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幼稚園教諭の免許更新は廃止になった!再授与手続きが必要なのはどんな人?

  • #幼稚園教諭
3人の幼稚園教諭の画像

幼稚園教諭の免許をお持ちの方の中には、「免許の更新は必要なの?」「手続きはどうすれば良いの?」と疑問に思っている方もいるかもしれません。以前は幼稚園教諭も免許更新が必要でしたが、現在は制度が廃止されたため基本的に手続きは不要です。 この記事では、制度廃止の背景やその影響、制度廃止後の幼稚園教諭免許の扱いについて解説します。再授与申請手続きの方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人

A

「レバウェル保育士」編集部

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幼稚園教諭の免許は更新する必要がある?

結論からいうと、現在は幼稚園教諭の免許を更新する必要はありません。2022年7月1日の法改正によって教員免許更新制が廃止されたためです。

これまで教員免許には10年間の有効期限があり、幼稚園教諭もその対象でした。しかし制度の廃止により2022年7月1日時点で有効な免許状に関しては、手続きなしでそのまま生涯有効となりました。そのため、たとえ免許状に有効期限が記載されていても、現在は効力がなく更新の心配は不要です。 幼稚園教諭免許の取り扱いについての説明画像

ただし、図にもあるように、制度廃止の施行日(2022年7月1日)以前に有効期限が切れていた場合は、別途手続きが必要です。手続きの詳細はのちほど解説します。

出典

文部科学省「教員免許更新制(アーカイブ)新規タブリンク」(2025年4月16日)

教員免許更新制が廃止された理由

教員免許更新制は2009年4月1日に導入されてから約13年間続きました。政府はこの制度の廃止を「発展的解消」と位置付けていますが、教育現場では制度に対する否定的な意見が多かったのも事実です

文部科学省の「令和3年度『免許更新制高度化のための調査研究事業』結果概要(p6)新規タブリンク」によると、教員免許更新制全般に対する自由意見の約半数が「制度を廃止すべき・制度に意義を感じない」となっています。ここでは、こうした背景や制度廃止に至った主な理由を紹介します。

講習の受講時間を確保するのが困難だったため

教員免許更新制では、免許を更新するために2年間で30時間以上の更新講習を受講・修了する必要がありました。しかし、日々の業務に追われる教員にとって、講習に充てる時間を確保するのは簡単なことではありません。

実際、文部科学省の「令和3年度『免許更新制高度化のための調査研究事業』結果概要(p5)新規タブリンク」によると、全体の84.7%が講習時間に対して負担を感じていたと報告されています。

実践的な効果が十分に見込めなかったため

教員免許更新制は、教員に求められる資質や能力の維持・向上を目的として導入された制度でした。しかし、現場の教員からは、「実際の教育現場の実情やニーズに合っていない」といった批判的な声が寄せられていました

文部科学省の「令和3年度『免許更新制高度化のための調査研究事業』結果概要(p4)新規タブリンク」によると、「受講した講習が現在の教育現場で役に立っているか」という問いに対し、「役立っている」「やや役立っている」と回答した人は全体の33.4%に留まっています。また、「同調査(p5)新規タブリンク」では、その理由として以下の点が挙げられています。

  • 現実との乖離があり実践的な内容でないため

  • 希望した講義ではなかった&義務感で受講したため

  • 情報が古い&すでに知っている内容だったため

教員免許更新制には「学びの機会が増える」といった肯定的な評価もありました。それでも、制度の実効性や効果については多くの教員が疑問を感じていたようです

教員不足を招く可能性が指摘されていたため

教員免許更新制では、自分で講習を選び受講の申し込みを行わなければならず、その手間や負担の大きさも指摘されていました。また、免許の有効期限を勘違いして失効してしまう、いわゆる「うっかり失効」も少なからず発生していたため、このような負担やリスクが教員不足を深刻化させるのではないかと懸念されていたのです

文部科学省の「令和3年度『免許更新制高度化のための調査研究事業』結果概要(p5)新規タブリンク」によると、55歳時の受講負担について、全体の36.8%が「早期退職のきっかけとなると思う」と回答しています。

出典

文部科学省「令和3年度『免許更新制高度化のための調査研究事業』結果概要新規タブリンク」(2025年4月16日)
文部科学省「教員免許更新制(アーカイブ)新規タブリンク」(2025年4月16日)

教員免許更新制廃止による幼稚園教諭への影響

ここまで、小学校や中学校、高等学校の教員の意見を中心に取り上げてきましたが、教員免許更新制の廃止は幼稚園教諭にも前向きな変化をもたらしています。

更新費用や講習時間の負担が解消される

教員免許更新制が廃止されることで、幼稚園教諭にかかる更新費用や講習時間の負担が解消されるというメリットがあります。これまで、更新講習では、受講に伴う疲労に加えて受講料も自己負担しなければならず、幼稚園教諭にとっては大きな負担となっていました。

実際、文部科学省の「令和3年度『免許更新制高度化のための調査研究事業』結果概要(p5)新規タブリンク」によると、受講費用に対して全体の87.0%が負担を感じていたと報告されています。

出典

文部科学省「教員免許更新制(アーカイブ)新規タブリンク」(2025年4月16日)
文部科学省「令和3年度『免許更新制高度化のための調査研究事業』結果概要新規タブリンク」(2025年4月16日)

復職に対する希望を抱きやすくなる

教員免許更新制は、その煩雑な手続きが復職の障壁となっていた面もありました。しかし、制度が廃止されたことで、講習や手続きにかかる負担がなくなり、以前よりも現場に戻りやすくなった利点もあります。手続きの負担が解消されることで、再び幼稚園教諭として働く意欲が高まり、結果的に幼稚園教諭の不足解消につながると期待されているのです。

保育士が認定こども園に勤務・転職しやすくなる

教員免許更新制が廃止されたことで、保育士が認定こども園への勤務や転職をしやすくなるという側面もあります

保育士が幼保連携型認定こども園で働くには、保育士資格に加えて幼稚園教諭免許も必要です。これまでは資格の有効期限が障害となり、せっかく資格を持っていても活用できないことがありました。制度が廃止され有効期限を気にせずに働けるようになったことで、保育士不足の解消や園の運営の向上も期待されています。

幼稚園教諭免許状の有効期限の確認方法

以下の表では、幼稚園教諭免許状の有効期限を確認する方法をまとめました。自分の免許が有効かどうか、期限が切れていないかをチェックする際の参考にしてください。

これまでに更新手続きを行ったことがない場合 これまでに更新手続きを行ったことがある場合
旧免許状(更新制導入前の授与)所持者の場合 文部科学省の「修了確認期限をチェック新規タブリンク」を確認 更新等の手続き時に発行された証明書を確認
新免許状(更新制導入後の授与)所持者の場合 免許状に記載の「有効期間の満了の日」を確認 更新等の手続き時に発行された証明書を確認

文部科学省の「教員免許状の有効期間確認ツールについて~更新時期確認の御参考に~新規タブリンク」では、入力画面に必要な情報を入力すると、自身の教員免許状の有効期間を確認することが可能です。免許状の状態を確認する際は活用してみてください。

幼稚園教諭として働いていない場合の取扱い

冒頭で「幼稚園教諭の免許は更新不要」とお伝えしましたが、現在現場を離れている方の中には、「すでに失効していたらどうなるの?」「期限が切れていたら何か手続きは必要?」と不安に思う方もいるかもしれません。下記ではその場合の対応について解説します。

幼稚園教諭免許が失効済みの場合

教員免許更新制が廃止された時点で、すでに幼稚園教諭免許状の有効期限が切れていた場合、その免許は失効しています。失効した免許が自動的に有効になることはないため、再び免許状を取得したい場合は「再授与申請手続」が必要です。再授与申請手続きの内容はこれまでよりも簡素化されているため、申請しやすくなったといえるでしょう。

出典

文部科学省「教員免許状に関するQ&A新規タブリンク」(2025年4月16日)

幼稚園教諭免許が休眠状態の場合

教員免許更新制が導入される前の「旧免許」を所持しており、これまで手続きを行わずにいた場合は自動的に有効となります。特別な準備や対応をしなくても、すぐに幼稚園教諭として働くことが可能です。このような休眠免許を持つ方は、一般的に「ペーパーティーチャー」と呼ばれます。

ただし、更新制施行中に修了確認期限超過時点で幼稚園教諭として勤務していた場合は、失効扱いとなるため「再授与申請手続」が必要です。

出典

文部科学省「教員免許状に関するQ&A新規タブリンク」(2025年4月16日)

幼稚園教諭免許の再授与手続きの申請方法

幼稚園教諭免許状の再授与を受けるには、都道府県への申請が必要です。申請方法は郵送や対面以外に、場合によっては電子申請も可能です。申請先はどの都道府県でも構いませんが、免許状を授与された都道府県に申請すれば書類を省略できる可能性があります。

申請にかかる手数料は1種類3,300円程度で、授与までには申請後約2ヶ月ほどかかります。各都道府県の窓口に関する情報は、文部科学省の「免許状授与手続窓口一覧新規タブリンク」から確認できるため、申請を検討している方はチェックしてみましょう。

出典

文部科学省「教員免許状に関するQ&A新規タブリンク」(2025年4月16日)

幼稚園教諭免許の更新に関してよくある質問

ここでは、幼稚園教諭免許の更新に関してよくある質問を紹介します。

幼稚園教諭免許の更新をしていないとどうなりますか?

教員免許更新制は2022年7月1日の法改正によって廃止されたため、今後は免許更新をしなくても幼稚園教諭として働けます。ただし、制度が廃止された時点ですでに有効期限が切れていた場合は免許が失効しているため、現場で働くには「再授与申請手続」が必要です。

出典

文部科学省「教員免許状に関するQ&A新規タブリンク」(2025年4月16日)

幼稚園教諭免許の更新に関する問い合わせ先はどこですか?

幼稚園教諭免許に関する問い合わせ先は、各都道府県の教育委員会となっています。教員免許更新制はすでに廃止されているため更新手続きは不要ですが、再授与を検討している場合は、免許を授与された都道府県の教育委員会に問い合わせるとスムーズです。各都道府県の窓口の連絡先は、文部科学省の「免許状授与手続窓口一覧新規タブリンク」でご確認ください。

出典

文部科学省「教員免許状に関するQ&A新規タブリンク」(2025年4月16日)

幼稚園教諭免許の更新廃止はいつからですか?

幼稚園教諭免許を含む「教員免許更新制」は、2022年7月1日の法改正をもって廃止されました。廃止の主な理由は、「講習の受講時間を確保するのが難しかった」「実践的な効果が十分に見込めなかった」「教員不足を深刻化させる恐れがあった」などが考えられます。詳細は、この記事の「教員免許更新制が廃止された理由」の項目をご覧ください。

出典

文部科学省「『新たな教師の学びの姿』の実現に向けて新規タブリンク」(2025年4月16日)

まとめ

教員免許更新制はすでに廃止されているため、幼稚園教諭免許も更新の必要はありません。制度の廃止により講習の受講や更新費用といった負担がなくなり、復職を検討している方にとっても一歩を踏み出しやすい状況となりました。また、すでに免許が失効している場合も、再授与申請手続きを行えば再び幼稚園教諭として働くことが可能です。手続きも以前より簡素化されているため、スムーズに進められるでしょう。

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執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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