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認定こども園とは?主なタイプや保育園と幼稚園の違い、働くポイントを解説
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幼児教育や保育の分野で働いている人のなかには、「認定こども園とはどのような施設なのか」「どのような人が働けるのか」と思う方もいるのではないでしょうか。認定こども園は幼稚園と保育園の両方の要素を持ち合わせており、一般的に保育教諭が配置されます。 この記事では、認定こども園の概要と4つのタイプについて紹介します。保育園・幼稚園との違いや、働く前に知っておきたいポイントも解説するので参考にしてください。
目次
認定こども園とは
認定こども園とは、教育・保育を一体的に行う施設で、幼稚園と保育所の両方の良さを持っているのが特徴です。保護者の就業有無を問わず受け入れが可能で、地域の子育て支援を提供しています。
こども家庭庁の「認定こども園に関する状況について(令和4年4月1日現在)」によると、認定こども園の数は以下のとおりです。
【認定こども園の数(単位:園)】
幼保連携型 | 幼稚園型 | 保育所型 | 地方裁量型 | 合計 |
6,475 | 1,307 | 1,354 | 84 | 9,220 |
参考:こども家庭庁「認定こども園に関する状況について(令和4年4月1日現在)」
2022(令和4)年4月1日時点における認定こども園の合計数は、9,220施設です。同資料によると、認定こども園数は年々増加していることもわかります。
「幼保連携型」「幼稚園型」「保育所型」「地方裁量型」のそれぞれの特徴は、下記で紹介するので、チェックしてみましょう。
出典
こども家庭庁「認定こども園に関する状況について(令和4年4月1日現在)」(2025年6月2日)
幼保連携型認定こども園とは
幼保連携型認定こども園とは、幼稚園と保育園の機能を両方をあわせ持つタイプです。幼保連携型は、都道府県および政令指定都市、中核市から認可を受けています。
幼稚園型認定こども園とは
幼稚園型認定こども園とは、保育が必要な子どもに保育時間を確保するため、認可幼稚園に保育園的な機能を備えているタイプです。幼稚園型は、都道府県から「幼稚園としての認可」と「保育機能を有することの認定」の2つを受けています。
保育所型認定こども園とは
保育所型認定こども園とは、保育が必要な子ども以外も受け入れ、認可保育園に幼稚園的な機能を備えているタイプです。保育所型は、都道府県から「保育園としての認可」と「幼稚園機能を有することの認定」の2つを受けています。
地方裁量型認定こども園とは
地方裁量型認定こども園とは、幼稚園と保育園の認可のない教育・保育施設が認定こども園として必要な機能を果たしているタイプです。分類上は認可外となり、設置主体の制限がありません。
出典
こども家庭庁「認定こども園概要」(2025年6月2日)
認定こども園と保育園・幼稚園の違い
ここでは、認定こども園と保育園・幼稚園の違いを表で解説します。認定こども園の職員を目指す方は参考にしてください。
認定こども園 | 保育園 | 幼稚園 | |
管轄 | 内閣府 | 内閣府 | 文部科学省 |
施設の役割 | 園によって異なる | 児童福祉施設 | 教育施設 |
職員が担当する
子どもの年齢 | 0歳から就学前まで | 0歳から就学前まで | 3歳から就学前まで |
標準的な保育時間 | 4~11時間 | 8~11時間 | 4~5時間 |
働くうえで必要な資格 | 保育士資格+幼稚園教諭免許状 | 保育士資格 | 幼稚園教諭免許状 |
子どもの生活面を支援したいのか、教育をしていきたいのか、その両方なのかによって、施設の役割に違いがあります。具体的な受け入れ年齢や勤務時間は園によって異なりますが、認定こども園や保育園では夕方以降の対応が求められることもあるでしょう。
認定こども園 1号・2号・3号の認定区分とは
認定こども園では、入所する子どもに対し、1号・2号・3号の認定区分があります。認定区分の違いは以下のとおりです。
認定区分 | 特徴 | 教育・保育の時間 |
1号認定 | 満3歳以上で教育を希望する子ども | 教育標準時間:4時間程度 |
2号認定 | 満3歳以上で保育を必要とする子ども | 教育標準時間:最長11時間
保育短時間:最長8時間 |
3号認定 | 0~2歳で保育を必要とする子ども | 教育標準時間:最長11時間
保育短時間:最長8時間 |
認定こども園では、1号・2号・3号のすべての区分を受け入れています。3号認定を受けた子どもが3歳を迎え、1号認定になったとしても、同じ園に通うことが可能です。
詳しい条件は自治体によって異なるため、働く前に確認しておくと良いでしょう。
認定こども園で働く保育士・保育教諭の仕事内容
認定こども園で勤務する保育士や保育教諭は、対応する子どもの年齢によって携わる仕事内容が変わります。年齢から考慮すると、0~2歳児の場合は保育を、3~5歳児の場合は教育カリキュラムがメインになりやすいでしょう。
具体的には、発達状況に合わせて生活習慣を指導したり、社会生活に必要な約束事を教えたりします。園内の安全管理に努め、子どもが安心して過ごせる環境づくりを担うのも保育教諭の仕事です。
また、誕生日会や運動会、発表会などの行事の企画・準備・実施・片付けも担当します。保育や教育に必要な業務時間を確保しながら、スケジュールを立てることが大切です。
保育士ならびに保育教諭は、子どもたちの成長を見守るだけでなく、保護者とも積極的にコミュニケーションを取る必要があります。各家庭の環境と照らし合わせながら、手厚いサポートに努めていく姿勢が求められるでしょう。
認定こども園の職員を目指す際に知っておきたいポイント
ここでは、認定こども園で働くうえで必要な資格・免許と平均給与を解説します。認定こども園の職員を目指す前に、現状を確認しておきましょう。
認定こども園で働く職員に必要な資格・免許
認定こども園では、施設形態や担当する子どもの年齢に応じて必要な資格・免許が変わります。具体的な違いは、下記のとおりです。
幼保連携型 | 満3歳以上を担当する
そのほかの認定こども園 | 満3歳未満を担当する
そのほかの認定こども園 |
保育士資格と幼稚園教諭免許状の併有 | 幼稚園教諭免許状と保育士資格の併有が望ましい | 保育士資格 |
幼保連携型認定こども園の職員は、保育教諭として配置されるため、保育士資格と幼稚園教諭免許状の両方が必要です。
ただし、特例として2024年度末(2025年3月31日)まで一定の経過措置が設けられています。経過措置の期間は、保育士資格か幼稚園教諭免許状のどちらかを有していれば、「保育教諭」としての勤務が可能です。その間に保有していない方の資格・免許を取得することになります。
幼稚園教諭免許状を有しており、幼稚園などで「3年以上かつ4,320時間以上」の実務経験のある方は、特例教科目の修得後に保育士資格の取得を目指すことが可能です。特例の詳細はこども家庭庁の「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」をご確認ください。
保育士資格を保有しており、保育士としての実務経験が「3年かつ4,320時間以上」ある場合は、修得に必要な単位数を軽減する特例を「2030年3月31日まで」適用できます。幼保連携型認定こども園への転職を検討している方は、文部科学省の「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」をチェックしてください。
出典
こども家庭庁「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」(2025年6月2日)
文部科学省の「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」(2025年6月2日)
認定こども園で働く保育教諭の平均給与
政府統計の総合窓口e-Stat「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」によると、認定こども園で働く保育教諭の平均給与は下記のとおりです。
【職員1人当たりの給与月額(賞与込み)】
職種 | 私立 | 公立 |
保育教諭 | 27万9,954円 | 28万7,181円 |
助保育教諭 | 23万5,921円 | 16万3,080円 |
参考:政府統計の総合窓口e-Stat「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」
上記の金額には賞与も含まれているので、認定こども園の職員が実際に受け取れる給与と違いがあります。働く地域や運営母体によって給料の設定も異なるため、参考程度に留めておきましょう。
出典
政府統計の総合窓口e-Stat「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」(2025年6月2日)
認定こども園の職員として働くメリットとデメリット
下記では、認定こども園で働くメリットとデメリットを紹介します。職員として活躍するうえでミスマッチが生じないよう、以下の内容を照らし合わせてみてください。
認定こども園で働くメリット
認定こども園では保育園と幼稚園の機能が備わっているため、教育面のカリキュラムに携わりやすい傾向にあります。さまざまな年齢をサポートする機会が多いので、幅広い子どもと関わる経験ができます。また、イベントや行事を多く開催する傾向があるため、転職する際にアピールでき、選択肢が広がるでしょう。
認定こども園で働くデメリット
認定こども園に転職すると、学ぶ必要のある要素や行事対応が加わるケースが多いため、業務の負担が増える可能性があります。保護者の就業状態を問わず利用できるので、家庭環境に合わせて柔軟なサポートが必要になることも考えられるでしょう。
また、地域によっては設置数が少なく、就業先を探すのに苦労するかもしれません。
まとめ
認定こども園とは、幼稚園と保育園の要素を持ち合わせ、就学前の子どもに教育と保育を行う施設です。認定こども園には「幼保連携型」「幼稚園型」「保育所型」「地方裁量型」の4タイプがあり、機能がそれぞれ異なります。
幼保連携型認定こども園で働くには、保育教諭として基本的に保育士資格と幼稚園教諭免許状の両方が必要です。認定こども園の業務や行事は範囲が広いため一定の大変さがありますが、保育と教育の両方の視点から子どもたちに向き合えるメリットもあります。認定こども園への転職を希望している方は、自分に向いているかどうかを具体的にイメージして仕事探しをしましょう。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
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