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幼稚園教諭二種免許状とは?一種との違いや取得方法、切り替えの条件を解説
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幼稚園教諭二種免許状とは、幼稚園教諭養成機関の短大や専門学校を卒業すると取得できる免許です。この記事では、幼稚園教諭二種免許状の概要や取得方法、一種免許状との違いを解説します。 ほかにも、二種免許状のメリット・デメリットや保育士資格保有者が取得する方法も紹介します。幼稚園教諭免許二種免許状の取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
幼稚園教諭二種免許状とは
幼稚園教諭二種免許状とは、文部科学省が指定する幼稚園教諭養成機関の短大や専門学校を卒業すると取得できる免許です。幼稚園教諭には、幼稚園教諭一種免許状・二種免許状・専修免許状といった3種類の免許があります。
それぞれの免許状の概要や特徴は、次の項目で紹介するので、ぜひ参考にしてください。
幼稚園教諭免許状の種類は一種・二種・専修の3つ
ここでは、幼稚園教諭一種免許状・二種免許状・専修免許状の概要や特徴を紹介します。それぞれの違いを把握するために、取得方法や必要単位数を見ていきましょう。
1.幼稚園教諭一種免許状
幼稚園教諭一種免許状を取得するためには、文部科学省が指定する幼稚園教諭養成機関の4年制大学に入学します。一般的には教育学部や幼児教育を学べる学科で、幼稚園教諭養成課程を履修します。文部科学省の「幼稚園教諭免許状・保育士資格取得に要する最低単位数」によると、幼稚園教諭一種免許状を取得するために必要な最低修得単位数は、124単位です。
出典
文部科学省「幼稚園教諭免許状・保育士資格取得に要する最低単位数」(2025年5月1日)
2.幼稚園教諭二種免許状
幼稚園教諭二種免許状を取得するためには、文部科学省が指定する幼稚園教諭養成機関の短大または専門学校に入学し、幼稚園教諭養成課程を履修します。文部科学省の「幼稚園教諭免許状・保育士資格取得に要する最低単位数」によると、幼稚園教諭二種免許状取得に必要な最低修得単位数は、62単位です。
幼稚園教諭二種免許状は最短2年で取得可能なため、一種免許状や専修免許状よりも早く現場で経験を積める可能性があります。
出典
文部科学省「幼稚園教諭免許状・保育士資格取得に要する最低単位数」(2025年5月1日)
3.幼稚園教諭専修免許状
文部科学省が指定する幼稚園教諭養成機関の4年制大学で幼稚園教諭一種免許状を取得後、大学院に進み修士課程や専門課程を修了すると、幼稚園教諭専修免許状を取得できます。
幼稚園教諭専修免許状を取得する過程ではより専門性を高め、知識を深められるでしょう。
幼稚園教諭二種免許状と一種免許状の違い
幼稚園教諭二種免許状と一種免許状は、以下のように取得方法や必要修得単位数、園長を目指せるかなどに違いがあります。
免許の種類 | 取得方法 | 修業年限 | 最低修得単位数 | 働けるようになる最短年齢 | 目指せるキャリア |
幼稚園教諭二種免許状 | 短大・専門学校 | 2年または3年 | 62単位 | 20歳 | 園長にはなれない可能性がある |
幼稚園教諭一種免許状 | 大学 | 4年 | 124単位 | 22歳 | 園長として働ける可能性がある |
参照:文部科学省「幼稚園教諭免許状・保育士資格取得に要する最低単位数」
幼稚園教諭二種免許状と一種免許状で学ぶ科目に大きな違いはありませんが、修業年限や最低修得単位数は異なります。幼稚園教諭一種免許状のほうが修業年限が長く修得単位数も多いため、より幅広く深い知識を学ぶことになるでしょう。
田澤里喜「就学前施設の園長・施設長の資格要件の現状と課題」では、幼稚園園長の資格について、学校法第二十条で「専修または一種の教員免許状を有して5年以上学校(幼稚園を含む)や幼保連携型認定こども園などで仕事をしている者」と述べています。
しかし、就学前施設の園長・施設長の資格要件は幼稚園、保育所、認定こども園や地域型保育事業など施設種別によって異なるものの、どの施設においても例外として、幼稚園教諭免許状や保育士資格を保有し、保育者の経験があることを必要としないところもあります。
幼稚園教諭二種免許状のみ所有している場合、施設によっては園長を目指せない可能性もあります。将来的に園長を目指したい方は、幼稚園教諭一種免許状を取得することを検討するのがおすすめです。
出典
玉川大学学術リポジトリ「就学前施設の園長・施設長の資格要件の現状と課題」(2025年5月2日)
幼稚園教諭二種免許状の取得方法
高校卒業後に進学して幼稚園教諭二種免許状を取得する主な流れは、以下のとおりです。
1.文部科学省指定の幼稚園教諭養成機関の短大・専門学校に入学
2.短大では2年、専門学校では2年または3年で最低修得単位数の62単位を修得する
3.卒業後に各都道府県の教育委員会に申請し、幼稚園教諭免許二種免許状が交付される
幼稚園教諭二種免許状は、最短2年で取得可能です。短大や専門学校では、一般教養や教職に関する科目を学んだり、教育実習で実践的なスキルを身につけたりできるでしょう。
幼稚園教諭二種免許状から一種免許状へ切り替える方法
幼稚園教諭として5年以上の実務経験があり、自治体が指定する機関で単位を修得すると、幼稚園教諭二種免許状から一種免許状へ切り替え可能です。前述したように、幼稚園教諭一種免許状を保有していると園長として働ける可能性があるため、キャリアアップに役立つことがあります。
そのため、幼稚園教諭二種免許状を保有し働くなかで、「役職に就きたい」「園長になりたい」などとキャリアアップの気持ちが芽生えた場合は、一種免許状への切り替えを検討してみましょう。
保育士資格保有者が幼稚園教諭二種免許を取得するには
保育士資格保有者は、条件を満たせば試験に合格したり特例制度を利用したりして幼稚園教諭二種免許状の取得が可能です。ここでは、保育士資格保有者が幼稚園教諭二種免許を取得する方法を3つ紹介します。
幼稚園教員資格認定試験に合格する
高卒で20歳以上かつ、保育士として3年以上の実務経験がある方は、教員認定試験を受験し合格すると幼稚園教諭二種免許状の取得ができます。文部科学省が開催する「教員資格認定試験」は、幼稚園や小学校、高等学校の教員確保を目的とした試験です。
保育士の資格保有者は条件を満たせば受験可能なため、独学や通信教育などで勉強し、合格できる可能性もあるでしょう。ただし、保育士の資格を保有していても簡単に合格できる試験ではないため、しっかりとした試験対策が必要になるでしょう。
出典
文部科学省「教員資格認定試験」(2025年5月1日)
幼保特例制度を利用して目指す
保育士資格を保有している方は、条件を満たせば幼保特例制度を利用し幼稚園教諭二種免許状を取得することも可能です。文部科学省の「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」によると、以下の条件を満たしている場合、特例制度を利用して幼稚園教諭二種免許状を取得できます。
保有資格 | 保育士資格 |
保育士としての実務経験 | 3年かつ4,320時間以上 |
必要な最低修得単位数 | 8単位(上記の実務経験に加え、幼保連携型認定こども園で保育教諭として2年かつ2,880時間以上の実務経験を有する場合は、6単位) |
参照:文部科学省「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」
保育士資格を保有し条件を満たしている場合、大学や専門学校などで修得すべき最低単位数が軽減されます。上記の単位を取得した後に、都道府県教育委員会に申請すると、幼稚園教諭二種免許状が交付されます。なお、単位は大学や専門学校などの通信講座で取得することも可能なため、働きながら目指したりコストを抑えたりできるでしょう。
出典
文部科学省「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」(2025年5月1日)
短期大学・専門学校を卒業する
前述したように、保育士資格を保有していても教員資格認定試験や特例制度の利用には、実務経験の条件があります。そのため、条件を満たしていない方が幼稚園教諭二種免許状を取得する方法は、「保育士として実務経験を積んでから、教員資格認定試験または特例制度で目指す」または「短期大学や専門学校に入学し目指す」といった2つです。
保育士の実務経験がまったくない場合は、短大や専門学校に入学したほうが早く幼稚園教諭二種免許状を取得できる可能性はありますが、学費が大きな負担になることも。そのため、保育士資格を保有している場合は、実務経験を積んで条件を満たした後に教員資格認定試験や特例制度で幼稚園教諭二種免許状を目指すほうが、現実的であるといえるでしょう。
幼稚園教諭二種免許状の更新制度
2022年7月1日より幼稚園教諭免許状の更新制度は廃止されました。ただし、幼稚園教諭免許状の有効期限によっては、更新が必要な場合も。ここでは、幼稚園教諭二種免許状の更新が必要・不要な例を解説します。
幼稚園教諭二種免許状の更新が必要・不要な例
幼稚園教諭二種免許状の有効期限が2022年7月1日以降の場合、免許状の更新は不要です。一方、2022年6月30日までに有効期間を迎え延長や更新手続きをしていない場合は、以下のように免許状が失効または休眠しています。
幼稚園教諭免許状の種類 | 有効期限の日満了時点で現職(産休・育休そのほかの休業・休職中なども含む) | 有効期限の日満了時点で非現職教師(ペーパーティーチャー) |
新免許状(2009年4月1日以降に初めて交付) | 失効 | 失効 |
旧免許状(2009年3月31日以前に初めて交付) | 失効 | 休眠 |
参照:文部科学省「令和4年7月1日以降の教員免許状の扱いについて」
幼稚園教諭免許状は交付された日によって、新免許状と旧免許状の2種類に分かれます。幼稚園教諭免許状が失効している場合は、都道府県教育委員会で再授与申請手続きをすると、有効期限のない免許状の交付が可能です。2022年7月1日時点で休眠にあてはまる場合、手続きなく有効期限のない幼稚園教諭免許状となります。
新免許状の場合は「有効期間満了の日」、旧免許状を延長・更新したことがある場合は、手続き時に発行された証明書に「次回の修了確認期限」が記載されているため、確認してみましょう。旧免許状で更新・延長したことがない場合は、生年月日により修了確認期限が定められており、文部科学省の「修了確認期限をチェック」で確認できます。
出典
文部科学省「令和4年7月1日以降の教員免許状の扱いについて」(2025年5月1日)
文部科学省「修了確認期限をチェック」(2025年5月1日)
幼稚園教諭二種免許状を取得するメリット
幼稚園教諭二種免許状は、一種免許状と比べて学費を抑えられたり、実務経験を早く積めたりするメリットがあります。ここでは、幼稚園教諭二種免許状を取得するメリットを紹介するので、一種免許状とどちらを取得するか迷っている方は、参考にしてみてください。
学費を抑えられる
幼稚園教諭二種免許状は、一種免許状に比べると学費を抑えられる点がメリットといえるでしょう。幼稚園教諭二種免許状は短大や専門学校で取得するため、一般的には一種免許状の取得ができる4年制大学よりも学費が抑えられます。
特に、奨学金や支援制度を利用して就職後に学費を返済する場合には、短大や専門学校で幼稚園教諭二種免許状を取得し、早く働き始めた方が将来的な負担を減らせるでしょう。
早く実務経験を積める
幼稚園教諭二種免許状は最短2年で取得可能なため、取得に4年かかる一種免許状よりも早く実務経験を積めます。実務経験を通して、実践的なスキルや知識を早く身につけられる点はメリットです。
また、入職が早いほど勤続年数が長くなるため、同学年の一種免許状の保有者より昇給したり役職に付いたりするのが早くなる場合もあるでしょう。前述したように、幼稚園教諭二種免許状は学費を抑えて早く働き始めることができるため、金銭面で余裕が生まれる可能性もあります。
幼稚園教諭二種免許状のデメリット
幼稚園教諭二種免許状の保有者は、一種免許状の保有者に比べて初任給の設定が低いなど、待遇面で違いがみられることがあります。幼稚園教諭二種免許状のデメリットも把握したうえで、一種免許状とどちらを目指すか検討しましょう。
一種免許状のほうが給料や待遇が良いことがある
幼稚園教諭二種免許状の保有者よりも、一種免許状の保有者のほうが給料やボーナスなどが高い傾向があります。幼稚園教諭一種免許状の取得には最短でも4年かかり、二種免許状より幅広く専門性が高い知識の証明となるためです。給料やボーナスに差が生じると、幼稚園教諭一種免許状を取得しておけばよかったと思う可能性もあるでしょう。
園長になれない可能性がある
幼稚園教諭二種免許状を所有している場合、園長になれない可能性があります。また、主任や副園長などには、幼稚園教諭一種免許状を所有しているほうが昇進しやすいケースもあるでしょう。
幼稚園教諭二種免許状は履歴書にどのように書く?
幼稚園教諭二種免許状は、履歴書の免許・資格欄に「◯年◯月 幼稚園教諭二種免許状 取得」と書きます。短大や専門学校などの卒業前に就職活動する場合は、「◯年◯月 幼稚園教諭二種免許状 取得見込み」と記載しましょう。履歴書の免許・資格欄には、「幼稚園教諭二種免許状」と正式名称で記載します。省略したり、間違えたりすると印象を下げる可能性もあるため、ケアレスミスがないか必ず見直しましょう。
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幼稚園教諭二種免許状に関するよくある質問
ここでは、幼稚園教諭二種免許状に関するよくある質問にQ&A形式で答えます。取得方法や紛失した場合の申請方法を解説するので、参考にしてみてください。
幼稚園教諭二種免許状は通信で取得できる?
幼稚園教諭二種免許状は、通信でも取得可能です。一般的に通信制の短大や専門学校では、テキストで自己学習をした後、レポートやテストで科目修了試験を受けます。必要な単位をすべて取得すると卒業でき、幼稚園教諭二種免許状を交付されるという流れになります。
幼稚園教諭二種免許状の名前変更の申請方法は?
幼稚園教諭免許二種免許状の名前を変更する際は、取得した各都道府県で手続きをします。各都道府県によって名前変更の方法は異なりますが、手続きの際には戸籍抄本や戸籍謄本、幼稚園教諭免許状が必要になるでしょう。教員免許の結婚時の名義変更は任意であるため、旧姓のままでも特に問題ないでしょう。
幼稚園教諭二種免許状を紛失した場合はどうする?
幼稚園教諭二種免許状を紛失し再発行する場合は、取得した各都道府県で手続きする必要があります。再発行手続きの方法は、各都道府県によって異なりますが、教員職員免許状再交付願や理由書、手数料などが必要となるでしょう。窓口のほかに、オンラインや郵送で申請可能な場合もあるため、各都道府県のホームページなどを確認してみましょう。
まとめ
幼稚園教諭二種免許状は、幼稚園教諭として働く際に必要な資格の1つです。幼稚園教諭養成機関のなかでも、短大や専門学校を卒業すると幼稚園教諭二種免許状が取得できます。
幼稚園教諭二種免許状と一種免許状は、修業年限や最低取得単位数が違います。キャリアアップにも違いがあり、幼稚園教諭二種免許状の場合、園長になれない可能性があります。
ただし、幼稚園教諭二種免許状は最短2年で取得可能なため、時間やコストが軽減できたり、早く実務経験を積めたりするメリットもあります。
また、幼稚園教諭として5年以上の実務経験があり、自治体が指定する機関で単位を修得すると、幼稚園教諭二種免許状から一種免許状に切り替えることができます。幼稚園教諭免許状のなかでも、一種と二種のどちらを取得するか迷っている方は、それぞれのメリット・デメリットを把握しキャリアプランを考えたうえで選択しましょう。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。