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保育士の大変なことは?仕事の悩みや対処法、無理なく働ける保育園の選び方
- #保育士

「保育士って大変そう…」というイメージを持っている方もいるかもしれません。確かに、保育士は仕事量や人間関係、待遇面などで悩みを抱えがちですが、大変さの度合いは園の方針やサポート体制によって異なります。この記事では、保育士の仕事が大変といわれる理由や負担を軽減するための工夫、働きやすい職場の見つけ方を解説します。これから保育業界を目指す方はもちろん、すでに働いている方もぜひ参考にしてください。
この記事のまとめ
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保育士の大変なことには重い責任や低賃金、業務量などがある
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子どもの成長や感謝の言葉が、大変さを乗り越える力になる
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業務効率化の推進と余裕のある人員配置が働きやすさのポイント
目次
保育士が大変なこととは?
ここでは、保育士の大変なことを7つ紹介します。現場でよく聞かれるエピソードをまとめたので、保育士の仕事を理解するのにお役立てください。
子どもの命を預かる責任が重い
保育士の仕事で大変なことの1つは、子どもたちの命と安全を預かるという重大な責任を背負っている点です。子どもはときに予想できない行動を取るため、ケガや事故を防ぐには保育士が常に気を配り続ける必要があります。
保育現場では、複数の子どもを同時に見守るのが日常であり、「この子も、あの子も、ちゃんと安全か」と絶えず周囲に目を光らせなければなりません。そのため、責任感が強い人ほど「万が一のことがあってはいけない」という強いプレッシャーを感じやすくなります。
業務量と給料にギャップがある
業務の多さに対して給料が見合っていない点も、保育士の大変なことの1つです。保育士の仕事は、子どもの保育だけでなく、書類作成や保育環境の整備、行事の準備など多岐にわたります。手作業の事務仕事が多い職場では、勤務時間内にすべてを終えることが難しく、持ち帰り仕事になるケースも珍しくありません。
国や自治体による待遇改善の取り組みは進められているものの、保育士の平均賃金は依然として全産業の平均を下回っているのが現状です。このような状況から、「これだけ働いても報われない」と感じたり、生活への不安から将来に悩んだりする人もいるのです。
出典
こども家庭庁「令和7年度以降の処遇改善等加算について」(2025年9月25日)
ハードな勤務で体力的にきつい
保育士の仕事は想像以上に体力を消耗するため、大変さを感じる保育士もいます。たとえば、乳児クラスでは、子どもを抱き上げたりおむつを替えたりと体を使う動作が繰り返されます。幼児クラスでは、活発な子どもたちと一緒に走り回ったり遊んだりと動き回ることが多くなるでしょう。中腰や前かがみの姿勢が続き、腰痛や肩こりに悩まされる保育士も少なくありません。
また、運動会や発表会などの行事前には準備のために残業が増え、体力の負担が増すことも。シフト制による勤務スケジュールも、生活リズムが乱れやすく疲労が溜まる要因の1つといえます。
子どもとの関わり方に悩みやすい
保育士の仕事で大変なことの1つが、子どもとの関わり方に悩みやすい点です。子どもたちは一人ひとり個性や発達段階が異なるため、対応に迷う場面も多くあります。特に新人のうちは、次のような子どもの行動に戸惑いや焦りを感じやすいでしょう。
噛みつく
引っ掻く
かんしゃくを起こす
話を聞いてくれない
声掛けに反応してくれない
なかなか心を開いてくれない
叩こうとする
泣き止んでくれない
試し行動をしてくる
保育士には、子どもとの信頼関係を築きながらも、状況に応じたルールの伝え方や声掛けの工夫が求められます。そのため、「この対応で良かったのか」「もっと良い方法があったのでは」と自分を責めて落ち込むことも少なくありません。
人間関係でストレスが溜まりやすい
保育士の仕事で大変なことには、人間関係によるストレスも挙げられます。悪口や陰口が絶えなかったり、園内に派閥や強い上下関係があったりすると気持ちが疲れてしまいがちです。中には、園長の機嫌を気にしながら働くような緊張感のある職場もあります。
また、複数の保育士で1つのクラスを担当する複数担任制では、それぞれの保育観ややり方の違いから意見がぶつかることもあります。こうした人間関係のストレスが積み重なると、保育士としてのやりがいや喜びを感じにくくなってしまうこともあるのです。
保護者対応が精神的にしんどい
保護者対応は、保育士が大変に感じやすい仕事の1つです。保護者との良好な関係づくりは、保育の質を高めるうえで重要ですが、その一方で大きなストレスになることもあります。細かな要望や苦情への対応、子どもの様子を分かりやすく伝えることは簡単ではなく、価値観が異なる保護者にどう接すれば良いか悩むことも多いでしょう。特に経験の浅い若手保育士は、経験不足から自信が持てず、精神的な負担を感じやすい傾向にあります。
プライベートとの両立が難しい
保育士の大変なこととして、プライベートとの両立が難しい点も挙げられます。保育士の中には、やむを得ず残った仕事を自宅に持ち帰ったり、行事や製作物の準備を家で進めたりする人もいます。気づけば夜遅くまで作業をしている場合もあるでしょう。
また、人手不足の園では、体調を崩しても休みにくい雰囲気があり、無理をして出勤するケースも見られます。このような環境では心身ともに休まらず、休日でさえ仕事のことを考えて過ごしがちです。
新人が保育に大変さや不安を感じるのは自然なこと
保育の現場に入ったばかりの新人が、戸惑いや不安を感じるのは自然なことです。現場では、学校では学びきれない実践力が求められます。1年目は覚えることが多く、以下のように「自分だけうまくいっていないのでは」と感じる場面もあるでしょう。
子どもと心の距離を縮めようと焦ってしまった
注意することにばかり意識が向いてしまった
子どもの気持ちにもっと寄り添うべきだった
泣き止ませることを優先してしまった
厳しい言い方になってしまった
こうしたつまずきは誰にでも起こるものです。大切なのは、「どうしてうまくいかなかったのか」「次はどうするか」を考えて、先輩に相談しながら少しずつ改善していくことです。「向いていないかも…」と思っても焦らず、一歩ずつ経験を積みましょう。職場選びで悩んだら、保育業界に詳しい転職アドバイザーに相談するのもおすすめですよ。
保育士が大変なことに悩まないための方法
保育士の仕事には大変な場面もありますが、工夫や意識の持ち方次第で悩みを軽くすることも可能です。ここでは、保育士が毎日を前向きに働くためのコツを紹介します。
ほかの保育士との報告・連絡・相談を徹底する
保育現場の大変さを減らすためには、同僚との報告・連絡・相談(ホウレンソウ)を徹底することが大切です。トラブルが起きたり対応に困ったりしたときは、自分だけで抱え込まず早めに相談しましょう。園児の安全を守るためにも周囲との連携は不可欠です。
また、「こんなこと聞いて良いのかな」とためらわず、分からないことは素直に尋ねましょう。保育に絶対の正解はありません。ほかの人の視点やアイデアが、解決のヒントになることもあります。
積極的なコミュニケーションで信頼関係を築く
良好な人間関係は業務をスムーズに進めるための土台となります。無理に親しくなる必要はありませんが、互いに気持ちよく働ける関係性の維持は大切です。朝の挨拶や日々の声掛け、感謝の言葉など、小さなやりとりの積み重ねが信頼関係を育てます。
意見が合わず大変に感じるときは、自分の考えだけを押し通すのではなく、相手の話にも耳を傾けることが大切です。苦手意識を持つ保育士がいる場合は、その人とうまく関係を築いている同僚の接し方を観察してみるのも有効でしょう。
自分の保育観に合う職場選びを行う
保育士として長く安心して働き続けるには、自分の保育観に合った職場を選ぶことが大切です。たとえば、「一人ひとりの子どもと丁寧に関わりたい」「じっくり保育をしたい」と考えていても、実際の現場が忙し過ぎるとストレスを感じたり違和感を覚えたりすることがあります。
就職や転職を考えるときには、給与や通勤距離といった条件だけでなく、園の保育方針や実際の雰囲気もきちんと確認するようにしましょう。できれば園見学などを通じて、自分の目で確かめるのが理想です。「ここなら自分らしく働けそう」と思える職場に出会えれば、大変な日があっても前向きに頑張れます。
体調管理も仕事の一部と考える
保育士の仕事は、体力と気力を必要とするハードな職業です。だからこそ、自分の体と心をしっかりケアすることも仕事の一部と考えましょう。具体的な方法は、十分な睡眠やバランスの良い食事、適度な運動、休日にリフレッシュすることなどです。こうした健康的な生活が、安定した保育を行うための土台になります。
また、体調が悪かったり疲れが強いと感じたりしたときは、無理をせず休むことも大切です。子どものためにと頑張り過ぎると、自分を追い込んでしまう恐れがあります。
大変なことがあっても保育士を続けたいと思う理由
保育の仕事では、悩みや困難に直面することも多々あります。しかし、子どもたちの笑顔や成長に触れた瞬間に、「やっぱりこの仕事が好き」と実感する保育士も少なくありません。
ここでは、大変なことがあっても保育士を続けたいと思う理由を紹介します。
子どもの成長をそばで感じられるため
保育士の仕事の大きな魅力は、子どもたちの成長の瞬間をそばで見守れることです。できなかったことができるようになったときの誇らしげな表情や、少しずつ言葉が増えていく様子、友だちとの関わりが深まっていく過程を目の当たりにできるのは、保育士ならではの特権といえるでしょう。
また、入園当初は泣いていた子が笑顔で登園するようになったり、自分の声掛けや関わりが子どもに良い影響を与えたりする瞬間にも喜びを感じられます。子どもたちの未来を育てているという実感が日々の大変さを乗り越える力になるのです。
保護者との信頼関係が励みになるため
保護者からの「ありがとう」の言葉や感謝の気持ちは、保育士にとって励みとなります。子育ての悩みを打ち明けてもらったり、「先生がいて安心できる」と言ってもらえたりすると、保育士としての存在意義を強く感じられるでしょう。
また、保護者と一緒に子どもの成長やできるようになったことを喜び合う瞬間も、特別な時間です。保護者の笑顔や感動に触れることで、日々の仕事が単なる業務ではなく社会を支える大切な役割を果たしていると実感できます。
イベントの成功で準備の苦労が報われるため
運動会や発表会などの行事は準備に多くの時間と労力がかかりますが、本番での子どもたちの様子や保護者の喜ぶ姿を目にすると、それまでの大変さが一気に報われたように感じます。練習の成果を発揮し自信に満ちた子どもたちの表情は、保育士にとって何よりの喜びです。また、同僚や上司からねぎらいの言葉をもらうことで、努力が認められたという安心感が得られ、「やって良かった」と思えるでしょう。
保育士の大変さをカバーできる職場の特徴
保育士の仕事には大変な面もありますが、すべての職場が同じように厳しい環境というわけではありません。職場の方針や体制によって働きやすさには大きな差があります。ここでは、保育士の大変さをカバーしやすい職場の特徴を紹介するので、就職・転職を考えている方は参考にしてみてください。
業務の効率化を推進している
業務の見直しや効率化に取り組んでいる園は、保育士の大変さを軽減しやすい傾向があります。ICTシステムを活用し事務作業や情報共有をデジタル化している園では、手書きの作業が減り事務処理の手間が大幅に軽くなります。時間にゆとりが生まれれば、子どもと向き合う時間も大切にできるでしょう。
また、行事の飾りつけや製作の一部を外注している園や、残業や持ち帰り仕事が発生しないよう日々の運営体制を工夫している園もあります。「毎日クタクタになるまで働くのが当たり前」ではない職場環境を選ぶことで、安心してキャリアを築いていけるはずです。
人員配置に余裕がある
法定基準を上回る保育士を配置している職場も、仕事の大変さを和らげることが可能です。人手に余裕があることで、一人ひとりの保育士が受け持つ子どもの数が少なくなり、丁寧で目の行き届いた保育ができるようになります。また、休憩時間がきちんと確保されていたり、有給休暇が取得しやすかったりするほか、急な欠勤にも迅速に対応できる体制が整っている傾向にあるため、ストレスなく働き続けられるでしょう。
行事数が少なく準備の負担が軽い
行事の準備にかかる負担が気になる場合は、年間の行事数が少ない園を選ぶのも選択肢の1つです。行事が多い園では子どもたちに多彩な体験を提供できるというメリットがありますが、その分準備にかかる時間や労力が増え、大変に思う保育士は少なくありません。慌ただしさを減らしてじっくり保育に取り組みたい方は、行事の数を絞り日常の保育時間を重視している園を選ぶことをおすすめします。
保育士の大変なことに関してよくある質問
ここでは、保育士の大変なことについてよくある質問を紹介します。
保育士の大変なことをランキングにするとしたら上位は何ですか?
保育士の大変さは、職場の環境や担当する子どもの年齢によって変わるため、一概に順位をつけるのは難しいでしょう。ただし、多くの保育士が感じている課題としては、「業務量が多く時間に余裕がないこと」や「保護者対応の難しさ」などがあります。また、責任の重さに対して給与が低い点や、プライベートとの両立が難しい点もよく挙げられる悩みです。詳しくはこの記事の「保育士が大変なこととは?」をご確認ください。
大変なことやつらいことを理由に転職する保育士はいますか?
ほかの職種と同じように、保育士も仕事の大変さやストレスを理由に転職することはあります。実際、転職によって環境が改善し、再び仕事に前向きになれるケースも少なくありません。園ごとに職場の雰囲気や条件は異なるため、もし今の職場で人間関係や過剰な仕事量に悩んでいるなら、我慢せずに自分に合う場所を探すのがおすすめです。
大変なことを上回る保育士のやりがいや魅力を教えてください
保育士の仕事のやりがいには、「子どもの成長に直接関われること」「社会に役立っている実感を持てること」「専門的な知識で保護者をサポートできること」などがあります。子どもの「できた!」という瞬間に立ち会い、ともに喜べるのは保育士ならではの魅力です。詳しくは、この記事の「大変なことがあっても保育士を続けたいと思う理由」をご覧ください。
ICTシステムが普及すれば保育士の大変なことは解決されますか?
ICTシステムの導入で事務作業の効率はアップしますが、保育士の大変さがすべて解決するとはいえないでしょう。操作方法を身につけるには時間や研修が必要で、デジタル機器に慣れていない方には負担となることもあります。ICT化は必要な取り組みですが、業務内容や人員配置の見直しなども含め、働きやすい環境づくりを総合的に進めることが大切です。
まとめ
保育士の仕事は、子どもの命を預かる責任や多忙な業務、体力・精神面の負担など大変なことも少なくありません。その一方で、子どもの成長に寄り添える喜びや、自分の関わりが形になる充実感は何にも代えがたい魅力です。働きやすい環境が整った職場では、毎日生き生きと働いている保育士も多くいます。「保育士になりたいけど不安…」という方も、経験を積むうちに自然と技術や知識が身についていくので安心してくださいね。
保育士が仕事の負担を軽減するには、効率よく業務を進められる体制や適切な人員配置が整った職場を選ぶことが大切です。保育業界に特化した転職エージェントのレバウェル保育士なら、保育園の内部情報を詳しくお伝えするので、入職後のミスマッチを防げて安心です。サービスはすべて無料なので、キャリアアドバイザーと一緒に不安を解消しませんか?
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。
















