける施設について解説します。

この記事を書いた人

A

「レバウェル保育士」編集部

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資格なしでも児童指導員になれるって本当?

児童指導員の仕事に興味があるものの、「資格がないと働けないのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれません。児童指導員には「任用資格」があり、無資格からでもスタートできる道があります。ここでは、児童指導員に必要な資格と、無資格でも可能な働き方について詳しく解説します。

児童指導員を名乗るには任用資格が必要

児童指導員という職種を名乗るためには、「任用資格」を満たす必要があります。国家試験のように試験を受けて取得する資格ではなく、一定の学歴や職歴、資格を持っていることで認定されるものです。厚生労働省の「職業情報提供サイト 児童指導員新規タブリンク」を参考に、任用資格の条件をまとめました。

  • 大学で社会福祉学、心理学、教育学、社会学を専修する学部や学科を卒業している

  • 幼稚園教諭、小中学校、高等学校の教員免許を取得しており厚生労働大臣または都道府県知事の認定を受けている

  • 社会福祉士もしくは精神保健福祉士の資格を取得している

  • 高卒以上で、児童福祉事業において2年以上の実務経験がある

  • 児童福祉事業で3年以上の実務経験があり、都道府県知事の認定を受けている

これらのいずれかに当てはまれば、児童指導員として任用される資格があると認められます。

出典

厚生労働省「職業情報提供サイト 児童指導員新規タブリンク」(2025年5月12日)

資格なしでも児童指導員と同じ仕事はできる

「任用資格がない=児童指導員の仕事ができない」というわけではありません。実際の現場では、資格がない方も「指導員」として雇用され、児童指導員と同様の支援業務に携わっているケースもあります。これは、各施設が定められた配置基準を守っていれば、それ以外の職員は無資格でも勤務できるためです。人手不足が深刻な今、未経験や無資格でも歓迎している事業所は少なくありません。

ただし、無資格の場合は正式に「児童指導員」と名乗ることはできず、雇用形態も非正規が多い傾向があります。現場で2〜3年の経験を積めば実務経験として任用資格が得られるため、将来的に児童指導員を目指すうえでは大切なステップといえるでしょう。

資格なしで児童指導員の仕事ができる理由とは?

児童指導員になるには「任用資格」が必要ですが、実際の現場では無資格からスタートして、支援の仕事に関わることは可能です。ここでは、なぜ資格がなくても支援の現場で働けるのか、その理由を詳しくご紹介します。

人手不足で有資格者だけでは現場が回らないから

近年、児童福祉の現場では支援を必要とする子どもの数が増加傾向にあり、施設側の人材確保が課題です。すべての支援スタッフが任用資格を持っていることが望ましいですが、資格取得には学歴や実務経験といった条件があるため、即戦力として配置できる人材には限りがあります

そのため、多くの施設では有資格者と無資格者が連携しながら支援にあたる体制をとっています。無資格で入職した職員も、先輩スタッフの指導のもとで実務経験を積み、任用資格の取得を目指すことが可能です。
「現場で育成しながらチームで支援していく」という方針のもと、無資格者も大切な支援の一員として受け入れている施設もあるため、挑戦しやすい環境といえるでしょう。

配置基準に児童指導員がない施設もあるから

児童指導員の配置が法的に義務づけられている施設がある一方で、必ずしも児童指導員の配置が必要ない施設も存在します。厚生労働省の「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準新規タブリンク」を参考にすると、「保育所等訪問支援事業所」や「児童家庭支援センター」などは、児童指導員の配置が義務ではありません。そのため、これらの施設では任用資格を持たない職員でも支援の仕事に携わることができます。

また、児童指導員の配置が義務づけられている施設であっても、必要とされる最低人数を確保していれば、それ以外の職員は無資格でも勤務することが可能です。無資格であっても、子どもたちと直接関わる機会を持ちながら支援に携われるため、将来的に任用資格の取得を目指す場合には、こうした現場経験が強みとなるでしょう。

研修やサポート体制が整っている施設が多いから

最近では未経験者を前提とした丁寧な研修制度やOJT(現場での指導)を充実させている施設が増えてきています。児童福祉の仕事は、実際に現場で子どもたちと関わるなかで学ぶことが多く、そのような経験を重ねることで、自然と適切な対応や支援の方法が身についていきます。

施設には保育士や児童指導員などの有資格者も在籍しているため、日々の業務を通してサポートを受けながら少しずつ成長していけるでしょう。子どもを支えたいという気持ちがあれば、それを土台に必要なスキルを現場で身につけていくことが十分可能です。

児童指導員の仕事内容とは?

働く施設によって具体的な業務は異なりますが、基本的には日常生活や学習の支援をはじめ、子どもとの信頼関係づくり、保護者との連携、記録や送迎といった事務的な業務など多岐にわたります。ここでは、児童指導員の仕事内容を詳しく紹介します。

発達支援や生活支援などのサポート業務

児童指導員の中心となる仕事は、子ども一人ひとりの成長段階や特性に合わせた発達支援や生活支援です。児童発達支援や放課後等デイサービスでは、個別支援計画に基づき、あいさつや集団生活のルールを身につけるための支援、日常生活の援助などを行います。

また、宿題のサポートや遊びを通した関わりも重要な支援の1つです。子どもたちと信頼関係を築きながら、自立に向けたサポートを積み重ねていくことが、児童指導員の重要な役割といえるでしょう。

子どもやその家族との日々のコミュニケーション

子どもたちだけでなく、家族との日々の関わりも大切です。何気ない会話のなかから、子どもの変化や気持ちを汲み取り、支援に活かしていく力が求められます。

また、保護者からの相談に耳を傾けたり、子どもの様子を丁寧に伝えたりすることも、信頼関係を築くうえで大切な業務です。家庭との連携を通じて、子どもの成長をチームで見守っていきます。

書類作成や送迎などの事務・付随業務

支援業務に加えて、日々の活動や支援内容の記録といった書類作成も児童指導員の大切な仕事です。これらの記録はチームで情報を共有し、より良い支援につなげるための基盤となります。

また、放課後等デイサービスでは、学校や自宅との送迎を担当することもあります。事業所によって担当する業務は異なるため、就職や転職の際には事前に仕事内容をしっかり確認しておくと安心でしょう。

児童指導員の平均年収と給与事情

児童指導員として働くうえで、給与や年収は気になるポイントの1つです。以下では、厚生労働省が公表している調査をもとに、児童指導員の平均給与や想定年収についてまとめました。

平均月額給与

(令和6年9月)

想定年収(令和6年9月) 平均月額給与

(令和5年9月)

想定年収(令和5年9月)
31万9,690円 383万6,280円 30万310円 360万3,720円

児童指導員の給与は、増加傾向にあることが分かります。常勤の児童指導員の平均月額給与は、令和5年9月時点で30万310円でしたが、令和6年9月には31万9,690円となり、約2万円の上昇が見られました。児童指導員の給与は、福祉職全体と比べてやや低めとされることもありますが、近年は少しずつ改善の動きが見られます。今後、処遇改善や制度改正が進むことで、収入面の向上も期待できるでしょう。

出典

資格がないと不安…?児童指導員になる4つのルート

児童指導員になるためには「任用資格」という要件を満たす必要がありますが、国家資格のような試験は必須ではありません。ここでは、代表的な4つのルートを解説します。自分のこれまでの学歴や経験に合った方法を見つけて、児童指導員を目指しましょう。

1.大学卒業ルート

4年制大学で社会福祉学・心理学・教育学・社会学のいずれかを専攻し、卒業することで任用資格が得られるルートです。新卒で児童福祉の分野に進みたいと考えている方や、これから大学選びをする方に向いています。学部名や学科名だけでは判断できない場合もあるため、卒業後に任用資格が得られるかを事前に確認しておくことが大切です。

2.社会福祉士または精神保健福祉士ルート

社会福祉士または精神保健福祉士の資格を取得すると、同時に児童指導員の任用資格も得られます。社会福祉士は、困難を抱える人の相談支援を行う福祉系国家資格で、児童から高齢者まで幅広い支援に携わることが可能です。精神保健福祉士は、心の病を抱える方の社会復帰や生活支援を専門とする資格で、メンタルケアに関心のある方に適しています。

どちらも試験に合格する必要はありますが、社会的信用も高く、キャリアアップを目指す方にはぴったりのルートです。

3.実務経験を活かしたルート

「大学や資格取得の時間がない」「すでに福祉の現場で働いている」という方には、働きながら児童指導員を目指せる実務経験ルートがおすすめです。以下のいずれかの要件を満たせば、任用資格を取得できます。

  • 高校卒業後、児童福祉事業に2年以上従事

  • 中等教育を修了していない場合でも、児童福祉事業に3年以上従事+都道府県知事の認定

このルートでは、特別な資格や試験が不要なうえ、現場経験を重ねながらステップアップできるのが魅力です。

4.教員免許ルート

小学校・中学校・高等学校・中等教育学校の教員免許を持っている方は、児童指導員の任用資格を得られます。2019年4月からは、幼稚園教諭の免許も対象に加わったため、より多くの教育関係者が児童福祉の分野へとステップアップしやすくなりました。一方で、保育士資格は対象外となっているため注意しましょう。すでに教員免許を持っている方であれば、追加の試験や資格取得の手間がかからず、そのまま児童指導員として働けるのがメリットです。

どのルートを選ぶかはこれまでの学歴や経験、働き方によって異なりますが、児童指導員は試験なしで任用資格を取得できる特徴があります。働きながら目指すなら、実務経験ルートがおすすめです。自分に合った方法を見つけて、福祉の現場での第一歩を踏み出してみましょう。

出典

厚生労働省「児童指導員及び指導員の資格要件等新規タブリンク」(2025年5月12日)

児童指導員の資格を活かして働ける場所

児童指導員の資格を取得すると、さまざまな福祉施設で活躍できます。以下では、主な勤務先とその特徴について紹介します。

放課後等デイサービス

放課後等デイサービスは、障がいのある子どもたちが、放課後や長期休暇中に安心して過ごせるよう支援する施設です。遊びや学びを通じて、社会性や日常生活のスキルを育むサポートを行い、保護者や学校とも連携しながら、子どもの将来を見据えた自立支援を担っています。レクリエーションや創作活動、日常動作の練習など、楽しさと学びが両立した支援が求められます。

児童養護施設

児童養護施設は、さまざまな事情で家庭での生活が困難な子どもたちを受け入れ、生活支援を行う施設です。子どもたちにとって「家庭の代わり」となる場で、安心して成長できる環境づくりが求められます。他職種のスタッフと協力しながら、心と体の健やかな育成を支えていくのが児童指導員の役目です。

出典

厚生労働省「社会的養護の施設等について新規タブリンク」(2025年5月29日)

障害児入所施設

障害児入所施設は、心身に障がいのある子どもが入所し、生活支援や療育を受ける場所です。「福祉型」と「医療型」があり、支援の内容は子どもの状態や必要に応じて変わります。日常生活の介助や技術訓練などを通して、子どもの自立を長期的に支える役割があり、入所期間が長くなることも多いため、信頼関係を築きながら継続的に関わることが大切です。

児童発達支援センター

児童発達支援センターは、未就学の子どもを対象に、発達支援や生活訓練を行う施設です。一人ひとりの発達段階に応じた関わりを通して、集団生活への適応や就学準備をサポートします。機能訓練やソーシャルスキルトレーニングなど、多職種と連携した支援が特徴です。保護者への相談支援や、家庭と連携しながら子どもの成長を見守る大切な場所といえるでしょう。

乳児院

乳児院は、0〜1歳の乳児を預かり、心身の成長を支える施設です。養育が困難な家庭の代わりに、愛情と専門的ケアをもって赤ちゃんのお世話をします。食事やおむつ替え、睡眠管理など、日常的ケアを通じて健やかな成長を支援し、医師や看護師などと協力しながら、子どもたちが安心して過ごせるような環境づくりを行います。

不安があっても大丈夫!まずは一歩を踏み出してみよう

未経験や資格なしの方が児童指導員を目指す場合、、「自分に務まるだろうか…」と不安に感じるかもしれません。しかし、児童指導員として最も大切なのは、子どもと真摯に向き合い、成長を支えたいという意欲です

また、任用資格の取得には複数のルートがあり、自身の経歴や状況に合わせて、無理なく目指せる方法を選べます。働きながら目指す場合は、実務を通して経験を積みながら資格を取得することも可能です。

児童指導員はやりがいと責任のある仕事ですが、その分大きな達成感や成長も得られる環境です。未来の子どもたちのため、そして自身のキャリアのためにも、今できることから始めてみましょう。

児童指導員の資格なしでも働ける?についてよくある質問

ここでは、資格なしで児童指導員を目指す方によくある質問について、Q&A方式でお答えします。ぜひ参考にしてみてください。

児童養護施設で無資格でも正社員として働けますか?

無資格でも正社員として採用されているケースはあるでしょう。児童養護施設は慢性的な人手不足により、資格の有無よりも「子どもと関わりたい」という意欲やこれまでの経験を重視する傾向が強まっています。入社後に研修を受けながら業務を覚えていける職場もあるため、興味がある方は無資格からでもスタートできる環境を探してみるのがおすすめです。

児童発達支援の求人は、資格なしでも応募できますか?

求人によっては資格がなくても応募できる場合があります。なかには、補助スタッフやサポート業務として無資格者を歓迎している事業所もあり、実際に未経験からスタートする方も少なくありません。ただし、資格を持っているほうが給与や待遇の面で優遇される傾向があるため、働きながら児童指導員任用資格や福祉関連の資格取得を目指す方もいるでしょう。無資格から現場で経験を積むことは、将来的なキャリアアップにもつながるはずです。

まとめ

児童指導員は、必ずしも資格がなければ働けない仕事ではありません。大切なのは、資格の有無だけにとらわれない「子どもたちを支えたい」という想いといえるでしょう。今はまだ資格がなくても、働きながら必要な知識やスキルを身につけ、ゆくゆくは資格取得を目指すこともできます。「挑戦してみたい」という気持ちがある方は、まずは一歩を踏み出してみましょう。

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執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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