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保育士を辞めたい理由とは?対処法や退職後の選択肢、転職の流れなどを解説

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腕を組み悩んでいる保育士のイメージ

保育士のなかには、「保育士を辞めたい」という気持ちを抱えながら働いている人もいるのではないでしょうか。保育士を辞めたい理由は、業務量の負担が大きいことや体力的な問題などがあり、年代やタイミングによっても異なるようです。 この記事では、保育士を辞めたい理由を年代やタイミング別に解説します。保育士を辞めたいと思ったときの対処法や退職の流れ、退職後の選択肢についても説明しているので、ぜひご覧ください。

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「レバウェル保育士」編集部

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目次

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保育士を辞めたいと思い実際に離職した人の割合は?

厚生労働省の「保育士の現状と主な取組 (p.23)新規タブリンク」によると、2017(平成29)年時点における常勤保育士の離職率は9.3%です。そのうち、公営が6.3%、私営が10.8%という結果になっています。公営の保育園で働く保育士は地方公務員となるため、私営と比べると待遇面が安定していることが、「公営と私営の離職率に差がある理由」として挙げられるでしょう。
厚生労働省の「令和2年雇用動向調査結果の概況 (p.7)新規タブリンク」によると、2020(令和2)年時点で一般労働者全体の離職率は14.2%であることから、保育士の離職率は高くないのがわかります

保育士を辞めたいと思う理由

東京都福祉局の「令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)調査結果の概要 p.14新規タブリンク」によると、保育士を辞めたいと考えている人の理由には、以下のような回答が挙げられます。

保育士退職意向の理由 回答割合
給料が安い 61.6%
仕事量が多い 54.0%
労働時間が長い 35.4%
職場の人間関係 30.1%
他業種への興味 28.9%

上記は東京都で働く保育士の回答割合ではありますが、給料の安さや仕事量の多さに悩む人が多いのがうかがえます。以下では上記のデータを踏まえながら、保育士が仕事を辞めたいと思うよくある理由を解説します。

出典

東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)新規タブリンク」(2025年6月12日)

給料が安い

保育士の給料が、子どもを預かる責任の重さや仕事量に見合っていないと不満を感じるようです。厚生労働省の厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計新規タブリンク」によると、民間事業所全体と保育士の賃金は以下のようになりました。

区分 きまって支給する現金給与額
民間事業所全体 35万9,600円
保育士 27万7,200円

参照:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計新規タブリンク

こちらのデータから「きまって支給する現金給与額」を比較すると、保育士の賃金は民間で事業所全体より低いことが分かります。上記はあくまでも平均のため、実際の収入には違いが生じますが、給料面で悩む人は一定数いると考えられるでしょう。残業しても時間外手当が出なかったり、仕事量に対して明らかに給与が低かったりする場合は、希望条件に合う求人を探してみても良いかもしれません。

出典

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計新規タブリンク」(2025年6月12日)

人間関係の悩み

東京都福祉局の「令和4年度東京都保育士実態調査(報告書)p.17新規タブリンク」によると、過去に保育士として就業した人の退職理由は「職場の人間関係」が31.5%と最も多い結果となっています。勤務時間のほとんどを保育園の中で過ごす保育士にとっては、上司や同僚とのコミュニケーションがうまくいかないのは、非常にストレスを感じる状況といえるでしょう。人間関係で悩む期間が長引くと、働く環境をリセットするために、転職を検討する保育士もいるようです。

出典

東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)新規タブリンク」(2025年6月12日)

業務の負担が大きい

保育園では、子どもがお昼寝をしている間に事務仕事を行ったり、休憩したりするのが一般的です。保育士の休憩時間が十分に確保されていない園の場合、事務仕事をしているうちに休憩時間が終わってしまう場合もあるようです。行事のある時期は業務量が増える傾向にあり、勤務時間内に仕事が終わらなかった場合は、残業や持ち帰って対応するケースも。職場の勤務体制が整っていないと、心身ともに休まらず保育士を辞めたいと思う場合もあるでしょう。

ライフイベントの発生

結婚や出産などのライフイベントは、保育士を辞めるきっかけになる場合があります。子育てや家族の介護が必要になった場合、人手不足の保育園では急な休みをとりにくいと保育士を辞める原因になり得るでしょう。今の職場で自分の生活を継続できるか検討し、仕事とプライベートの両立が難しいと感じるのであれば、人員に余裕のある職場を探してみるのもおすすめです。

保護者対応が大変

保育士は保護者と子どもの様子や状況について伝える必要があります。状況によっては、保護者とのコミュニケーションがとりにくかったり、認識の違いからクレームにつながったりする場合もあるでしょう。クレーム内容は、保育士に関することから保育園の運営にまつわることまで、さまざまなパターンがあるようです。

保護者からクレームがあった場合、保育士の対応によってはトラブルに発展する可能性があるため、慎重な判断が求められます。保育士は子どもが在園中は保護者との関係が続くため、同じ保護者から頻繁にクレームがくる場合は保育士を辞めたいと感じるかもしれません。クレーム対応は早期に解決するのが重要なので、1人で抱え込まず、問題が大きくなる前に上司に相談するのが大切です。

ピアノを弾くのが苦手

「音楽に関する分野が苦手」「ピアノをうまく弾けない」という悩みから「保育士を辞めたい」という気持ちにつながる場合もあります。保育園からピアノの演奏スキルを求められると、プレッシャーに感じる人もいるでしょう。
両手での演奏が苦手な場合は、片手で演奏したり、楽譜を簡単に演奏できるようアレンジすると負担を軽減できる可能性があります。それでもピアノの高度な演奏スキルを求められる場合は、ピアノ演奏がない保育園に転職することも1つの手です。

【年代別】保育士によくある辞めたい理由

保育士を辞めたいと感じる理由は、年齢やライフステージによっても変わります。ここでは、保育士が仕事を辞めたい理由を年代別に解説します。

20代~30代の場合

20代〜30代の保育士は、今後のキャリアを考える時期です。今の職場で成長し、キャリアアップするイメージができないと判断した場合、転職を意識するきっかけになる場合もあります。保育園の規模や担当する子どもの年齢によって、経験できる仕事や身につくスキルは異なります。保育士としてのキャリアビジョンを明確にし、今の職場で実現可能かどうかを重点において考えると良いでしょう。

40代~50代の場合

40代〜50代の保育士は、仕事が体力面できついと感じたとき、保育士を辞めるか悩む原因となるようです。役職がある保育士の場合は、責任の重さにプレッシャーを感じたり、園長と現場保育士の橋渡し役になる辛さから保育士を辞めたいと思うケースも。体力面の不安や役職による悩みは、園長などの上司に相談すると改善する場合もあります。また、保育士の体力的な負担は、行事の少ない小規模な保育園などに転職すると軽減できる可能性があります。

保育士を辞めたいと感じるタイミングの例

保育士を辞めたいと感じるタイミングはどのようなときでしょうか。ここでは、保育士を辞めたいと感じるタイミングの具体例を紹介します。

保育士を初めて1年目

どのような仕事であっても、初めの1年は不安や緊張、慣れない業務などに辛いと感じる場合があります保育士も保育現場に慣れない1年目は、子どもたちへの保育に不安があったり、保護者の対応に緊張してしまったりと、なかなか気が休まらないかもしれません。思い描いていた保育士の仕事の理想と現実に差があると、ギャップを感じて辞めたいと考えるケースもあるでしょう。

年度途中

クラス替えや入園式がある忙しい新学期を乗り越えたころ、日々の保育士の激務から疲れが出る場合があります。新しく入園した子どもや保護者との関係ができてくる時期でもあり、保育や人間関係について悩みが発生することもあるでしょう。担任を持っている保育士の場合は、年度途中は辞められないという責任感から逃れたくなる場合もあるようです。

自分が保育士に向いていないと思ったとき

子どもにうまく対応できなかったり、体力的にしんどいと感じたとき、保育士として勤務する自信をなくすことがあります。子どもが好きで保育士になった人でも、実際に働いてみると「同時に多くの子どもの保育をする」という大変さに驚く場合もあるようです。保育士は、性格や発達スピードが異なる子どもたちと向き合う必要があります。また、子どもだけでなく同僚や保護者ともコミュニケーションをとる機会が多く、ストレスに感じる可能性もあります。

辞めたくても退職できないと悩む保育士にみられる状況

自分や職場の状況によって、保育士を退職する決断ができない場合があります。ここでは、辞めたくても退職できない保育士にみられる状況を解説します。

転職できるか不安

退職を決意しても、自分が希望する条件に合った職場がすぐに見つかるとは限りません。そのためためらう方も少なくないでしょう。自分の経験やスキルに自信がない場合は転職への不安が大きく、なかなか退職を決断できない傾向にあるようです。

現在の職場が人手不足

現在の職場が人手不足の場合、退職するのを伝えても引き留められる可能性があります。また、自分が退職すると「ほかの保育士に迷惑がかかるのでは」と気になり辞められない場合もあるでしょう。クラス担任を担当している場合、新学期や年度途中などの区切りが良くない時期も、退職を切り出しにくい状況だといえます。

園児と離れるのが寂しい

退職すると、今まで毎日のように顔を合わせていた子どもたちとも会えなくなります。「成長を見守っていた子どもたちと別れるのが辛い」「寂しい」と感じ、退職するのをためらう保育士もいるでしょう。慕ってくれる子どもたちの顔を思い浮かべると、退職をなかなか決断できない場合もあるようです。

保育士を辞めたいと感じるときの対処法

保育士を辞めたいと感じたらどうすれば良いのでしょうか。ここでは、保育士を辞めたいと感じたときの対処法を解説します。

保育士そのものを辞めたいのかよく分析する

「保育士を辞めたい」と感じたときは、退職したい理由を深く掘り下げるのが重要です。具体的には、今の職場に辞めたい原因があるのか、保育士の仕事内容が合わないから辞めたいのかを明確にしましょう。

「保育士の仕事にギャップがあり、保育自体が自分に向いていない」と感じるなら別の業種への転職を検討しても良いかもしれません。反対に、「今の職場の方針や勤務体制に不満はあるけれど、子どもが好きで仕事にやりがいを感じる」という場合は、保育士として活躍できるほかの職場へ転職するのも1つの方法です。

保育士を辞めた後のメリットとデメリットを考える

保育士を辞めたいと悩んでいる人は、退職後のメリットとデメリットを比較してみましょう。
保育士を辞めるメリットには、「自分の希望条件に合う職場に転職できる」「給料が増え、残業が減る」などが挙げられます。また、今までに挑戦したことがなかった新しい業務を経験し、スキルアップできる可能性があるでしょう。

保育士を辞めるデメリットは、転職先で新人として仕事を学びなおす必要がある点です。転職後は、人間関係も一から築かないといけません。新しい環境での業務に慣れるまでは、大変だと思うこともあるでしょう。
保育士を辞めた後のメリット・デメリットを比べてみて、自分にはメリットの方が大きいと感じるなら、保育士を辞める決断をしても良いかもしれません

勢いで退職しないようにする

今の職場をすぐに辞めたいと思っても、退職後のことをよく考えてから行動するのが大切です。辞めた後のことを決めずに退職すると、次の仕事がなかなか決まらなかったり、貯金がなくなったりして、精神的にも金銭的にも追いつめられる可能性があります。自分の希望条件に合った職場を見つけるためにも、退職をする際には、余裕を持って転職活動ができるよう計画的に行動しましょう。

保育士を辞めた後の選択肢

保育士を辞めた後の選択肢として、ほかの保育園への転職や雇用形態の変更、保育士ではなく異業種への転職があります。ここでは、保育士を辞めた後の選択肢を解説するので、ぜひ参考にしてください。

ほかの保育園へ転職する

「今の職場は辞めたいけど、保育士の仕事は続けたい」という方は、ほかの保育園に転職するのがおすすめです。認可保育園と認可外保育園、私立保育園と公立保育園など保育園の種類は多種多様です。また、勤務形態も正職員やパートなどがあり、待遇にも違いがあります。保育園によって保育方針や行事も異なるので、自分のやりたい業務や働き方ができる園かどうかを調べてから転職するようにしましょう。

保育園以外の施設で子どもたちを支える

保育園以外の施設でも、保育士資格を活かして働けます。保育士資格を活かして働ける施設の例は以下のとおりです。

  • 乳児院

  • 助産施設

  • 児童発達支援事業所

  • 母子生活支援施設

  • 保育ママ(家庭的保育事業)

上記のような施設で働くと、保育士資格や保育士として培った経験が役立ちます。「保育園での仕事は辞めたいけど、子どもたちを支える仕事がしたい」と考えている方は、保育園以外の施設を視野に入れて求人を探すのも1つの方法です

雇用形態を変更する

「保育士の仕事は続けたいけど、業務内容に不満がある」という場合は、雇用形態を変更するのも1つの手です。正社員で勤務し、担任制や業務量が多くて大変だという方は、雇用形態をパートに変更すると解決する場合もあります。パートの保育士は、保育補助として働くのが一般的なので、正社員として働くよりも業務の負担が軽減する可能性があります。
反対に、非正規で働いていて待遇に不満がある場合は、正社員になると改善する場合もあるでしょう。

保育士ではない異業種に転職する

保育士の仕事自体を辞めたい場合は、ほかの分野に挑戦する方法もあります。異業種に転職しても、保育士としての経験やスキルを活かすことは可能です。たとえば、子ども向けの商品を扱う企業では、保育士として子どもと向き合ってきた経験を活かして意見を提案できるでしょう。どの職場で働いたとしても、保育士の仕事で培ったコミュニケーション能力やマルチタスクスキルが無駄になることはありません。これまでの保育士の経験を活かして、自分のやりたい仕事に挑戦するのも1つの方法です。

保育士が現在の職場を退職すると決めた場合の流れ

保育士が退職を決めたら、どのように行動すれば良いのでしょうか。ここでは、保育士が退職するまでの流れを解説します。

転職先の希望条件を考えて求人を探す

退職を決めたら、自分の希望条件とマッチする転職先を探しましょう。退職する時期を決めて、早めに転職活動を始めるのがおすすめです。仕事内容や保育方針、勤務時間や給与、待遇、勤務地などをチェックし、職場を選びましょう。

上司に退職の意思を伝える

退職を決めたら、なるべく早めに直属の上司に退職の意思を伝えます。就業規則でいつまで退職を伝える必要があるか、規則を確認しておくと安心です。特に規則がない場合、3ヶ月前には上司に報告するのが一般的です。退職理由を上司に伝える際は、不平不満を述べるのは避け、お礼を伝えて円満退職できるようにしましょう

退職日までに計画的に業務の引継ぎをする

退職日が決まったら、後任担当者に業務の引継ぎを行います。退職日から逆算して計画的に引継ぎを進めるようにしましょう。上司に引継ぎのスケジュールを共有しておくと安心です。自分の担当していた子どもたちの性格や特徴、保護者の情報などをリストアップしておくと、スムーズに引継ぎができます。できるだけスケジュールに余裕を持ち、計画的に引継ぎを行うと、職場にあまり負担をかけず退職できるでしょう。

保育士を辞めたいときによくある質問

ここでは、保育士を辞めたいときに関して、よくある質問をQ&A形式で回答します。

保育士を辞めた人は何をしている?

保育士を辞めた人は、保育園以外の施設で保育に関する勤務をしたり、保育士の経験を活かして異業種で働いたりしている傾向にあります。また、勤務条件に納得できる別の保育園に転職し、保育士を続けている人もいるでしょう。保育士を辞めた後の道については、本記事の「保育士を辞めた後の選択肢」で解説しているのでチェックしてください。

「保育士を辞めてよかった」と思えることはある?

転職後にキャリアアップできたり、勤務条件が改善されたりする点が挙げられます。保育士を辞めて、残業や持ち帰りの仕事がなくなり、プライベートの時間を確保できるようになったという場合もあります。保育士を辞めるメリット・デメリットは、本記事の「保育士を辞めた後のメリットとデメリットを考える」でも紹介しているので参考にしてください。

まとめ

保育士を辞めたい理由として、人間関係が合わないことや給料などの待遇への不満、業務量が負担になっていることが挙げられます。今後のキャリアについての悩みや、体力的な問題など、年代によっても保育士を辞めたい理由が異なるようです。保育士を辞めたいと思ったときは、辞めるメリットとデメリットを考えてみましょう。保育士を辞める決意をした場合は、退職後のことを考えて計画的に転職活動を進めることが大切です。保育士の転職先は、ほかの保育園や保育園以外の施設、別の分野の仕事などの選択肢があります。求人探しの際は、自分のやりたい仕事や希望条件を明確にすることが重要です。

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執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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