保育の仕事

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保育教諭とは?仕事内容や保育士・幼稚園教諭との違い、必要資格などを解説

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笑顔で子供を抱っこする保育士のイメージ

「保育教諭とはどんな仕事なのか」「幼稚園教諭や保育士との違いは何か」と気になっている方もいるのではないでしょうか。保育教諭とは、保育士と幼稚園教諭の両方の知識と技術を活かして、子どもの成長を支える専門職です。 本記事では、保育教諭と保育士・幼稚園教諭との違いや、必要な資格、将来性について詳しく解説します。保育教諭への転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人

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「レバウェル保育士」編集部

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保育教諭とは?

文部科学省の「幼保連携型認定こども園と保育教諭新規タブリンク」によると、保育教諭とは、幼稚園教諭免許状と保育士資格両方の免許・資格を有し、幼保連携型認定こども園で働く保育職員を指します

2015(平成27)年4月に、教育と保育を一体的に行う施設として幼保連携型認定こども園が創設されました。保育教諭は幼稚園教諭と保育士の知識と技術を持つ保育の専門家として、子どもたちの成長を支えるのが仕事です。

出典

文部科学省「幼保連携型認定こども園と保育教諭新規タブリンク」(2025年5月14日)

保育教諭の仕事内容とは

保育教諭は保育と教育の両面から子どもに関わるため、その仕事内容は保育士や幼稚園教諭と共通する部分が多くあります。保育教諭の主な業務内容は、下記のとおりです。

  • 園内の清掃:消毒や換気など、衛生環境の維持

  • 園児受け入れ:保護者からの伝言や子どもの様子を確認

  • 朝礼や終礼などの会議:連絡事項やスケジュールの共有

  • 計画に基づいた活動:歌や体操、制作など

  • 自由遊び:子どもの好きな遊びを見守り、一緒に楽しむ

  • 行事の運営:計画から準備や練習、発表までを担当

  • 食事の補助:声掛け、アレルギー対応、準備と片付け

  • 着替えやトイレの補助:子どもの発達段階に合わせたサポート

  • 寝かしつけ:午睡中の見守り、布団の準備と片付け

  • 園児見送り:1日の様子を保護者に伝える

  • 事務作業:連絡帳や保育日誌、おたよりなどの記入

幼保連携型認定こども園では、認定区分によって保育時間の異なる子どもが集まります。年齢によってクラスが分かれており、担当する子どもの認定区分や年齢によって仕事内容が変わるのが特徴です。たとえば、0〜2歳児クラスを担当する場合、働き方は保育士に近いといえます。一方、3〜5歳児クラスは認定区分によって預かり時間が違うので、子どもに合わせてより柔軟な対応が求められるでしょう。

これらの業務を通じて、保育教諭は子どもたちの生活習慣の形成や、心身の成長を支援します。子どもたちとの関わりに加え、保護者とのコミュニケーションを通して、育児のサポートをするのも大切な仕事の1つです。

保育教諭・保育士・幼稚園教諭の違いとは

保育士・幼稚園教諭・保育教諭は、共通する部分も多く、保育業界を目指す方は「どの資格を取得すべきか」「両方取得して保育教諭を目指すべきか」と迷う場合もあるでしょう。
ここでは、それぞれの職種の特徴と違いについて比較します。

役割の違い

保育士・幼稚園教諭・保育教諭は、子どもたちの成長を支援するという共通の役割がありますが、担当する子どもの年齢や求められる専門性に違いがあります。以下では、それぞれの役割を職種ごとに確認していきましょう。

保育士の役割

保育士が担当するのは、0歳から小学校就学前までの子どもです。保護者と離れて過ごす子どもたちに安心して過ごしてもらうため、一人ひとりの個性や発達過程に応じた関わりをします。子どもの「食べる・遊ぶ・眠る・排泄」などの基本的な生活習慣の形成をサポートし、健全で豊かな人格形成を支援します。

幼稚園教諭の役割

幼稚園教諭は満3歳から小学校就学前までの子どもを担当します。遊びや生活を通じて子どもたちの可能性を引き出す教育に重点を置いた関わりが求められるでしょう。集団生活の中で、子どもたちが協調性や表現力を育むための工夫をしたり、環境を整えたりするのも幼稚園教諭の役割の1つです。

保育教諭の役割

保育教諭は、0歳児から小学校就学前までを担当し、保育士と幼稚園教諭と同じ役割を担います。保育士と共通するのは、子どもたちの基本的な生活習慣の形成を支える点です。幼稚園教諭と共通する点は、遊びを通じて子どもたちの可能性を引き出すなど、教育の側面からも成長を援助することです。

勤務時間・休日の違い

勤務時間や休日は、職種や施設によって異なる場合があります。保育士、幼稚園教諭、保育教諭の勤務体系を比較しながら見ていきましょう。

保育教諭と保育士の勤務時間・休日

保育教諭と保育士は、週休2日制を基本としていますが、土曜出勤を求められることも少なくありません。勤務時間は1日8時間のシフト制を採用する園が多く、早番・中番・遅番など、家庭ごとの保育ニーズに応じた柔軟な対応が求められます。

幼稚園教諭の勤務時間・休日

幼稚園教諭の休日は基本的に土日です。しかし、行事や準備期間には土曜出勤が発生することもあるでしょう。勤務時間は8時頃から17時頃までが一般的です。ただし最近では、通常の時間以外で保育が必要な場合に行う預かり保育を実施し、シフト制を採用する幼稚園も増えています。

保育教諭になるには?

保育教諭になるためには、特定の資格を取得する必要があります。以下では、保育教諭に必要な資格、取得方法、資格取得に関する特例制度について解説します。

保育教諭に必須となる資格

保育教諭になるためには、幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方を取得する必要があります。ただし、例外として2029(令和11)年度末までは、幼稚園教諭免許または保育士免許のいずれか一方を保有していれば、特例で保育教諭として働くことができます。期限が切れると働けなくなるため、期限までに足りない資格を取得するようにしましょう。

幼稚園教諭免許状と保育士資格を同時に取得する方法

幼稚園教諭免許状と保育士の資格を同時に取得できる指定保育士養成施設に進学すれば、可能です。これから指定保育士養成施設に進学する方は、両方の資格を同時に取れるところに進学しましょう。

ただし、片方しか取れない指定保育士養成施設もあるので注意が必要です。また、将来のキャリアの幅を広げたい方は、園長の要件となっている幼稚園教諭一種免許の取得を目指すと良いでしょう。

幼稚園教諭免許と保育士資格の片方しかない場合

幼稚園教諭免許と保育士資格のどちらか一方しか所有していない人は、「幼保特例制度」を利用すると効率的に足りない資格を取得できます。幼保特例制度とは、保育士または幼稚園教諭として3年以上かつ4,320時間以上の実務経験を積んでいれば、必要な8単位を修得し試験に合格することでもう一方の資格を取得できる制度です。

幼保特例制度については「幼保特例制度とは?期限や申請方法、対象の保育士と幼稚園教諭を解説」の記事で詳しく解説しています。具体的な取得方法を知りたい方はご覧ください。

保育教諭の給料や平均年収とは

以下の表は、厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク」を参照し、保育教諭の給与・ボーナス・年収を年齢別にまとめたものです。

年齢 給与(きまって支給する現金給与額) ボーナス(年間賞与その他特別給与額) 平均年収(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)
20~24歳 23万800円 51万9,200円 328万8,800円
25~29歳 25万6,700円 77万8,900円 385万9,300円
30~34歳 26万5,800円 76万3,700円 395万3,300円
35~39歳 27万7,200円 80万8,400円 413万5,800円
40~44歳 28万5,400円 88万4,000円 431万8,800円
45~49歳 30万2,800円 91万3,000円 454万6,600円
50~54歳 30万4,000円 91万4,900円 456万2,900円
55~59歳 31万9,100円 103万400円 485万9,600円

参照:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク

保育教諭の年収は、基本的に経験や年齢を重ねるにつれて上昇する傾向にあります。長く勤めることで給与が安定し、ボーナスや手当も充実していくでしょう。また、勤務先や地域によっても収入に差が出るため、自分に合った職場選びが大切です。

出典

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク」(2025年5月30日)

保育教諭になる3つのメリット・やりがいとは

ここでは、保育教諭への転職を検討している方に向けて、3つのメリットとやりがいを紹介します。

1.幼保一元化に対応できる

幼稚園教諭免許と保育士資格を有する保育教諭は、幼稚園と保育園の機能をまとめる「幼保一元化」が進む中、幅広い現場で専門性を活かして働くことが可能です。

厚生労働省の「共働き等世帯数の年次推移新規タブリンク」によると、2017年の共働き家庭は1,188万世帯、2022年は約1,262万世帯となり、5年間で74万世帯も増加しています。家庭環境の変化とともに、求められる保育サービスは多様化していくでしょう。

たとえば、幼稚園における教育の要素を重視しながら、保育時間の延長を必要とする家庭も増えています。保育ニーズの多様化に伴い、保育と教育の両方に精通した専門職として保育教諭の需要はますます高まるでしょう。
保育士と幼稚園教諭が両方持つ知識とスキルを活かし、幅広い現場で活躍できることが保育教諭の強みであり、やりがいの1つといえます

出典

厚生労働省「令和5年度版厚生労働白書 本編図表バックデータ新規タブリンク」(2025年5月30日)

2.保育と教育の幅広いスキルを身につけられる

保育教諭として保育と教育の両面から知識を学ぶことにより、子どもの成長を多角的に支援できるスキルが身につきます。

保育の側面では、子どもの生活をサポートしながら、子どもたちに安心感を与える関わり方が身につくでしょう。子どもが着替えや片付けをする際に「やってみよう」という気持ちを促したり、情緒の安定を図るための工夫をしたりと、子ども一人ひとりの発達に応じた関わりができるようになります。

教育の側面では、子どもの興味や関心を引き出す関わり方の習得が可能です。具体的には、年齢・個性に応じた遊びの提案や子どもがのびのび活動できる環境づくりなどが挙げられるでしょう。

3.将来的に転職する際に選択肢が広がる

幼稚園教諭と保育士の専門知識を有する保育教諭は、子どもと関わる多様な施設の中から自分に合った職場を選べます。たとえば、保育教諭のスキルが活かせる仕事には、次のような勤務先が挙げられるでしょう。

  • 幼稚園

  • 保育園

  • 児童館

  • 児童養護施設

  • 児童発達支援施設

保育士と幼稚園教諭の両方の資格を保有するため、転職する際には選択できる求人の幅が広がったり、採用時に有利になったりする可能性があります。

保育教諭になる3つのデメリット・大変なこととは

保育教諭は、子どもたちの成長を支えるやりがいのある仕事ですが、資格取得や業務内容など大変な面もあります。保育教諭を目指す方が事前に知っておきたいデメリットをチェックしていきましょう。

1.資格を取得するのに時間や費用がかかる

保育士資格と幼稚園教諭免許状の両方を取得するには、相応の時間が必要です。通学する場合は短期大学や専門学校で最短2年間、大学では4年間の学習期間が求められます。通信制の学校を利用する場合も、保育士資格と幼稚園教諭免許状の両方を勉強する時間を確保しなければなりません。

あくまで参考ですが、初年度学生納付金等と授業料、通学期間をもとに計算すると、一般的な専門学校は200万円以上、短期大学は250万円以上、4年制大学は卒業までに400万円以上費用がかかります。

2.業務負担が大きい

保育教諭は、子どもたちの保育や教育に加えて、多岐にわたる業務をこなさなければなりません。家庭事情や発達に応じた保育や教育を行うのと同時に、事務作業や保護者支援、保育環境を整えるのも保育教諭の仕事です。子どもたちとの関わりを大切にしつつ、多様な業務をこなす体力が必要になるでしょう。

3.家庭ごとに対応が求められる

保育教諭には、さまざまな家庭環境に応じて、保育や教育を行う柔軟性が求められます。保育園と幼稚園の役割を担う認定こども園では、子ども一人ひとりに合わせた関わりが大切です。そのために、保護者との密なコミュニケーションが欠かせません。家庭の事情に合わせた対応をする必要があり、負担を感じる可能性も考えられるでしょう。

保育教諭として勤務するうえでの将来性とは

幼稚園と保育園を統合する取り組みである「幼保一元化」が進む中で、認定こども園の数は年々増加しています。こども家庭庁の「認定こども園に関する状況について(令和6年4月1日現在) (p.1)新規タブリンク」によると、令和6年4月1日時点で全国の認定こども園の数は10,483施設に達しました。

認定こども園の増加に伴い、「幼稚園教諭」と「保育士」の両方の専門性を兼ね備えた保育教諭の需要は一層高まっています。また、保育教諭をはじめとする保育業界の専門職は、高度な専門性を有するため、今後も代替が難しい貴重な存在として重宝されるでしょう。

出典

こども家庭庁「認定こども園の数等について新規タブリンク」(2025年5月30日)

保育教諭に関してよくある質問

ここでは、保育教諭に関する疑問についてQ&A形式で回答し、不安を解消していきます。

保育教諭はどんな人に向いている?

保育教諭に向いている人には、以下のような特徴が挙げられます。

  • 子どもや保護者一人ひとりに寄り添ったコミュニケーションができる人

  • より良い保育や教育を行うために努力を怠らない向上心のある人

  • 些細な変化に気づける観察力のある人

これらの特徴は、保育業界で働きながら身につけることも可能です。保育教諭として活躍していけそうかを分析しながら、自分に合った求人をチェックしてみてください。

指導保育教諭とはどのような職種ですか?

指導保育教諭とは、子どもたちへの教育や保育を担当するだけでなく、保育教諭や他の職員に対して、保育や教育をより良くするためのアドバイスやサポートを行う職員です。業務経験を重ねて指導保育教諭になれば、専門性が評価されることから保育教諭よりも高い収入を得られるようになるでしょう。

まとめ

保育教諭とは、幼稚園教諭と保育士の専門性を兼ね備え、教育と保育の両面で子どもをサポートする職業です。資格を取得するには相応の時間や費用が必要になりますが、幼保一元化の流れを受け、保育教諭の需要は今後さらに高まると考えられます。

将来的に転職やスキルアップを考える際にも、保育教諭としての経験と専門性が強みとなるでしょう。子どもたちの成長を支えながら自身のキャリアも築ける、やりがいのある仕事といえます。

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執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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