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保育教諭とは?保育士・幼稚園教諭との違いや資格・仕事内容・給料を解説
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保育士のなかには、「保育教諭について知りたい」「仕事内容はどのようなものか」と考えている方もいるのではないでしょうか。保育教諭とは、幼保連携型認定こども園で勤務する職種です。 この記事では、保育教諭になるために必要な資格や仕事内容、1日のスケジュールなどを解説します。平均給与や保育教諭を目指すメリットも情報をまとめました。保育教諭の働き方を検討している場合は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事のまとめ
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保育教諭になるには保育士免許と幼稚園教諭免許状が必要
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いずれかを保有し実務経験がある場合、幼保特例制度を利用できる
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専門性を高め、保育業界で長く働きたい人は保育教諭に向いている
目次
保育教諭とは
保育教諭(ほいくきょうゆ)とは、幼稚園教諭免許状と保育士資格両方の免許・資格を保有している人のことを指します。保育教諭は認定こども園とともに、2006年に誕生した職種です。認定こども園とは教育・保育を一体的に行う施設であり、幼稚園と保育園の良さを併せ持っているのが特徴です。認定こども園には、「幼保連携型」「幼稚園型」「保育所型」「地方裁量型」の4つがあります。保育教諭は主に幼保連携型の認定こども園で働いています。
施設形態の違いについて理解を深めたい方は「認定こども園とは?主なタイプや保育園と幼稚園の違い、働くポイントを解説」をご覧ください。
保育教諭になるには
保育教諭になるには、保育士免許と幼稚園教諭免許状が必要です。「幼稚園教諭免許状・保育士資格のいずれかを保有している」「どちらもない場合」それぞれの状況に応じて保育教諭になる方法を見てみましょう。
幼稚園教諭免許状・保育士資格のいずれかを持っている場合
幼稚園教諭免許状もしくは保育士資格のどちらかを有している場合、経過措置により2030年3月31日までは現状保有している資格で働けます。しかし、2030年4月以降は保育教諭として働けなくなってしまうため、それまでに両方の資格を取得する必要があるのでご注意ください。
指定された施設で実務経験があり、幼稚園教諭免許状または保育士資格のいずれかを取得する場合、幼保特例制度を利用できます。幼保特例制度は時間や費用を抑え、効率的に資格を取得できるようにサポートするのが目的です。保育士資格または幼稚園教諭免許状のいずれかを保有している人が対象となります。幼保特例制度には下記の2種類があります。
3年特例:保育士資格または幼稚園教諭免許状のいずれかを保有し、3年以上かつ4,320時間以上の実務経験がある場合、最大8単位を取得すれば資格が取れる
幼保2年特例(2023年に施行された新特例):幼保連携型認定こども園で2年以上かつ2,880時間以上働いている場合、6単位取得すれば資格が取れる
幼保特例制度について詳しく知りたい場合は「幼保特例制度とは?期限や申請方法、対象の保育士と幼稚園教諭を解説」をご覧ください。
出典
こども家庭庁「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」(2025年10月17日)
文部科学省「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」「幼稚園教諭免許状授与の所要資格の特例に関するQ&A
」(2025年10月17日)
幼稚園教諭免許状も保育士資格も持っていない場合
どちらの資格も有していない場合は、短大・大学・専門学校など、指定養成施設で幼稚園教諭免許状と保育士資格を同時に取得するのが効率的といえます。ただし、どちらか一方のみしか取得できない指定保育士養成施設もあるので、学校を選ぶ際は注意が必要です。
そのほかの選択肢として、指定養成施設に在学し、1つの資格を取得しながら通信でもう一方を学ぶ方法もあります。かかる時間や費用を考慮し、自分に合った方法で幼稚園教諭免許状と保育士免許を取得しましょう。
保育教諭を目指すメリット
保育教諭を目指すメリットには、「転職先の選択肢が増える」「保育と教育両方のスキルを身につけられる」「視野が広がる」などがあります。ここでは、各項目について詳しく解説します。
転職先の選択肢が増える
保育教諭を目指すメリットは、転職先の選択肢が増える点です。認定こども園で働く保育教諭は、0歳から就学前までの子どもに関わる傾向があります。乳児から幼児までと子どもの年齢が幅広いため、保育園や幼稚園、乳児院など転職先の選択肢が増える可能性があるのが魅力といえるでしょう。
保育と教育両方のスキルを身につけられる
保育園や幼稚園で勤務する場合、子どもに対して保育または教育どちらかのみを行います。しかし、保育教諭は子どもに対して保育と教育を行うため、両方のスキルを現場で身につけられるというメリットがあるでしょう。保育者の専門家として、さまざまな子どもや場面で自信をもって対応できるようになる可能性が高まります。
視野が広がる
認定こども園には、保育士や幼稚園教諭経験がある人が働いています。園によっては、楽器の演奏やリトミック、スポーツ、ダンスなどを取り入れて独自の特色を出しているところもあるようです。幅広い実務経験がある人と一緒に働いたり、現場で多様な活動に携わったりするなかで視野が広がり、これまでとは違う経験を積める可能性があるのも魅力といえます。
保育教諭の仕事内容
保育教諭の仕事は、子どもたちの安全管理、計画に基づいた活動、食事・着替え・トイレの介助など多岐にわたります。以下は、保育教諭の主な仕事内容例を表でまとめたものです。
| 仕事内容 | 詳細 |
| 朝礼や終礼などの会議 | 連絡事項やスケジュールの共有 |
| 園内の清掃 | 消毒や換気など、衛生環境の維持 |
| 子どもの受け入れ | 保護者からの伝言や子どもの様子を確認 |
| 子どもの安全管理 | 子どもの安全を確保し、トラブルを防止 |
| 計画に基づいた活動 | 歌や体操、制作など |
| 自由遊び | 子どもの好きな遊びを見守り、一緒に楽しむ |
| 食事の介助 | 声掛け、アレルギー対応、準備と片付け |
| 着替えやトイレの介助 | 子どもの発達段階に合わせたサポート |
| 寝かしつけ | お昼寝(午睡)中の見守り、布団の準備と片付け |
| 子どもの見送り | 1日の様子を保護者に伝える |
| 事務作業 | 連絡帳や保育日誌、おたよりなどの記入 |
| 行事の運営 | 計画から準備や練習、発表までを担当 |
保育教諭の仕事内容は、保育と教育の両方を兼ね備えています。食事や着替え・トイレの介助など、基本的な生活習慣を身につけるためのサポートを行うほか、歌や体操、制作活動など教育を通じて心身の発達を促すのが仕事です。
実際に携わる仕事内容は園によって異なる場合があるため、あくまで参考にとどめてください。
保育教諭の1日のスケジュール例
認定こども園には、子どもの年齢や保育の必要性に応じて認定区分があり、保育教諭のスケジュールはそれによって左右される場合があります。以下では、保育教諭の1日のスケジュール例を認定区分と合わせて見ていきましょう。
| 認定区分 | 子どもの年齢 | 保育の必要性(保護者の就労や病気など) | 預かる時間 |
| 1号 | 満3歳以上 | なし | 原則4時間(教育標準時間) |
| 2号 | 満3歳以上 | あり | 最長11時間(保育標準時間)または最長8時間(保育短時間) |
| 3号 | 満3歳未満 | あり | 最長11時間(保育標準時間)または最長8時間(保育短時間) |
参照:こども家庭庁「認定こども園概要」

通常、認定こども園はシフト制で早番・遅番に分かれます。職場によっては、中番を採用している園もあるようです。また、開園しているなかで柔軟に対応しているケースもあります。
上記は一例であり、園によってスケジュールに違いがあるため、転職する際には面接時に業務の流れを確認しておくと安心です。
出典
こども家庭庁「認定こども園概要」(2025年10月17日)
保育教諭・保育士・幼稚園教諭の違い
保育教諭・保育士・幼稚園教諭は、必要な資格や主な職場、預かる子どもの対象年齢、仕事内容などに違いがあります。下記の表は、その違いをまとめたものです。
| 保育教諭 | 保育士 | 幼稚園教諭 | |
| 必要な資格 | 保育士資格・幼稚園教諭免許状 | 保育士資格 | 幼稚園教諭免許状 |
| 主な職場 | 認定こども園 | 保育園、乳児院、児童養護施設 | 幼稚園 |
| 預かる子どもの対象年齢 | 0歳~就学前の子ども | 0歳~就学前の子ども | 満3歳~就学前の子ども |
| 仕事内容・役割 | 子どもに保育・教育を行う | 子どもに保育を行う | 子どもに教育を行う |
参照:厚生労働省「保育士になるには」、こども家庭庁「認定こども園概要
」、文部科学省「幼保連携型認定こども園と保育教諭
」、職業情報提供サイト(job tag)「幼稚園教員
」
認定こども園が誕生した背景には、当時共働き家庭の増加に伴って保育園の需要が高まり、幼稚園のニーズが減少していたという点が挙げられます。既存の施設を有効活用し、保育園・幼稚園の両方のニーズに幅広く応えられる施設として認定こども園が誕生したのです。
認定こども園に勤務する保育教諭には、保育士・幼稚園教諭の役割が求められます。乳児は生活面でサポートし、未就学児は学習面において支えながら、成長を見守れる点は保育教諭ならではの特徴といえるでしょう。
出典
厚生労働省「保育士になるには」(2025年10月17日)
こども家庭庁「認定こども園概要」(2025年10月17日)
文部科学省「幼保連携型認定こども園と保育教諭」職業情報提供サイト(job tag)「幼稚園教員
」(2025年10月17日)
保育教諭の給料・平均年収
保育教諭の年収は、基本的に経験や年齢を重ねるにつれて上昇する傾向にあります。以下の表は厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」を参照し、保育教諭の給与・ボーナス・年収を年齢別にまとめたものです。
| 年齢 | 給与 | ボーナス | 平均年収 |
| 20~24歳 | 23万800円 | 51万9,200円 | 328万8,800円 |
| 25~29歳 | 25万6,700円 | 77万8,900円 | 385万9,300円 |
| 30~34歳 | 26万5,800円 | 76万3,700円 | 395万3,300円 |
| 35~39歳 | 27万7,200円 | 80万8,400円 | 413万5,800円 |
| 40~44歳 | 28万5,400円 | 88万4,000円 | 431万8,800円 |
| 45~49歳 | 30万2,800円 | 91万3,000円 | 454万6,600円 |
| 50~54歳 | 30万4,000円 | 91万4,900円 | 456万2,900円 |
| 55~59歳 | 31万9,100円 | 103万400円 | 485万9,600円 |
参照:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種
保育教諭は一般的に長く勤めることで給与が安定し、ボーナスや手当も充実することが多いようです。ただし、エリアや施設によって収入に差が生じる場合があるため、しっかりと事前に調べて自分に合う職場を探しましょう。
出典
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年10月16日)
保育教諭を目指すデメリット
保育教諭を目指すデメリットは、「資格を習得するのに時間と費用がかかる」「業務量が幅広く負担が増える」「同僚との連携で戸惑う可能性がある」などが挙げられます。ここでは、各項目の詳細を解説します。
資格を取得するのに時間と費用がかかる
幼保特例制度を利用すると、通常よりは効率的に幼稚園教諭免許状や保育士資格を取得できます。しかし、時間と費用がかかる点はデメリットといえるかもしれません。下記は、幼保特例制度の種類、取得する単位数、費用、期間をまとめたものです。
| 幼保特例制度の種類 | 取得する単位数 | 費用 | 単位を取得するのにかかる期間の目安 |
| 幼保2年特例 | 6単位 | 8万~10万円程度 | 最短半年~1年程度 |
| 3年特例 | 最大8単位取得 | 10万~11万円程度 | 最短半年~1年程度 |
参照:こども家庭庁「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」、文部科学省「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例
」
幼保2年特例または3年特例を利用した場合、費用は8万〜11万、いずれも単位を取得するには最短で半年から1年程度かかるようです。費用や時間は養成施設によって異なるため、比較してみるのがおすすめです。
出典
こども家庭庁「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」(2025年10月17日)
文部科学省「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」(2025年10月17日)
業務量が幅広く負担が増える
認定こども園は業務の幅が広いため、保育園や幼稚園から転職した際に負担を感じやすいかもしれません。たとえば、幼稚園教諭から保育教諭に転職した場合、乳児保育の経験がないことから、覚えることが多いと考えてしまう可能性があります。また、保育士から保育教諭になった方は、イベントや行事の企画・準備・運営に時間がかかり、大変さを実感することもあるようです。
同僚との連携で戸惑う可能性がある
幼保型の認定こども園で働く保育教諭には、保育士や幼稚園教諭などのバックグラウンドを持つ人がいます。これまでの経験から子どもへの関わり方や仕事への対応方法が異なるために、同僚と連携する際に戸惑う場面があるかもしれません。保育教諭同士が協力し合って業務を進めるには、こまめにコミュニケーションをとる必要があるでしょう。
保育教諭の将来性は期待できる?
認定こども園は年々増加しており、将来性に期待できる可能性が高いといえます。
認定こども園の数は、平成26年時点で1,360施設、平成31(令和元)年時点で7,208施設でした。令和6年4月1日時点だと、全国の認定こども園の数は10,483施設あります。平成26年と令和6年を比較すると、約10倍に増えているのが分かるでしょう。
現在は少子化が進んでいますが、認定こども園に勤務する保育教諭のニーズは引き続き高い状態が予想されます。
出典
こども家庭庁「認定こども園の数等について」(2025年10月16日)
保育教諭に向いている人の特徴
保育教諭に向いている人には、以下のような特徴が挙げられます。
保育業界で長く働きたい人
幼保型の認定こども園で勤務したい人
保育と教育の専門家として子どもに関わりたい人
保育教諭は保育士資格と幼稚園教諭免許状を保有しているため、認定こども園だけでなく、保育園や幼稚園などさまざまな施設で働けます。キャリアの選択肢が増えるので、保育業界で長く働きたい人に適しているでしょう。ほかにも、保育と教育のスキルを磨き、専門家として活躍していきたい人も保育教諭に向いている傾向にあります。
保育教諭に関してよくある質問
ここでは、保育教諭に関する疑問についてQ&A形式で回答します。
指導保育教諭とはどのような職種ですか?
指導保育教諭とは、子どもたちに教育や保育を行うだけでなく、保育教諭やほかの職員に対して、アドバイスやサポートを行う職種です。経験や高い専門性が必要とされるため、保育教諭よりも収入を得られる可能性があるでしょう。
出典
文部科学省「資料3(参考)関係条文」(2025年10月16日)
保育教諭の求人を探すには?
効率的に保育教諭の求人を探すには、ハローワークや転職エージェントを利用するのがおすすめです。ハローワークは無料で掲載できるため、求人の掲載数が多い傾向にあるのが魅力といえます。
転職エージェントは希望する条件のヒアリングから入職後のフォローまで、コーディネーターがトータルでサポートしてくれるのがメリットです。また、求人票には掲載されていない職場の雰囲気なども把握しているため、自分に合った求人に出会える可能性が高まります。
まとめ
保育教諭とは、幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方を保有しており、主に幼保連携型の認定こども園で働いている人のことです。幼稚園教諭免許状と保育士資格どちらかを保有している場合、幼保特例制度により時間や費用を短縮して資格を取得できます。
保育教諭を目指すメリットには、転職先の選択肢が増えることや、保育と教育両方のスキルを身につけられることなどが挙げられます。一方で、資格を取得するのに時間と費用がかかるといったデメリットもあるようです。
なお、現在認定こども園数は増えているため、保育教諭の需要の高まりに今後も期待できるでしょう。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。














