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放課後等デイサービスとは?仕事内容や役割をわかりやすく解説!
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放課後デイサービスとは?と気になっている方もいるでしょう。放課後等デイサービスは、障がいのある子どもたちが安心して過ごし、生活スキルや社会性を身につけるための福祉サービスです。 この記事では、放課後等デイサービスの目的や対象児童、仕事内容や資格、働くメリット・デメリットについて詳しく解説します。保育士や福祉分野での転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
放課後等デイサービスとは?
放課後等デイサービスとは、障がいや発達に特性のある子どもを対象に、児童福祉法に基づいて提供される福祉サービスの1つです。個々に合わせた支援計画をもとに、日常生活のスキル向上や集団生活への適応を支援します。障害を持つ子どもが通う学童保育的な役割も果たしており、家庭や学校とは異なる環境で心身の成長を促し、将来の自立へとつなげることが目的です。
また、子どもだけでなく保護者の負担軽減も担っており、家庭や学校と連携しながら、一貫した支援体制を整え、安心して成長できる環境を提供しています。
放課後等デイサービスの目的
放課後等デイサービスは、障害のある子どもたちが学校の授業後や長期休暇中に利用できる福祉サービスで、主に以下の3つの目的を持っています。厚生労働省の「放課後デイサービスガイドライン」を参考に、それぞれ詳しくみていきましょう。
1.子どもの最善の利益の保障
児童福祉法に基づき、子ども一人ひとりの成長を支えることが重要視されています。日常生活に必要なスキルの習得や社会とのつながりを深める機会を提供し、家庭や学校とは異なる環境での経験を通じて、心身の発達をサポートをするのが目的です。
2.共生社会の実現に向けた後方支援
地域社会の一員として、自立した生活を送れるよう支援することも大切な役割です。集団での活動を通じて社会性を育み、放課後児童クラブや児童館などの子育て支援機関とも連携しながら、適切なサポートを行います。
3.保護者支援
子どもだけでなく、その家族を支えることも放課後等デイサービスの重要な役割です。子育てに関する相談対応や、家庭での関わり方のアドバイス、ペアレント・トレーニングなどを通じて、保護者が安心して子どもと向き合えるよう支援します。
また、一時的に子どものケアを代行することで、保護者が自分の時間を確保できる環境づくりにも取り組んでいます。
放課後等デイサービスの対象児童
厚生労働省の「放課後等デイサービスの現状と課題について(p.4)」によると、放課後等デイサービスを利用できるのは、障害のある子どもや発達に支援が必要と認められた子どもです。対象となるのは、原則として小学生から高校生(6歳~18歳)までの就学児童で、知的障害や発達障害などの診断がある場合、または医師や専門機関によって支援の必要性が認められた場合に利用できます。
ただし、例外的に、18歳を超えても引き続き支援が必要と判断された場合は、最長で20歳まで利用を継続することが可能です。
なお、利用の条件として「支援の必要性が認められること」が求められるため、自治体によっては障害者手帳や療育手帳の取得が必須ではなく、診断書や専門機関の意見などで利用が認められるケースもあります。
出典
厚生労働省「放課後デイサービスガイドライン」(2025年4月3日)
厚生労働省「放課後等デイサービスの現状と課題について」(2025年4月3日)
放課後等デイサービスと児童発達支援の違い
放課後等デイサービスと児童発達支援は、どちらも障害のある子どもを支援する福祉サービスですが、対象年齢や支援内容に違いがあります。
項目 | 児童発達支援 | 放課後等デイサービス |
対象年齢 | 未就学児(小学校入学前) | 小学生~高校生
(原則18歳まで・必要に応じ20歳まで) |
支援の目的 | 生活習慣や基本的な動作の習得 | 学校生活や社会での自立支援 |
主な支援内容 | ・着替え、食事、片付けなどの自立訓練
・歩く・走るなどの運動機能向上 | ・対人関係や自己管理のスキル習得
・学習サポートや職業支援(高学年向け) |
利用料金 | 9割を国や自治体が負担、1割を家庭が負担(所得により上限あり)
※3~5歳は無償化 | 9割を国や自治体が負担、1割を家庭が負担(所得により上限あり) |
このように、児童発達支援は基本的な生活習慣の獲得、放課後等デイサービスは学校生活や社会での自立支援を目的とし、子どもの成長段階に合わせた支援を行っています。
放課後等デイサービスで働くのに必要な資格とは?
放課後等デイサービスで働くために必ずしも資格が必要というわけではありませんが、特定の資格を持っていると、採用の際に有利になりやすいでしょう。
ここでは、放課後等デイサービスの職員として役立つ資格と、それぞれの役割について説明します。
1.児童指導員
児童指導員とは、児童福祉施設などで子どもの発達を支援し、生活指導や学習サポートを行う任用資格です。放課後等デイサービスでは、子ども1人ひとりの特性に合わせた支援を行うのに役立つでしょう。
児童指導員の任用資格を取得するには、「児童福祉施設の職員養成学校を卒業する」や「規定の学校で必要単位を習得する」、「社会福祉士・精神保健福祉士の資格を取得する」などの要件を満たす必要があります。
2.保育士
保育士は、保育に関する専門的な知識や技術を有していることを証明する国家資格です。放課後等デイサービスでは保育士または児童指導員の配置基準(利用者10名に対し2人以上)が設けられているため、現場からの需要が高いといえるしょう。
保育士資格を有していれば、子どもの年齢や発達段階に応じた支援を行えるのがポイントです。保育士資格を取得するには、養成施設の卒業や保育士試験の合格などが求められます。
3.児童発達支援管理責任者(児発管)
児童発達支援管理責任者は、子ども一人ひとりに合わせた個別支援計画を作成する重要な役職です。資格を取得していると、放課後等デイサービスの管理者やリーダーとしてキャリアアップの道が開けるほか、施設運営に関わるポジションで活躍ができます。
なお、資格取得には5年以上の実務経験と専門研修の受講が必要です。
4.機能訓練指導員の対象となる資格
放課後等デイサービスでは、「機能訓練指導員として活躍できる資格」も採用の場で有利になりやすいしょう。具体的には、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの資格が挙げられます。放課後等デイサービスには身体の使い方が不安定な子どもや、感覚に過敏・鈍感さのある子どもがいるため、これらの資格を活かして機能訓練指導員として働けば、リハビリや感覚統合の視点を取り入れた訓練をすることが可能です。
放課後等デイサービスの仕事と支援内容
ここでは、放課後等デイサービスで行われる主な支援内容と業務について詳しく説明します。障害のある子どもたちが自立した生活を送れるようにするには、どのようなサポートが求められるのかを確認してみましょう。
子どもへの支援
放課後等デイサービスでは、対象となる子どもたちの発達段階や障害の特性に応じた支援を行う必要があります。基本となる4つの活動は以下のとおりです。
自立支援と日常生活の充実
放課後等デイサービスでは子どもが日常生活の基本的な動作や自立生活を送れるよう、下記のような発達に応じた支援を行います。
着替えや歯磨きなどの身の回りのこと
持ち物管理や片付けなどの日常生活の習慣
買い物やお金の使い方などの金銭感覚
コミュニケーション力を養うための気持ちの伝え方
こうした成功体験を重ねることで、子どもたち自身の「自分にもできる」という気持ちを育てます。生活力や社会性を楽しく育てられれば、将来の自立にもつながるでしょう。
創作活動
子どもたちが表現する喜びを体験できるよう、豊かな感性を養うことも、放課後等デイサービスで働く職員の仕事です。具体的な活動は、季節の変化を感じながら自然と触れ合う体験や、絵の具や紙粘土を使った工作活動、友だちと協力してひとつの作品を作り上げる集団制作など。学校の学習とは異なるアプローチで、「自分らしく表現できること」を支援します。
地域交流の機会の提供
放課後等デイサービスで働く職員は、子どもたちの社会経験を広げるための支援も行います。地域で開催されているイベントへ積極的に参加したり、ほかの福祉施設と交流をしたりすることで、他世代の方々と触れ合う機会をつくれるでしょう。こうした体験を通じて、子どもたちが人と関わる楽しさを知り、自然とコミュニケーション力を育めるようサポートしていきます。
余暇の提供
放課後等デイサービスでは、子どもがリラックスできるよう、好きな遊びや活動を通じて情緒の安定を図ります。
休日や長期休暇に外出する機会を提供したり、季節ごとのイベントを提供したりすることで、家庭や学校では経験できない新たな体験を積むサポートができるでしょう。子どもたちが自分自身をリラックスさせる方法を学び、自由に「やりたいこと」を選び取る力を育むのも仕事の1つです。
保護者対応
放課後等デイサービスでは、保護者への支援を行うことも重要な業務です。保護者との連携を深めるために、子どもの支援内容や生活状況を報告し、相談に応じます。具体的には、子どもたちの発達に関するアドバイスを行ったり、家庭内で保護者が適切な対応を取れるよう支援力を高めたりすることが挙げられるでしょう。
その他の業務
放課後等デイサービスの職員は、子どもへの直接的な支援だけでなく、支援の実績を記録するために「実績記録票」や「サービス提供記録」の作成も行います。また、支援後の送迎業務を担当したり、事業所によっては、給食の調理や準備を担当したりする場合も。これらの業務を通じて、サービスの質を保ち、円滑な運営が行われるように努めています。
保育士が放課後等デイサービスで働くメリット・デメリット
放課後等デイサービスで働くときは、子どもたちと向き合える一方で、多くの知識が必要になります。ここでは、放課後等デイサービスで働く保育士としてのメリットとデメリットをまとめました。
メリット
保育士が放課後等デイサービスで働くメリットは、少人数制のため、子ども一人ひとりとじっくり向き合うことができる点が挙げられます。個別の支援がしやすく、子どもの成長を直接感じられるため、やりがいを感じやすいでしょう。また、放課後等デイサービスは勤務時間が比較的安定しており、残業が少ないため、ワークライフバランスが取りやすいのも特徴です。
デメリット
放課後等デイサービスでは障害に関する多角的な知識が必要なため、状況に適した対応が求められる大変さがあります。想定外の行動にも柔軟に対処していくため、責任感やプレッシャーを感じやすいかもしれません。また、働く側と保護者側とでは認識の違いが見られることから、保護者対応によるストレスを受けやすいこともデメリットとして挙げられます。
保育士が放課後等デイサービスへ転職する際のポイント
ここでは、保育士としての経験を活かして放課後等デイサービスに転職する際のポイントをご紹介します。転職前に押さえておきたいポイントを整理してみましょう。
仕事内容は保育園と共通点が多い
放課後デイサービスの仕事内容は、子どもの迎えやトイレ介助、体操などの集団活動、宿題のサポートや帰りの送迎など、保育園での業務と多くの共通点があります。ただし、放課後デイサービスは施設によって特色があり、運動に特化したり学習支援を重視したりする場合も。保育士としての経験を活かしながらも、新たな業務に適応する必要もあるでしょう。
児童指導員や保育士の資格を活かせる
2017年4月から施行された新基準により、放課後デイサービスの職員は児童指導員、保育士、または障害福祉サービス経験者(2年以上)であることが必須とされています。保育士として活躍してきた方はそのまま資格を活かして勤務できるため、転職がしやすい職場ともいえるでしょう。
保育園よりも高待遇な場合がある
放課後デイサービスの給与や待遇は、保育園で働く保育士よりも良い傾向にあります。主に障害児を対象とした業務であり、自治体からの補助金を受けられるため、安定した給与が支払われることが一般的です。また、勤務時間が短かったり、福利厚生が充実していたりすることから、保育士の転職先として人気があります。
放課後等デイサービスに向いている人の特徴
放課後等デイサービスに向いている人の特徴には、「子どもとじっくり関わりたい人」や「個別支援や発達支援に興味がある人」、「社会貢献を実感しながら働きたい人」などが挙げられます。下記では放課後等デイサービスで働くのに向いている人についてまとめたので、自分の特性と照らし合わせながら適性を考えてみてください。
子どもとじっくり関わりたい人
放課後等デイサービスで最も大切なのは、子ども1人ひとりに寄り添うことです。特に障がいのある子どもたちは、指示がとおりにくかったり、感情的になりやすかったりする傾向があります。「子どもと触れ合うのが好き」というだけでなく、「一緒に成長していきたい」という熱意を持ち、彼らの成長をサポートしたいという思いがある人に向いているといえるでしょう。
個別支援や発達支援に興味がある人
放課後等デイサービスの仕事では、障がいのある子どもたち1人ひとりに合わせた個別支援が求められます。発達支援や生活スキルの向上を支援するためには、子どもの特性を理解し、適切な方法で支援することが重要です。子どもの成長を支援したいという気持ちや、発達支援のノウハウを学びたいという意欲がある人に向いているでしょう。
チームで連携して働くのが得意な人
放課後等デイサービスでは、ほかのスタッフとの連携が不可欠です。スタッフ同士で情報を共有し、協力して子どもたちをサポートするため、チームで働く力が求められます。コミュニケーション能力や協調性を発揮して、チームの一員としてしっかり働ける人が向いているでしょう。
コミュニケーションを大切にできる人
子どもたちだけでなく、保護者やほかの施設のスタッフ、学校の先生との連携も重要な仕事の1つです。放課後等デイサービスで働くスタッフは、子どもとの関わりだけでなく、保護者への報告や相談、ほかのスタッフとの意見交換を頻繁に行います。そのため、しっかりとしたコミュニケーションを取り、円滑な情報共有ができる人に向いています。
社会貢献を実感しながら働きたい人
障がいのある子どもたちの発達や社会生活の支援を行うため、社会貢献を実感しながら働きたいという思いを持つ人はやりがいを感じられるでしょう。自分の仕事が子どもたちの未来に直接的な影響を与えることを実感しながら働けるため、社会貢献を大切にしたいと考えている人に適しています。
放課後等デイサービスでのキャリアパス
放課後等デイサービスで実務経験を重ねれば、専門職としての道や福祉・教育の分野でのキャリアチェンジ、行政・地域支援の仕事に進む道など、さまざまなキャリアパスが広がっていきます。ここでは、それぞれのキャリアパスについて詳しくみていきましょう。
専門職としてのスキルアップ
放課後等デイサービスの現場で経験を積んだのち、さらなる専門的な知識とスキルを深めるなら、児童発達支援管理責任者の資格を目指す方法があります。児童発達支援管理責任者の資格を取得すれば、支援計画の立案や施設管理に携わることが可能です。
そのほか、児童心理や特別支援教育の分野での資格取得を目指すことも、特別な支援が必要な子どもたちへの理解を深め、より質の高い支援を提供するためのステップとなるでしょう。
福祉・教育分野へのキャリアチェンジ
放課後等デイサービスで培った知識や経験をもとに、福祉や教育の分野へキャリアチェンジする道もあります。特別支援学校の教員を目指す場合、教員免許を取得することで、学校という環境で障害のある子どもたちの支援に携わることが可能です。
また、福祉施設の運営やマネジメント職へ進むことで、より広い視点で組織や支援体制の構築に関われます。
行政や地域支援での活躍
放課後等デイサービスでの業務経験を生かし、行政や地域支援の分野で活躍する道もあります。自治体の福祉担当職員として勤務すれば、児童福祉に関する政策の企画や支援制度の運営に携われ、より多くの子どもたちや家庭を支援する立場となることが可能です。
また、地域コミュニティでの子育て支援に関わることで、NPOや地域団体と連携しながら、障害のある子どもとその家族をサポートする活動を広げることもできます。
放課後等デイサービスに関心のある保育士によくある質問
ここでは、放課後デイサービスについてよくある質問にお答えします。ぜひ参考にしてみてください。
保育園と放課後等デイサービスの仕事内容の違いは?
保育園と放課後等デイサービスの仕事内容の違いは、対象とする子どもの年齢と支援の内容です。保育園は主に未就学児を対象に、基本的な生活習慣の指導や集団生活を通じた成長をサポートします。
一方、放課後等デイサービスは小学生から高校生までの就学児を対象とし、障害のある子どもが日常生活を自信を持って送れるよう個別支援計画に基づいたサポートを行います。また、保育士の業務には、子どもの生活支援に加え、事務作業や送迎対応なども含まれる点が特徴です。
放課後等デイサービスの仕事はきつい?
放課後等デイサービスの仕事が「きつい」と感じるかどうかは、人によってさまざまです。保育士は障害のある子どもたち一人ひとりに合わせたサポートをするため、子どもの特性を理解しながら柔軟に対応する必要があります。支援計画の作成や記録業務、送迎対応など保育以外の業務も多く、体力や精神的な負担を感じることもあるでしょう。
その分、子どもの成長を間近で感じられるやりがいの大きい仕事であり、子どもと関わることが好きで寄り添った支援をしたい人には、充実感を得られる職場といえます。
放課後等デイサービスで健常児を支援することはある
放課後等デイサービスは、障がいのある子どもを対象とした福祉サービスのため、健常児をサポートする機会はありません。ただし、普通学級に在籍していても発達障がいや軽度の障がいがある場合は、医師の診断や自治体の判断によって利用が認められることがあります。
まとめ
放課後等デイサービスは、障がいのある子どもたちが社会で必要な経験を積み、地域とのつながりを深める大切な場です。一時的な見守りによって保護者の負担を軽減し、仕事や家庭生活に専念できる家族支援の役割も果たしています。保育士として放課後等デイサービスで活躍すれば、多くの子どもたちの成長を支えられるでしょう。
放課後等デイサービスでの仕事に興味がある方や転職を考えている方は、転職支援サービスを活用するのも1つの方法です。「レバウェル保育士」は、保育業界に特化した転職支援サービスで、キャリアアドバイザーが履歴書や職務経歴書の書き方、面接対策などをサポートを行っています。初めての転職であっても、採用側の視点を踏まえた熱意の伝わる転職理由を一緒に考えてもらえるため、自信を持って活動を進められるでしょう。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。