保育士の転職

最終更新日:

公務員保育士から転職を考える理由は?転職するメリット・デメリットを解説

  • #保育士
考える保育士の画像

公務員保育士から転職を考える方もいるのではないでしょうか。公務員保育士は安定した給与や福利厚生、充実した待遇などが魅力ですが、一方では異動や職場の人間関係、業務負担などの悩みも抱えることもあるようです。 この記事では、転職を考える理由や選択肢、転職のメリット・デメリットについて詳しく解説します。転職を迷っている方や次のステップを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士のお仕事探しならレバウェル保育士 登録する バナー

目次

続きを見る+

公務員保育士から転職を考える7つの理由

公務員として働く保育士は、安定した雇用や福利厚生の充実といったメリットがあります。しかし、公務員保育士ならではの働き方や職場環境に悩み、転職を考える人も少なくありません。

ここでは、公務員保育士が転職を考える7つの代表的な理由について詳しく解説します。

定期的に異動がある

公立保育士として働くうえで、定期的な異動は避けられません。異動のたびに新しい環境へ適応しなければならず、人間関係を一から築いたり、業務の進め方を覚えたりする負担が生じます。ようやく慣れてきた職場を離れなければならないときには、戸惑いや不安を感じる場合もあるでしょう。

また、定期的に移動があるために、子どもたちや保護者との信頼関係を長期的に築くのが難しくなる点も、公立保育士ならではの悩みです。定期的に職場が変わるために、精神的な負担が大きくなり、より安定した環境で働きたいと考える人もいるでしょう。

人間関係の悩み

保育士は同僚とコミュニケーションを取ったり、連携するのが重要な仕事です。人と関わる機会が多いため、人間関係の悩みが生じやすいといえます。相性が合わなかったり、保育観が違ったりする同僚や先輩がいたりすると、ストレスに感じるでしょう。また、保護者に対してストレスを感じる場合もあります。人間関係にストレスを感じ、風通しが良い職場を求めて転職を考える保育士は少なくありません。

上司が交代して職場の雰囲気が変わる

公立保育園では、数年ごとに上司が異動するため、職場の雰囲気が大きく変わることがあります。これまで大切にしていた保育のやり方が突然見直され、新たに適応しなければならないケースも少なくありません。上司の保育観や人柄が自分と合わない場合は、働きづらさを感じやすくなり、ストレスの原因になるケースもあるでしょう。

新しい上司との関係を一から築き直す必要があるため、それをストレスに感じる方もいるかもしれません。安定した環境で働きたいと考える保育士にとっては、大きな負担となる可能性があります。

仕事量の多さと残業が負担

公立保育士は行政のルールに従って業務を進めるため、事務作業や書類業務が多く、負担が大きい場合もあります。園児の記録や報告書の作成、研修や会議への参加など、勤務時間外の業務が増えやすく、人手不足の園では持ち帰り仕事が発生するケースも。こうした業務量の多さに対して、十分な時間や人員が確保されていない園もあるようです。過酷な労働環境に耐えられず、より働きやすい環境を求めて転職を決意する保育士もいます。

ワーク・ライフ・バランスが取りにくい

公務員保育士のなかには、残業や持ち帰り業務が発生し、思うようにプライベートの時間を確保できないと感じる方もいるようです。仕事に追われていると、休日はつい休息を優先し、家族や友人との時間が減ってしまうケースも。忙しい日々が続くと、心身の余裕がなくなりやすく、「もう少しゆとりを持って働きたい」と考えるようになる方もいるでしょう。自分のライフスタイルに合った働き方を見つけるために、転職を検討する方もいます。

公的機関ならではの保護者対応の難しさがある

公立保育園は自治体が運営しているため、保護者からの要望や苦情が多く寄せられる傾向があります。「公立なのだからもっと保育の質を上げて欲しい」「税金で運営しているからもっと手厚くして欲しい」「公務員なのだから、より責任感を持って欲しい」など、高い期待が寄せられることが多く、そのプレッシャーに疲弊してしまうこともあるでしょう。保護者対応のストレスが積み重なり、公立特有の責任の重さから解放されたいと感じたときに、転職を考える人も少なくありません。

自分らしい保育を実践しにくい

公立保育園では自治体の方針に沿った保育が求められるため、独自のカリキュラムや創意工夫を活かした保育を実践しにくいと感じることがあります。決められたカリキュラムに沿って保育を進める必要があり、保育士の個性よりも公的なルールが優先されがちな部分も。民間園のように柔軟な保育ができないことに窮屈さを感じ、自分の理想とする保育を実現したいと考えたとき、転職を視野に入れる人もいるでしょう。

公務員保育士から転職したくても踏みとどまる3つの理由

公務員保育士として働くなかで、「転職したい」と考えることがあっても、さまざまな理由から決断に踏み切れない方は少なくありません。ここでは、公務員保育士が転職を考えながらも踏みとどまる理由について、詳しく見ていきます。

充実した福利厚生を手放したくない

公務員保育士は、退職金制度や共済組合制度、特別休暇などの制度が充実しており、長く働くほどその恩恵を実感しやすいメリットがあります。年間休日も比較的多く、産休や育休などの制度も整っているのも魅力の1つといえるでしょう。

こうした手厚い福利厚生を手放すことに不安を感じ、転職をためらう公務員保育士は少なくありません。転職先が私立保育園や一般企業の場合、同じ水準の福利厚生を受けられるとは限らないため、「今より待遇が悪くなったらどうしよう」と不安になり、転職をためらう人も多いでしょう。

安定した雇用を失うことへの踏ん切りがつかない

公務員保育士は、年功序列による昇給制度や安定した給与体系が魅力の1つです。賞与も期末手当や勤勉手当が確実に支給され、退職金制度も整っています。

一方、私立保育園の場合は、昇給や賞与の支給は園の経営状況による部分が大きく、公立保育士ほどの安定感はありません。

苦労して試験に合格し、公務員になったという達成感があるため、辞めることにためらいを感じる方も少なくありません。

「続けたほうが良いのでは」と周囲に引き止められる

転職を考えたときに、家族や同僚、友人からの意見に影響を受ける場合もあるでしょう。「せっかく公務員保育士になったのに辞めるのはもったいない」「辞めたら後悔するかもしれない」といった言葉をかけられると、決断に迷いが生じることも。

公務員は安定した職業というイメージが強いため、こうした周囲からの声を聞くうちに、転職に対するリスクが気になり、踏み出せなくなることもあるかもしれません。

公務員保育士の離職率は5.9%

厚生労働省の「保育士の現状と主な取組 (p.23)新規タブリンク」によると、公務員保育士の離職率は5.9%、私立保育園で働く保育士は10.7%です。公務員保育士の離職率は4.8%低い傾向にあります。この数字は安定した雇用や充実した福利厚生が背景にあると考えられますが、それでも転職を選ぶ人は一定数存在します。

働き方やキャリアの選択肢が広がる中で、公務員保育士としての道を見直す人も少なくありません。

保育士の退職者数 離職率
公営 6,941人 5.9%
私営 30,775人 10.7%

参照:厚生労働省「保育士の現状と主な取組新規タブリンク

出典

厚生労働省「保育士の現状と主な取組新規タブリンク」(2025年5月23日)

公務員保育士から転職したいときに考えられる選択肢

公務員保育士として働く中で、「今の環境を変えたい」「違う働き方を試したい」と考えることもあるかもしれません。ここでは、公務員保育士からの転職を考えたときに、どのような選択肢があるのかを紹介します。

雇用形態の変更を検討する

「転職するのは不安だけど、今の働き方を変えたい」という場合は、雇用形態を見直すのも1つの方法です。公務員保育士には、正規職員以外にも臨時職員やパートタイムなどの働き方があります。雇用形態を非正規に変更すると、勤務時間や業務負担を抑えながら働けるため、「少しペースを落として続けたい」という方に向いています。

今の環境を完全に離れるのではなく、まずは雇用形態を変えてみると、新しい働き方を模索できるかもしれません。

希望条件に合う民間保育園へ転職する

「公立保育士としての働き方は合わないけれど、子どもと関わる仕事は続けたい」という方は、民間保育園への転職を検討するのも良いでしょう。私立保育園は給与や待遇が不安と感じる方もいるかもしれませんが、近年は待遇が充実した園も増えています。

転職エージェントを活用すれば、働きながら自分の希望に合った求人を効率良く探すことも可能です。公立保育士の経験を活かしながら、私立保育園で働く選択肢を考えてみるのも1つの手でしょう。

資格や経験が役立つ異業種に挑戦する

「保育の仕事そのものを離れて、新しい分野に挑戦したい」という場合は、異業種への転職も選択肢の1つです。保育士として培った経験は、さまざまな業界で活かせます。子どもに関わる仕事なら、「テーマパークのスタッフ」「子ども向け写真館のカメラマン」「子ども服専門店の販売員」なども良いでしょう。

また、事務職や営業職、接客・サービス業など、「これまでの経験を活かしたいのか」「全く新しいことに挑戦したいのか」を考えながら、興味のある分野を探してみるのもおすすめです。

公務員保育士から異なる業種へ転職するメリットとデメリット

公務員保育士の仕事を続けるか、それとも異業種に転職するか迷っている方もいるのではないでしょうか。ここでは、異業種に転職する際のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

公務員保育士から転職するメリット

異業種に転職すると、給与が上がる可能性やワーク・ライフ・バランスが整いやすい傾向があります。土日休みや定時退社ができる職場を選べば、プライベートの時間も確保しやすいでしょう。

また、新しい環境で人間関係をリセットできるのも魅力です。仕事を変えると、新たなスキルを身につけたり、キャリアアップのチャンスを得たりすることもできるでしょう。シフト制の仕事ではなく、決まった時間で働ける職場を選べば、生活リズムを整えやすくなり、精神的なゆとりも生まれます。今の環境にストレスを感じているなら、異業種への転職を検討するのも良いかもしれません。

公務員保育士から転職するデメリット

異業種への転職には注意が必要な点もあります。まず、保育士として培った専門知識が十分に活かせる職場は限られるため、これまでの経験が直接役立たない場合もあるでしょう

新しい業界では、一から知識を学ぶ必要があり、未経験の状態でスタートする必要があるため、試用期間中は待遇が下がる可能性もあります。

また、新しい職場での人間関係の構築には時間がかかる場合もあるかもしれません。転職したものの、思っていた環境と違い、悩んでしまうケースもあるでしょう。異業種への転職は、今の職場の悩みを解決する手段の1つですが、メリットとデメリットを理解し、自分に合った選択するのが大切です。

公務員保育士から転職する際の注意点

公務員保育士を辞めて後悔しないためには、しっかりと準備して転職に臨むことが大切です。「辞めなければよかった」とならないよう、注意すべきポイントを確認しておきましょう。

退職理由を明確に整理する

転職を考えたとき、まず大切なのは「なぜ辞めたいのか」を明確にすることです。公務員保育士としての働き方に不満を感じる理由は人それぞれですが、「人間関係にストレスを感じる」「業務量が多い」など、これらの悩みが本当に転職で解決できるのか、一度立ち止まって考えてみましょう。「別の保育園なら解決できるのか」「私立に行けば自由度は増すのか」など、今の環境で工夫できる点はないか、転職すれば問題は解決するのかなど冷静に整理することが大切です。

気持ちが整理できていない状態で衝動的に転職すると、「思っていたのと違った」と後悔する可能性が高まります。紙やノートに今の気持ちを書き出したり、信頼できる人に相談したりしながら、自分にとってベストな選択を見極めましょう。

転職によるリスクを理解しておく

公務員保育士を辞めるという選択には、以下のようなリスクも伴います。

  • 一度辞めると再び公務員保育士として戻るのが難しい

  • 転職する際には、試験を受ける必要がある

新しい職場では、今まで積み上げてきた公立保育士としてのキャリアが評価されない場合もあります。積み重ねた実績や経験がリセットされ、新卒同様の扱いになる可能性もあるため、これらの点を踏まえて転職活動を進めましょう。

転職活動を計画的に進める

退職を決めた後に慌てて転職活動を始めると、十分に比較検討する時間が取れず、自分に合った職場を見つけることが難しくなります。事前にしっかりと準備し、転職先の業界や職場環境について十分に調べることが大切です。

転職活動には面接対策が欠かせません。特に異業種や民間企業への転職を希望する場合、面接で自分の経験がどのように活かせるのかを明確に伝えるように意識すると良いでしょう。

理想の職場を見つけるには転職エージェントの活用が有効

転職活動を成功させるためには、転職エージェントの利用も有効です。転職エージェントを活用することで、より多くの求人情報を得ることができ、自分にぴったりの職場を見つけやすくなります。

レバウェル保育士」は保育業界専門の転職支援サービスです。サービスはすべて無料で利用可能。「レバウェル保育士」では地域ごとに特化したプロのアドバイザーが担当し、一人ひとりの希望に合った求人をご紹介します。「公務員保育士から私立に転職したい」「私立保育園に興味がある」という方はお気軽にご相談ください。

公務員保育士からの転職に関してよくある質問

ここでは、公務員保育士から転職を考える際によくある質問にお答えします。ぜひ参考にしてください。

公立保育士を1年で辞めても大丈夫?転職は不利になる?

公立保育士を1年で辞めても転職に不利になることはありませんが、面接時に理由を聞かれる可能性が高いでしょう。転職先が異業種の場合、経験年数が少なくても問題にならないことが多いですが、転職理由を前向きに説明できるように準備することが重要です。

公務員保育士に向いていない人の特徴は?

公務員保育士に向いていない人の特徴は、同じ施設で長く働き続けたいと考える人です。公務員保育士は定期的に異動があるため、職場が変わることに抵抗がある人には向いていないでしょう。

また、公務員保育士は保育園以外の部署で働く機会もあり、異なる職場や業務に柔軟に対応することが求められます。このような変化に適応できない人には、向いていない可能性があるでしょう。

保育士から公務員の事務職に転職することは可能?

保育士から公務員の事務職への転職は可能です。ただし、事務職は保育士とは異なる業務内容やスキルが求められるため、転職の際には一定の準備が必要です。

また、公務員の事務職は採用試験がある場合が多いため、その試験に合格する必要があります。事務職への転職を考えている場合は、必要な資格やスキルを取得し、転職に向けた準備を進めましょう。

まとめ

公務員保育士として、働きやすい環境や安定した給与、待遇に安心感を持っている方も多いでしょう。しかし、近年では保育士待遇が改善され、公立保育園が必ずしもほかの保育施設より優れているわけではなくなっています。公務員という安定した立場を手放すことへの不安や、「安定している職場を辞めるのはもったいない」という気持ちも理解できますが、辛さやストレスを我慢し続けることは、心身に深刻な影響を与える可能性があります。

もし現在の仕事が自分に合っていないと感じるのであれば、ほかの保育施設や異業種への転職も選択肢として考えてみましょう。自分のライフスタイルや価値観に合った仕事を見つけることが、転職後の後悔を防ぐポイントです。

執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

この記事をシェアする

  • Facebookでシェアする
  • Xでポストする
  • LINEで送る
  • はてなブックマークでブックマークする

保育士・幼稚園教諭の転職なら

レバウェル保育士
  • 非公開
    求人あり

  • LINEで
    気軽に相談

  • 面接対策
    ・条件交渉

転職サポートを受けてみる